wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

特定秘密保護法と集団的自衛権、闘うための武器はある~日弁連とあすわかのご紹介

 

 今晩(2014年10月25日)配信した「メルマガ金原No.1889」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
特定秘密保護法集団的自衛権、闘うための武器はある~日弁連とあすわかのご紹

 弁護士でもなければ、まず目を通す必要もない法律ですが、「弁護士法」という法律があります。本文92条という中規模クラス(?)の法律であり、弁護士でも全条文に精通している者はめったにいないかもしれません(私もそうです)。
 それでも、いくらなんでも以下のような重要な条文を知らない弁護士は「もぐり」でしょう。
 
弁護士法(昭和二十四年六月十日法律第二百五号)
 
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO205.html
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度
の改善に努力しなければならない。
(弁護士の職責の根本基準)
第二条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に
精通しなければならない。
(弁護士の登録)
第八条 弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければな
らない。
(登録の請求)
第九条 弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の
請求をしなければならない。
 
 弁護士会が「強制加入団体」である根拠は弁護士法8条にあります。全ての弁護士は、全国に52ある弁護士会(北海道は地裁が4つあることに対応して4会、東京は歴史的経緯から3会、その他は各府県ごとに1つずつ)のいずれかに入会し、かつ日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録される必要があり、この要件を満たさなければ、そもそも弁護士とはいえません。
 従って、弁護士会(日本弁護士連合会も各地の弁護士会も)は、思想・信条も、政治的立場も、様々な会員が混在することを当然の前提としている組織です。
 そして、その帰結として、政治的に鋭く対立する問題について、明確に一方の考え方を支持する態度は表明しにくいという結果になりがちであったことは否めません。
 しかしながら、弁護士法1条1項「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という目的に直接関わるような重大な問題については、ある程度の異論は会内に抱えつつも、弁護士会としての旗幟を鮮明にすることが求められることは言うまでもありません。
 そのような意味で、現在、弁護士会が総力をあげて取り組むべき最重要課題が、「秘密保護法」と「集団的自衛権」であることは言うまでもありません。
 日本弁護士連合会は、前者については秘密保護法対策本部、後者については憲法問題対策本部を設置し、強力に反対の運動を推進する体制をとっており、先月(9月)には、理論的な検討の成果をまとめた意見書を公表していますので、ご紹介しておきたいと思います。
 いずれも、全文引用する紙幅がありませんので(特に集団的自衛権についての意見書は25頁もあります)、冒頭の「意見の趣旨」のみ全文引用し、「意見の理由」については項目のみ抜き書きしておきます。
 
特定秘密保護法の廃止を求める意見書
2014年(平成26年)9月19日
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2014/opinion_140919.pdf
第1 意見の趣旨
 本法は,廃止されるべきである。
 本法には,制定のために必要な立法事実が認められない。また,その内容は,本法の施行
令(案)や「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」等及びその修正を考慮しても,国民の知る権利を侵害し,情報公開制度や国会の行政監視機能を阻害するおそれは,何ら払しょくされていない。しかも,本
法制定に当たっては,十分な国民的な議論が尽くされたとは言えない。
 したがって,まずは本法を廃止し,制度の必要性や内容について,あらためて国民的な議論
を行うべきである。また,仮に,国民的な議論を経た上で法律が必要とされる場合であっても,
ツワネ原則に則し,国民の知る権利及びプライバシーの保護の規定を明文化すべきである。
第2 意見の理由
 1 はじめに
 2 立法事実の欠如
 3 主権者国民による判断の必要性
 4 ツワネ原則を満たさない本法の問題点
 5 結語
 
集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定に対する意見書
2014年(平成26年)9月18日
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2014/opinion_140918.pdf
意見の趣旨
1 2014年7月1日に内閣が行った「国の存立を全うし,国民を守るための切れ目のない安
全保障法制の整備について」と題する閣議決定は,集団的自衛権の行使を容認し,海外で自衛隊の武器使用と後方支援の権限を拡大するものであり,日本国憲法立憲主義基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義及び国民主権の基本原理に違反し違憲
あるから,これに強く反対し,その撤回を求める。
2 上記閣議決定を実施するための法律の制定ないし改正もまた,同様に日本国憲法に違
反するものであるから,これを行わないことを強く求める。  
意見の理由
第1 本閣議決定違憲
 1 恒久平和主義の基本原理に反すること
 2 立憲主義の基本理念に反すること
 3 国民主権の基本原理に反すること
第2 集団的自衛権行使容認について
 1 集団的自衛権行使が憲法違反であることについて
  (1) 集団的自衛権行使を容認する閣議決定
  (2) 憲法第9条に違反すること
  (3) 従来の政府解釈を変更するものであること
 2 新3要件の無限定性と危険性について
  (1) 政府の説明
  (2) 不確定概念であること
  (3) 地理的限定のない海外での武力行使を可能とするものであること
  (4) 「我が国と密接な関係にある他国」の範囲に制限がないこと
  (5) 政府判断に委ねられること
第3 国際的活動における後方支援活動と武器使用の拡大について
 1 いわゆる後方支援と「武力の行使との一体化」について
  (1) 現に戦闘行為を行っている現場以外での支援活動を容認する本閣議決定
  (2) 従来の政府解釈
  (3) 本閣議決定の問題点
 2 国際的な平和協力活動に伴う武器使用について
  (1) 武器使用を拡大する本閣議決定
  (2) 従来の政府解釈
  (3) 本閣議決定の問題点
第4 武力攻撃に至らない侵害への対処の問題について
 1 「武力攻撃に至らない侵害」に対し自衛隊による武器使用等を容認する本閣議決定
 2 本閣議決定の問題点
第5 今後の国内法整備等の問題について
第6 結論
 
