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憲法の危機に日弁連はどう立ち向かうのか(一会員からの要望)

 今晩(2014年2月27日)配信した「メルマガ金原No.1650」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 

 

憲法の危機に日弁連はどう立ち向かうのか(一会員からの要望)
 
 去る2月22日、WEB上で以下のようなニュースに目がとまりました。
 
毎日新聞WEB版 2014年2月22日21時15分
日弁連憲法問題に「危機感」…対策本部の設置決める
(引用開始)
 集団的自衛権の行使を容認するため憲法解釈を変更する議論が国会で進められていることを受け、日本弁護士連合会(山岸憲司会長)は今春にも「憲法問題対策本部」を設置する。解釈改憲に反対するシンポジウムを開催するなどして、法律家の立場から市民に問題点を訴えていく。21日の理事会で決定した。
 日弁連内部には既に「憲法委員会」がある。この態勢を強化し、対策本部に組織改編する。菅沼友子事務次長は「安倍政権が、これまで積み上げてきた憲法解釈を変えようとしていることは明らか。危機感を抱いている」と話している。【和田武士】
(引用終わり)
 
 日本弁護士連合会の公式サイトに「今、憲法を考える~憲法改正をいう前に知っておきたい憲法のこと~(憲法委員会)」という特設ページが開設されたということは、去る2013年11月9日のメルマガ(ブログ)「日弁連サイトの特設ページ『今、憲法を考える』に注目を!」で詳しくご紹介しました。
 
 そして、期待を込めて私はこう書きました。
 
(引用開始)
 日弁連憲法委員会が特設ページのタイトルを考えた際、「今、」を付けることになった「思い」はご説明するまでもないですよね?
 まさに、「今」行動しなければ、「憲法委員会」の存在意義はありませんから。
 ・・・と、憲法委員会の委員でもない一会員として思いますもの。
(引用終わり)
 
 その特設ページ「今、憲法を考える」が開設された2013年10月31日から4ヵ月が過ぎようとしていますが、私の「期待」は叶えられたのでしょうか?
 これについては、最新の「更新履歴」が、昨年12月26日に出された「内閣総理大臣靖国神社参拝に関する会長談話」であり、その後、全く更新されていないことをご紹介するにとどめたいと思います。
 毎日新聞が伝えた「憲法委員会」を組織改編して「憲法問題対策本部」を今春にも設置するという2月理事会で承認された方針は、現下の緊急事態に対処するための日弁連なりの対応策として評価するのにやぶさかではありませんが、「間に合うのか?」というのが最大の懸念です。
 
 日弁連が、各地の弁護士会とともに総力をあげて取り組む、そういう姿勢を示すだけではなく、全国いたるところで具体的な活動を繰り広げるためには、新年度が始まるまでのあと1ヵ月ですら待っていられない(空白は許されない)状況だと思います。
 日弁連は、ちょうど2年任期の会長が交替する時期であり、4月からは村越進新会長の下で新たな体制がスタートしますが、「集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更は許されない」ということは、日弁連全体の方針として確
立しているのですから(2013年5月31日「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」)、切れ目のない運動に取り組むことは可能であり、必要でもあります。
 
 ・・・というのが、憲法委員会と関係のない一会員の「願望」なのですが、日弁連執行部や憲法委員会の皆さんにとっては、「言われるまでもない」ことに違いありません。
 それに第一、憲法委員会委員でなくても、自分の所属する単位弁護士会の執行部や憲法委員会に対して、「集団的自衛権行使容認阻止」のための目に見える活動を行うように要請すること自体は(実現するかどうかはともかくとし
て)、会員なら誰でもできることですからね。
 
 ただ、このブログが日弁連憲法委員会委員の目に触れる可能性はほとんどないかもしれませんが、これだけは実現して欲しいという「要望」を再掲しておきます(「日弁連サイトの特設ページ『今、憲法を考える』に注目を!」より)。
 
(引用開始)
 もともとこの『憲法って、何だろう?』は、奈良弁護士会が2008年1月に発行したものでしたが、その内容が評判を呼び、同弁護士会と画家の星野一子さんの許諾を得て、同年8月に日弁連が再発行したのでした。冊子の在庫があ
る間は無料で配布されていましたが、今は冊子自体は(日弁連では)在庫切れかもしれません。
 PDFファイルでの公開も良いのですが、「今」この時期だからこそ、冊子自体の
大量増刷に踏み切るべきではないかと思います。
(引用終わり) 
 
PDFファイル『憲法って、何だろう?』
 
 この奈良弁護士会が作った憲法絵本については、以前、私のメルマガ(ブログ)でも詳しくご紹介したことがありました。
 
憲法って、何だろう?』(奈良弁護士会)を読み直す 前編
 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/25913457.html
憲法って、何だろう?』(奈良弁護士会)を読み直す 後編
 
 星野一子さんの素敵なイラストは、前掲のPDFファイルでご覧いただくとして、最後に、奈良弁護士会憲法委員会が作成したテキストの内、今、特に重要と思われる部分を抜粋して引用したいと思います(全部重要といえばそうなの
ですが)。私が、日弁連にこの憲法絵本を緊急に大増刷して広く国民に配付して欲しいと願う理由がお分かりいただけるのではないかと思います。 
 
