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オスプレイがやって来た日~望楼の芝(潮岬)に残した焦跡から考える

 今晩(2014年10月20日)配信した「メルマガ金原No.1884」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
オスプレイがやって来た日~望楼の芝(潮岬)に残した焦跡から考える

 日本の地方自治体が実施する防災訓練に、初めて在日米海兵隊所属のオスプレイが参加する
ということで注目を浴びた和歌山県津波災害対応実践訓練(10月18日・19日)も、昨日(19日)のオスプレイ2機の飛来をハイライトとして(実際はもっと大事な訓練が行われていたは
ずですが、この「遠来の客人」のためにかすんでしまいました)、「無事」終了したようです。

 私自身、オスプレイを「見物」するために白浜町串本町に出かけるだけの時間的余裕はあ
りませんでしたが、メルマガ(ブログ)に事前告知(オスプレイがやって来る(10/19)~和歌山県津波災害対応実践訓練に~)を書いた手前、その経過を記録に残す必要を感じています。
 
 そこで、やや安直の感は否めませんが、オスプレイ飛来について最も詳細な報道を行った地元紙・紀伊民報WEB版から、注目すべき部分を引用させてもらうことにより、そのアウトラインを知っていただくことにしました。
 その上で、実際に現地に行って独自の映像を撮影し、FacebookなどのSNSに投稿されて
いる方が何人もおられる中で、とりわけ串本町潮岬「望楼の芝」に飛来したオスプレイとその影響についての重要な写真・動画・目撃談を公表し、当メルマガ(ブログ)への転載もご了解いただけた下村雅洋さんのレポートをご紹介することにしました。
 
 まずは、紀伊民報の報道で知る「オスプレイがやって来た日」です。
 
紀伊民報 2014年10月14日
オスプレイ参加の意義説明 津波訓練前に和歌山県知事

(引用開始)
 米軍輸送機「オスプレイ」が全国で初めて参加する和歌山県の「津波災害対応実践訓練」
が19日、白浜町串本町などで実施されるのを前に、仁坂吉伸知事が14日の定例記者会
見で、あらためてオスプレイ参加の意義を説明した。
 仁坂知事は「オスプレイも何らかのリスクはあるし、大型ヘリコプターも統計ではオスプレイより
は少ないが、やっぱりある。災害の時に道具を使うのと使わないで起こる被害の大きさは、圧
的に要りませんと言ったときの方が大きい」と話した。
 さらに「局所的な災害では何とかなるというのが多いが、南海トラフの大地震では全体がや
られてしまう」とし、人員や物資の輸送能力が高いことを挙げ、訓練参加の必要性を説明し
た。
(引用終わり)
 
紀伊民報 2014年10月20日
オスプレイが参加し津波災害対応訓練 和歌山

(抜粋引用開始)
 和歌山県田辺市白浜町串本町などで19日、自衛隊在日米軍が全面協力し、全
国最大規模の118機関が参加した県津波災害対応実践訓練が実施された。自治体の訓練では初となる米軍輸送機「オスプレイ」も参加。反対運動も起きるなど注目されたが、
大きな混乱やトラブルはなかった。
 訓練想定は、県南方沖を震源とするマグニチュード8・7の地震田辺市と印南、みなべ、
白浜、上富田、串本の各町に震度7、他地域で6強から5強の強い揺れを観測。3分後大津波警報が発令され、白浜町串本町などで最大8・6メートルの津波が発生したと
した。
(略)
 オスプレイは2機参加。山口県岩国基地から午前9時13分と17分に、白浜町南紀
浜空港に到着した。DMAT(災害派遣医療チーム)や薬剤師、救援物資などを乗せて串本町の望楼の芝へ。その後同町沖に停泊した護衛艦「いせ」に着艦し、11時10分と同59分に岩国基地へ飛び立った。自衛隊によると、訓練中は県の要請通り、洋上を飛行した
という。
 空港近くの展望台や駐車場、県道沿いでは約500人が見物。ほど近い平草原公園
では、オスプレイの訓練参加に反対する住民集会があり、約400人が声を上げた。串本潮岬の望楼の芝でも「防災訓練にアメリカ軍はいりません」などと書いた横断幕やプラカ
ードを掲げて反対の意思を示す人がいた。
(略)
 左藤章防衛副大臣は「米軍やオスプレイの力を借りてしっかりと災害対応できるよう、今
後ほかの地方自治体にも理解を頂きながら、なるべく多く訓練に参加させてほしい」と話し
た。
(引用終わり)
 