 日弁連が発表するこの種の意見書は、網羅的に様々な論点に目配せをすることの代償として、「一番肝心な点は何か」というポイントがぼやけがちになってしまうという難点がついて回るものであり、上記2つの意見書(特に集団的自衛権の方)も、その弊がない訳ではありません。
 しかしながら、多くの弁護士の衆智を集めた良さもあるのであり、要は活用の仕方の工夫次第ということだろうと思います。
 
 問題の本質をストレートに国民に訴求するためには、意見書や会長声明ではだめだということは日弁連も十分に自覚しており、様々なパンフレットなどを制作しています。
 以下に、秘密保護法と集団的自衛権についてのパンフレットのPDFファイルをご紹介しておきます(いずれも、学習会の資料として配付しても使えるのではないかと思います。集団的自衛権の方は一工夫必要ですが)。
 
エッ!これがヒミツ?あれもヒミツ!あなたも「秘密保護法」にねらわれるQ&A
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/himitsu_hogo_qa.pdf
 
集団的自衛権。それは、外国のために戦争をすること。
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/self-defense.pdf
※ このパンフレットについては、私のメルマガ(ブログ)で以前ご紹介したことがありました(集団的自衛権についての日本弁護士連合会の最近の取組)。
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/37872887.html
 
 PDFファイルをダウンロードして自分で印刷して利用されてもよし、あるいは、日弁連に在庫があれば、送ってもらうことも(もちろん無償で)可能だと思いますから、必要な方は、一度日弁連に問い合わせてみてください。
 問い合わせ方法は、
1 日弁連代表番号(03-3580-9841)宛に電話した上で、
2 「秘密保護法反対のパンフレットを送って貰えるか確認したいので法制第一課の担当の人につないでください」もしくは「集団的自衛権反対のパンフレットを送って貰える か確認したいので人権第二課の担当の人につないでください」とおっしゃってください。
 
 実は、日弁連では、これ以外にも様々なパンフレット等を作っており、基本的に全てPDFファイルを公開するとともに、在庫のあるものについては、取り寄せ依頼に応じています(そのはずです)。
 是非、一度その一覧表をご覧になってください(中には少し古いものもありますので、制作年月の表記はして欲しいですね)。
 
http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/pamphlet.html#pam_04
 
 上にご紹介した秘密保護法と集団的自衛権に関するパンフレットは、日弁連制作のパンフレットの中では非常に良く出来ていますし、特に後者については、そのデザインのセンスを含めて「出色」と言っても良いと思います。実際、去る9月16日、伊藤真弁護士を講師に招いて和歌山弁護士会が開催した市民集会で来場者にこのパンフレット(と日弁連特製・集団的自衛権反対ティッシュペーパー)を配布したところ、大好評を博しました。
 
 さらに、日弁連は、問題の本質をズバリ突く「集団的自衛権Q&A」を作って公開しました。
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/activity/data/constitution/self_defence_qa.pdf
 日弁連広報用キャラクター「ジャフバくん」が「質問役」を務め、集団的自衛権行使容認問題の本質を分かりやすく訴えています。
 
(チラシ文字データから引用開始)
閣議決定憲法違反!
集団的自衛権」は,
ほんとうは外国のために戦争することです。
 
Q 集団的自衛権って,日本のために必要なの?
A いいえ!必要ではありません。
集団的自衛権は,日本が直接攻撃されていなくても,外国のために,海外で戦争
することです。
 閣議決定は「自衛の措置」とは言いますが,決して「自衛の措置」ではありません。「他衛」のためのものであり,日本の防衛には必要ありません。この「集団的自衛権」が,大国の軍事侵攻の口実とされてきたのが,歴史的な事実です(ベトナム戦争アフガニスタン戦争等)。
 日本を守るためではなく,外国の戦争のために,日本の自衛隊・若者が血を流すことになりかねません。
 
