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楠見子連れ9条の会(@和歌山市)が首相官邸に送った声明「集団的自衛権は使えないままでいい!」(5/24)

 本日(2014年5月25日)配信した「メルマガ金原No.1737」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
楠見子連れ9条の会(@和歌山市)が首相官邸に送った声明「集団的自衛権使ないままでいい!」(5/24)
 
 2007年、和歌山市で1つの「9条の会」が、つつましやかにスタートしました。既に多くの「9条の会」が全国的にも、また和歌山県下でも活動を始めていましたが、その「9条の会」のユニークなところは、子育て中のお母さんたちが集まって結成したものだったということです。
 名前は「楠見子連れ9条の会」と言います。
 
 私が「楠見子連れ9条の会」の存在を初めて知ったのは、2007年9月16日、私が運営委員を務めている地域9条の会「守ろう9条 紀の川 市民の会」が開催した「第4回 憲法ェスタ」(於:河北コミュニティセンター)の中の「憲法リレートーク」に小さな子どもさんたちと一緒に会員のお母さんたちが登壇して思いを語られるのを聴いた時でした。
 

 

 ちなみに、この憲法フェスタの閉会挨拶で「楠見子連れ9条の会」を称賛した弁護士というのが私です。
 
 その後の「楠見子連れ9条の会」の活動の詳細について語るだけの知識が私にある訳ではありませんが、他の「9条の会」と同様、やや活動が停滞していた時期もあったようです。
 しかし、特に昨年以降は再び活動を活発化させており、昨年の憲法記念日には、朝日新聞和歌山版でその活動が紹介されました。
 
 また、今年4月からは、新企画「ピース カェ」をスタートさせています。これは、地元にある瀟洒な英国風喫茶店の一角(ほぼ個室風に使える落ち着いた雰囲気の日当たりの良いスペース)で美味しい紅茶などをいただきながら語り合うという企画で、4月に行われた第1回は私が講師としてお招きいただきました。その時に話した内容を私のブログにアップしています(参照「改訂版・若いお母さんのための憲法9条入門~かけがえのない価値と今、目の前にある危機~」)。
 第2回は、6月28日(土)に高校教員の山入桂吾先生をお迎えして開催されることがされています。
 
 さて、今日のメルマガ(ブログ)で「楠見子連れ9条の会」を取り上げたのは、「ピース カフェ」という興味深い取組もさることながら、同会のお母さんたちが、5月15日の安保法制懇による「報告書」提出、そしてそれを受けた安倍首相による記者会見の内容を黙過することができず、昨日(5月24日)、抗議のアピールを発表するとともに、首相官邸に送付したことをご紹介したかったからです。
 
 
 公式ブログにはこう書かれています。「楠見子連れ9条の会は、安倍首相の集団的自衛権行使容認の『基本的方向性』に反対し、アピールを発表、首相官邸に送付しました。子どもを愛するお母さんお父さん、日本を『戦争できる国』にしないために、学び、考え、発信していきましょう!」と。
 
 以下に、アピールの全文を引用します。
 
(引用開始)
               集団的自衛権は使えないままでいい!

「楠見子連れ 9 条の会」は、子どもたちが生きる未来に戦争がなくなることを願って2007
年に和歌山市で発足し、現在は50名を超える会員がいます。「無関心は罪」「まずは知ることからはじめよう!」を合言葉に、子育て中のお母さんたちが集まって自宅や喫茶店での小さな学習会を続けてきました。

安倍首相は5月15日、私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談
会」の報告書の提出を受けて記者会見を行いました。その中で、歴代政権が「集団的自衛権憲法 9 条の下では行使できない」としてきた憲法解釈を変更して、限定的と言いつつ「行使を容認する」との基本的方向性を表明しました。
 
私たちはこれを知り、不安と憤りでいっぱいになりました。
 
● これまでも日本は、アフガニスタン戦争での海上自衛隊による洋上給油やイラク戦争での航空自衛隊による輸送活動など、アメリカが始めた戦争に協力してきています。同盟国であるからという理由で集団的自衛権を行使することになれば、日本の自衛隊「殺し」「殺される」可能性があり、他国から軍事力を持った「戦争をする国」とみなされます。私たちは、わが子だけでなくどの子も、戦争に駆り出されることに絶対反対です。
本を、海外に出かけていって軍事力を行使する「戦争のできる国」にしたくありません。
 
● 「自国が武力攻撃を受けた」場合は、個別的自衛権で対応できます。他国の判断で始めた戦争に参加するための「集団的自衛権」は不要です。
 
集団的自衛権を行使する場合として示された「限定的」「必要最小限度」が、あまりにもあいまいです。「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性」「政府が総合的に判断」など、なんとでも解釈できることになります。
 
● わが子の未来に大きくかかわる重大な変更を、安倍首相とその近しい人たちだけで決めないでください。「戦争をしない」と誓った日本の国のあり方を、時の一首相一内閣が、立憲主義を無視して勝手につくり変えることは絶対に許されません。
 
平和を守るためといって始めた戦争の裏には必ず大きな利権がからんでいます。しかし、その戦争でもっとも傷つくのは、子どもや女性、家族の平穏なくらしです。軍隊で平和はつくれません。何よりも外交努力や人道的な国際貢献、経済協力や草の根の交流、教育によって平和は育まれます。
これが、私たちの学びの成果です。

「海外で戦争できる国」を子どもたちに押しつけるわけにはいきません。
集団的自衛権は使えないままでかまいません!
どの子も戦争には行かせません!
未来の子どもたちに、世界の子どもたちに、贈りたいのは憲法 9 条です。

                  2014年5月24日   楠見子連れ 9 条の会
(引用終わり)
 
 私の知る限り、和歌山県下の「9条の会」で、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使を容認しようとする「基本的方向性」に対する抗議声明を首相官邸に送ったのは、「楠見子連れ9条の会」が最初ではないかと思います。
 少なくとも、私が関与している「9条の会」などの団体には、「楠見子連れ9条の会」に続いて抗議声明を出そう!と提案するつもりです。
 そして、「9条の会」だけがアピールを出すべきということでは全然ありません。日本の民主主義、立憲主義の破壊を許さないという点で意思統一が出来る組織であれば、ありとあらゆる団体が抗議の声明を間断なく送り続けるべきだと思います。
 資金力などない我々庶民でも、手紙やファクシミリを送るくらいは何でもありませんからね。
 それに、それぞれの団体には、独自の成り立ちが必ずあるはずですから、首相官邸対する抗議の理由も、それぞれ全く一緒ということはないでしょう。アピールの文章を練り上げる過程そのものが、団体創設の初心に還ることを可能にしてくれるという副次的効果もあるのではないかと思います。
 「楠見子連れ9条の会」のアピールにある「どの子も戦争には行かせません!」という文章は、同会に集ったお母さんたちの根源的な決意ですよね。
 そのような言葉を紡ぎ出すこと自体が尊い運動になるはずです。
 私たちも、彼女たちのあとに続かなければ。
 
 同じ和歌山県下の田辺市でも、最近、子育て真っ最中のお母さんたちが集まって活動を開始しました。名付けて「9条ママnetキュッと」だったかな。まだ、核になるメンバーが集まったばかりという段階のようですが、先輩の「楠見子連れ9条の会」の活動も参考にしながら、子どもたちの未来のために頑張っていただきたいと期待しています。