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「自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(2)「対テロ戦争における日本の役割と自衛隊」

 今晩(2014年9月22日)配信した「メルマガ金原No.1856」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(2)「対テロ戦争における日本の役割と自衛隊」
 
 今年6月7日の発足(第1回シンポジウム)以来、注目し続けてきた「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称:自衛隊を活かす会)」のWEBサイトに、新たなコンテンツが掲載されましたのでご紹介することとしました。
 
 その前に、これまでこのメルマガ(ブログ)で取り上げてきた「自衛隊を活かす会」関連の記事をおさらいしておきます。
 
 
 
(「自衛隊を活かす会」シンポジウムに触発されて書いた記事)
2014年8月30日
“平和主義と天皇制”~「戦後レジーム」の本質を復習する

2014年9月1日
戦争に敗けるということ~加藤朗氏『敗北をかみしめて』を読んで考える
 
 今日は、7月26日に開かれた第2回シンポジウム「対テロ戦争における日本の役割と自衛隊」(於:日比谷区立日比谷図書文化館・大ホール)の模様をご紹介したいと思います。

 「自衛隊を活かす会」の主催する連続シンポジウム(として構想されているようです)では、登
壇者の発言は全て文字起こししてWEBサイトに順次アップされることになっており、第2回シン
ポのご紹介が遅くなったのは、単純に、全ての文字起こしがアップされるのを待っていたからです。
 そして、9月9日にようやく全ての文字起こしが掲載され、ご紹介のタイミングを見計らっていた
ところ、昨日、第1回シンポジウム(2カメラ)と第2回シンポジウムの全編動画が公開されまし
た。
 「テープ起こしが終了したものから、順次動画を公開します」」とありますので、IWJなどが独自
中継した映像は別として、「自衛隊を活かす会」の公式映像(?)の公開は、これからも「テープ起こし(文字起こし)」の後ということになるようです。
 
 それでは、早速、第2回シンポの映像と文字起こしをご紹介します。長時間の映像を通しで視聴するのはなかなか大変ですが、文字起こしであれば、じっくり読むのも、速読するのも思いのままですからね。
 以下には、全文を通読した上で、私がとりわけ感銘を受けた部分を抜粋しておきます。
 
 今回のゲストの中で、酒井啓子さんは、かなり以前になりますが、青年法律家協会和歌山支部催による憲法記念講演会の講師としてお招きし、イラク問題について講演していただいた方です(当時はアジア経済研究所の所属でしたね)。ちなみに、酒井さんは、卒業したのは青山高校ですが、私の母校(和歌山県立桐蔭高校)にも在籍していた「後輩」でもあります。
 その酒井さんからは、今イラクがとんでもない状況になっていることが語られるとともに、そのような状況を直視することなく、単にアメリカの方だけを見て自衛隊を出すかどうかというような議論をすることの危うさが指摘されており、非常に共感しました。
 
 ところで、最後の柳澤協二さんの発言の中で、「私は小泉総理のキャラは嫌いじゃないんですが」というところを読んで思わずニヤッとしてしまった人は、おそらく皆さん「もう1人の総理大臣」の顔を思い浮かべていたのではないですかね。全くの余談ですが。
 
第2回シンポジウム 「護憲」を超えて②
対テロ戦争における日本の役割と自衛隊
2014年7月26日(土)午後1時45分~4時45分
千代田区立日比谷図書文化館・大ホール
主催:自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称:自衛隊を活かす会)
 
中継映像

 
 
今、対テロ戦争における日本の役割と自衛隊の可能性を考える意味
柳澤 協二(元内閣官房副長官補、国際地政学研究所理事長)
(抜粋引用開始)
 私が一番怒りを感じたのは、「自衛隊は今までより危険な任務に就くことになるだろう」とい
う質問に対して、総理が、「いやこれはもう、憲法の仕分けの話をしているのであって、実際の自衛隊の行動については安全確保義務があって」というようなことを言ったことです。いま問われているのは、自分はどういう理由で国のために命を掛けて働いてくるのだからということを、自衛隊員が自分の家族に向かって説明できるのかということです。それなのに、いやそれは憲法の整理の話であって、実際の任務は違うんだよというようなことを言われても、実際に何をして良いかわからないわけです。自衛隊員が自信を持つためには、何よりもまず国民の支持が必要であって、同時に、何をするかを念頭においた徹底した訓練が必要です。ところが、政治が何をさせたいかが分からないと、どうそれを説明し、どう訓練して良いかが分からない。当然国
民も自衛隊に何をしてほしいかが分からない。そういう状態のままで議論が進んでいるところに、今の政治の一番の問題点があると思っております。
(引用終わり)
 
