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「三上智恵の沖縄撮影日記〈辺野古・高江〉」を“読み”かつ“観る”ことをお勧めします

 今晩(2014年12月24日)配信した「メルマガ金原No.1949」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記」を“読み”かつ“観る”ことをお勧めします

 オスプレイ配備やヘリパッド建設に反対する沖縄県東村(ひがしそん)・高江の住民たちを追った琉球朝日放送ドキュメンタリー番組『標的の村~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』は、当初ANN系列局の「テレメンタリー」枠で放送するための30分番組(実質25分未満でしょう)として2012年9月に全国放映され、その後、60分ヴァージョン(実質46分だそうです)が作られて沖縄限定で放映されたのですが、実はそのロングヴァージョンを、大阪の朝日放送が昨年(2013年)の大晦日午前4時55分から(!)放送し、私も視聴(もちろん録画して)することができ、深い感銘を受けました。

 この作品は、昨年、劇場用映画として再編集され(タイトルは『標的の村』)、順次全国で公開され、自主上映会も各地で開かれていますが、私は、残念ながらかけ違ってまだ観る機会を持てていません。劇場用はTV版ロングヴァージョンの約2倍の長さになっているようで、何とか来年(2015年)前半のうちには観たいものだと思っています。
 
 なぜ来年の前半か?というと・・・。
 長らく琉球朝日放送のアナウンサー、ディレクターとして活躍し、『標的の村』を初監督した三上智恵
さんが、今年の春、同社を退職されると知った時には驚きました。どのような経緯があったのか詳しくは分からぬながら、退社後の三上さんの活動がどうなるのか気にしていたところ、辺野古・高江をテーマと
した新作ドキュメンタリー映画を作る、という情報が伝わってきました。
 そして、それから間もなく、今年の7月23日からインターネットサイト「マガジン9」で新コーナー
「三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記」の連載が始まりました。
 その三上さん待望の新作映画の公開が2015年7月に予定されているということで、何とかそれまでに『標的の村』を
観ておきたいということなのです。
 
 以下にご紹介していますが、三上智恵さんによる「マガジン9」での連載は、短い映像と文章とが組み合わされることにより、現場の息づかいまで感じさせる臨場感あふれるストレートな報道でありつつ、そこで何が起こっているのかを読み手(兼視聴者)に深く考えさせる素晴らしいレポートになっています。
 しかも、各回の標題を一覧しただけでも分かるとおり、この半年は、辺野古沖でのボーリング調査の強
行を阻止しようとする闘いが続き、沖縄統一地方選挙、県知事選挙、衆議院総選挙で「オール沖縄」の民意を示し続けた半年であり、今まさに目の前で起こっている沖縄の「地殻変動」が、毎週欠かさず掲載される三上さ
んのレポートによって記録されたことは、とても意義深いことだと思います。

 ところで、今日(12月24日)アップされた第21回で、新作映画と「マガジン9」での連載について、三上さ
んは以下のように書かれていました。
 
(引用開始)
 さて新作映画については、現場に通う日々に終止符を打ち、1月は編集に入ることになるため、毎週水曜
日に欠かさず更新してきたこの撮影日記は週に一度から月に一度に変更することになった。7月の公開に間に合わせるためにはギリギリのスケジュールなのでどうかご理解いただきたい。ただ、年明けも5日からまた海で桟橋の設置作業が始まると報道されたとおり、再び大規模な海上の衝突が起きるのは避けられない
状況である。大きな動きがあったときにはこのページでお伝えしていきたい。
(引用終わり)
 
 三上さんが「現場に通う日々に終止符を打」つこのタイミングで、7月以来三上さんが伝えてくれた貴重な映像と文章による報告を、ちょうど年末年始休暇に入る人も多いと思いますので、是非じっくりと読みかつ視聴していただきたく、そのアーカイブをご紹介することとしました。
 
 なお、三上智恵さんによるこのレポートは、映像と文章が一体となっているところに大きな価値があるので、是非両方に目を通してください。
 実は、今日アップされた第21回「素顔の辺野古~55年間基地と生きた集落~」の映像には、辺野古
区の運動会にキャンプシュワブの海兵隊員が参加し、住民と和やかに交歓する場面が描かれているのですが、これについて、三上さんが以下のように書かれていることは、他のレポートにも通じることだと思いますので、是非心にとめていただきたいと思います。
 
