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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

半田滋氏著『僕たちの国の自衛隊に21の質問』を読む

憲法 平和
 今晩(2014年11月18日)配信した「メルマガ金原No.1913」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
半田滋氏著『僕たちの国の自衛隊に21の質問』を読む

 この記事の末尾に、私が過去、東京新聞論説兼編集委員の半田滋(はんだ・しげる)さんの著書・論説・講演などを取り上げて書いた記事の一覧を掲げましたが、「半田滋」&「金原」という2つのキーワードでグーグル検索した結果なので、まだ漏れている記事もあるように思いま
す。
 これは、それほど私が半田さんの考え方や行動に感銘を受け、多くを学ばせていただいているという証左に他なりません。
 
 その半田さんの、単著としては今年おそらく3冊目の著書『僕たちの国の自衛隊に21の質問』(講談社)が刊行されました。

 
 ちなみに、他の2冊は以下のとおりです。

Q&Aまるわかり集団的自衛権
半田 滋
旬報社
2014-07-25


 この発売されて間のない『僕たちの国の自衛隊に21の質問』が手元に届いたのが昨日(11月17日)のこと。そして、この本文237頁の本を一気に読み上げて感想を書こうというのですから、先日の伊勢﨑賢治さんの新著(『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』)といい、「最近ほとんど本が読めなくなった」と嘆いていた私にしては感心なものだと、自分自身を褒めてやりたい位ですね・・・というのは余談として。
 
 まず、この本の帯(腰巻き)の表に書かれた惹句をご紹介しましょう。

緊急出版!!
将来、戦場に行かされる君たちへ―
これからを生きる若者たちが知っておくべき日本の国防の基礎知識
 
 そして、カバー装画にはイラストレーター・高橋由季さんの絵が起用され、小銃を持った学生服姿の少年に「マジで戦争に行くのかよ!!」という吹き出しが添えられています。
 ちなみに、高橋由季さんの公式サイトで、このイラストが紹介されるとともに、高橋さん自身、このよ
うに書いておられました。
憲法解釈改憲自衛隊法の改正により、今後自衛隊を海外の戦地に派遣することが可能になります。あまり伝わっていない国防の話を、豊富な図説・写真を掲載しながら解説。といった内容の書籍です。テーマがテーマだけに、難しさもありましたが、子供も、大人も手に取りやすいカバーになったのではと思います。今回ご依頼いただいたのを機に、わたし自身、国防について深く知るきっかけとなり、あらためてきちんと向き合わないといけないテーマだと感じました。ぜひ書店にて、手に取っていただけると嬉しいです」
 
 伊勢﨑さんの『日本人は人を殺しに行くのか』は、朝日新書編集部が考え出した書名であることは伊勢﨑さんご本人から確認しましたが、『僕たちの国の自衛隊に21の質問』のカバー装画に使われた「マジで戦争に行くのかよ!!」が、イラストを担当された高橋さん、書籍編集者、半田さんのどなたかが思いつかれたかは未確認であるものの、作者の執筆意図を汲み取ったとても良い吹き出しだと思います。
 
 半田さんが、版元の講談社が発行する雑誌「本」の2014年11月号に、新著について書かれた原稿が現代ビジネスサイトで読めます。半田さんの執筆意図が端的に語られています。
 
 7月と8月の上旬には、AKB48の「ぱるる」こと島崎遥香さんが登場するテレビCMがオンエアされました。「自衛官という仕事、そこには大地や海や空のように果てしない夢がひろがっています」。自衛官募集の大がかりなCMでした。
 AKB48起用の理由を、防衛省人材育成課は「親しみやすいうえ、東北復興にボランティア
として活躍している。『人の役に立ちたい』という若者に訴えかける力がある」といいます。しかし、自衛官になって「人助け」をしようとする若者たちの「果てしない夢」はしぼんでしまうかもしれないのに「夢のある自衛
官になろう」と呼びかけるのですから、まるでブラックジョークです。
 安倍政権が進める安全保障政策の大転換に、どれほどの人が気づいているでしょうか。日
本版NSC国家安全保障会議)の設立、特定秘密保護法の制定、国家安全保障戦略の策定、武器輸出の解禁、集団的自衛権の行使容認、と一直線に続く、戦争への道。「戦
前回帰」を目指すかのようです。
 新刊『僕たちの国の自衛隊に21の質問』は、中学生でも読めるように自衛隊やアメリカ軍の
今と将来を分かりやすく説明した本です。今後は、学校では教えない知識が必要になるかも知れません。日本人に戦死者が出る日が来るかも知れません。子供たちに絡みつくかも知れない戦争は、決して他人事ではないの
です。
(引用終わり)
 