対テロ戦争の意味
加藤 朗(桜美林大学教授、同国際学研究所長代理、元防衛研究所
(抜粋引用開始)
 我々は結局、対米協力をしていくのか、していかないのか、そのことが問われています。アメ
リカ帝国の没落を食い止めるために協力する、そしてそのことによって日米同盟を強化していくことが日本の安全保障を高めていくのだという一方の議論があります。他方、国際協力、保護する責任など、新たなグローバル・ガバナンスの形成に参加する覚悟を決めるという考え方もあります。どちらか一方に傾くのか、あるいは両方とも必要なのか。そういうことを考えて、今
後の日本の対テロ戦争への対処を議論すべきだと思います。
(引用終わり)
 
最近のイラク情勢と戦後のイラク国家建設の失敗
酒井 啓子(千葉大学教授)
(抜粋引用開始)
 日本は中東に何を期待されているのか。自衛隊について言えば、イラクの文脈においては、
れなりにプラスの役目を果たした部分はあると思っています。それはなぜかというと、ほかの外国軍があまりにもひどかったからということです。要するに、アメリカにしてもイギリスにしてもオランダにしても、日本以外はイラク人を殺す兵隊しかいなかった。日本の自衛隊は、唯一イラクを殺さないで駐留していた部隊だということで、非常に高く評価された。ただそれが何十億というお金に見合うだけのものだったのかというのは、これはまた日本としては考えなければいけない
と思うのです。
 アメリカにくっついていくという選択肢は、それはそれで良いかもしれない。あるいはイスラーム
社会のなかでも、欧米型の近代化と発展を求めている人たち、自由と民主主義を重視する人たちは大変多いわけです。しかし、そういう人であっても、あのひどいことをやっているアメリカになぜ頭を下げなきゃいけないのかという思いは強い。アメリカの横暴さ、支配に対する反発は、アメリカが体現する自由と民主主義と繁栄への憧れとは全く別の話なのです。その意味では、同じように近代化を果たし、工業化を果たし、発展してきた日本というのは、欧米とは違うビヘイビアをとっているのだ、力を背景に中東にやってくる存在ではないんだ、力とは違う手段で中東に手を差し伸べてくれる国なのだということが大事です。それが日本の売りになってきたので
す。
 ヨルダンの大手紙に載ったコメントがあります。日本はアメリカの同盟国である、それはそれで
良いかもしれない。けれども同盟国だからこそ、イラク劣化ウラン弾などを撃ち込むようなことはやってはいけないのだとアメリカに言える立場にあるのが、まさに日本ではないのか。日本に期待される役割はそこであって、一緒になって武器をふるうようなことはまったく期待されてない、
ということが、このコメントから見てとれると思います。
(引用終わり)
 
国際テロ対策と日本の役割
宮坂 直史(防衛大学校教授)
(抜粋引用開始)
 日本は、国際的に日本はキャパシティビルディング(能力構築)支援といって、いろいろなテ
ロ対策のお手伝いをしています。しかし、先ほど述べましたように、自分たちのことを振り返ってみると、我々は日本で起きたテロの検証をやっていない。これは、今から20年前の1994年の
6月28日、長野県松本市であった松本サリン事件の現場です。
 現場の風景は当時と変わっておりません。車がある場所にオウム真理教サリン噴射機を
置き、右側のほうにある裁判官の官舎めがけて噴射したのです。その現場です。その後、警察や自衛隊の一部は、オウム真理教サリンを作っていると分かったんですが、7ヵ月後の翌年の3月20日、地下鉄サリン事件を起こされました。この松本サリン事件があってから地下鉄サリン事件までの間、日本政府はどう対応したのかとか、メディアはどうだったのかとか、一般の日本人は何を考えていたとか、そういうことがきちんと検証されていません。我が身で起こったこと、日本国で起こったことすらきちんと検証してないのに、人様の外国のお手伝いということで、キャパシティビルディングといって、テロ対策ができない国の手伝いをしています。国際的に関
与することが悪いとは言いませんが、ちょっとまずいなという気がします。
(引用終わり)
 