紀伊民報 2014年10月20日
オスプレイ参加に賛否 抗議集会も

(引用開始)
 和歌山県津波災害対応実践訓練に参加した米軍輸送機「オスプレイ」を一目見よ
うと19日、会場となった白浜町南紀白浜空港に約500人、串本町潮岬の「望楼の芝」
には約3500人の見物人が集まった。オスプレイの訓練参加には、賛否の声が聞かれた。
 白浜空港を見下ろす公園「エアポートパーク」には、家族連れや訓練参加に反対する市
民団体らが集まった。午前9時10分ごろ、オスプレイが飛来すると、望遠レンズ付きのカメ
ラや携帯電話が一斉にその動きを追った。
 写真撮影に訪れたという新宮市の男性(68)は「3年前の台風でまちは孤立した。災害
時の救助にヘリは不可欠。反対の理由が分からない」、白浜町の自営業男性(58)も「実際に見て墜落の危険性が特に高いと思わない。音も想像以上に静かで、災害時に活用
できそうだ」と話した。
 望楼の芝でも串本町西向の会社員女性(50)は「串本町は災害時に陸路が寸断され
る恐れがある。空路の救援は必要」、同町潮岬の農業男性(70)は「震災はいつ発生す
るか分からない。訓練は意義がある」と好意的だった。
 一方、白浜町では訓練後、空港に近い同町の平草原公園で、県地方労働組合
議会や白浜9条の会らでつくる実行委員会が抗議集会を開き、約400人が集まった。
 白浜町の無職男性(66)は「オスプレイのような墜落の危険性が高い軍用機は防災に
不適格」、田辺市秋津町の男性(72)は「米国を頼りにした災害対策はおかしい。山間
部の多い和歌山でオスプレイが役立つとも思えない」と批判した。
 集会では「災害時の人命救助を考えるなら、県は政府に防災ヘリの充実や地域の消
防力の強化こそ求めるべきだ」というアピールを採択した。県地評・西牟婁支部の山本智
久議長は「防災訓練をオスプレイ配備の宣伝にしてはいけない」と話した。
(引用終わり)
 
紀伊民報 2014年10月20日
住民150人が物資運搬 オスプレイ着陸の串本町
(抜粋引用開始)
 和歌山県津波災害対応実践訓練が行われた19日、串本町潮岬の望楼の芝
軍輸送機「オスプレイ」2機が着陸。白浜町南紀白浜空港からDMAT(災害派遣療チーム)や救援物資などが輸送され、潮岬区民ら約150人が救援物資をリレー形式で運ぶ訓練に参加した。ほかに同町古座の動鳴気漁港では、津波で流された家屋から負傷者を救出するなどの訓練も行われた。
 望楼の芝や潮岬観光タワーには、オスプレイを一目見ようと約3500人が訪れた。同日潮岬で開かれたピースウオークに参加した有志が、オスプレイの防災訓練参加に反対する垂れ幕やプラカードを掲げる姿も見られた。
 訓練では午前10時8分、望楼の芝に1号機が到着し、DMATや薬剤師を降ろした。D
MATは傷病者に治療の優先順位を決めるトリアージをした。
 1号機が離陸した後、救援物資を積んだ2号機が到着。潮岬区民ら約150人が1列
に並び、水やパンが入った段ボール箱計約100キロをリレー形式で運んだ。その後、2号
機は傷病者を潮岬沖の護衛艦「いせ」まで輸送した。
 訓練に参加した潮岬区代表区長の木山誠弥さん(75)は「区民は一生懸命物資を運
んでおり、防災に対する意識が高まっていると感じた。オスプレイに対してはいろいろな考えがあるが、区長会で全員一致し人命救助のことを考えて受け入れた」と話し
た。
(略)
(引用終わり)
 