 先に「この本文237頁の本を一気に読み上げ」たと書きましたが、一気に読めたのは、非常に大きめのポイントの文字が使われており、老眼の進んだ私にも読みやすかったからでもあります。
 以前、伊藤真さんがその著書『中高生のための憲法教室』(岩波ジュニア新書)を紹介する際に、「中高年のための」と考えてくださって一向にかまいません、と説明されているのを聞いて感心したことがありましたが、半田さんの『僕たちの国の自衛隊に21の質問』を読み終えた今、私は、ぜひとも中高生(とは限らず若者)に読んで欲しい本だけれど、中高年の皆さんにもぜひ手にとっていただきたいと思って
います。

 それは単に、大きなポイントの字で読みやすいからというだけではありません(それもありますが)。
 私たちは、自衛隊のことをどれだけ知っているでしょうか。私の母方の叔父が2人まで元自衛官であったということはどこかで書いたことがあると思いますが、それも私が子どもの頃の話なので、最近の自衛隊の実情には私自身全く疎いままです。そのような状態で「自衛隊」を語って良いものだろうか?という疑念は少なからずありました。

 私は、この『僕たちの国の自衛隊に21の質問』を通読し、自衛隊について多くのことを学ばせてもらいました。もちろん、中学生にも分かるように書かれていますので、あくまでアウトラインを理解してもらうのが目的の本であって、詳細について知りたければ、半田さん自身の著書を含む多くの文献を渉猟する必要があるでしょうが、長年愛情を持って自衛隊を取材し続けてきた半田さんであればこそ、このように、自衛隊について、若者を含む全ての国民が知っておくべきことを簡潔にかつ分
かりやすく解説できるのだと思います。

 伊勢﨑賢治さんは、“怒りにまかせて”『日本人は人を殺しに行くのか』を書いたと仰っています。
 それでは、半田さんは、どういう心情によって『僕たちの国の自衛隊に21の質問』を書き上げたのでしょうか?
 直接、半田さんから伺った訳ではないので、単なる私の推測、あるいは感想に過ぎないのですが、半田さんを支えたモチベーションは「自衛隊員を死なせたくない」という思いではなか
ったでしょうか。
 私がそのように感じる箇所はいくつもあるのですが、その思いが端的にほとばしり出ていると私が感じた箇所を引用したいと思います。
 
「PKOでの成功が続くうちに、軍事に関心を持っている政治家が日本には少ないこともあって、自衛隊の海外活動に関心を向けられることが少なくなりました。PKO協力法に基づいた海外派遣は14回にのぼり、死者ゼロ、発砲ゼロという記録を更新し続けています。こうした記録が、政治家たちに「自衛隊は、海外のどこに出しても安全だろう」「制服組に任せておけば、なんとかなる」と勘違いをさせてしまいました。イラク戦争の真っ最中だったイラクに自衛隊を送り込んだのです。派遣は2年半に及びましたが、自衛隊は奇跡的に無事でした。結果が出れば出るほど、自衛隊の任務は危険性を帯びていきます。安倍晋三首相は、海外で活動する日本人に武装集団などから襲われる危険が迫った場合、自衛隊が救い出す、駆け付け警護も任務とすることを決めました。カンボジアのPKOで下された命令です。また、戦争をしている他の国の軍隊に、武器・弾薬や燃料を届けたりする後方支援活動も、自衛隊の任務にすることに決めました。安倍首相は『自衛官は死なない』とでも思っているのでしょうか。(略)集団的自衛権について説明する安倍首相は、『戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません』と言います。この発言は、自衛隊が反撃した瞬間にウソということになりますね。『国民の生命を守る』と公の場で発言している首相ですが、『自衛官の生命』はどうでもよいと考えているように思えてなりません」(97~99頁)
 
