9/18原発賠償関西訴訟第1回口頭弁論に注目を!~原告団代表・森松明希子さん語る
今晩(2014年9月16日)配信した「メルマガ金原No.1850」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
今日(9月16日)午後6時から、和歌山県民文化会館小ホールにおいて、伊藤真弁護士を講師に招いた市民集会「集団的自衛権って何ですか?~憲法と集団的自衛権を考える~」(主催:和歌山弁護士会、共催:日本弁護士連合会)に、約270人という多数の参加者(会場キャパの8割強)においでいただくことができ、責任者(憲法委員会委員長)としてほっと胸をなで下ろしつつようやく帰宅しました。
本来であれば、今日の集会の模様をレポートできれば良いのですが、集会の責任者というのは客席に座り込んで講演を聴いていれば良いというものでないことはご想像がつくと思いますが、今日は、会場入りした午後4時過ぎから約4時間半というもの、椅子に座っていたのは伊藤先生を楽屋にご案内した直後の約10分間だけでした。
ということで、今日取り上げようと思うのは、明後日(9月18日)午後2時に迫ってきた、福島などから関西に避難してきた住民が、国と東京電力の責任を追及する原発賠償関西訴訟の第1回口頭弁論期日を前に、その口頭弁論で意見陳述を行う予定の原告団代表・森松明希子(もりまつ・あきこ)さんが、様々な媒体で発言しておられますので、その内のいくつかをご紹介しようと思います。
4日前にお送りした「原発賠償関西訴訟と森松明希子さん『母子避難、福島から大阪へ』」の補足でもあります。
1つは、放送されるのは明日(17日)ですが、毎日放送(MBS)午後6時15分からのニュース番組「VOICE」の中で「特集 事故から3年半...福島から自主避難の親子の選択」が放映されます。毎日放送(MBS)といえば、今年の3月16日、「映像’14」の枠で「“自主避難”~原発事故3年・家族の苦悩」という、大阪に母子避難した森松さん一家と、家族を新潟に避難させて福島にとどまる荒木田岳さん(福島大学准教授)を取材した優れたドキュメンタリー番組を放映したのも同局でしたね。
次は、ラジオフォーラム第88回(WEB公開:2014年9月15日)での特集「原発事故自主避難を考える」への出演です。
(番組内容引用開始)
Web公開 9月15日(月)
ラジオ放送日 9月13日(金)~20日(金)
ゲスト 森松明希子さん、太田歩美さん(原発事故自主避難者)
パーソナリティ 景山佳代子(社会学者/大学講師)
テーマ 原発事故自主避難を考える
ラジオ放送日 9月13日(金)~20日(金)
ゲスト 森松明希子さん、太田歩美さん(原発事故自主避難者)
パーソナリティ 景山佳代子(社会学者/大学講師)
テーマ 原発事故自主避難を考える
■なぜ2人の母親は訴訟に踏み切ったのか?~避難する権利とは?普通に生きる権利とは?~
その中には、国の避難指定区域以外からの避難、いわゆる“自主避難”が相当数含まれているとされ、その範囲も福島県内に限らず、近隣県からさらに遠方の都道府県へ避難して未だに戻れないでいる方が多いのも実情です。
国は避難指定区域を徐々に解除し、帰還許可も出始めているにもかかわらず、なぜこのような事態になっているのか?
