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選挙権獲得40周年記念日に思う(付・和歌山の弁護士有志による集団的自衛権行使容認反対意見広告)

 今晩(2014年12月13日)配信した「メルマガ金原No.1938」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
選挙権獲得40周年記念日に思う(付・和歌山の弁護士有志による集団的自衛権行使容認反対意見広告

 今後の日本の針路を否応なく方向付けることになるかもしれない第47回衆議院議員総選挙の投開票がいよいよ明日に迫ってきました。
 既に期日前投票などを済ませた方もおられるでしょうが、私自身は、明日の日曜日、いつものように投票所に指定された近くの小学校まで歩いて投票に行く予定です。ちなみに、ここは私の母校でもあり、投票を棄権するということは絶対にして来なかった私にとって、母校の移り変わっていく様子を、この40年間見続けてこられたのも、棄権しないというポリシーを貫いてきたおかげでもあります。
 
 ところで、投票を明日に控えたこの時期に今さらではあるのですが、果たして私はこれまで、「争点」についての判断に従って投票してきたのだろうか?ということを考えることがあります。
 奇しくも、明日12月14日は私の60回目の誕生日で、選挙権獲得40周年記念日であるのですが、どうも過去の私自身の投票行動を振り返ってみると、全国区(というのが昔の参院選にあった)でも中選挙区でも小選挙区でも、また比例代表でも、特定の「争点」なるものについての政党や候補者の態度に「応じて」投票先を決めてきたようには思えないのですよね。
 もちろん、候補者個人の資質がどうでも良いということはなく、また、各政党の全般的な政策の方向性は重視しますが、それは特定の「争点」なるものとは違うだろうと思います。
 
 たとえば、明日、私が母校の小学校まで出かけて行って投票する予定の選挙区・和歌山1区の立候補状況は以下のようになっています。

  A候補 自民党 前職(2年前に初めて立候補して比例復活当選)
  B候補 民主党 前職(2年前に300票差でA候補に競り勝って議席を守る)
  C候補 共産党 新人(2年前にも立候補し、B候補、A候補、維新候補に次ぐ4位だった)
 
 こういう状況で、3人の候補の政策公約を詳しく調べ、どの候補の政策が自分の考えに最も近いかを判断して誰に投票するかを決める、というようなことを、今回の選挙でするつもりはなく、おそらく過去の選挙でもそんなことはしてこなかったと思います。

 ちなみに、私の和歌山1区での投票行動を振り返ってみると、2009年と2012年では別の政党の候補に投票しましたし、今回もまた2012年とは異なった政党の候補に投票する予定です。
 これを単純に「無党派」という言葉でくくるのが正しいやり方かどうかには、実は疑問を持っていますが、それはともかく、明日の和歌山1区での投票行動(予定)を私がどういうふうに考えて決定したのかを整理してみると次のようになるでしょう。
 
1 自民党は昔の自民党ではない。欧州基準で言えばれっきとした極右政党である。
2 民主党には自民党に所属していても少しも不思議のないグループも存在するが、とりあえず、政策の中心は昔の国民政党であった時代の自民党並みと評価できる。
3 B候補自身、大蔵省(財務省)出身というキャリアもあり、昔の自民党であれば宏知会にでも所属するのが自然な「有能な保守政治家」である。
4 今回の和歌山1区は、「極右政党」と「昔の自民党のような政党」と「昔ながらの共産党」から候補が出ており、このうち共産党候補に投票した票は確実に死票になることが予想される。
5 自分の1票が、むざむざと極右政党をアシストする結果に結びつくことは絶対に避けなければならない。
 
 ざっと、以上のような思考経過をたどったという次第です。そこには、たとえば原発政策というような特定の「争点」を最も重視して投票先を決めるというような発想は正直ありません。
 
 実は、私も世話人に名前を連ねている「子どもたちの未来と被ばくを考える会」では、①原発政策と②被曝した子どもたちの健康管理について、和歌山1区~3区の候補者8名全員を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、2区と3区の自民党候補以外の6名から回答がありましたので、その集計結果を公式ブログで公開しています。
 
 
 まあ、それぞれの政党のスタンスから見て、こんなものでしょう。
 では、だからといって、私の考えに最も近い共産党候補に選挙区で投票するか?ということになれば、「その時の状況による」としか言えません(私が3区に住んでいればもちろん共産党候補に投票するでしょうが)。
 もちろん、死票になろうが、極右政党をアシストすることになろうが、原理原則に忠実に行動するという人もいるでしょうが、それは私のとる立場ではありません。
   
 それでは、政党が発表する公約やマニフェストは無意味なのか?各地で各団体が行っている候補者アンケートは無駄なのか?といえば、決してそんなことはありません。
 私たちが、特定の政治勢力を伸張させたい、あるいは逆に引きずり下ろさねば大変なことになると判断するのは、政党や政治家の様々な政策や政治行動の積み重ね、実績に対する評価から生まれるものであって、公約・マニフェスト・アンケート集計結果などは、それらの評価の基礎となる事実を整理することに役立ちます。
 ただし、特定のテーマ、争点についての賛否だけで、多くの有権者の投票行動が左右されるという前提をとるとすれば、「それは違うだろう」ということです。
 
 とはいえ、ワンイシュー選挙など絶対に「あり得ない」のか?ということになると、そこまで断言することはためらわれます。
 以前にも書いたことがありましたが、今回の選挙で選ばれる衆議院議員が、7月1日閣議決定に基づく様々な法案(来年4月の統一地方選挙後の一括上程が予想されています)を審議することになります。
 日本を防衛するためではなく、自衛隊を米軍の下請けとして海外で戦争させるのかどうかという、決定的に重要な問題を審議する議員を選ぶ選挙なのですから、まさにこれを「唯一の争点」として選挙するというのであれば、この点についての各党・各候補の主張を拠り所としたワンイシュー選挙があり得たかもしれません。
 しかし残念ながら、そのような「争点化」ができなかったことは、私たちの力不足と言うしかありません。
 
 最後に、「争点化」には失敗したかもしれませんが、集団的自衛権の行使容認は絶対に認められないという意見広告を、和歌山弁護士会に所属する弁護士有志51名の連名で、一昨日(11日)と昨日(12日)、全国紙の和歌山版に出稿しましたのでご紹介します。
 この意見広告を企画し、和歌山弁護士会に所属する全ての弁護士に呼びかけ、掲載日を代理店と調整していた時には、もちろん解散総選挙など念頭にもありませんでしたから、広告掲載が投票日の直前になったのは全くの偶然です。
 
憲法違反!外国のために戦争する道を開く
集団的自衛権の行使容認に断固として反対します。
私たちは和歌山弁護士会の弁護士有志です。
政府の閣議決定に基づくこれまでの政府解釈の変更やそれに伴う法律改正により、憲法を実質的に改変す
ることは、立憲主義に反する憲法違反の行為であり、私たちは法律家として断固として反対します。