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濱一己さんと語る原発を拒み通した理由~11/29映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』上映と濱さんとの交流会(和歌山市あいあいセンター)のお知らせ

今晩(2014年11月22日)配信した「メルマガ金原No.1917」を転載します。

なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
濱一己さんと語る原発を拒み通した理由~11/29映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』上映と濱さんとの交流会(和歌山市あいあいセンター)のお知らせ
 
 いよいよ次の週末(11月29日)、ドキュメンタリー映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』の上映会が和歌山市で開催されます。
 和歌山では、9月、10月、11月と、憲法問題、原発問題に関連する様々な企画が相次ぎ、
私自身を含め、多くの人がいささか「お疲れ」モードとなっていることは否めません。
 そこへ、降ってわいた解散総選挙。まだ映画上映の企画があるということに、どれだけの人が注
意を向けてくれるか心許ないということで、企画の中心を担っている松浦攸吉さんからほぼ全ての呼びかけ人に対して叱咤の電話が入っており、当然のことながら私のところにもかかってきました。そして、「もう一度メルマガやブログで取り上げて欲しい」というご依頼であったものの、「既に2回も取り上げているしなあ、何か新しい切り口がないと・・・」という私に対し、「昼の部の上映が終わった後、濱一己(はま・かずみ)さんが上映会参加者との交流会(意見交換会)に出てくれることになったので、これを広く知らせて欲しい」ということでした。そこで、上映会の1週間前の今日、急遽「3回目」の紹介記事を書くことにしたものです。
 
 紀伊水道をはさんで向かい合う徳島県阿南市椿町の「蒲生田原発」建設計画(四国電力和歌山県日高町の「日高原発」建設計画(関西電力)を阻止した両岸の漁師をはじめとする住民へのインタビューで構成された長編ドキュメンタリー映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』、その制作スタッフと予告編及び上映会の開催概要を再掲します。
 
【作品スタッフ】
製作・脚本:矢間秀次郎
監督:かさこ
撮影:中井正義
録音:田辺信道  
水中撮影:山口敬志
音楽協力:SHOCHIKU RECORDS『魂の歌』より
(作曲:岩代太郎 演奏:東京都交響楽団)
※矢間秀次郎氏とかさこ監督の対談が YouTube で視聴できます。
かさこでいいかも!第5回、映画「シロウオ」プロデューサー矢間秀次郎さん
 
http://www.youtube.com/watch?v=uTCPrIo2pLA
 
【予告編(映画紹介)】
 
http://www.youtube.com/watch?v=A6MZ7JLlfOI
 
和歌山市上映会 開催概要】
日時 2014年11月29日(土) 昼・夜2回上映
    昼の部 午後2時~3時50分(開場1時30分)
    夜の部 午後6時~7時50分(開場5時30分)
※昼の部の上映終了後、映画にも出演されている日高町の濱一己(はま・かずみ)さんと
の交流会(意見交換会)を行います(約1時間予定)
会場 和歌山市あいあいセンター 6階ホール
    和歌山市小人町29番地 電話073-432-4704
 (電車でお越しの方)
  南海和歌山市駅から南へ徒歩10分
 (バスでお越しの方)
  和歌山バス城北橋バス停より徒歩3分
  和歌山バス市役所前バス停から西へ徒歩5分
 (車でお越しの方)
  会場駐車場は台数僅少につき近隣のパーキングをご利用ください
参加協力券
 大人 1000円
 学生  500円
 中学生以下 無料
主催 映画「シロウオ」和歌山市上映会
お問合せ先
 090-5897-5339(土井)
 090-5120-2451(松浦)
備考 一時保育はございませんが上映会場と同じフロアの「子ども室」をご利用いただけ
 
 さて、映画そのものについては、2回にわたって紹介している私の記事をご参照いただくとして、以下に当日の特別ゲスト・濱一己さんについて簡単にご紹介しますので、映画の鑑賞とあわせて、濱さんとの交流会(意見交換会)にも是非ご参加いただきたいと思います。
 なお、夜の部を鑑賞予定の方も、少し早めにおいでいただき、交流会にご参加いただくこと
も可能です。

