読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

立憲フォーラム「平和創造基本法案(骨子)」について

憲法 政治

 

 今晩(2014年8月17日)配信した「メルマガ金原No.1820」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
立憲フォーラム「平和創造基本法案(骨子)」について
 
 一昨日(8月15日)、超党派の野党議員による議員連盟・立憲フォーラムが、「平和創造基本法案(骨子)」を発表しました。
 
日本経済新聞WEB版 2014年8月15日19時52分
野党リベラル系が「平和創造基本法」案 国会提出めざす
(引用開始)
 民主、社民など野党のリベラル系議員でつくる超党派議員連盟「立憲フォーラム」は15日、自衛隊の活動範囲や理念などを定めた「平和創造基本法」の素案を発表した。集団的自衛権の不行使を明記し、安全保障の基本方針として専守防衛や外交努力による紛争解決などを掲げる。来年の通常国会の提出を目指して各党内で調整を進める。
 同フォーラムの近藤昭一代表(民主)は法案提出の意義について「行使容認がおかしいとい
う声を受け止めなければならない」と語った。野党内では次世代やみんなに加え、民主党の一保守系議員などが行使容認を規定した国家安全保障基本法案の提出をめざす動きがあり、こうした勢力に対抗する狙いもある。
(引用終わり)
 
 記者会見の模様はIWJによって中継されています。
 
2014/08/15 市民パブコメを実施 「積極的平和主義」に対抗、立憲フォーラムが9条の精神で「平和創造基本法」を突きつける(IWJ会員登録必要→ http://iwj.co.jp/join/ )。
 
サンプル映像(5分43秒)
 記者会見に出席した立憲フォーラムの役員は以下の4名の方々でした。
 
近藤昭一氏(立憲フォーラム代表、衆議院議員民主党
阿部知子氏(副代表、衆議院議員日本未来の党
辻元清美氏(幹事長、衆議院議員民主党
江崎孝氏(事務局長、参議院議員民主党
 
 約35分にわたって行われた記者会見の模様を伝えたIWJのレポートが、非常に要領良くまとまっています。
 
(引用開始)
「『安倍政権はけしからん』『集団的自衛権に反対』と言っているだけではだめなんです。タ
カ派による安全保障基本法が提示されているなか、リベラル側の安全保障はどうあるべきか、それをぶつけて議論していかなくては」
 敗戦から69年を迎える8月15日という節目に、超党派の議員からなる「立憲フォーラム」が
衆議院議員会館で記者会見を開き、次期通常国会で「平和創造基本法案」を提出する考えを示した。同フォーラムの幹事長を務める辻元清美議員は会見の中で、法案提出にかける想いを語った。
 「徴兵制はまさかね、海外には行かないよねという、これまでコンセンサスとしてきたことが、
安倍政権によって見事に破られた。憲法9条を持っている意味を、具現化していくのがこの法案です」
 会見で示された骨子案の中には、特定秘密保護法の見直しや、集団的自衛権の不行
使、専守防衛の範囲での自衛隊の活動範囲について盛り込まれているほか、徴兵制の禁止や北東アジア地域における軍事的衝突回避のための体制の構築などが謳われている。安倍政権の「積極的平和主義」に対抗し、憲法9条の精神を引き継いだ「創造的平和主義」を突きつける。
 あくまでも骨子案だと話すが、中には、自治体における米軍基地の負担軽減や日米地位
協定の見直しなどが盛り込まれている。とりわけ、尖閣諸島をめぐる隣国との衝突については、緊急に解決すべき課題として挙げられ、「沖縄を強く意識した法案だ」と阿部知子議員は語った。
 立憲フォーラムは今後、法案の中身をブラッシュアップしていく過程で、市民パブコメを実施
する予定だという。そこには、国民的議論を巻き起こす狙いがあると同時に、「国民の間に広がるモヤモヤとした不安感」の受け皿になりたいという、法案の原点がある。
 記者から、法案の実現化について問われると、辻本議員は、「『実現なんてできない』とは
思っていない。そう思ってしまったら立法府は死んでしまう。しっかりと多数を取りたいが、国民世論の後押しがどれだけあるかにかかっている」と語気を強め、立法に向けて意気込みを見せた。(IWJ・ぎぎまき)
(引用終わり)
 
 正式には、【国際的な協調と共存を図るための平和創造基本法】(仮称)(要綱骨子素
案)というようですが、「平和創造基本法案(骨子)」は、以下のサイトで全文を読むことができます。
 
立憲フォーラム公式サイト(PDFファイル)
 
近藤昭一氏(立憲フォーラム代表)の「つれづれ日記」
 
上記ブログのBLOGOSへの転載
 
 法案(骨子)自体については、それほど長いものではありませんから、是非全文をお読みいただければと思います。
 以下には、「法律案の趣旨」と「第三 自衛権及び自衛隊」を引用します。
 
