読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

一日中、集団的自衛権のことを考えていた(付・和歌山弁護士会「会長声明」)

憲法 司法

 

 今晩(2014年6月13日)配信した「メルマガ金原No.1756」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
一日中、集団的自衛権のことを考えていた(付・和歌山弁護士会「会長声明」)
 
 今日(2014年6月13日)も、「安全保障法制の整備に関する与党協議会」の話題から入らざるを得ません。
 
毎日新聞 2014年06月13日 11時45分(最終更新 06月13日 13時37分)
集団的自衛権:武力行使に新3要件 与党協議
(抜粋引用開始)
 自民党高村正彦副総裁は13日午前の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、政府の「自衛権を発動する3要件」に集団的自衛権の行使を一部容認する文言を追し、閣議決定の柱とするよう提案した。他国への攻撃であっても1972年政府見解の示す「国民の権利が根底から覆される」おそれがある場合も行使を容認。公明党の一部容認論に沿ったもので、同党は検討する考えを示した。
 従来の3要件は、(1)我が国への急迫不正の侵害がある(2)これを排除するために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる―ことを満たした場合、武力を行使できる。政府の現在の憲法9条解釈は個別的自衛権のみの発動を認めており、3要件もそれに沿ったものだ。
(略)
 公明党は72年見解の「国民の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限り、集団的自衛権の行使を一部容認する方針。高村氏の提案はこれに近い表現で理解を得る狙いだ。ただ、自民党関係者は「おそれ」の表現で拡大解釈の余地が広がると示唆した。
(略)
 安倍晋三首相は協議後に高村氏、石破茂自民党幹事長と首相官邸で会談し、今国会中の閣議決定に全力を挙げるよう重ねて指示した。
(略)
(引用終わり)

時事ドットコム 2014年6月13日11時15分
高村氏の私案全文=集団的自衛権
(引用開始)
 自民党高村正彦副総裁が13日の安全保障法制整備に関する協議会で示した私案の全文は次の通り。
 憲法第9条の下において認められる「武力の行使」については、(1)わが国に対す
る武力攻撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること(2)これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと-という3要件に該当する場合に限られると解する。
(引用終わり)
 
朝日新聞デジタル 2014年6月13日03時05分
1972年の自衛権に関する政府見解の全文
(抜粋引用開始)
 憲法は、(略)わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。
 しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し国民のこれらの権利を守るための止(や)むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法許されないといわざるを得ない。
(引用終わり)
 
 「高村私案(新3要件)」なるものを議論している自民党の責任者・高村正彦(こうむら・まさひこ)副総裁、公明党の責任者・北側一彦(きたがわ・かずひこ)副代表のいずれも弁護士なのですが、彼らは本当に真顔で「新3要件」なるものを議論しているのですかね。彼らが一定レベル以上の能力を備えた弁護士であると仮定すれば、1972年政府見解の「いいとこ取り」(ですらない「剽窃」ですね)が、理屈にも何もならないことなど百も承知でしょうに。
 
 この週末の1日、こういう与党協議も気になりながら、午後1時から、和歌山弁護士会館において開かれた、本日発出の和歌山弁護士会集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明」についての記者発表に、同会憲法委員会委員長として出席し、会長とともに記者の皆さんからの質問に答えました。
 いつも思うことですが、集団的自衛権の本質を分かりやすく短いことばで説明するというのは難しいものですね。
 
 そして、その後の午後4時から憲法委員会の定例委員会があったのですが、現在の与党協議の緊迫度を踏まえ、仮に「閣議決定」がなされたなら、ただちに抗議の「会長声明」(第二弾)を発出しなければならないのではないかということを議論しなければなりせんでした。やれやれというところですね。
 なお、9月には、弁護士会が主催して、市民の皆さまに集団的自衛権の本質を分かりやすく説明してもらえるうってつけの講師を招いた企画がほぼ内定しました。正式に決まり次第お知らせします。
 
 さらに、夜には青年法律家協会和歌山支部の総会があり(私は5代前の支部長)、支部として「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する決議」を行うことが提案され、了承されました。ただし、文案についてはなお検討を加える必要があるということで今日は確定しませんでしたが、どんなに遅くとも週明け火曜日(17日)には発出することにしました。閣議決定されてしまったら、決議を一から書き直さねばなりませんからね。
 
 ということで、今日1日、集団的自衛権にどっぷり浸かっていたことになります。何も好きこのんでこんな1日を送りたいなどとは思っていませんが、状況万やむを得ずというところでしょうか。
 最後に、今日発出した和歌山弁護士会の会長声明をご紹介しておきます。
 

  
           集団的自衛権行使容認に反対する会長声明
 
政府は、従前より、集団的自衛権を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」とした上で、「我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」との憲法解釈を示し、国会答弁においても、その旨、繰り返し表明してきた。
上記の集団的自衛権の行使は憲法上容認されないとの政府解釈は、50年余の
長期にわたり維持され、規範として機能しており、自衛隊の組織・装備・活動等に制約を及ぼし、海外での武力行使を抑制する根拠となってきた。
このように政府の従来からの憲法解釈によっても、憲法第9条のもとでは、集団的自
衛権の行使は容認されない以上、もし、仮に、集団的自衛権の行使が必要であるというならば、集団的自衛権行使の容認の是非について、憲法改正手続により、正面から主権者たる国民の意思を問う必要がある。
ところが、平成26年5月15日、安倍晋三首相の私的諮問機関である「安全保障
の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)は、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を可能とする報告書を首相に提出し、これを受け、首相は「与党で憲法解釈の変更が必要と判断されれば、改正すべき法制の基本的方向を閣議決定する」と表明した。
これは、正面から憲法改正手続をとることなく、閣議決定をもとに政府の憲法解釈を
変更し、我が国の憲法の基本原理である恒久平和主義を実質的に変容させることとなる集団的自衛権の行使への道を拓こうとするものである。
しかし、憲法前文及び憲法第9条に規定されている恒久平和主義は、憲法の根幹
をなす基本原理であり、時々の政府や政権与党の判断・政府解釈の変更により、これを変容することは、国務大臣国会議員憲法尊重擁護義務(憲法第99条)、法の最高法規性(憲法第98条)に反し、厳格な改正要件を定めた憲法第96条脱するものであり、立憲主義の観点から、決して許されるものではない。
以上の次第であるから、当会は、政府解釈の変更により集団的自衛権の行使を容
認しようとする政府の行為に強く反対するものである。

 平成26年6月13日
                            和歌山弁護士会
                              会長 小野原 聡史