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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

文字で読める阪田雅裕氏インタビュー(朝日新聞、IWJブログ、マガジン9)

 今晩(2014年3月6日)配信した「メルマガ金原No.1657」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
文字で読める阪田雅裕氏インタビュー(朝日新聞、IWJブログ、マガジン9)
 
 これまでたびたび私のメルマガ(ブログ)にご登場いただいている元内閣法制局長官の阪田雅裕さんに対するインタビューが「マガジン9」に2週にわたって掲載されました。聞き手は、「マガジン9」に「立憲政治の道しるべ」を連載中の南部義典さん(慶應義塾大学大学院法学研究科講師)です。
 これまでご紹介してきたのは、主として阪田さんによる講演の映像でした。非常に分かりやすく、なぜ、集団的自衛権行使容認への憲法解釈の変更が許されないのかを語っておられるものの、いかに普及したとはいえ、パソコンやタブレットユーストリーム継を見られる人は、全国民の中でもいまだ多数派とは言えないと思います。
 かといって、阪田さんの著書を読んで欲しいと言っても、実際に手に取る人は限られているでしょう。
 そこで、このような「文字で読める」インタビュー記事は貴重だと思い、ご紹介することとしました。
 
マガジン9 この人に聞きたい 2014年2月26日up
阪田雅裕さんに聞いた(1)
民主主義と立憲主義を破壊する集団的自衛権容認のプロセス
 
マガジン9 この人に聞きたい 2014年3月5日up
阪田雅裕さんに聞いた(2)
解釈の変更で「骨抜き」にされる憲法9条
 http://www.magazine9.jp/article/konohito/11122/ 
 
 他に、「文字で読める阪田雅裕氏インタビュー」はないか?と探したところ、昨年8月、小松一郎氏が新たな内閣法制局長官に就任した直後に行われた朝日新聞によるインタビューがありました(読むためには会員登録~無料コースもあり~が必要ですが)。これは是非お読みになることをお勧めしたいですね。
 
朝日新聞デジタル 2013年8月9日
阪田雅裕・元内閣法制局長官との一問一答
 
 さらに、昨年の9月、IWJの岩上安見さんによるロングインタビューのエッセンスがIWJブログに掲載されていました。
 
2013/09/18【IWJブログ】元内閣法制局長官へ異例のロングインタビュー!
解釈改憲は「法治国家ではあり得ない禁じ手」
 
 それぞれ、リンク先で是非全部をお読みいただきたいのですが(その上で、その記事の「活用方法」を各自で考えていただきたいのですが)、以下に、特に重要と思われる部分を朝日新聞とマガジン9から引用します。
 
朝日新聞デジタルより引用開始) 
――そもそも、どうして9条のもとでは集団的自衛権の行使が認められないのでしょうか
 大前提として、9条で一番わかりにくいのは自衛隊が合憲だということだ。9条の1項(戦争放棄)は他国の憲法にも国際法にも例がある。パリ不戦条約やイタリ憲法に同じようなことが書かれている。1項だけなら侵略戦争禁止という意味で、98条2項の入念規定と言えなくもない。
 日本国憲法の非常に特異なところは2項だ。戦力を持たず、交戦権を認めない
とある。にもかかわらずなぜ自衛隊の存在は許されるのかは9条の大きな一つの問題だった。55年体制下では圧倒的にその点について政府が追及を受けてきた。
 政府はどう考えてきたか。9条だけでなく全体をよく見れば、憲法は前文に国民
の平和的生存権、13条に国民の幸福追求権を規定している。国民が平和的に暮らせるような環境を整備し、人間として幸福を精いっぱい追求できる状況を保つことが、国の責務として書かれている。
 外国から武力攻撃があれば直ちに国民の生命、財産が危機にひんする。これを
主権国家が指をくわえて見ていろというのは憲法の要請かということだ。国民を守るために外国の攻撃を排除するだけの実力組織が必要。だから自衛隊の存在は許されると理解してきた。
 他方で、自衛隊はそういうことのために存在が認められるのだから、それ以外の目
的で海外に出かけて武力行使をするところまで9条が許容しているとは、憲法全体をどうひっくり返してみても読む余地がない。
 我が国への武力攻撃がないわけだから、国民の生命、身体、財産が脅かされた
り、国土そのものが外国に侵略されたりしているわけではない。そんななかで日本の領土、領海、領空を離れ、戦闘に及ぶことになる。従って集団的自衛権の行使、集団安全保障措置、多国籍軍への参加はできないと考えてきた。
(引用終わり)
 
