今晩(2014年3月4日)配信した「メルマガ金原No.1655」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
『2分で分かる!集団的自衛権 ほぼ AtoZ』(明日の自由を守る若手弁護士の会)リーフレット&動画のご紹介
今年のバレンタインデーに安倍晋三首相にチョコレートを送った「ファン」や「支持者」も少なくなかったと思いますが(とはいえ、安全のために食べはしなかったでしょうが)、その中に、チョコレートに添えて1冊の本をプレゼントした団体がありました。その本とは以下のようなものでした。
その団体が、プレゼントに同封した手紙には、以下のようなことが書かれていました。
(引用開始)
突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください。
(略)
総理は去る2月3日の衆院予算委員会における質疑において、「憲法の性格をどう考えるか」と問われた際、「国家権力を縛るものだという考え方があるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」とお答えになられました。
大変失礼ながら、私たちは法律家団体として、総理によるこのような憲法観のご表明について大いなる懸念を抱かずにはいられません。
(略)
総理は、ご自身が握る権力を濫用することは無い(従って憲法によって縛られる必要はない)とお考えかもしれません。
しかし、権力の無謬性を前提とした政治が必ず権力の暴走を招き、国民の人権が脅威にさらされたことは歴史が証明しており、それゆえ法が権力を縛る発想が生まれたことへ、今一度思いを馳せて頂きたく存じます。
(略)
大変僭越ながら、法律家団体として、お願い申し上げます。総理におかれましては、今一度、立憲主義ないし憲法の本質を深くご理解頂きたく存じます。一国の元首としてはもちろん、さらにご自身が先頭に立って改憲の議論を盛り上げるおつもりであるならなおさら、これらの基本知識が誰よりも万全でおられなければ、残念ながら私たち国民は総理と総理が率いる政権に安心して国政を信託できかねます。
時節柄、バレンタインデーですので、当会より総理に、チョコレートと憲法の基本書を謹呈いたします。その基本書が最良か、当会内でも議論がございましたが、我が国戦後の憲法学を先導し、今なお多くの法学の徒から支持を受け続ける故芦部信喜東大教授の著書を選ばせて頂きました。どうぞお納め下さい。
我が国の民主的な発展と繁栄を心から願うがゆえの進言です。失礼の段、どうぞご海容下さい。
(略)
総理は去る2月3日の衆院予算委員会における質疑において、「憲法の性格をどう考えるか」と問われた際、「国家権力を縛るものだという考え方があるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」とお答えになられました。
大変失礼ながら、私たちは法律家団体として、総理によるこのような憲法観のご表明について大いなる懸念を抱かずにはいられません。
(略)
総理は、ご自身が握る権力を濫用することは無い(従って憲法によって縛られる必要はない)とお考えかもしれません。
しかし、権力の無謬性を前提とした政治が必ず権力の暴走を招き、国民の人権が脅威にさらされたことは歴史が証明しており、それゆえ法が権力を縛る発想が生まれたことへ、今一度思いを馳せて頂きたく存じます。
(略)
大変僭越ながら、法律家団体として、お願い申し上げます。総理におかれましては、今一度、立憲主義ないし憲法の本質を深くご理解頂きたく存じます。一国の元首としてはもちろん、さらにご自身が先頭に立って改憲の議論を盛り上げるおつもりであるならなおさら、これらの基本知識が誰よりも万全でおられなければ、残念ながら私たち国民は総理と総理が率いる政権に安心して国政を信託できかねます。
時節柄、バレンタインデーですので、当会より総理に、チョコレートと憲法の基本書を謹呈いたします。その基本書が最良か、当会内でも議論がございましたが、我が国戦後の憲法学を先導し、今なお多くの法学の徒から支持を受け続ける故芦部信喜東大教授の著書を選ばせて頂きました。どうぞお納め下さい。
我が国の民主的な発展と繁栄を心から願うがゆえの進言です。失礼の段、どうぞご海容下さい。
(引用終わり)
コラボレーション“明日の自由を守る若手弁護士の会”+“大島史子さん”+“きいこちゃん”
そこでは、「あすわか」が作った紙芝居とリーフレットが、きいこちゃん(みんな楽しくHappy♡がいい♪)の朗読によって素敵な動画になったことをご紹介しました。
「王様をしばる法~憲法のはじまり~」
そして、このたび「あすわか」が作った「憲法が変わっちゃったら、どうなるの?~自民党案シミュレーション~」に続くリーフレット第2弾「2分で分かる!集団的自衛権 ほぼ AtoZ」の動画版が早速 YouTube にアップされました。リーフレットのイラストは引き続き大島史子さんであり、動画のナレーションについては、どこにもクレジットされていませんが、前2作と同じく「きいこちゃん」だと思います。
「2分(6分?)で分かる!集団的自衛権 ほぼ AtoZ」
作:明日の自由を守る若手弁護士の会
集団的自衛権をめぐる国民の「誤解」を分かりやすく解くための有力なツールとなり得るリーフレットと動画だと思います。是非積極的に活用したいですね。
リーフレットの注文は以下のページから。
ただ、「ほぼ AtoZ」の「ほぼ」だから仕方がないのですが(分量の制約がありますからね)、「Q5 集団的自衛権の行使は、憲法9条(戦争放棄)があっても認められるとか、政府の人が最近言ってなかった?」に対する答えの部分はやや不満です。その回答はこうなっています。
(引用開始)
でも安倍さんが首相になってから、自民党は突然その考えを変えるって言い出したんだ。
9条は、意味がなくなるってこと。
(引用終わり)
私は「結論は書いてあるが、理由が書かれていない」と思うのですが、どうでしょう?
従来の政府が、憲法9条の下では、集団的自衛権を行使できないと解釈してきたのは何故か?を、誰でも納得できるように分かりやすく説明すべきだと思うのですが、私には、ボード1枚で説明する自信はありません(3、4枚は欲しい)。
皆さんならどう説明します?本気で憲法を守りたいと考えているのなら、今まさに、このことを本気で考え抜かなければならないはずなのです。