(抜粋引用開始)
憲法って、何だろう?』(テキスト部分)
 
2頁 あなたは、あなたの人生の主人公
あなたは、あなたであるだけで、大切な人
あなたは、誰のものでもない
あなたは、どこに住んでもかまわない
あなたは、どんな仕事についてもかまわない
あなたは、誰と結婚してもかまわない
あなたは 
ほかの人にめいわくをかけなければ
自分で自分の生きがいを見つけて
自分の人生を歩むことができる
それが「自由」です
 ※ 13条
 
4頁 みんなが、日本という国の主人公
あなたは、一人では生きていけない
だから、みんなと一緒に、日本という国に住んでいる
この国は、神様がつくったものではない
誰かのものでもない
みんなで、日本という国をつくっている
それが「国民主権」です
 ※ 前文、1条、20条3項
 
6頁 じっくり考えて、議論するのが大事
みんなでつくった国だから
選ばれたリーダーにお任せではだめ
一人一人の国民が
じっくり考えて
議論する
それが「民主主義」です
 ※ 21条1項
 
7頁 憲法は、リーダーを縛るもの
みんな、リーダーの決めたルールに従う
リーダーは、憲法に従う
なぜ?
リーダーも人間だから
かならず、まちがうから
たいへんなことになるから
リーダーが決めるルールが「法律」
リーダーを縛るルールが「憲法
それが「法の支配」です
 ※ 98条1項、99条
 
8頁 リーダーは、1人ではいけない
1人に全部をまかせてはいけない
ルールをつくる人
ルールを使って政治をする人
ルールが間違っていないかをチェックする人
リーダーは3人必要だな
それが「三権分立」です
 ※ 41条、65条、81条
 
9頁 住むところがない人は、「自由」?
学校へ行かせてもらえなかった人は、「自由」?
働かされすぎて死んでしまった人は、「自由」?
仕事がない人は、「自由」?
好きでこうなったわけじゃない
こういう人たちを助けてこそリーダー
これは、よわい人たちの権利
それが「社会権」です
 ※ 25条1項
 
10頁 多数決の「いじめ」はダメ
「自由」と「平等」そして「参政権」と「社会権
これは、あなたが生まれながらにして持っている権利
それが「基本的人権」です
リーダーも、これを取り上げることはできない
多数決で決めたルールでもダメ
それが「人権の尊重」です
 ※ 11条、98条1項
 
13頁 世界には190以上の国がある
この国に住んでいるのはあなただけではない
この世界に住んでいるのは日本人だけではない
 ※ 前文
 
14頁 争いごとで、「戦争」はしない
いろいろな国があれば、争いごとも起きる
ここはどこの土地?
この石油はどこの国がつかう?
ケンカが起きるのは、人間と一緒
でも
ケンカをしても、なぐってはいけない
人をころしてはいけない
だから
戦争もいけない
争いごとは、話し合いとルールで解決する
それが、「人間の智恵」
 ※ 9条1項
 
15頁 よその国で戦争はしない
でも、戦争はなくならない
人間はよわい
武器を持っていると使いたくなる
戦争をしたくなる
だから、武器を持たないのも一つの智恵
でも、ほかの国から攻められたらどうする?
これは・・・難しい
でも、攻められてもいないのに戦争をするのはやめよう
日本の外で戦争をするのはやめよう
日本の憲法は、リーダーが勝手に戦争をすることを禁止した
それが、「日本の智恵」
 ※ 9条2項
 
16頁 戦争は最大の人権侵害
戦争をしたら人が死ぬ
人が人をころす
みんなで作った国なのに
その国が人をころす
「お国のため」に、ころす
・・・何で?
 ※ 前文
 
17頁 「変えにくい」から憲法
憲法はリーダーを縛るもの
リーダーにとって一番じゃまなもの
だから、簡単には変えられない
 ※ 96条1項
 
18頁 君たちが大人になるころ
君たちが大人になるころ
憲法が変わるかもしれない
変えるか、変えないか
それは、君たちが決める
 ※ 12条、97条
(引用終わり)
 
(付記)
 去る2月20日に行われた「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会 第1回」の後半リレートークにおいて、日弁連憲法委員会の福山洋子副委員長から、来る4月10日(木)午後6時から、東京の弁護士会館において、“集団的自衛権”と“積極的平和主義”を考えるシンポジウムを開催することが案内されました。登壇者は、
 阪田雅裕さん(元内閣法制局長官
 北沢俊美さん(元防衛大臣
 半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)
 谷口真由美さん(大阪国際大学准教授・全日本おばちゃん党代表代行)
とのことであり、このシンポが日弁連憲法問題対策本部の最初の企画ということになるのでしょうか。
 なお、その6日後の4月16日(水)には、東京弁護士会が中心となって「法律で憲法を変える?-国家安全保障基本法とはなにか?」というシンポが開催されます。半田滋さんはこちらにも登壇されるようですが、基調講演は伊藤真弁護士が担当されます。実は、こちらは大雪のために4月延期となってしまった企画のようで、6日間のうちに同じ会場で似たような企画が続くことになったのは、そういう事情によります。