今晩(2014年5月13日)配信した「メルマガ金原No.1725」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
報告書『夢がもてない-日本における社会的養護下のこどもたち』(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)のご紹介
まず、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)が5月2日に YouTube にアップした以下の映像をご覧ください。
夢がもてない:養護施設や里親の下で暮らす子どもたち
どうでしょうか?日本における「社会的養護」を必要とする子どもたちの置かれた状況を、14分余りの映像に凝縮しようというのですから、説明不足の点があるのは当然です。
特に5分ころに登場する津崎哲雄さん(京都府立大学教授)が「(我が国では)子どもの人権という感覚が一切ない」「社会的養護を受けている子どもたちは非常に数が少なくてマイノリティだから、そういう子どもたちはどうなっても別に大したことはないという風な考え方だ」と言われるのを聞くと、津崎さんの経歴やこれまでの業績についてある程度の予備知識がある者にとっても、正直ドキッとしますよね。
この映像がアップされたのは、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)が、5月1日に、以下の報告書を公表したことに連動したものです。
報告書『夢がもてない-日本における社会的養護下のこどもたち』
(“Without Dreams Children in Alternative Care in Japan”)
(“Without Dreams Children in Alternative Care in Japan”)
(目次)
夢がもてない
用語集
日本地図
要約
調査方法
I. 日本の社会的養護制度
II. 施設での虐待と課題
III. 里親制度の問題点
IV. 足りない自立支援
V. 国際人権基準
VI. 東日本大震災の震災孤児
提言
謝辞
夢がもてない
用語集
日本地図
要約
調査方法
I. 日本の社会的養護制度
II. 施設での虐待と課題
III. 里親制度の問題点
IV. 足りない自立支援
V. 国際人権基準
VI. 東日本大震災の震災孤児
提言
謝辞
(抜粋引用開始)
本報告書「夢がもてない―日本における社会的養護下の子どもたち―」(全89頁)は、2009年4月のヒューマン・ライツ・ウォッチの東京オフィス開設以来、日本の問題に関する初の本格的な調査報告書となる。本報告書では、日本の社会的養護制度の仕組みと手続きを検証するとともに、乳児を含む子どもの施設収容から起こる問題点、その他の社会的養護制度下の人権問題に焦点をあてる。また社会的養護終了後の自立の過程で多くが経験する困難と、里親制度が抱える課題も検討する。最後に東日本大震災の震災孤児の経験を検証する。
(引用終わり)
本報告書「夢がもてない―日本における社会的養護下の子どもたち―」(全89頁)は、2009年4月のヒューマン・ライツ・ウォッチの東京オフィス開設以来、日本の問題に関する初の本格的な調査報告書となる。本報告書では、日本の社会的養護制度の仕組みと手続きを検証するとともに、乳児を含む子どもの施設収容から起こる問題点、その他の社会的養護制度下の人権問題に焦点をあてる。また社会的養護終了後の自立の過程で多くが経験する困難と、里親制度が抱える課題も検討する。最後に東日本大震災の震災孤児の経験を検証する。
(引用終わり)
また、5月1日、日本記者クラブにおいて、上記報告書発表に関する記者会見が行われ、その映像を視聴することができます。
土井香苗 国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)日本代表 2014.5.1
記者会見の参加者は以下の3人の方々でした。
土井香苗氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表、弁護士)
猿田佐世氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ コンサルタント、弁護士)
サヘル・ローズ氏(イラン出身の女優、養護施設で育った経験有)
猿田佐世氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ コンサルタント、弁護士)
サヘル・ローズ氏(イラン出身の女優、養護施設で育った経験有)
一朝一夕で解決の方向性が見いだせるような生やさしい問題でないことは間違いありませんが、おそらく解決の妨げとなる最大の要因は、社会の「無理解」というよりは、「無関心」なのだろうと思います。
冒頭でご紹介した映像での、津崎哲雄さんの「そういう子どもたちはどうなっても別に大したことはないという風な考え方」という発言は、私の理解では、「(社会的養護を要する)子どもたちに対する徹底した無関心」と言い換えることも可能です。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)が公表した報告書『夢がもてない:養護施設や里親の下で暮らす子どもたち』を読み込むことにより、1人でも多くの方が、守られなければならない「子どもたちの人権」とは何か?ということに思いをはせていただければと思います。
冒頭でご紹介した映像での、津崎哲雄さんの「そういう子どもたちはどうなっても別に大したことはないという風な考え方」という発言は、私の理解では、「(社会的養護を要する)子どもたちに対する徹底した無関心」と言い換えることも可能です。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)が公表した報告書『夢がもてない:養護施設や里親の下で暮らす子どもたち』を読み込むことにより、1人でも多くの方が、守られなければならない「子どもたちの人権」とは何か?ということに思いをはせていただければと思います。