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「自衛隊を活かす会」呼びかけ人から学ぶ(2)続-柳澤協二さんの最新講演(6/13神戸市)

 

 今晩(2014年6月16日)配信した「メルマガ金原No.1759」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
自衛隊を活かす会」呼びかけ人から学ぶ(2)続-柳澤協二さんの最新講演(6/13神戸市)
 
 今日は、昨日(6月15日)お送りした「『自衛隊を活かす会』呼びかけ人から学ぶ(2)柳澤協二さんが語る『日本の安全保障』」の続編というか補遺です。
 
 昨日は、5月25日に行われたマガ9学校での講演を文字化した講演録でした。
 今日ご紹介するのは、6月13日に神戸市で開催された学習会での講演映像(IWJ兵庫
が中継)の録画です。
 学習会の概要は以下のとおりです。
 
集団的自衛権行使問題 緊急学習講演会
「日本は戦争する国にはなりなせん」ってホント」?
集団的自衛権行使と憲法解釈の変更~
講師 柳澤協二氏
日時 2014年6月13日(金)18時30分~
会場 あすてっぷKOBE セミナー室1
主催 自由法曹団兵庫県支部、青年法律家協会兵庫県支部、兵庫県弁護士9条の会
 
IWJ 2014/06/13 【兵庫】集団的自衛行使問題 緊急学習講演会「日本は戦争する国にはなりません」ってホント? ―講師 柳澤協二氏(動画)
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/146338
 
 「5.15事件」以降に行われた講演ですから、基本的な講演内容の構成は、5月25日も6月13日も当然ながら同じです。
 ただし、「安全保障法制の整備に関する与党協議会」における情勢の急展開を受けて、
にこの講演が行われた6月13日の午前中には、自民党高村正彦副総裁から「武力行使の新3要件」が提示されており、この事態を柳澤さんがどうとらえているのかということが私の心事でした。
 
参考 高村氏の私案全文=集団的自衛権
憲法第9条の下において認められる「武力の行使」については、(1)わが国に対する武力撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅され、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること(2)れを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと(3)必要最小限度の実行使にとどまるべきこと-という3要件に該当する場合に限られると解する」
 
 講演映像の27分~の部分で、柳澤さんが上記「新要件」についてコメントしておられましたので、その部分を文字起こししました(一部文脈上不要と思われる箇所はカットしています)。
 
「幸福追求権との関係で言えば、『自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおれがある』というけども、日本が攻撃されていないのに、集団的自衛権を使って他国との戦争に手助けに行って、日本自身が戦争当事国になるということはね、相手からすりゃ「日本は敵だ」ということ。だから相手は、当然日本にミサイル撃ってきますよね。そうすると、国民の命が失われる。これって、幸福追求権の究極の否定じゃないですかということなんですよね。しかも、憲法前文には何と書いてあるかというと、政府の行為によって再び戦争の惨禍に見舞われないようにするということが書いてある訳ですよね。これってもう、政府の行為によって再び戦争の惨禍を招きかねない、そういう話をしていることなんだと思います」
 
参考 日本国憲法前文第1パラグラフから
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子
孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」
 
 実は、上記の柳澤さんの発言は、安倍首相の2004年に出版した対談本『この国を守る決意』での発言(「軍事同盟というのは血の同盟であって、日本人も血を流さなければアメリカと対等な関係にはなれない」という主張)を引用した上で、以下のように述べた直後の部分なのです。「血の同盟」という言葉に酔いしれる首相には、自衛隊員の命も国民の命も二の次であることを喝破した発言だと思います。
 トップクラスの元防衛官僚であった柳澤さんを現在の行動に駆り立てているものは(少なくとも原動力の1つは)、自衛隊員や国民の命よりも勝手な自分の思い(妄想と言ってもよい)を優先する首相に対する怒りではないのか、というのが私の推測です。
 
「この間も、海江田さんとの党首討論で言ってましたね。オバマが来て尖閣日米安保5条の適用範囲だと。「つまり、アメリカの青年が血を流すということなんです」と。流さないよ、そんなもの(会場笑)。尖閣なんか、アメリカは絶対海兵隊なんか送り込みません。これはこの前沖縄で言ってきた話なんですけど。要は、これが好きなんですね。こういう言葉に酔ってんですね。「血の同盟」って気楽に仰ってるけど、「誰の血なの?」っていうと、自衛隊員の血ですよね」
 
 なお、IWJのアーカイブ映像は基本的には「期間限定」でいずれ会員専用になるのが原則ですが、過去の例から言うと、IWJ兵庫などの地方で撮影されたものは「日持ちが良い」ことが多いようです。
 
 ところで、余談ながら、冒頭の主催者挨拶で兵庫県弁護士9条の会の羽柴修弁護士のお姿を久しぶりで拝見し、「あいかわらず頑張っておられるな」と感心しました。
 それにしても、自由法曹団青年法律家協会と弁護士9条の会の共催とは、兵庫らしいなあ。和歌山でこんなこと出来るかな。一度提案してみようか(これは個人的なつぶやきです)。