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猿田佐世ND(新外交イニシアティブ)事務局長から学ぶ米国でのロビー活動

 今晩(2014年8月1日)配信した「メルマガ金原No.1804」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
猿田佐世ND(新外交イニシアティブ)事務局長から学ぶ米国でのロビー活動
 
 いささか旧聞に属することですが・・・。
 去る5月15日から23日の日程で、沖縄県名護市稲嶺進市長が訪米されましたが、稲嶺市長訪米に際しての、現地での面談、会合、ワークショップ、取材等のコーディネイトを一手に引き受けたのが、シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」でした。ちなみに、名護市は新外交イニシアティブの「団体会員」だそうです。
 稲嶺市長の米国滞在中の行事の多くは、新外交イニシアティブの公式Facebookページで順次紹介されていました。
 
 そして、稲嶺市長が米国から帰国された後、新外交イニシアティブ事務局長の猿田佐世弁護士が、沖縄タイムスに寄稿した「名護市長訪米行動を振り返る」が、NPJ通信に3回にわたって転載されていました。
 
 
 また、6月18日には、衆議院議員会館国際会議室で、猿田事務局長による訪米報告会が開催され、その映像を視聴することができます。
 
'14 6/18, 事務局長猿田佐世訪米報告会「米国に声を伝える-名護市長訪米活動のコーディネート経験を踏まえて-」
 

 米国でのロビイングなどと聞くと、始めから「自分たちには手が出ない」世界のことと思い込み、はては「自分たちには関係がない」として、関心すら寄せないということはないでしょうか?正直言って、私自身がそうでした。
 「日本政府の対米従属は許せない」と言い募ったところで、それで「対米外交」が不要になるはずはないのですから、「それではどうするのか?」ということについて、最低限の基本的な認識は持っていたいものです。
 その意味からも、昨年設立された新外交イニシアティブの目覚ましい活動には瞠目の連続です。
 上記映像の猿田事務局長の報告に是非耳を傾けていただきたいと思います。得ることがたくさんあるはずです。
 以下には、NPJ通信に転載された猿田さんの文章から、特に印象深かった部分を引用してご紹介します。
 ところで、1月10日に名護市で緊急開催されたシンポジウム「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」以降、「怒濤の」という表現がふさわしい矢継ぎ早の、とりわけ沖縄問題に関連した新外交イニシアティブの活動には、驚嘆しきりですが、猿田さんの文章の中に、「(ワシントンに住んでいた当時)沖縄の知人から『なぜ沖縄の声は米国に届かないのか、何か動いてくれないか』と声がかかり、ウチナー3世の夫に背中を押され、ワシントンでの活動を始めた」という箇所を見つけ、思わずうなずいたものでした。
 