非武装自衛隊対テロ戦争を終わらせるか
伊勢﨑 賢治(東京外国語大学教授、元国連平和維持軍武装解除部長)
(抜粋引用開始)
 アフガニスタンの軍事作戦は非常に特殊です。2001年9.11同時多発テロが起こると、すぐ
NATO集団的自衛権を発動します。それとほとんど同時に、国連安保理決議を発する。これは国連としてテロに対抗措置をとりましょうという決議であって、別に集団的自衛権行使をオーソライズするものではありません。しかし、国連加盟国のあるグループの集団的自衛権の行使に世界が協力するという、集団的自衛権国連的措置(日本流に言うと集団安全保障)の距離がグッと縮まった感じになります。その後、ボン合意があって、ISAFを安保
理がオーソライズします。
 しばらく、NATO集団的自衛権の行使(OEF)とISAFが併存しますが、のちに2つともが
NATOの指揮下に入るということになります。OEFの下にはMIO(海上阻止作戦)があって、小泉政権の時ですけれども、日本はいち早くNATO集団的自衛権の下部作戦である海上阻止作戦に参加しております。こうして、集団的自衛権の行使と国連的措置(集団安全
保障)の限りない合体が確立します。
 「集団的自衛権」は、国連憲章8章とのつじつま合わせのような感じで国連憲章51条に
始めて登場した経緯からすると、現代の集団的自衛権の様相はだいぶ様変わりしているよ
うです。このダイナミズムの中で、日本のそれを巡る政局も動いて欲しいものです。
(略)
 さて、「ポスト2014アフガニスタン」です。
 NATOは撤退しますけれども、アメリカは今のところ、1万人弱の残留部隊を置くと言ってい
ます。その殆どは、実際の戦闘行為というより、アフガン国軍・警察の訓練の継続、そして側面支援というふうになっています。どちらにしろ、たいへん大きな「力の空白」が生まれることは
避けられない状況です。
 過去、ソ連が出て行った後のようにならないために、一体どうしたら良いのか。
 まず、肥大化はしたけれど、せっかく作った国軍の士気を維持すること、それから軍閥政治
の介入を絶対阻止することが大事です。アフガンの国軍は、酒井さんが言及したイラクの国軍のように、いざというときは逃げ出すようなものではない、それよりはちょっとマシだと思いたいのですけれども、その士気をなんとか維持するためにも、軍縮を口にしてはいけません。兵士の身分を保障することが、国家に対する忠誠心を維持するうえで重要です。給料が滞ったらどうなるかって、考えただけでも恐ろしいです。せっかく作った国軍が内戦の火種になってしまう。だから、国際社会の長期支援は、10年20年単位で覚悟しなければなりません。兵員削減自体は必要なので、自然な兵員削減をめざすべきです。つまり軍縮を口にしないで、定年になったらそのまま辞めてもらい、補充はしないというようなやり方です。そういうやり方で軍を適正
規模にまで持っていく。これしかない。
 それと幹部人事への介入をする。援助しながら、国軍が、脆弱なものであるが“ネーション”
を何とか体現し続けるように。内政干渉してはダメなんて生やさしいことを言ってもしょうがない。
 アフガニスタンの国軍というのは、元の北部同盟の人たちの影響力が強いですから、タリバン
をつくったパキスタンを基本的に信用しておりません。それが、国境において向かい合っているわけです。この両者の信頼醸成をどうするべきか。いまは、NATOが中に入って、かろうじて三角関係(NATOはアフガン軍と一体だから、歪な△ですが)を作り、国境上で信頼醸成のフラッグミーティングをやっている。そのNATOが出て行き、両軍の関係が拗れ交戦状態になったらどうするか。そういう混乱こそ、Insurgentが一番好むものです。NATOの代わり、それも半永久的に信頼醸成の軍事監視ができる国際社会の仕組みを、ここにつくらなければなりません。それは、現在、小さい政治ミッションであるアフガン国連ミッションのマンデートを拡大し、国
連軍事監視団を入れるしかありません。その主力に日本の自衛隊を。
(引用終わり)
 