(引用開始)
法律案の趣旨
 以上の考え方に立って、本法律案では、憲法の平和主義及び国際協調主義の理念を
踏まえ、特に憲法第 9 条に関し「他国間の武力紛争への軍事的不介入」を前提としてその解釈を確定させるとともに、必要最小限の自衛力の保持と自衛権行使の限界、国連中心とした国際社会の諸努力への参加の原則、北東アジアの地域安全保障体制の構築推進等を明らかにすることにより、平和主義と国際協調主義に立脚し、国際的な共存を目指す我が国の安全保障への取組を規定する。
 
第三 自衛権及び自衛隊
1.自衛権
(1)自衛権の発動の要件
 我が国への急迫不正の侵害を排除するために他に適当な手段がない場合に限定
(2)自衛権の発動としての武力の行使の限度
 武力の行使は必要最小限度にとどまること
(3)集団的自衛権の不行使
 国連憲章 51 条の集団的自衛権の権利は行使しない
2.自衛隊
(1)自衛隊の保持及びその任務
 我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つことを主たる任務とする必要最
小限度の防衛力として自衛隊を保持し、必要最小限度を超える実力の保持は認めない。災害対応、公共の秩序の維持。
(2)自衛隊の整備及び民主的統制
 自衛隊の定員、予算、編成、装備、行動等自衛隊に関する重要な事項については、
国会の関与を保障する
(3)自衛隊
 自衛隊員になることを強制されない。自衛隊員の人権の尊重など。
3.我が国に対する武力攻撃に当たらない侵害が発生した事態への対処
(1)武力紛争の回避
(2)警察等による対処
(3)警察等と自衛隊との連携の確保等
(引用終わり)
 
 立憲フォーラム公式サイトによれば、そのメンバーは、民主党リベラル派に社民党その他を加えても、衆議院15名、参議院21名にしかならず、「共産党を除く野党系リベラル派議員ってこれだけしかいないの?」ということにあらためて慨嘆せざるを得ません。
 自民党リベラル派など、公然と声をあげているのは村上誠一郎氏くらいのものだし。「ポスト安倍」後の揺り戻しを期待している「隠れ自民リベラル」も少しはいると思いますが、そのような議員が野党系リベラル派と連携することなど金輪際あり得でしょうし。
 日経も書いているとおり、「野党内では次世代やみんなに加え、民主党の一部保守系
員などが(集団的自衛権の)行使容認を規定した国家安全保障基本法案の提出をめざす動きがあり」、民主党だけでもこの「平和創造基本法案」でまとまるめどなど全く立っていないではないか?
 それに、自衛隊違憲の存在であり、段階的に解消をめざすべきという立場に立つ日本
共産党の賛成が得られる見込みは全くない。
 ・・・などと、マイナス思考に陥る材料はいくらでも思いつきます。
 
 しかし、リベラル派からの具体的対案は絶対に必要であるという立憲フォーラムの主張にも、もちろん聴くべきところは多々あります。
 憲法9条を堅持し、「7月1日」以前の政府解釈を基本としながら、よりリベラル色を打ち
出すという線でまとめようとしている「骨子」であるという印象を受けました。
 実際、安倍政権という異常な「極右政権」を批判する材料はいくらでもあるのですが、ポス
安倍政権が「もっとひどい」ものになってはどうしようもないのであって、そうならないようにするためにも、具体的な基本政策を法案化することの意義は少なくないと思います。
 この考え方の先には、「立憲主義改憲論」があるのですが・・・。
 
 なお、「平和基本法」を作ろうという提案は、過去いくつもあったようです。
 最近では、前田哲男さんらが執筆を担当し、「フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラ
ム)」編ということで公表された「平和基本法案要綱」を読んだ方はかなりおられるのではないでしょうか。
 
『9条で政治を変える 平和基本法
フォーラム平和・人権・環境:編 前田哲男・児玉克哉・吉岡達也・飯島滋明著
2008年10月 高文研 刊
 
 思えば、政権交代も近いのではないかという「期待」の中で執筆がなされたという、ある種の高揚感が感じられる本でした。
 自衛隊の組織再編を定めた第8条をご紹介しましょう。
 
平和基本法案要綱
防衛省自衛隊の再編)
第8条
① 日本国憲法の精神に従って、日本及び国際社会の平和と安全を主体的かつ積極的に
創設するため、別表に従って防衛省を安全保障省に、自衛隊を安全保障隊とし、その下に国土警備隊、平和待機隊、災害救助隊を置く。
② 何人も、その意に反して安全保障隊の構成員とされてはならない。
 
 この本が刊行された翌年に実現した「政権交代」とその「挫折」が、現在の憲法の危機を呼び込む原因の1つであったという評価も可能でしょう。
 その「挫折」を踏まえた上での立憲フォーラムの「平和創造基本法案(骨子)」は、議員連
盟が作成するものですから、平和フォーラムの2008年版「平和基本法案要綱」を参考にした点もあったかもしれませんが、より現実的な内容になっていることは言うまでもありません。
 立憲フォーラムは、いずれ「市民パブコメ」を実施したいということですから、私たちも「
どんな基本法が必要だろうか」ということを真剣に考え、その意見を立憲フォーラムにぶつけてみてはと思います。