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放送大学(オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい

 今晩(2015年1月30日)配信した「メルマガ金原No.1986」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送大学オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい

 私が放送大学教養学部)の現役学生(全科履修生)であることは、過去何度か書いたことがありました。一度入学金を払えば10年間在籍できるため、今の単位取得数を考えると(入学早々の頃は少し頑張った)、今後は毎学期(1年2学期制)、放送授業を2科目、面接授業を1科目ずつ履修していけば、きっちり10年目に卒業できそうだと試算しています。

 思えば現役の大学生(大阪市立大学法学部)であった頃のことといえば、大阪の新世界(じゃりん子チエの世界ですね)まで足を伸ばして安い映画を観まくったとか、家庭教師で稼いだ金をつぎこんだパチンコでさっぱり儲からず、卒業してからはきっぱりギャンブルとは縁が切れたとかいうことはすぐに思い浮かぶのですが、積極的に何かを勉強したという記憶がないのですね。
 確かに卒業証書は貰いましたので、卒業要件を満たすだけの単位を取得したのは間違いないのですが、自分から何かを学びたいという欲求に突き動かされて勉学に励んだということ、少しあらたまった言葉を使えば、主体的に「知」に触れる喜びを味わった記憶が全然ないのです。

 こう言うと母校の大阪市大に大変申し訳ないのですが、当時はまだ過激な学生運動の残滓が少しは漂っており、たまに内ゲバ事件が起きたり、学年末試験バリケード封鎖で中止になったりしていたものの、やる気のある学生は積極的に勉学に励んでいたはずで、ただ単に私が無駄に時間をつぶしていたに過ぎず、これは大学のせいではありません。

 在学中も卒業後も、司法試験の受験の役にはちっとも立たない本は無闇に読んでおり、中には感銘を受けた書籍もあったりしたのですが、やがて、時間はかかったものの何とか弁護士になった後は、物理的にも精神的にも、仕事に無関係な本を読んだりする余裕がいよいよなくなっていき・・・という誰しもおぼえのあるようなお定まりのコースを歩んできました。

 ところが、まことに「ひょんなことから」放送大学の存在を知り、最初の1年間は「お試し期間」ということで専科履修生となり、さらに翌年には正式に入学して、実に何十年ぶりかで大学生となったのですから人生は面白い。
 
 さて、50代も半ばを迎えようという頃にあらためて大学生になってみて、自分が学びたいと思う分野について、講義を聴き、テキストを読み、さらに自分なりに考えを深めようと努力するということがこんなに楽しいものだということに新鮮な驚きを感じました。
 それに、授業料もかつては親に出してもらっていたものが、今は自分の身銭をきるのですから、心構えも違いますしね。

 放送大学は、(現在は)BSデジタルで放送されるテレビ授業とラジオ授業からなる放送授業、それから各地の学習センター等で行われる面接授業の2本立となっており、それぞれ卒業のために所定の単位を取得する必要があるのですが、どちらもそれぞれの良さがあって楽しめますよ。
 もっとも、出来るだけ短期間での学位取得を目指していたり、看護師資格取得のための科目を受講している准看護師の方々などは、「楽しい」などと言える気分ではないかもしれませんが。
 
 「放送大学ではどんな講義が開講されているのか知りたい」という人には、「BSデジタル放送(あるいはケーブルテレビなど)が視聴できる環境にあれば無料で視聴できますよ」とお勧めするのですが、今ではこれに加え、「放送大学オープンコースウェア」で公開されている科目を、いつでも好きな時にインターネットを通じて受講することができるようになっていますから、これがお勧めです。
 
 
 まだ、全15回の全ての講義を公開している科目は限られていますが、15回のうちの1回分だけ(見本に)公開している科目はたくさんあります。
 

 以上の一覧を眺め、シラバスも参照しつつ、興味を持った科目をご覧になることをお勧めしたいと思います。

 私のお勧めは?
 色々ありますが、全15回が公開されている科目の中では、ラジオ授業「日本文学の読み方 ('09)」(主任講師:島内裕子教授)などは、日本文学に関心のある方にとっては、きっと興味深く聴けると思います。
 
 それから、これはお勧めどころではなく、私が明日(1月31日)、和歌山学習センターで単位認定試験を受けなければならないのが、ラジオ授業「社会福祉と権利擁護('12)」(主任講師:大曽根寛教授)で、これも全15回分が公開されています。
 実は、年末から1月にかけて用事が立て込んでいた上に、メルマガ(ブログ)の更新に時間をとられ、テキストも全部は読み切れていない有様で、実はこんなことを書いている場合ではなく、必死に試験勉強をしなければならない時なのです。
 