質疑応答と討論
(抜粋引用開始)
宮坂 フロアーの方からもいくつか質問をいただいておりまして、それも含めてお答えします。
本日の主催は「自衛隊を活かす会」ですが、私は自衛隊のことについて全然話していません。テロ対策、対テロ戦略において、軍事力というのは、ワン・オブ・ゼムに過ぎないんです。
スモールポテトとまで言いませんけれども、ちっぽけなんです。
(略)
 テロの原因もいろいろあって難しいですね。テロの第3の波──僕はそう呼んでいますが
──は続きます。しかも、今後、過激な環境保護を掲げたテロ組織が出てきますので、それが第4の波になるかもしれず、そういうことを考えると、当分我々の社会からテロリスト、テロ組織を排除することはできません。即座に排除したいんだったら、北朝鮮みたいな全体主義国家になればいいんです。ああいう全体主義国家はテロがありません。国自体がテロ国
家ですから、テロ組織はあそこで活動できません。
 つまりそういうことです。イラクだって、独裁政権の時代、サダム・フセインの時代にはほとん
どテロがありませんでした。サダム・フセインが倒れてから、あれだけテロがおきたのです。リビアも、カダフィ大佐の時代には、彼自身がテロをやっていましたけれども、国内ではテロがなかった。カダフィがギブアップして、独裁政権が倒れ、カダフィが死んだ後、武器が流出したり
して、すごい状態になっています。
 だから、安全保障のことを考えると独裁政権は良いものだということも、国際政治では議
論されます。人権的にはダメですけれども、安全保障のことを考えると、独裁政権だって利用しなければいけないという気がします。
 
酒井 今、宮坂さんのほうから、「自衛隊を活かす会」という名前に合わないけれどというお話がありましたけれども、私がこれから言おうとしていることにも、そういう面があります。というのは、今日はずっと自衛隊のことを主語にして議論してきたわけなんですけれども、私は根幹として一番問題なのは、外交不在になっているということだと思うからです。外交なしに自衛隊をどうするかということばかり言われている。今議論されたテロの原因という話も、自衛隊が考える話ではないはずです。これは外務省というか、外交をやる上で考える話です。貧困だの何だのという話がありましたけれども、たとえばODAで済まされることはたくさんあるはずなのです。もし貧困が原因だったらそれで済む。あるいは、私は基本的に中東でテロといわれるようなことが起こっている背景は、一般の政治闘争が政治の舞台でにっちもさっちも行かなくなって、軍事力に依存する傾向が生まれていると理解しています。ですから逆に言えば、その政治構造のところで解決がつくのであれば、テロに行く必要はない。
 パレスチナ問題にしてもイラク問題でもそうですけれども、国際社会の外交の舞台で、交
渉の中で解決ができていれば、テロに至らなかった事例というのは、山のように挙げられます。もちろんその中には、最初から武力を使うということを前提で動いていて、ただ暴れたいがために「私をアルカイダの一員にしてください」みたいな感じで動いているような変な人たちもいます。けれども、暴力に依存する大半の紛争というのは、政治的な解決がにっちもさっちも行かなくなったから、その方向に行ったのだと思っています。そういうことを考えれば、ちゃんと外交をフルに起動させるということに話を戻すべきなのではないか、その上で自衛隊に何が
できるかということを考える必要があると思っています。
 さらに私が問題だと思っているのは、自衛隊をどう使うかということで、外交的な文脈とま
たく無関係のところで、あるいは一部の外交分野しか見ずに、自衛隊をどういうふうに使うかを考える議論が横行していないだろうかということです。もう少し露骨な形で言ってしまえば、アメリカとの関係を最優先するために自衛隊をどう利用するかということに議論が行っていることです。自衛隊をどこでどういうふうに使うかということについてのリアリティがあまり考えられていない。たとえば、イラク情勢が悪化しているといいうことで、安保法制懇は、ペルシャ湾掃海艇を出さなければいけない、アメリカからの要請があった時に応えなければいけないと言います。イラクの情勢をリアルに見ないで、ただアメリカだけを見て、さあ自衛隊を使いま
しょうという話になりがちです。そこが一番危ないのではないかと思っています。
 自衛隊ペルシャ湾掃海艇を出したらば、事態がより混乱するということを言っているの
ではありません。ペルシャ湾掃海艇を出すべきだと考えている人たちは、今ペルシャ湾がどれだけの危機にさらされていて、自衛隊を出せばどんな危険な状況が訪れるかということはまったく関係なく、アメリカとの文脈だけで議論しているということです。その危険性を考えな
ければいけない。
 逆に言うと、例えばイラクと日本の直の関係で、どうしてもイラクの国内でも自衛隊に是非
来てほしいと言われて、自衛隊も十分にやれることがあるというふうに、2国間で考えて判断をするのであれば、それはそれで必要だと私は思っています。そこは最初からノーということは決してありません。しかし、全然違う目的で、ただアメリカに恩を売るために、じゃあ自衛隊出しましょうということにして、その口実として適当に危機があるからというやり方をとろうとしている。そういう判断に陥っていることが危ないんだと思います。
 