(マガジン9から引用開始)
南部 
 これまで、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」であって、9条2項が
禁ずる戦力には当たらない、というのが政府の一貫した答弁でした。解釈変更で集団的自衛権の行使を可能にするというのは、その「必要最小限度」の概念を非常に膨らまそうとしているとも言えますね
阪田
 どこまでを「必要最小限度の実力」に含めるのか。それは、個別的自衛権の枠
内ならばまだ議論の余地があると思うんです。しかし、急迫不正の侵害がない、つまり、およそ外国からの武力攻撃がない状態での「自衛権」行使というのは、まったくこれまでの議論の外にあるもの。いくら「必要最小限度」の範囲を広げたところで集団的自衛権の行使容認には至らないというのが私の理解です。
 そもそも、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」というのは、戦後60年
間ずっと政府が言い続けてきたことです。法制局は冒頭に申し上げたように内閣の一機関でしかありませんが、その見解は政府で共有され、支持されてきたものです。それが間違っていたのだとすれば、歴代内閣が60年にわたって間違い続けてきたということ。それでいいんでしょうかと申し上げたいと思いますね。
(略)
南部
 一方で、安倍首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に
関する懇談会(安保法制懇)」では、非常に突っ走った議論が行われています。一般的には集団的自衛権の話ばかりがされているようにも伝わっていますが、実際には個別的自衛権や集団的安全保障の話も含め、いわゆる「4類型」についてなど、個別具体的な事例について議論が進められています。直近では2月4日の会合で、マイナー自衛権と呼ばれる事例の議論が追加的に行われました。これまでの動きについて、阪田先生はどう受け止められていますか。
阪田
 集団的自衛権行使容認の是非を問うのであれば、そうした議論の形はおかしい
のではないかと、私は以前から申し上げてきました。
 集団的自衛権の本質とは何かといえば、先にも申し上げたように外国での戦闘
行為です。日本に海外からの武力攻撃があった場合は、個別的自衛権で対応可能なわけですから。その外国での戦闘行為が憲法上可能なのかという議論をすることなしに、具体的な事例を想定して並べ立てることに何の意味があるのか。集団的自衛権は行使できるという結論が出て、その上でそうした議論をするなら、「集団的自衛権の行使として、どこまで何をやれるのか」を考える上で有効と言えるかもしれませんが、現段階ではまったく無意味としか言いようがありません。
 そのように、法学者もいない場での議論で、論理的に整合性のとれた法律論が
まったくされていないということが、私はやはり非常に問題だと思います。
(引用終わり)
 
 阪田先生が「(安保法制懇が)法学者もいない場」と仰っているのを読んで、私は思わず「そのとおり!」と手を打ってしまいました。この「安倍お友だち懇談会」のメンバーの専門分野は著しく政治学に偏っており、何とか法学者と言えるのは西駒澤大学名誉教授くらいのものですかねえ。
 私自身、司法試験に合格した後、憲法の教科書はどれが良いか?など考えたこともないので、憲法学界の現状には全くうといのですが、それにしても、西修氏が憲法学者だということを知ったのは、第2次安保法制懇に選ばれたメンバーの経歴を調べてみた時が初めてだった位ですから(産経新聞の「正論」など読みませんからね)、東大法学部在学中に国家公務員採用上級甲種試験(法律)と司法試験の両方に合格し、内閣法制局長官まで務めた阪田さんの眼中に入らないのも無理はない?もっとも、西氏には、『ここがヘンだよ!日本国憲法』(アスキー、2001年)、『日本国憲法が驚くほどよくわかる本』(ワニブックス、2002年)などという親しみやすそうな(?)著書もあるようで、案外「有名な」先生なのかもしれませんけれど。
 結局問題は、「論理的に整合性のとれた法律論がまったくされていない」ことにあることは明らかです。4月に提出されるという安保法制懇の報告書に、どんな「法律論」が展開されているか、皆さん是非注目してください。
 
(参考/弁護士・金原徹雄のブログから)
阪田雅裕元内閣法制局長官が語る“集団的自衛権”(9月25日まで全編視聴可能)
 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/32266224.html
(少し遅れたご紹介)この集団的自衛権についての公開討論会は必見です
 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/33561920.html
大阪弁護士会「シンポジウム 集団的自衛権について考える」(11/16)を視
聴する
阪田雅裕元内閣法制局長官が訴える「法治主義の危機」(2/20集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会 第1回)
 
(参考書籍)

『「法の番人」内閣法制局の矜持』(大月書店) 阪田雅裕、川口 創 著

 

「法の番人」内閣法制局の矜持

「法の番人」内閣法制局の矜持