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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

伊東良徳弁護士の論考『再説 福島第一原発1号機全交流電源喪失は津波によるものではない』のご紹介

 今晩(2014年2月28日)配信した「メルマガ金原No.1651」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 

 

伊東良徳弁護士の論考『再説 福島第一原発1号機全交流電源喪失津波によるものではない』のご紹介
 
 福島第一原発の原子炉がメルトダウンしたのは、全交流電源喪失によって炉心を冷却できなくなったからであり、全電源喪失の原因は、津波の襲来によって建屋の地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が被水して機能喪失したからであると東京電力は一貫して主張し、政府事故調報告書もこの説を支持しています。
 これに対して事故直後から異論を唱えていたのが、後に国会事故調の委員となった田中三彦さんでした。田中さんは、特に1号機について、津波到達前に重要な配管が破断して冷却不能に陥った可能性を示唆されていました。
 
 現在、「津波原因説」に対して有力な批判を展開している方に、元東京電力社員の木村俊雄さんがおり、「過渡現象記録装置」のデータ解析を基に、地震によって深刻な配管破損が起こっていたことを主張されています。
 木村さんが昨年(2013年)10月4日に岡山市で行った講演の模様を私のメルマガ(ブログ)でご紹介しています(木村俊雄氏が語る“メルトダウンの真実“、田中優氏と語る“エネルギーの自給自足”)。
 
 そしてもう1人、津波到達時刻を綿密に検討することにより、福島第1原発1号機において、全交流電源喪失時刻よりも津波到達時刻の方が遅い、すなわち、電源喪失の原因は津波ではないことを論証しようとされているのが弁護士の伊東良徳さんです。
 伊東さんは、元国会事故調協力調査員でもあった方ですが、国会事故調の解散後も、引き続きこの問題の検討を続けておられます。
 その研究成果は、ご自身のホームページ(庶民の弁護士 伊東良徳のサイトにようこそ!)に発表されています。
 
福島原発全交流電源喪失津波が原因か 2011年6月7日記
福島原発全交流電源喪失津波が原因か(その2) 2012年7月5日記
福島原発全交流電源喪失津波が原因か(その3) 2013年5月11日記
 
 そして、伊東弁護士の「福島原発全交流電源喪失津波が原因か」シリーズ(?)の最新版(その4)が先頃公表されました。 
 
福島原発全交流電源喪失津波が原因か(その4) 
 
 (その4)が書かれた経緯を伊東弁護士自身が説明した文章を引用します。 
 
(引用開始) 
 「科学」(岩波書店)2013年9月号に「福島第一原発1号機の全交流電源喪失津波によるものではない」という論考を掲載したのち、この問題について長らく沈黙を続けていた東京電力から津波到達時刻に関して反論があり、それが最終的には2013年12月13日付の報告書として公表されました。
 ここで、それに対するきちんとした反論をすることにします。なお、この文章は「科学(電
子版)」2014年3月号として公開されたものに少し手を加えたものを岩波書店「科学」編集部の了解を得て掲載するものです。 
(引用終わり) 
 
 上記にある「科学(電子版)」2014年3月号掲載論文は、PDFファイル26ページ全部が無料公開されています。「科学」編集部からのメッセージ及び論考冒頭「1 本稿の目的及び結論」と併せてご紹介します。
 
再論 福島第一原発1号機の全交流電源喪失津波によるものではない
 
1 本稿の目的及び結論 
 福島原発事故において事故を破局的な事故に至らせた原因である全交流電源喪失について,日本政府と東京電力等はすべて津波によるものであるとしている。しかし,少なくとも福島第一原発1号機において全交流電源喪失は2011年 3月11日15時37分かそれ以前に生じているところ,1号機敷地への津波の溯上は 15時 38分以降であり,時間的前後関係からして全交流電源喪失の直接の原因は津波はあり得ない。
 本稿は,このことを,福島第一原発を襲った津波の唯一の実測データである沖合
1.5 km地点に設置されていた波高計による実測波形と,津波福島第一原発襲う過程を撮影した一連の写真という 1次資料の分析検討により論証しようと試みるものである。
 
「科学」編集部から
 東京電力福島第一原子力発電所電源喪失津波到達後におこったのかどうか。この点は,原子力発電所がどのような備えをもつべきかに関する,非常に重要な論点です。伊東氏の論考は,緻密な論証により,津波到達時刻以前に電源が失われたことを示し,東京電力の主張を論破します。題名に「再論」とあるのは,本誌2013年9月号掲載の同名の論考をさらに深めたものだからです。本稿では,東京電力との主張の相違点を明確にし,東京電力の主張の不合理さをより一層浮き彫りにしています。福島原発事故の検証を独自に行っている新潟県原子力発電所
安全管理に関する技術委員会において本論文が注目されており,今後の議論が注目されます。今回の論文公開は,本誌の社会貢献活動として,無料で行います。
 
 「科学(電子版)」掲載のPDFファイルが26ページ。これに全部目を通して理解しようとするのは「しんどい」という人のために、「科学」編集部は最初の3ページだけの「見本」を、著者の伊東さんは「短縮版」(といっても結構な量がありますが)をそれそれ用意してくれています。
 
再論 福島第一原発1号機の全交流電源喪失津波によるものではない(最初の3ページ) 
 
福島原発全交流電源喪失津波が原因か(その4)短縮版 
 
 また、昨年(2013年)10月4日には、伊東さんが原子力資料情報室のユースト中継に出演して自ら研究成果を発表されていますので、視聴されることをお勧めします。
 
 理数的、技術的なことが苦手な典型的文系であると自認する(?)私としては、伊東さんの論考を十分に理解できたと自信をもって言えないのが残念ですが、伊東さんの執拗に一つのテーマを追いかけて検討を積み重ねていく粘り強さには脱帽します。
 また、現在進められようとしている原発再稼働の動きにとって、この「全電源喪失津波原因説」は、嘘でも何でも絶対に譲れない一線なのであり、だからこそ、田中三彦さん、木村俊雄さん、伊東良徳さんらの研究はしっかりとフォローし、理解する必要があると思い、ご紹介することとしました。
(付記)今回の伊東良徳さんの論文の公開については、和歌山県平和フォーラムの藤原慎一郎さんから教えていただきました。