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今日という日を忘れないために 7.1クーデターの記録を共有しよう

 

 今晩(2014年7月1日)配信した「メルマガ金原No.1774」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
今日という日を忘れないために 7.1クーデターの記録を共有しよう
 
 今年還暦を迎える私にとって、「歴史上の節目の日」に当事者意識をもって立ち会ったのは、もしかすると生まれて初めてのことだったかもしれません。
 もちろん、「3.11」の衝撃は大きなものでしたが、自分が「当事者」であるという認識に達す
るまでには、しばらくの思考の揺れ動きがありました。
 しかし、7月1日という今日この日は、何が起こっているのか、そのことが何を意味しているの
か、このまま事態が推移すると日本人の身の上にどのような災厄がもたらされるのかについて、自分なりの認識をいだきながら、それを阻止できないもどかしさと怒りを、多くの心ある人々と共有しながら迎えた1日だったと言わねばなりません。
 
 とりあえず、今日、何が起こったのかを決して忘れないようにするために、事実の経過を記録しておきましょう。
 
NHKニュース 2014年7月1日8時16分
集団的自衛権 自公が閣議決定案で合意
(引用開始)
 集団的自衛権などを巡る11回目の与党協議は、1日午前7時半から国会内で開かれ
ました。協議の冒頭、座長を務める自民党の高村副総裁は「議論も熟してきており、自民・公明両党内の議論も踏まえ、合意に至る議論をしたい」と述べました。また、座長代理の公明党の北側副代表は「精力的にしっかり協議し、結論を得られるようにしたい」と述べました。協議では政府側が「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、必要最小限度の実力を行使するのは自衛の措置として憲法上許容されると判断するに至った」などとする閣議決定の最終案を示しました。これについて、両党からは特に異論は出ず、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定案で合意しました。協議のあと、自民党の高村氏は「きょうの与党協議で、閣議決定案について与党の了解が得られた」と
述べました。自民・公明両党は、直ちにそれぞれの党内の了承手続きに入ります。
(引用終わり)
 
公明党 第87回中央幹事会 山口那津男代表 冒頭挨拶
 
時事ドットコム 2014年7月1日13時29分
村上元行革相が「反対」表明=自民
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014070100510&g=pol
(引用開始)
 集団的自衛権の行使を認める閣議決定案を了承した1日の自民党総務会で、村上
誠一郎元行政改革担当相が「反対」を表明した。ただ、野田聖子総務会長は、賛否を問うた際には意思表明がなかったとして「全会一致」とみなした。
 総務会後、村上氏は記者団に「憲法改正が筋で解釈変更は認められないと発言した。
最後まで反対と言ったが、総務会長一任と押し切られた」と語った。
(引用終わり)
 
平成26年7月1日 国家安全保障会議決定 閣議決定
国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について
 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf
※6月27日に公表されたいわゆる閣議決定最終案から一部修正された箇所もあるようですが、ほとんど修文の範囲内のようです。
 
2014年7月1日現在の閣僚名簿
 http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/meibo/index.html
(引用開始)
内閣総理大臣 安倍 晋三(あべ しんぞう)衆
内閣法第九条の第一順位指定大臣(副総理)、財務大臣内閣府特命担当大臣
(金融)、デフレ脱却・円高対策担当 麻生太郎(あそう たろう)衆
総務大臣内閣府特命担当大臣(国家戦略特別区地方分権改革)、地域活性
化担当、道州制担当 新藤 義孝(しんどう よしたか)衆
法務大臣 谷垣 禎一(たにがき さだかず)衆
外務大臣 岸田 文雄(きしだ ふみお)衆
文部科学大臣教育再生担当、東京オリンピックパラリンピック担当 下村 博文(し
もむら はくぶん)衆
厚生労働大臣 田村 憲久(たむら のりひさ)衆
農林水産大臣 林 芳正(はやし よしまさ)参
経済産業大臣内閣府特命担当大臣原子力損害賠償支援機構)、原子力経済
被害担当、産業競争力担当 茂木 敏充(もてぎ としみつ)衆
国土交通大臣、水循環政策担当 太田 昭宏(おおた あきひろ)衆
環境大臣内閣府特命担当大臣原子力防災) 石原 伸晃(いしはら のぶてる)衆
防衛大臣 小野寺 五典(おのでら いつのり)衆
内閣官房長官、国家安全保障強化担当 菅 義偉(すが よしひで)衆
興大臣、福島原発事故再生総括担当 根本 匠(ねもと たくみ)衆
国家公安委員会委員長拉致問題担当、国土強靭化担当、内閣府特命担当大
(防災) 古屋 圭司(ふるや けいじ)衆
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 科学技術政策 宇宙政策)、情報通信
技術(IT)政策担当、海洋政策・領土問題担当 山本 一太(やまもと いちた)参
女性活力・子育て支援担当、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全少子化
策 男女共同参画) 森 まさこ(もり まさこ)参
経済再生担当、社会保障・税一体改革担当、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
 甘利 明(あまり あきら)衆
行政改革担当、国家公務員制度担当、クールジャパン戦略担当、再チャレンジ担当、内
閣府特命担当大臣(規制改革) 稲田 朋美(いなだ ともみ)衆
 