加藤 この問題の教訓は、力によっては自由と民主主義は押しつけられないということです。アフガニスタンからは、かつてはイギリス、そしてソ連が、今度はアメリカが撤退することになりました。私たちがこれからじゃあどうすべきかを議論するためには、私たちがどのような世界を目標としているのかということが大事です。外交も、さらにはそれをふまえた上で自衛隊もどう活かしていくかを考えるうえでは、私たちが夢見る世界って一体どういう世界なのかというところに共通認識がないのが、やっぱり一番大きな問題だろうというふうに思っています。
 
柳澤 さっきの酒井先生のお話にまったく同意します。私はアメリカとのお付き合いを最優先に官邸としての政策を立てていたと思いますし、そういう観点で、民間人が行っちゃったら自衛隊が行く意味がないということを考えていました。その点では、民間が行けるほど安全ではない、しかし自衛隊がバタバタ死ぬほど危険ではないという、そういう状況が一番望ましかったわけですね。だからそれ以上のことができなかったのだと、お話を聞きながら、「ああそうか、そこもあったな」と思いながら聞いておりました。そこに問題があるので、日本がアメリカとどういう立ち位置で付き合っていくのか、そこを突き詰めなければならない。じゃあ日本独自で平和構築をやっていくかというと、軍事的なところではやはりアメリカの存在というのはなくてはならないと思うんです。アメリカなしで治安が対処できるような世界というのは、実は難しいだろうと思います。ただ、小泉さんが仰ったように、──私は小泉総理のキャラは嫌いじゃないんですが──「アメリカとさえ旨く行けば、後の国は何とでもなるんです」という発想がいかんのだと思うんですね。それぞれの国には外交の目標があるし、アメリカと同じことをやるということではなく、あるいはアメリカから自立するために核武装するということでもなくて、物の根本の考え方において、アメリカという要素を1回抜きにして──完全に落とすことはできないけれど──日本ならこれだという軸を持つということが一番大事なことだし、私がこの「会」の議論を通じて模索していきたいと思っているのも、そこのところだということを申し上げたいと思います。  
(引用終わり)
 
(付記)
 第1回シンポの映像も公開されましたので(別角度からの2台分)、その映像と文字起こ
しもご紹介しておきます。
 
第1回シンポジウム 「護憲」を超えて①
自衛隊の可能性・国際貢献の現場から
2014年6月7日(土)午後1時30分~4時00分
岩波セミナールーム(岩波ブックセンター3階)
主催:自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称:自衛隊を活かす会)
 
中継映像①(固定カメラ)

中継映像②(別カメラ)

※文字起こしされていない半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)による「スライド:21世紀の海外自衛隊のリアル」は9分25秒~38分の部分です。いずれのカメラも、角度的にスライドの写真を見るのにはかなりしんどいですが、だいたい何が写っているかは分かります。是非視聴されることをお勧めします。

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