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○現在、日高町で息子さん(長男)とともに民宿「波満の家(はまのや)」を営む濱一己さんが、日高原発(小浦原発)建設阻止のために「身体を張った」ことについては多くの人が証言していますが、京大原子炉実験所・原子力安全研究グループ(熊取六人組)メンバーの証言をご紹介しましょう。なお、以下の2本の映像は、YouTube にアップされてから既に3年近く経過しながら、制作会社(毎日放送)からの著作権侵害通告はなされていないようなので、ご紹介することとしました。
「なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・"異端"の研究者たち」
 
https://www.youtube.com/watch?v=z6ioBm6aAS0
 18分~が「波満の家(はまのや)」での合宿の模様です(2008年夏)。日高原発阻止闘
争の分岐点となった1988年の比井崎漁協臨時総会の映像もちらっと出てきます。
 21分~の今中哲二さんの話「彼らは身体を張ったんですよ。身体を張っても原発は止めるぞという決意表明をしたんですね。それに対して、原発を進める側は身体を張る用意がなかった。それで、僕は、彼ら(原発推進派)は押し切れなかったんだと思う」
放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・"異端"の研究者たち~」
 
https://www.youtube.com/watch?v=aJtfB0saVVI
 39分~が「波満の家」での合宿(2011年夏)の模様です。
 
○2012年9月10日、朝日新聞に掲載された「〈ニッポン人脈記〉石をうがつ:7 父と守った海 息子へ」では、濱一己さんのお父さんの清一(きよかず)さんが、原発に反対することになった以下のようなエピソードが語られています。
 
http://www.bians.jp/bians_next/genpatu/2013news/hito/hito2013_14.html
(抜粋引用開始)
 当時は、予定地の住民を、すでに原発ができた地域に視察旅行に連れて行くのが常だった。
金は電力会社が出す。地元漁協の幹部だった濱の父、清一(きよかず)も、誘われて何度か参加した。視察といっても実際は観光がメーンで、夜になればどんちゃん騒ぎだ。清一はあるとき、一行を離れ、網の繕いをしていた老齢の漁師に声をかけた。「俺は和歌山からきた漁師です。原発ができてから、どんな案配ですか?」
 その漁師はしばらく黙って手を動かしていたが、ふいに言った。「後継ぎがいるなら、こんなもの
造らすな。ええことない」。原発から温かい排水が出るようになって水中がぼやけてみえ、アワビやサザエを取るのもままならなくなったという。同じ漁師の言葉は重かった。帰宅した清一は言った。「あがいなものいかん」跡取り息子の濱の反対運動が始まった。
(引用終わり)
 ちなみに、この記事を書いた大久保真紀さんという記者は、2012年夏に「波満の家」で行
われた合宿にも参加していたと思います。実はその合宿の1日目だけ私も参加する機会をいただき、午後の勉強会が終わった後、濱さんの操縦する漁船に乗せてもらい、小浦原発建設予定地であった海岸を、濱さんの解説付きで案内してもらったのですが、その際に撮影した写真を、私のブログ(弁護士・金原徹雄のブログ)と Facebook のカバー写真に使っているのです。

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○なお、日高原発建設阻止の歴史について簡明にまとめた記事原発の火種消した町 漁師、医師ら40年のたたかい 和歌山県 日高町が「民医連新聞」(2012年1月2日/1515号)に掲載され、全日本民医連のWEBサイトに転載されています。
 
http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/shinbun/2012/1515/1515-05.html
(抜粋引用開始)
 「漁師の世界では『板子(いたご)一枚下地獄』と言ってな、お互い助け合わないと生きてい
けない。町長、この気持ちがわかるか」―。漁師の濱一己さんの叫びが、議場にこだまします。壇上には二〇年にわたり原発を推進してきた一松春(はじむ)町長(当時)の姿が。
 板子とは舟底に敷く揚げ板のこと。板子の下には危険な海が広がります。漁師は命がけで
漁をし、いざという時には身を投げ打っても仲間を助けます。原発はこの人間関係をずたずたにしました。
(略)
 濱さんが町長に訴えたのは、一九九〇年の比井崎(ひいざき)漁協総代会。同漁協は阿
尾、小浦など日高町沿岸九漁港の漁師が会員です。世論に押された漁協は建設拒否を決定。直後に原発反対の町長が当選し、建設は事実上ストップします。ただ、ここまで来るのは長い道のりでした。
(引用終わり)
 