内閣官房副長官 加藤 勝信(かとう かつのぶ)衆
内閣官房副長官 世耕 弘成(せこう ひろしげ)参
内閣官房副長官 杉田 和博(すぎた かずひろ)
内閣法制局長官 横畠 裕介(よこばたけ ゆうすけ)
(引用終わり)
 
安倍晋三内閣総理大臣 記者会見 (2014年7月1日)
 
山口那津男公明党代表 記者会見 (2014年7月1日)
 
 以上に登場した人々(村上誠一郎氏を除く)が日本の針路をねじ曲げた「戦犯」であることを決して忘れないようにしましょう。
 
 ところで、午後6時から始まった安倍首相記者会見の模様を、私は自分の事務所で、新聞記者の取材を受けながら、NHKラジオ第一のインターネット放送による生中継をパソコンで聞いたのですが、冒頭で、「5.15クーデター宣言」記者会見の時と全く同じ、日本人のお母さんと小さな子どもが米艦で避難中に自衛艦が防護できるかという「あり得ない事例」を再び取り上げて、とくとくと閣議決定の正当性を主張するのにはあきれ果てました。音声だけの中継であったものの、どうやら振り返っているらしい、音声がややオフ気味になるところあがあり、「例のパネル」をまた持ち出したのだな、と推測がつきました。
 実際、首相官邸ホームページにも掲載されていました。
 6月30日に開催された「戦争をさせない和歌山委員会」設立総会での私の短いスピーチで指摘した「恥知らず」の「強み」を今日も存分に発揮しているというのが、首相記者会見を(当初は)聴いた上での私の率直な感想でした。
 自衛隊が日本人を救出する作戦に従事するのがなぜ集団的自衛権なのか?警察権
もしくは個別的自衛権の問題でしょう、という根本的な疑問を専門家から指摘されながら、
よく恥ずかしくもなく繰り返せるものだと驚かれたでしょうか?
 もしかすると、安倍首相の側近は、柳澤恭二さんらによる批判が首相の耳に届かない
よう、無知の上にもさらぬ無知な状態に意図的に置こうとしているという可能性もない訳ではありませんが、この人物は、どんなに自分にとって都合の悪いことが耳に入ったとしても、そんなことを全く考慮しなくても、精神の平衡を保つのに何の問題も生じないという、非常に特異な能力の持ち主なのではないかと最近は思うようになりました。
 
 記者会見を聴き終わった後、取材に訪れていた記者に対し、安倍首相の「抑止力論」がいかに論理的に破綻しているかを強調して感想を述べたのですが(この点についてはいずれ書きたいと思います)、しかし、この内閣に対していくら論理的な批判を繰り返しても、それだけでは、おそらくほとんどダメージを与えられないということも、いままでの経験で痛感してきたことです(これも、6月30日のスピーチで語りました)。
 とはいえ、私たちに理論武装が不要となる訳では決してありません。学習の重要性が低
下するのでもありません。ただ、有効な反撃のための手段が今までいかにも貧弱であり、そのことが、今日の事態を阻止できなかった重要な一因であるとの分析は必須であると思い
ます。
 今まで、保守層への働きかけの重要性を「かけ声」としては誰もが唱えながら、実績がほ
とんどあがらなかったのは、そのために本当に必要な「ことば」を私たちが持ち得ていなかった
からだろうと思います。
 これから私が書くメルマガ(ブログ)は、以上の問題意識を常に忘れずに書かねばならない
と思っています。
 
 ということで、安倍首相記者会見の中身に対する具体的な批判は(今晩のところは時間もないし)、これ以上書かないつもりだったのですが、さすがに「これはひどい」という1点だけ引用しておきます。
 
(首相記者会見文字起こしから抜粋引用開始)
 集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的、観念的な議論ではありません。現実に起こり得る事態において国民の命と平和な暮らしを守るため、現行憲法の下で何をなすべきかという議論であります。
(引用終わり)
 
 「集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的、観念的な議論ではありません」ですよ。今まで数十年、内閣法制局が何のために存在してきたのかということを一瞬でも考えたことのある首相であれば、絶対に言えないことばです。
 もういっそ、あってもなくてもどうでも良い組織になり下がった内閣法制局など、安倍政権の責任でいったん解散させてもらった方が良いと、冗談ではなく思いますね。
 
 最後に、安倍首相記者会見と山口代表記者会見を是非皆さんにも見比べて欲しいと思います。
 どちらも、最後まで視聴し続けるのはさぞ苦痛だと思いますが、その「苦痛」の意味は相
当に違います。安倍首相については、これまで散々書いてきましたので、今日は、公明党山口那津男
表の記者会見の模様を視聴した上での感想を書いてみます。
 東京大学法学部出身の弁護士である山口代表の知的水準が、安倍首相をはるかに
凌駕することなど誰にでも分かることです。この人は、自分が何をやっているのかが分かっています。本当はこんな役回りなどしたくはなかったと内心思っていることも分かります。しかし、そうであればこそ、この人の「知的退廃の罪」は誰よりも深く大きい。それが私の感想の全てです。皆さんはどう思われるでしょうか?
 

(付録)
『世界』 作詞作曲:ヒポポ田 演奏:ヒポポフォークゲリラ