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伊勢﨑賢治さんの講演会が和歌山市で開催されます(11/14)

今晩(2014年9月30日)配信した「メルマガ金原No.1864」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
伊勢﨑賢治さんの講演会が和歌山市で開催されます(11/14)

 予告的に少し書いたことはありましたが、ようやく伊勢﨑賢治さんの和歌山市での講演会の
チラシが出来上がってきましたので、その内容をお伝えします。
 
http://web2.nazca.co.jp/nwkv89851/isezaki20141114.pdf
 
(チラシ文字データを引用開始)
紛争解決人 伊勢﨑賢治が語る
憲法九条・国際貢献・集団的自衛権
 
講師 伊勢﨑賢治(いせざき けんじ)氏
 1957年東京都生まれ。東京外国語大学総合国際学研究院(国際社会部門・国際研
系)教授。2001年から国連シエラレオネ派遣団の武装解除部長を務め、03年からは日本政府特別顧問としてアフガニスタンにおける武装解除を担当し、紛争解決請負人とも呼ばれる。現在、「国民安保法制懇」設立委員、「自衛隊を活かす会」呼びかけ人。
 著書に『東チモール県知事日記』(藤原書店)、『武装解除 紛争屋が見た世界』(講談
社現代新書)、『伊勢﨑賢治の平和構築ゼミ』(大月書店)など多数。ジャズトランペッターとしても活動している。
 
日  時  2014年11月14日(金)
        18:00開場 18:30開演
場  所  和(なごみ)ホールAB(和歌山県JAビル2F)
        和歌山市美園町5-1-1(JR和歌山駅西口より徒歩1分) TEL:073-488-5641
入場料  前売り800円  当日1,000円 ※高校生以下無料
主  催  9条ネットわかやま
共  催  戦争をさせない和歌山委員会
お問合せ先
  トライ法律事務所 和歌山市十番丁12番地 十番丁ビル4F TEL:073-428-6557
(引用終わり)
 
 伊勢﨑さん(チラシには「伊勢崎」と表記されていますが、著書での表記などによれば「﨑」が正しいと思われるので、ここでは「伊勢﨑」とします)の講演会を9条ネットわかやまが企画するのは、丸7年ぶりのことで、前回は以下のような内容でした。
 
2007年11月2日(金)18:00開場 18:30開演
和歌山ビッグ愛 1F大ホール
講演テーマ「憲法9条と国際貢献」
主催(共催) 9条ネットわかやま、憲法9条を守る和歌山弁護士の会
協賛 九条の会・わかやま
 
 以上の講演の模様を伝えた会紙「九条の会・わかやま」51号から該当部分を引用させ
ていただきます。
 
9条があるからこそ外交力が発揮できる
伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授)が講演
 
http://home.384.jp/kashi/9jowaka/kikansi/kikansi51.htm
(引用開始)
 11月2日、ビッグ愛(和歌山市)で「9条ネットわかやま」「憲法9条を守る和歌山弁護士
の会」主催、「九条の会・わかやま」協賛で伊勢﨑賢治氏講演会が開かれ、「憲法9条国際貢献」と題して講演されました。その大要をお知らせします。
 
 「9条を守る」という人には2つある。「9条は人類の理想」と考える人、いまひとつは「9条は現実の問題を解決する手段」と考える人である。
 私はアフガンで軍閥武装解除に参画し、成功裡に終えることができた。日本はアフガン
再興計画の一番大変なことを押しつけられた。どんな武装解除も、やる方は非武装で、中立性を醸し出し、停戦状態を見せつける必要がある。軍閥は、米国は我々を利用するだけ利用して、邪魔になると粛清するという意図を敏感に感じていた。だから、親米国はこの役割をやりたがらなかった。米国と軍事的には親しい日本がやるはめになった。米国は、日本の憲法9条による「人畜無害」のイメージを利用した。何故、日本が成功したのか、それは、日本が中立に見られ、米国から独立していると見られたからだ。アフガン人の日本人への印象は本当に良い。憲法9条は知らないが、広島、長崎は知っている。日本は大きな被害を受けても、今超大国になっている。被害者の気持ちを分ってくれる超大国という意識がある。これは「美しい誤解」である。米国と軍事同盟を結び、インド洋で給油活動を行なっており、軍事的に米国を支援しているが、テロリストやタリバンはもちろん、カルザイ氏ですらそれを知らなかった。
 海外での軍事活動には法的根拠が必要だ。他国の軍隊が自国に入ってくることは大変な
ことだ。アフガンに対するOEF(不朽の自由作戦)は集団的自衛権に基く戦争であるが、ISAFは国連憲章に基きアフガン政権を助ける治安維持活動である。民主党・小沢代表は国連から認められているから自衛隊を派遣したい」と言った。自衛隊国連の指揮に委ねると言うが、ISAFは国連軍ではなく、NATOの指揮下にある。加盟もしていない軍事同盟自衛隊を派遣できる訳がない。自衛隊は絶対に出すべきではない。何故なら、「美しい誤解」が崩れて、さらに、日本人(特に民間人)がテロの標的となる。決して日本の国益にならない。
 私は「9条は一句たりとも変えてはならない」と思っている。9条があるからこそ外交力が発
揮できる。9条のポテンシャルは日本外交に生かされていない。9条のおかげで国際貢献できないというのはおかしな話だ。それが解るまで9条はいじってはいけない。9条を生かした外交を何回も何回もやって、それでも9条が足かせになるなら、その時に考えればよい。
 日本の「民度」は低い。政治家が勝手な方向に持っていく可能性がある。9条はそれに対
するブレーキになる。米国内でもイラク戦争は間違いとの認識が広がっているのに、小泉氏らは米国への支援は米国が北朝鮮から日本を守ってくれるから日本の国益になったと言っている。イラク北朝鮮は関係がない。これでは中東の国々は日本を信用しなくなる。このままいくと、自衛隊は必ず悪用される。9条は今それをストップさせる役割を一番果たせる時だ。
(引用終わり)
 