 なお、上記記事中「自衛隊によると、訓練中は県の要請通り、洋上を飛行したという」という部分については、以下のような報道があったことも付け加えておきましょう。
 
(抜粋引用開始)
(略)
 南紀白浜空港への進入時、オスプレイ1機が役場や学校がある白浜町中心部の
温泉街上空を飛行する姿が、日本共産党の高田由一県議をはじめ、住民多数に目撃されました。県は、訓練時に住宅地上空を避けるよう米軍に要請し、「米軍は応じると回答した」
と9月に県議会で答弁していました。
(略)
 白浜町で開かれた抗議集会には、監視行動とあわせて約700人が参加(主催者発表)。
防災を名目にしたオスプレイの訓練拡大や、日米合意を無視した市街地上空の飛行に怒
りの声が相次ぎました。
(引用終わり) 
 
 赤旗の記事にある目撃者・高田由一県会議員のブログもご紹介しておきます。
 
がんばれ!高田よしかず 2014年10月19日 
 
 ところで、紀伊民報も報じているとおり、白浜空港や潮岬・望楼の芝には、反対派住民だけではなく、多数の「見物人」が集まっており、既に多くの画像が動画サイトにアップされていますので、関心のある方は、YouTubeで「オスプレイ、和歌山」というキーワードで検索すれば、白浜空港でも、望楼の芝でも様々な映像を観ることができます(その種の動画には気味の悪い腹の立つコメントがつきものであることは承知しておいてください)。
 
 ここでは、SankeiNewsによる動画のみご紹介しておきます。さすがに、「見物人」がヘリコプターからの俯瞰映像を撮影する訳にはいきませんからね。この動画では、望楼の芝を飛び立って洋上の護衛艦「いせ」に向かうオスプレイ、「いせ」に着艦するオスプレイ、ヘリコプター空母「いせ」の艦内に運び込まれる「負傷者」などの画像を視聴できます。ここまで撮影するのなら、「いせ」を飛び立つオスプレイの映像があってしかるべきだと思うのですが、取材機の燃料が切れたのだろうか?
 
自治体訓練にオスプレイ初参加 和歌山県津波災害対応訓練

 さて、後半では、下村雅洋さんが Facebook に発表された4本の投稿をご紹介します。まず
は、その静止画及び動画に注目してください。
 
1本目 下村雅洋さん 2014年10月19日 19時31分
(引用開始)
「今日は和歌山県全域で防災訓練が行われた。私は潮岬の望楼の芝まで行った。海は美しい景色で、大勢の人に観光に来てほしいと思った。防災訓練にオスプレイが来るので視察に。ぜひ安全に離発着をと願った。洋上は風がき
つくて予定より遅れたそうだが、事故もなく終わったので良かった。ところが離陸をした後、なんと芝の上が燃えていた」
 
2本目 下村雅洋さん 2014年10月19日 19時39分
オスプレイの離発着の様子と消防のみなさんが出動する様子を4本アップします。オスプレイの離発着箇所は、事前に芝を刈ったそうです。飛来の様子と消防の準備までの動画です」
 
3本目 下村雅洋さん 2014年10月19日 19時51分
(引用開始)
オスプレイが去った後、消防のみなさんが一気に消火しました。燃え広がるという状況
ではなかったが、防災にオスプレイはじゃまだと思いました。だって、オスプレイに来てもらおうと思ったら、草刈りをして、消防が待機をして、去った後は消火が不可欠。はたして災害時に必要でしょうか?自衛隊の普通のヘリで十分間に合うのではないでしょうか?オスプレイは救援活動にはむしろじゃま。災害時にオスプレイのサポートしている暇はないと思います」
 