Q 「限定的」「必要最小限度」って言っているから,大丈夫?
A いいえ!政府は行使の「事例」を挙げていますが,それらは「集団的自衛権」の本質(=戦争)とはかけ離れた非現実的なもので,「限定」ではありません。
 「集団的自衛権」の行使が容認されれば,これまで「日本に対する攻撃」の場合のみに限定されていた自衛隊武力行使が,「他国への攻撃」の場合も可能とされ,制約なく,海外で自由に戦争できることになります。戦争が始まれば,現実の戦争では,「限定」「必要最小限度」等という曖昧な基準は,全く意味がありません。
 「集団的自衛権」を行使すれば,他国との戦争状態になり,日本(人)は直接の攻撃対象となります。
 いったん他国との戦争が始まれば,簡単に終わらせることはできません。その事は,太平洋戦争が証明しています。
 
Q でも行使できないと「日本の防衛」は不十分じゃないの?
A いいえ!「日本の防衛」は,現在の防衛力(=個別的自衛権自衛隊)で十分機
能しています。
 尖閣問題や北朝鮮のミサイル問題には,今の憲法の枠内の個別的自衛権で十分対応可能です。またこれまで,集団的自衛権行使をアメリカから要請されたことはありません。
 「日本の防衛」に「集団的自衛権」は必要ではありません。
 軍事力の偏重は軍拡競争を招き,かえって,アジア地域の緊張を高め,日本の安全保障を不安定にするおそれのほうが強いと言わざるを得ません。
 
Q 「閣議決定」で「集団的自衛権」行使を認めるって,できるの?
A
いいえ,できません!憲法違反です。
☆「日本への攻撃」がない場合の自衛権武力行使)を,憲法第9条は認めていません。
したがって,集団的自衛権の行使はできないというのが,戦後一貫した政府の解釈です。 
 戦争は最大の人権侵害であり,平和なくして国民の人権保障は実現しません。
 憲法第9条は,先の大戦の深刻な反省の下,「政府が戦争を起こすこと」を禁じた規定です。
 「戦争放棄,戦力の不保持,武力により紛争を解決しない」との固い決意を示した,憲法第9条の徹底した恒久平和主義は,先駆的意義を有する普遍的な原理です。
 憲法第9条の意義を失わせることになる「集団的自衛権」を認めることは,政府が戦争することを認め,平和国家の根幹を変えようとするものです。
 多くの国民の声を無視し,国会の議論もなく閣議決定という大臣の意思だけで決定することは,実質的に改憲であり,立憲主義(国民の人権を守るため憲法が政府を縛る)に反し,到底許されません。法律改正で許されないことも当然です。
 
「私たちは,法律家団体として,立憲主義を堅持する立場から,
閣議決定や法律改正により政府解釈を変更し,
集団的自衛権の行使を容認することに反対します。」
 
JAFBA 日本弁護士連合会
(引用終わり)
 
 以上、日弁連としてもかなり頑張ったチラシだと思いますし、テキストの内容自体は、街頭宣伝行動の際のアピールに使えそうだな、と思います。
 しかし、訴求力という点では、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)が作ったチラシ「混ぜるともっとキケン!」には到底及びそうもありません。
 
拡散希望!「混ぜるともっとキケン!」チラシできました☆
 
http://www.asuno-jiyuu.com/2014/10/blog-post_95.html
(抜粋引用開始)
 これまで繰り返し語ってきたように、「特定秘密保護法」と「集団的 自衛権の行使」は一体となって(正確に言えば、日本版NSCの3つで1つのセットとして)、この国の民主主義と平和主義を破壊しに襲いかかります。混ぜなくても十分キケンですが、混ぜるともっとキケン、という
わけです。
 そこで今回、2つを混ぜるとどんな社会が実現するのか、具体的な「キケン」に溢れた、迫り
来る自由も民主主義もない社会がイメージできるようなチラシを作成いたしました☆
 じゃーん !!
 ハロウィンぽくてかわいいでしょう?内容は実にホラーですが…
 (イラストを描いてくれたのはもちろん大島史子さん☆)
 これなら、普段あまり政治の話なんかできないお友達にも配れませんか?
 え、ウソ、こんなヤバい法律だったの?こんなことまで秘密にされちゃうの?と、まだまだ「コトの
重大さ」に気づいていない方もたくさんいらっしゃいます。こんなに怖いことが、現実になろうとしていること、絶対に止めなければならないことを、1人でも多くの方に伝えるアイテムとして、ぜ
ひご利用下さい
o(* ̄∇ ̄)ノ”
 もちろん学習会や街頭宣伝etcにもどんどんお使い下さい!
 大きく印刷すればポスターにもなります!
 (印刷・配布・転載等は自由です。どんどん拡散してください。
 ただし、内容変更、一部のみの切り取り等はご遠慮ください。)
(引用終わり)
 
 なお、「大拡散希望!」ということなので、PDFファイルをアップしました。
 
http://web2.nazca.co.jp/nwkv89851/mazerutomottokiken.pdf
 
 ただし、大島史子さんのイラストで訴求力抜群のチラシですが、恐いということは分かるものの、その中身がよく分からないという人もいるでしょうね。そういう人のためにこそ、日弁連のパンフレットが活用できるという訳で、目標は共通なのですから、チラシ、パンフレットも「共闘」すればいいのですよね。