(引用開始)
 実際、辺野古は、沖縄の他のどの地域よりも基地との交流が盛んで距離が近い。もちろんベトナム戦争
の時代には、精神的にすさんだ兵士による区民の殺害事件が幾つもあった。軽犯罪などは数え切れない。それを少しでも減らすために辺野古区は苦心してきた。占領下の警察が、民政府が、一体何をしてくれたか。明日、ベトナムに飛んで命を落とすかも知れない米兵が歓楽街で酒を浴びて女性にすがりつく。朝方まで働く母や姉たちと入れ違いにその中で学校に通い、成長する青年たちは、どこの誰よりも地域の安全を確保する手段を真剣に考えただろう。その大きな柱が、キャンプシュワブと辺野古区でつくる親善組織だった。イベントの共催だけでなく、旧部落は日没後は歩かない、この通りから向こうには出入りしない、など県も政府も通さない両者の合意が数々あって、それは今もキャンプシュワブの中でちゃんと守られているという。これは、日米合同委員会で決めて降ろしても守られない規律などと違って、顔が見える関係性を築いて来たからこそ、「守らせている」「人間としての尊厳を認めさせている」のであって、辺野古地域だけがもつ力だと私は思う。軍が悪い、政府が悪いと人のせいにして動かないのではなくて、面倒でも正面から向き合い、交流を重ねてきた結果、事件や事故を最小限に食い止めてきたという自負が辺野古民にはあるのだ。だからこそ、誇らしく運動会や角力大会を取材させてくれるのであって、その結果「基地とその恩恵が大好きな辺野古」のような偏見で報道されたら、彼らがどんなに悲しい思いをするかわか
って欲しい。
 基地の押しつけと、他国の戦争に翻弄され続けた沖縄の歴史。それは確かに負の歴史であるが、負の歴史
を地域の力で、日米の組織など当てにしない、人間対人間の力で前向きに転換してきた辺野古区民のありようはもっと知られていいはずだ。でもそれを「今後もアメリカ軍と生きていくのも悪くないでしょう?」というロジックに絡め取られずに伝えることが本当に難しい。今回紹介する動画だって、この文章抜きに
見たら「なんだ。辺野古って米軍と宜しくやってるじゃん」と都合良く消費されてしまう可能性が高い。
(引用終わり)
 
 最後に、第21回の文章の中で私が大いなる期待をもって注目している箇所をご紹介しましょう。それは、「7月からは連日、海もゲート前も、早朝も深夜も、大久保千津奈カメラマンと二人駆けずり回った。」とある部分です。
 どうして「注目」なのか分かります?三上智恵監督がコンビを組んだカメラマン(女性でもこう言うの
かな)が「大久保千津奈」さんだからです。
 私にとって、「大久保千津奈」さんというのは、纐纈(はなぶさ)あや監督の名作
『祝(ほうり)の島(2010年)の素晴らしい映像の数々を画面に定着した名カメラマンとしてとても印象に残っている
のです。
 纐纈監督の第2作『ある精肉店のはなし』(2013年)は残念ながら未見ですが、これも撮影は大久
保千津奈さんでした。
 「マガジン9」に掲載された短い映像の数々も、一見してそのグレードの高さが分かると思います。
 ということで、来年7月公開予定の新作は、『標的の村』の三上智恵監督と『祝の島』の撮影・大久保
千津奈さんという理想的な組み合わせであり、いやが上にも期待が高まっているのです。
 
 
 

【三上智恵監督新作製作のための製作協力金カンパのお願い】
沖縄の基地問題を描く、三上智恵監督新作の製作を来年の2015年完成を目標に開始します。製作費確保の
ため、皆様のお力を貸してください。
◎製作協力金10,000円以上、ご協力いただいた方(もしくは団体)は、映画HPにお名前を掲載させていただきます。
◎製作協力金30,000円以上、ご協力いただいた方(もしくは団体)は、映画エンドロール及び、映画HPにお
 
名前を掲載させていただきます。
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名義:三上智恵監督・沖縄記録映画を応援する会