4本目 下村雅洋さん 2014年10月19日 19時59分
「2機目の消火の様子です。考えてみたいです」
 
オスプレイ(望楼の芝) 下村さんがレポートしてくださった消防隊の消火活動は、もしかすると他にも動画サイトにアップした人がいるかもしれないのですが(だって紀伊民報によれば3500人も来ていてみんな同じ様子を見ていたはずなのだから)、今のところ目に付いたのはこの下村さんによる報告だけです。
 ヘリコプターが離発着するだけで、どうして芝生が燃えるのか?という疑問を持たれた方がいる
かもしれませんが、オスプレイの「熱風(排気熱)」は、普天間配備の前から問題になっており、2012年8月には、沖縄県から「MV-22オスプレイの環境レビューについて」という44項目に及
ぶ質問が国になされた内の1つが(問43)この問題についてのものでした。
 沖縄県からの質問に対する同年9月19日付の防衛大臣「回答」を引用しておきます。ちな
みに、この時は民主党・野田政権の末期で、防衛大臣森本敏氏でした。
 
「MV-22オスプレイの環境レビューについて」(回答)
(抜粋引用開始)
問43 温度のみから火災発生の可能性について分析している(P172)が、熱排気の暴露
時間を考慮した分析結果なのか不明である。また、延焼にまで至らずとも、植物が焦げた場合、水分含有量などが減っている状態であるため、その後の訓練で火災になる可能性があることを考慮して分析した結果を示す必要があると考える。さらに、下降気流の温度が、距離・範囲により、どのように低下していくのかについて示した上で、下降気流による森林の乾燥化、乾燥化に伴う植生への影響、植生への影響に伴う動物への影響についても分析する必要が
あると考える。政府の見解を御説明ください。
回答
○環境レビューによれば、オスプレイの排気の温度は、ナセルから排出された時には周辺の気
温より約268℃高いが、約1.3m下の地表に到達したときには、約202℃低下し、周辺の気温より約66℃高い程度となる。さらに、通常はデフレクタが作動しており、地面に当たる熱風の温度はさらに低くなるため、火災の可能性は極めて低くなる。アメリカ国立標準技術研究所が実施した裁断された新聞紙や松葉を用いた発火実験では、このような物質の発火が起こるのは、少なくとも摂氏300℃以上の温度にさらされた場合であるとされている。
○また、飛行中においては、ナセルから周辺の物体までの距離が十分に離れているため、火
災の危険性や周辺環境への影響は小さいと考えられる。
○なお、高温排気の下降気流による森林の乾燥化等については、離着陸の時間が短時間
であることを勘案すれば、その影響は小さいものと考えられる。(防地沖第12536号(平成2
4年9月19日)による問22の回答参照)
(引用終わり)
 
 「火災の危険性や周辺環境への影響は小さい」って、オスプレイ飛来に備えて「芝刈り」を行っても、下村さんが撮影したような「焼け焦げた跡」を残して飛び立って行ったのですから、芝や下草がもっと伸びていてしかも乾燥していたらと想像すると、これは相当に怖いものがあります(望楼の芝では、毎年1月に芝焼きをやりますが、それはまた別の話です)。
 ・・・とここまで書いてきたら、そして読んでいただけたら、次にやることは何でしょうか?
 私は先ほど、YouTubeで「オスプレイ、和歌山」というキーワードで検索すれば、様々な画
像を観ることができると書きましたが、「オスプレイ普天間」、「オスプレイ 高江」の動画を検
索しなくていいのか?という問いが自分の胸に突きつけられていると感じました。
 ここから先は、1人1人が自分で考えることですね。

焦跡1(望楼の芝)
焦跡2(望楼の芝)
焦跡3(望楼の芝)