名護市長訪米行動を振り返る 寄稿:猿田佐世
(抜粋引用開始)
 今回の訪米行動に向けては、4カ月近い準備をしてきた。多くの方の協力を得て、米政府、連邦議会シンクタンク関係者との面談、また、議会調査局やブルッキングス研究所におけるグループ討論など、計48件の行程を設定。特に今回は「一般市民へ思いを伝えたい」との市
長の希望を受け、13件のメディア個別取材および4件の一般公開の講演の機会を設定した。
 国務省国防総省のカウンターパートがワシントン不在だったために政府面談が国務省日本
副部長に限られてしまったが、250人以上と直接意見交換する機会を持ち、また、ニューヨーク・
タイムズ、ブルームバーグなど多くのメディアが詳細な記事を掲載したことは大きな成果であった。
 多くの米国の人々は、沖縄の基地問題に関心がない。政策決定権者の集まるワシントンに
も沖縄の声が届くことは少なく、今回のような訪問は「こういう声が存在することを私たちに思い出させる」(リチャード・ブッシュ・ブルッキングス研究所東アジア政策研究センターディレクター)機
会として大変重要である。
(略)
 ワシントンで日米関係に影響力を与えうる人々は、大きく分けて三層ある。国務省を代表と
する米政府、シンクタンク等の研究員、連邦議会関係者である。
 シンクタンクは元政府関係者や日本専門家からなり、報告書の発表や政権担当者との人
間関係、自らの政権入りなどを通じて米政府の政策に直接・間接の影響を及ぼす。議会関係者の多くは日本の問題にほとんど関心がないが、場合によって予算などを通じて強い影響
力を持つ。
(略)
 さらに今回は、2年前の前回の市長訪米とは異なる事情もあった(前回も当方でコーディネ
ートを担当)。現在、米関係者の間では安倍政権ナショナリスト外交政策尖閣・歴史問題、そして直近では集団的自衛権の行使の問題に関心が集まり「沖縄の基地問題に触れようとする人はほとんどいない」との発言すら耳にする状況であった。何ら事態は解決していないにもかかわらず、関心が薄れている状況に憤りを覚えるが、合わせて継続的な働きかけの
重要性を痛感する。
(略)
 ワシントンへの訴えは継続的に行う必要がある。議員は入れ替わり、もともと関心がない人
々も少なくないため、すぐ忘れられてしまう。沖縄の国会議員や首長の訪米は、象徴として大きな意味を持つが、1度の訪米では面談数にも議論の深まりにも限界があるため、ワシントンに根差した継続的働き掛けが必要である。議会の動向や米国の政策の変化について関連事項をあぶりだしながら、その時々に働きかけ方を判断する必要がある。法案や予算の詳細
な検討も必要であろう。
(略)
 また、相手と同じ「言語」で話す必要がある。ワシントンでは軍事戦略的視点で議論が展
開し、ヒューマンストーリーや具体的戦略を伴わない平和指向は軽視される傾向にある。海
兵隊の沖縄駐留が抑止力維持の観点から必要かという議論は避けて通れない。
 他方、米国の歴史が人々の喜びや悲しみで動いてきたことも忘れてはならない。思いに共
感した一般の人々が協力してくれることも多い。場を見定め、言葉を選ばねばならない。
 そして、何よりも、沖縄の声を真に代弁する人がワシントンに常駐し、人間関係をつくりなが
ら適切な働き掛けを継続的に行う必要がある。
 なお、多くの米国人が、日本政府さえ「辺野古案は駄目だ。」と主張すれば米国は受け入
れる、と話す。ジョーンズ元大佐が「日本政府が変わらねばならない」と言ったように、日本国
内の対策は当然ながらより重要である。
 しかし、それを前提にしながらも、ワシントンからの影響力を得ながら日本政府の政策に変
化を与えることは有用だろう。集団的自衛権行使の問題でも、多くの政治家がワシントンに渡り、米「知日派」からお墨付きを得ようと躍起になっている。それは日本で大きく報道され日本政府の政策に影響を与える。彼らばかりにワシントンの「拡声器効果」を利用させては
ならない。
(引用終わり)
 
■開催日時 2014/08/25 Mon. 18:00開場 19:00~21:00
■会場:
沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ 6階 ニライカナイ
住所:沖縄県那覇市前島3ー25ー1
TEL:098-860-2111
地図:
■最寄り駅:
〈モノレールでお越しの場合〉美栄橋駅下車 徒歩約10分
〈バスでお越しの場合〉泊高橋停留所 徒歩約1分
〈お車でお越しの場合〉隣接の「とまりんパーキング」あり
約600台駐車可(有料・駐車場チケットをホテル「かりゆしアーバンリゾート・ナハ」の受付にご提示ください)
チラシはPDFを閲覧・ダウンロードできます。
仲井真弘多沖縄県知事による埋立承認を機に、米普天間飛行場辺野古移設が本格的に動き出しています。他方、移設反対を掲げた稲嶺進名護市長が再選し、県内世論調査でも74%が「県内移設反対」を表明するなど、依然として沖縄県民は辺野古移設に反対しています。日本政府は「在沖海兵隊は抑止力」といいますが、本当に「抑止力」となるのでしょうか。
安倍政権はこの7月、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしました。「抑止力」のためと安倍首相は強調しますが、沖縄を取り巻く安全保障環境はこれによりどう変わるのでしょうか。
本シンポジウムでは、防衛・安全保障の専門家が米軍基地と集団的自衛権の問題の本質に切り込みます。日本の安全保障の名のもとで過重な基地負担が続いてきた沖縄で、市民ひとりひとりの選択が、今、大きく問われています。
協賛:(株)かりゆし
後援:(株)旬報社
■登壇者:
●パネルディスカッション登壇者:
柳澤 協二(ND理事/元内閣官房副長官補)
半田 滋氏(東京新聞論説兼編集委員)
屋良 朝博氏(元沖縄タイムス論説委員/フリージャーナリスト)
●全体司会
草柳 悟堂氏(琉球朝日放送記者)
●コーディネーター
猿田 佐世(ND事務局長/弁護士)
■参加費:
前売り券500円、当日券700円(ND会員・学生は無料、当日入会可)  前売り券をご希望の方はメールにて、氏名、所属、住所、電話番号、E-mailを  
info@nd-initiative.org までご連絡ください。当日500円にてご入場いただけます。  
※ND会員の方は、受付でその旨お伝えください。
定員:1000名
 

(付録)
『日照り 가뭄(カムム)』 趙博(パギやん)&はちようび