 以上は、7年前の講演の要約(「九条の会・わかやま」事務局の南本勲さんによるもの)ですが、講演テーマの内、「憲法九条」と「国際貢献」は変わっていませんが、7年後の今回は集団的自衛権」が付け加わっています。
 講演テーマ自体は、9条ネットわかやま側から提案したものですが、時代を映したものになら
ざるを得なかったということでしょう。
 
 ただし、「集団的自衛権」についての伊勢﨑さんの現在のスタンスを理解するには、相当注意深くその発言の真意を確かめながら読み解いていく必要があるということは、今年6月に開かれた「自衛隊を活かす会」のシンポジウムで、柳澤協二さんが指摘しているとおりです。

自衛隊を活かす会 第1回シンポジウム 自衛隊の可能性・国際貢献の現場から
会場からの発言と質疑応答
 
http://kenpou-jieitai.jp/symposium_20140607.html#shitsugi_houkoku
(引用開始)
升味佐江子氏(司会)
「伊勢﨑さんがおっしゃっている集団的自衛権というのは、みなさんが共有している集団的自
衛権とは、たぶん概念が違うと思うのですが、どうなんでしょうか?」
伊勢﨑賢治氏
「それたぶん僕は9条にあんまりこだわりがないからです。いまのところ、得だから9条を守るべき
だと思ってますけど、教義的なこだわりはありません」
柳澤協二氏
「私も政府にずっといた人間ですから、伊勢﨑さんの話には、ピンと来ない面があるのです。ま
あそこは、伊勢﨑さん特有の語り方という面もあるものだから気にしたってしょうがないんですけど。つまり、一般的な集団的自衛権の話しは、武力の行使をするかしないかという概念です。ところが伊勢﨑さんがおっしゃっているのはそういうことじゃなくて、アフガンはもう本当に目の前ですぐ大変になるぞ、アメリカがもうガチャガチャにして、そのまま引き上げようとしている、これを放っといていいのかということです。そこの危機感から来ているので、じつは概念はどうでもいいことなんですよね?」
伊勢﨑賢治氏
「はい」
(引用終わり)
 
 ということで、今度の和歌山市での講演会を聴かれる方も、私のブログなどを参考として、柳澤さんが言われる「伊勢﨑さん特有の語り方」にある程度事前に習熟されることをお勧めしたいと思います。
 
(弁護士・金原徹雄のブログより)
2013年4月17日
伊勢﨑賢治さんの最近の論考から

 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/25801724.html
2013年10月25日
伊勢﨑賢治さんが日本人に問う“リスクを引き受ける覚悟”(マガ9の動画)
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/33471954.html
2014年6月18日
自衛隊を活かす会」呼びかけ人から学ぶ(3)伊勢﨑賢治二さんが提起する“非戦”
のリアリズム
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/38712858.html
2014年7月30日
補遺「自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(1)「自衛隊の可能性・国際貢献の
現場から」~伊勢﨑賢治氏
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/39395763.html
2014年9月22日
自衛隊を活かす会」シンポジウムから学ぶ(2)「対テロ戦争における日本の役割と自
衛隊」
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/40336957.html
  

(付録)
『Work Song』 演奏:伊勢﨑賢治 ほか