読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

提案します 閣議決定「一問一答」を活用しましょう

 

 今晩(2014年7月16日)配信した「メルマガ金原No.1788」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
提案します 閣議決定「一問一答」を活用しましょう

 どんな「クーデター」にも一応の理屈はあるもので、「現政権の腐敗を一掃して国民の窮乏を救う」とか、「収拾不能に陥った社会的混乱を立て直して国民生活の安定を図る」とか、何かしらの声明は発するもののようです。まさか、自分たちの私利私欲のために決起したと称するものがいるはずはなく、必ず「国民のため」という「おためごかし」を名目にします。
 例えば、「政府として、以下の基本方針に従って、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な国内法制を速やかに整備することとする」(2014年7月1日閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」前文より)とか。
 
 そして、そのようなプロパガンダのために、クーデター部隊が真っ先に占拠するのが放送局(とりわけ国営・公共放送局)であることは、世界共通に観察される現象です。
 その国で最大の規模を誇る公共放送の経営委員の任命権を有する首相が、自分の「お友達」や「元家庭教師」を一度に3人も任命するような国が、先進民主主義国の中に存在するとは信じられませんよね。実際そういうことがあったのだから、日本は先進国でもなければ民主主義国でもないに違いありません。 
 
 私が「7.1クーデター」という用語を執拗に使い続けるのは、実態を正しく反映した言葉を使用すべきだと信じるからに他なりません。
 もしも、7月1日になされた「閣議決定」が、憲法上「あり得ない」ことであるならば、それは、軍事力が動いていないというだけで、政治学上の概念としては、「クーデター」と評する以外にないはずです。概念は正確に使わねば。
 
 さて、その「7.1クーデター」プロパガンダの基本文書は閣議決定そのものです。
 
2014年7月1日 国家安全保障会議決定 閣議決定
国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について
 
 ついで、同日行われた安倍首相記者会見も押さえておきましょう。 
 
2014年7月1日 安倍晋三首相記者会見(映像と文字起こし)
 
 さらに、一昨日(7月14日)は衆議院予算委員会で、昨日(7月15日)は参議院予算委員会で、閉会中審議が行われました。今のところはインターネット審議中継が見られるだけですが、いずれ会議録も公開されるでしょう。
 
衆議院インターネット審議中継
  ↓
カレンダーから「7月14日」を選択してクリック
  ↓
予算委員会」をクリック
 
参議院インターネット審議中継
  ↓
カレンダーから「7月15日」を選択してクリック
  ↓
予算委員会」をクリック
 
 さて、これらが現在提示されている「政府見解」なるものですが、その正体を暴き、集団的自衛権行使反対の世論を盛り上げていくため、もっと分かりやすい「素材」はないものかと思っていたところ、恰好の材料がありました。それも、7月5日以来、内閣官房のホームページに掲載されていたのですね。
 それはこういうものです。

「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答
 
 このうちの徴兵制にかかわる一問一答などは、Facebook などでもよく揶揄の対象になっていましたが、うかつにも全文は今日(7月16日)初めて通して読みました。
 ちなみに、徴兵制についてのQ&Aは以下のようなものです。
 
【問12】 徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?
【答】 全くの誤解です。例えば、憲法第18条で「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定められているなど、徴兵制憲法上認められません。
 
 「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」(9条2項)という規定がありながら、自国が攻撃を受けていないにもかかわらず海外で武力行使ができるという解釈が認められるというのであれば、仮に明文の規定で「徴兵制はこれを認めない」と定められていたとしても、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険が」あり、かつ、徴兵制を採用するのでなければ、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段が」ない場合には、「必要最小限度」の範囲で徴兵制を実施することも認められる、というのが論理的帰結というものでしょう。ましてや憲法18条は、単に「その意に反する苦役に服させられない」と規定するのみで、徴兵制とも何とも書いていないのですから、何とでも解釈できるでしょう。
 
 ・・・という具合に、この「一問一答」は突っ込みどころ満載なのです。
 
 実は、私がこの「一問一答」の全文を読んでみる気になったのは、広島弁護士会の井上正信弁護士が、NPJ(News for the People in Japan)に連載中の「憲法9条と日本の安全を考える」に、以下の論考を発表されたのが目にとまったからです。
 