(引用終わり)
「週刊 通販生活」 2014年9月16日(火)10:00更新
このサイトはコピーできない設定になっているようなので、やや手間がかかりますが、森松さんが、訴訟に踏み切った思いを語った部分を書き起こして引用したいと思います。
(引用開始)
―9月18日には、いよいよ「原発賠償関西訴訟」が始まりますね。森松さんは、裁判でどんなことを訴えますか。
森松 原発事故の被災者には、被ばくから免れ、健康を享受する権利があるということが認められるよう、訴えます。そのうえで、被災者が「避難する権利」、被災地に「とどまる権利」、避難先から「帰還する権利」を行使するのに必要な施策が講じられるよう、訴えます。
―裁判で認めさせたいのは「避難する権利」だけではないということですね。
森松 そうです。もちろん、高濃度の放射能に汚染された地域では、国による避難指示は必要です。でも、避難指示区域以外の住民には、避難するか、留まるのかを自分で選択する権利が認められるべきです。
私は、子どもたちを守るために自主避難してきましたが、決して経済的な余裕があったから避難をしたわけではありません。なんとか郡山で生活をしていけないかと、最後まで考え抜いた結果、避難をせざるを得ないという決断をしたのです。ですが、被災地に留まっている人たちが、子どもを守っていないとは決して思いません。私自身、震災後の2カ月間、放
射能汚染地で子育てをするということがどんなに大変かを経験しているのですから。
放射線被ばくから免れて健康を享受するという権利を被災者は行使するためには、まずは「避難する権利」が認められなければいけません。ですが、その土地で築き上げた人間関係などを断ち切って、避難するのは、本当に高いハードルなんです。なので、放射線被ばくのリスクについて正しく知らされたうえで、被災者本人は被災地に留まる決断をするのなら、その決断は尊重されるべきだと思います。避難先からの帰還についても同様です。
―「とどまる権利」と「帰還する権利」ですね。
森松 そうです。ですが、被災地で生活することを選択した人に、被ばくをおしつけるようなことがあってはいけません。被災者がどんな選択をしようとも、放射線被ばくの恐怖から免れ健康を享受する権利が侵害されないようにするのは、国の支援が必要です。
―事故の損害賠償については、どのように訴えますか。
森松 今回の裁判では、私たち原告団は損害の完全賠償を求めています。けれど、この裁判の真の目的は賠償ではなく、被ばくから免れるために必要な支援策の実施です。原発事故は奪ったものはあまりに大きく、一番返してほしいものは、もう返ってはきません。特に、外を駆け回って遊ぶという子どもらしい生活を奪われたり、避難によって大好きな友だちや家族と離れて暮さなければいけなくなったりした子どもたちの受けた被害はお金に換算できるものではないのです。
避難するにせよ、留まるにせよ、原発事故前と同じ暮しができている人は一人もいません。損害賠償請求訴訟を起こすということで、人から非難されることもありました。ですが、この事故で「家族4人で暮したい」という平凡な願いを奪われた私自身が、「家族4人で暮せないこと」に値段をつけなければいけなかったのです。その苦しみを、どうか分かってください。
(引用終わり)
このように、森松さんが相次いでメディアに取り上げられているのは、もちろん、原発賠償関西訴訟の第1回口頭弁論が間近に迫ってきたという話題性からであり、森松さん自身、少しでも避難者の実情に関心を持ってもらえるきっかけになればと考えての行動であることは明らかです。
しかしながら、世間の目は必ずしも温かいものだけでないことは容易に推測されますし、そのような、森松さんの心を挫けそうにさせる声は、必ずしも「あちら側のネトウヨ」からだけ聞こえてくるわけでもないでしょう。
それでも、森松さんを始め、声をあげている避難者の皆さんの真意を理解し、声援を送っている者は世界中に(大げさではなく)いっぱいいます。
私たちは、その声援の声を、恥ずかしがらず、ためらわず、送り続ける必要があります。
もっとも、原発賠償関西訴訟の(一応)弁護団の一員である私にとって、この言葉は皆さんに対するお願いでもあるとともに、自戒の言葉でもあるのです。
(参考書籍)
森松明希子著「母子避難、心の軌跡 家族で訴訟を決意するまで」
かもがわ出版 2013年12月刊
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/0676.html
(付録)
『ラブソング・フォー・ユー(LOVESONG FOR YOU)』 作詞作曲:ヒポポ大王 演奏:ヒポポフォークゲリラ
https://www.youtube.com/watch?v=xld5H2_Vc5c
『ラブソング・フォー・ユー(LOVESONG FOR YOU)』 作詞作曲:ヒポポ大王 演奏:ヒポポフォークゲリラ
https://www.youtube.com/watch?v=xld5H2_Vc5c