 あと、引用はしませんが、本書の終わり近くのQ20において、「将来、アメリカが世界のどこかで戦争を始めるとします」から始まるシミュレーション(214頁~)は、本書をそこまで読み進んできた中学生や高校生にも、きっとリアリティをもって理解してもらえるのではないかと思いました。
 
 先に、本書を中高生にも中高年にも薦めたいと書きましたが、まだしもお金を持っていそうなお父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんがまずこの本を購入して通読し、子どもや孫に読むように勧める、そして書かれている内容について家族で話し合う、そのような「一家に一冊」の常備本として日本中の家庭に広まることを願います。

 最後に、本書に収録された「21の質問」をご紹介しておきます。

第1部 自衛隊って、なにをしているのですか?
Q1 日本国憲法には戦争をしてはいけないと書かれているのに、なんで自衛隊があるの?
Q2 自衛隊はどうやってできたの?どんな組織になっているの?
Q3 第二次世界大戦が終わった後、日本はどうやって国を守ることにしたの? 
Q4 自衛隊って、世界の軍隊の中でどれくらい強いの? 
Q5 国の予算のうち、「防衛費」って、どのくらいの金額で、どうやって使われているの?
Q6 自衛隊の使っている武器の性能は?武器は国産なの? 
Q7 自衛隊地震などの災害のときに救助活動しているイメージだけど、年に何回ぐらい出動しているの?
Q8 自衛隊が海外で行っている活動には、どんなものがあるの?  
第2部 日本とアメリカ軍の関係について、教えてください
Q9 アメリカ軍は、どうして日本に基地を置いているの?   
Q10 なぜアメリカ軍の基地は、沖縄にたくさん置かれているの?
Q11 アメリカ軍が沖縄に持ってきたオスプレイという新しい航空機は墜落事故が多いって聴きました。自衛隊も買うそうだけど、本当に大丈夫なの?
Q12 アメリカは、ほかの国から日本が攻撃されたとき本当に守ってくれるの? 
Q13 アメリカと韓国が、韓国の近くの海で合同演習をしています。これから、日本―アメリカ―韓国の連携が必要になるの?  
Q14 防衛省自衛隊は、アメリカ以外の国々とも交流しているの?
第3部 これから自衛隊は、戦争することになるの?
Q15 中国が、「尖閣諸島は自分の国のものだ」と言って、船で近くまでやってきているというニュースを見ました。将来、日本と戦争になったりしないの?
Q16 北朝鮮から日本に飛んできたミサイルを防ぐことってできるの?
Q17 すでに日本は外国に武器を輸出しているって、本当なの?
Q18 安倍晋三首相はなぜ、そこまでして自衛隊を海外の戦争に参加させようとしているの? 
Q19 将来、私たちは、自衛隊に入らなくてはいけなくなるの? 
Q20 最近つくられた組織や法律によって、日本は戦争がしやすくなるの? 
Q21 日本国憲法が変わると、戦争が起きるの?
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年5月7日
マガ9学校・第24回「日本は『平和国家』の看板を下ろすのか?(川口創氏×半田滋氏)」
2013年6月13日
半田滋氏 「『国防軍』をつくる」の愚かさ 今週の一言(法学館憲法研究所)
2013年8月23日
半田滋著『集団的自衛権のトリックと安倍改憲 「国のかたち」変える策動』を読む
2013年9月25日
半田滋さんの論説『条約無視して解釈改憲か』を読む
2014年4月26日
半田滋さんの講演から学んだこと(付・半田滋さんの論説『首相の奇妙な状況認識』を読む)
2014年5月24日
半田滋氏『日本は戦争をするのか―集団的自衛権と自衛隊』(岩波新書)を読む