○日高原発(阿尾及び小浦)をはじめとする和歌山県下で計画された原発立地計画をいかに阻止したかという歴史については、以下の書籍が必読文献です。
原発を拒み続けた和歌山の記録』
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E6%8B%92%E3%81%BF%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%9F%E5%92%8C%E6%AD%8C%E5%B1%B1%E3%81%AE%E8%A8%98%E9%8C%B2-%E3%80%8C%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%84%E3%81%BE%E3%80%8D%E7%B7%A8%E9%9B%86%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/dp/4902269481
 本書中、寺井拓也さんが執筆された「五ヵ所の原発計画と反対運動」「一、日高町の原
発をめぐって」「8 原発に揺れる漁協、最後の闘い―昭和六三年」から、1988年(昭和63年)3月30日に開かれた比井崎漁協臨時総会における緊迫感溢れる「闘い」の描写の一部を引用します。
(抜粋引用開始)
 議長選任が終わり議事に入る。組合長が議案の「事前調査に関する件」について、関西
電力との交渉経過を述べ、提案理由を説明した。それを受けて、反対派組合員からは「事前調査と建設が別問題というのは詭弁。建設を前提にしないで、どうして関電が六億七千万円もの調査協力金をだすのか」「切り離しの根拠を示せ」との追及が始まった。
 午後一時五五分、議長が突然「質疑打ち切り」を宣言し、採決に入ろうとした。これを阻
止しようとする反対派の組合員との激しい応酬が続き、ついにひとりの組合員が壇上に駆けあがって理事らにつかみかかり、会場は大混乱に陥った。
 イスを振り上げる者もいた。組合長が拳で殴られる事態にも陥った。機動隊の三〇人が会
場に入り、混乱は一応収まり、二時一〇分に休憩に入った。漁協の理事らは別室で三〇分間の協議をすることになった。
 二時四〇分、総会再開。執行部は「事前調査凍結を前提に流会にするか、受け入れ諾
否の採決をするか投票で決める」との案を示した。これに対する質疑応答で再び総会は紛糾した。
 再び休憩となった。そして三時四〇分に再会したが、激しいやりとりがまだ続いた。
 今度は組合長から「現執行部任期中の六四年三月までこの問題を凍結する」という変更
案が提案されたが、反対派の組合員からは執行部の議事運営に対する批判が出て、依然怒号が飛び交い、会議は混乱を極めた。
 午後四時過ぎ、ついに組合長が宣言した。
「議案は廃案、役員は総辞職します」
 会場からは大きな拍手がわき起こった。原発推進に直結する「海上調査の受け入れ」を決
める議題そのものをなしにするという宣言だった。
 その結果を聞いて、会場前で事態の推移を固唾をのんで見守っていた原発反対派の県内
外の多くの人々から「万歳!万歳!」の声があがった。座り込みを続けた女性たちは手をとり合って涙した。会場周辺は大きな歓喜と拍手に包まれた。その後会場前に姿を見せた日高原発反対連絡協議会の濱一己事務局長は支援者を前に次のように報告した。
「日高原発問題はこれで終止符を打った。長い苦しい闘いが終わった。(昭和六三年四月
一日付『日高新報』)」
 二一年間に及ぶ日高原発建設計画は、漁協総会の決定でピリオドを打った。漁協が原
発建設計画の前提である事前調査の問題に取り組まない以上、原発立地は事実上不可能となったのである。
(引用終わり)
 引用は、以上までとしますが、これに引き続いて寺井さんが考察されている「漁協はなぜ強
行採決しなかったのか」も、私は感銘深く読みました。
 是非、本書を手に取られてお読みいただければと思います。
 ところで、今中哲二さんが「身体を張った」と評したのは濱さん1人だけではなかったと思いま
すが、実際に「どのように」身体を張ったのか知りたい方は、是非11月29日にあいあいセンターにお越しください。
 
(弁護士・金原徹雄のブログより)
2013年11がつ15日
寺井拓也氏『原発を拒み続けた和歌山の記録』第26回 地方出版文化功労賞 奨励
賞 受賞記念スピーチ(草稿)
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/34101777.html
2014年8月31日
映画『シロウオ 原発立地を断念させた町』と鈴木静枝さん『女から女への遺言状』
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/39945047.html
2014年9月20日
映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』(11/29和歌山市)を観る意義
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/40300738.html
2014年11月2日
原発避難者と原発阻止運動オーガナイザーの講演を聴く~これからの私たちの行動の
ために(11/1和歌山障害者・患者九条の会
 
http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/41081389.html