【NPJ通信・憲法9条と日本の安全を考える】 井上正信 2014年7月15日
批判バージョン 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制
の整備について」の一問一答
 
 なお、井上さんの「批判バージョン」は【問22】までですが、現在、内閣官房サイトに掲載されている「一問一答」は【問24】まであります。
 どうやら、
【問1】 集団的自衛権とは何か?
【問8】 今回の閣議決定で議論は終わりなのか?
の2つは、あとで補充されたのかもしれません。
 
 私は、井上弁護士の「批判バージョン」を読んでから、さかのぼって内閣官房の「一問一答」を読んだのですが、その上での感想は、「この一問一答は使える。特に【問】が」というものでした。
 試みに、「一問一答」の【問】だけを抜き書きすると以下のようになります。
 
【問1】 集団的自衛権とは何か?
【問2】 なぜ、今、集団的自衛権を容認しなければならないのか?
【問3】 解釈改憲立憲主義の否定ではないのか?
【問4】 なぜ憲法改正しないのか?
【問5】 国会での議論を経ずに憲法解釈を変えるのは、国民の代表を無視するものではない
か?
【問6】 議論が尽くされておらず、国民の理解が得られないのではないか?
【問7】 今回の閣議決定は密室で議論されたのではないか?
【問8】 今回の閣議決定で議論は終わりなのか?
【問9】 憲法解釈を変え、平和主義を放棄するのか?
【問10】 憲法解釈を変え、専守防衛を放棄するのか?
【問11】 戦後日本社会の大前提である平和憲法が根底から破壊されるのではないか?
【問12】 徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?
【問13】 日本が戦争をする国になり、将来、自分達の子供や若者が戦場に行かされるよ
うになるのではないか?
【問14】 自衛隊員が、海外で人を殺し、殺されることになるのではないか?
【問15】 歯止めがあいまいで、政府の判断次第で武力の行使が無制約に行われるので
はないか?
【問16】 自衛隊は世界中のどこにでも行って戦うようになるのではないか?
【問17】 国民生活上、石油の供給は必要不可欠ではないか?
【問18】 日本は石油のために戦争するようになるのではないか?
【問19】 従来の政府見解を論拠に逆の結論を導き出すのは矛盾ではないか?
【問20】 今回の閣議決定により、米国の戦争に巻き込まれるようになるのではないか?
【問21】 今回の閣議決定により、必要ない軋轢を生み、戦争になるのではないか?
【問22】 今回の閣議決定によっても、結局戦争を起こそうとする国を止められないのでは
ないか?
【問23】 武器輸出の緩和に続いて今回の閣議決定を行い、軍国主義へ突き進んでい
るのではないか?
【問24】 安倍総理はなぜこれほどまでに安全保障政策が好きなのか?

 
 「一問一答」で想定した【問】は、「ここを突っ込まれたら困るけれど、答えを用意しない訳にはいかない」と官僚が智恵を絞って並べたものでしょう。
 【問】についてはよく考えていますが(最後の「安倍総理はなぜこれほどまでに安全保障政策が好きなのか?」には笑ってしまします)、【答】については、井上正信弁護士も指摘しているとおり、ほとんど「答え」になっていません。
 ということは、私たちは、この「一問一答」を、集団的自衛権行使を容認した「閣議決定」についての、誰にでも分かるおかしなところを列挙したカタログとして「活用」できるのではないでしょうか。
 
 まずは、以上の【問】に対し、自分なりの【答】を考えてみることをお勧めします。
 次は、政府の「一問一答」の【答】を読んだ上で、それに対する再反論を考えてみましょう。その際には、井上弁護士の「批判バージョン」も大いに参考にしてください。
 こういう作業は、1人でやっていてもなかなか進むものではありません。数人の仲間が集まって、「集団的自衛権ワークショップ」をやるというのはどうですか?政府の「一問一答」はうってつけの題材になるでしょう。その際、「無料でチューターをやってもいい」という弁護士が身近にいれば、是非依頼してみてください。
  

(付録)
『腰まで泥まみれ』 作詞作曲ピート・シーガー 日本語詞:中川五郎 演奏:中川五郎