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保阪正康氏が語る“戦後70年”と次世代に伝えるべきこと

 今晩(2014年10月8日)配信した「メルマガ金原No.1872」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
保阪正康氏が語る“戦後70年”と次世代に伝えるべきこと

 日本記者クラブがシリーズでゲストを招く「戦後70年 語る・問う」の第2回として、昨日(10
月7日)、作家の保阪正康さんが招かれました。
 
作家・保阪正康氏 「戦後70年 語る・問う」②  2014.10.7

(映像説明から引用開始)
作家の保阪正康さんが、日本の戦後70年をどう考えるかについて話した。次の3点を過ちとと
らえることについては政治信条や思想に関係なく国民の広い理解があるとした。①軍事が政治をコントロールした ②特攻作戦や玉砕などは日本の文化、伝統にないものであった ③20世
の国際ルールを無視した戦争であった。
司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日
(引用終わり)
 
 以上、引用した部分を「前書き」として、戦後70年から何を学ぶかということから、とりわけ、前半では「昭和天皇実録」について、後半(42分以降)では「軍と性」の問題について語られています。後半の話題については、いわゆる「従軍慰安婦」問題について、保阪さんが何故一切論争に関わらないようにしてきたかの説明となっており、1つの視点を与えてくれるものと思いながら視聴しました。
 
 なお、「前書き」の部分について、上記引用では「次の3点を過ちととらえることについては政治信条や思想に関係なく国民の広い理解があるとした」とありますが、私が理解したところでは、「70年」という期間は、皮膚感覚としての歴史を語れる者が退場し、否応なく「同時代史」から「歴史」に移行していく時間であること。であればこそ、私たちは戦争から何を学んだかということを次の世代に伝えていく責任があること。そして、私(保阪氏)個人のことでいえば、太平洋戦争が教えていることは次の3点であるとして、上記3点を挙げられたのでした。つまり、以上の3点は、保阪さんが、先の戦争の反省点・教訓として、次世代に伝えるべき最も重要なポイントと考えられていることを指摘されたのですが、決してそれが「国民の広い理解がある」などという脳天気なお話はされていませんので念のため。

 さて、本論での前半と後半の間で、「戦後70年」をなぜ議論しなければならないのかを説明した
後、以下のように語られているのが印象深かったですね(40分~)。
 
「あまり現政権を批判したくはないけども、現政権の最大の問題点は、この70年に対する謙虚さがないということだと私は思いますね。謙虚さがないということは、この70年の前の3年8ヶ月をきちんと検証するという気があるのかということを問いたいと思います。自民党の保守政権のかつての人たち、そういう人たち、伊東正義とか、後藤田正晴とか、宇都宮徳馬とか、そういう人たちはどれほど謙虚に、戦争というものを分析し、そしてそれを保守政治の中に取り入れていったか、っていうことに対して、私たちは徹底的に学ばないといけないと思いますね。そういう学びが「70年」のはずだったはずなんです。はずなんですね。それが全くない。「何なんだこれは」っていう風に言いたくなるのも、私は言いたくなるんですが、言いたくなるのも宜(むべ)なるかな、っていう風に思って欲しいと思います」
 
 なお、保阪さんが日本記者クラブに招かれるのはこれが3回目ということで、以前の2回分についても、その映像をご紹介しておきます。
 保阪さんの意見の全てに賛同する必要はありませんが、現代史に向き合う誠実な姿勢は
真に尊敬に値すると私は思っています。
 時間を作って視聴されることをお勧めします。
 
保阪正康 ノンフィクション作家 2012.8.31
「昭和史からみた現代―東日本大震災後の日本を問う」
 
会見詳録

「領土問題」① 保阪正康 ノンフィクション作家 2012.10.25


会見リポート
※この映像については、私のメルマガ(ブログ)でご紹介したことがありました。
2012年11月3日(2013年3月24日にブログに転載)
保阪正康氏講演「領土問題は歴史問題である」(日本記者クラブ)