 ということで、そろそろ終わりにしますが、大曽根寛教授の授業については忘れられない思い出があるので、その点に触れておきます。
 それは、3.11からまだ2ヶ月も経っていない2011年5月6日・7日の両日、和歌山学習センターで行われた大曽根教授による面接授業「演習形式で学ぶ福祉政策」を私が受講した時のことです。そのことは、メルマガ金原No.200として、ある程度詳しく書いていましたので、以下に再掲します。

 だいたい私の受講する面接授業は、マニアックな科目が多いからか、受講者が定員一杯に達することなどめったにないのですが、それにしても、20人募集で応募者3人は少な過ぎました。おかげで、本来であればグループごとにテーマを設定し、文献調査をしたりプレゼンの資料を作ったりする作業をメンバーが分担することが予定されていたはずなのに、それを全部1人でやらねばならなくなり、その時の受講者は、私も含めて全員が1日目から2日目にかけて徹夜したはずです。
 ゼミの準備のために徹夜(!)したことなど、放送大学はもとより、大阪市大に通っていた若い頃にも一度も経験がありません。それだけ得がたい機会であったと感謝しています。

 私がその「臨時・大曽根ゼミ」で何をテーマに設定し、何を考えたか、以下のメルマガ金原No.200をお読みいただきたいのですが、結局、その時私がいだいていた関心は、ずっと今に至るも続いていることが分かります。
 
 なお、大曽根教授が主任講師を務められる科目としては、同じくラジオ授業一覧表の中に、大学院科目「福祉政策の課題('14)-人権保障への道-」(全15回)が公開されています。
 そのシラバスを読んでみると、和歌山県のさる審議会でいつも私の隣りの席に座っておられた(五十音順なので)金川めぐみ先生(和歌山大学経済学部准教授)が、
 第3回 家族・ジェンダー福祉政策
 第4回 地域社会と福祉法制
 第8回 反貧困と福祉政策
の講義を担当されている他、
 第14回 人権のための連帯
大曽根先生と2人で担当されています。
 これは、是非聴かねば!
 
 しかし、試験勉強もせずに「放送大学受講の勧め」を書いていて単位を落としたら、何か救済措置はあるのだろうか?
 
(以下に、2011年5月8日に配信したメルマガ金原No.200「5/5古賀茂明氏の発言『東電のために原発事故のツケは国民に・・はおかしい』」を再配信します。当時のメルマガ金原の読者数は115名でした。)

 昨日までの2日間(6日・7日)、放送大学和歌山学習センターにおける面接授業「演習形式で学ぶ福祉政策」を受講してきました。担当講師は放送大学大曽根寛教授であり、私も前から非常に楽しみにしていました。
 ただ、定員20名の募集にもかかわらず、連休の谷間、しかも初日は平日という悪条件が重なり、受講申込者がわずかに3名であり、和歌山在住の大曽根ゼミ生が臨時に加わってくださって、ようやく4名ということで、「どうなることか」と心配しましたが、実に濃密な演習となり、受講できて幸運であったと感謝しています。
 受講者はそれぞれ、提示された複数のテーマの中から異なったテーマを選択した上で、自分で設定事例(登場人物の家族構成や家族史、彼らを取り巻く生活状況等を想定する)を作り上げ(ここまでが1日目)
、一晩かけて、上記設例に含まれる「問題点」「福祉的対策」「将来的な課題と展望」をまとめ(情報収集、文献調査、検討結果のまとめ等)、これを各人が2日目にプレゼンし、全員での討論、大曽根教授による講評が行われるというもので、私も大阪市立大学法学部卒業以来、実に何十年ぶりかで本格的なゼミに参加しました。
 ところで、私がこの話をメルマガで書いているのには理由があるので、私が選んだテーマというのが、「東北大震災(特に原発震災)と福祉政策」というものだったからです。
 この話自体は、またいずれまとめて書きたいと思っていますが、1日目に事例設定をした後、検討に入ってから痛感したのは以下の点でした。
 阪神大震災を契機として立法され被災者生活再建支援法など、大震災の被災者の生活再建を支援するための福祉法制は徐々に整備されてきたものの、原発震災にはほとんど役に立たないという大問題があるのです。その最も大きな理由は、原発震災には「原因(責任)企業」があるということです。今回の福島第一原発事故に起因する被災者に対する補償は、第一次的には責任企業である東京電力に賠償を求めるべきであるという法原則があるがゆえに、様々に困難な問題が生起しています。
 私は、昨日のゼミにおけるプレゼンの最後で、「原発震災に特有の問題として、責任企業(電力会社)との関係で、住宅や仕事を失った人に対する補償を速やかに国の責任で行い、その費用を責任企業に求償するという法整備が必要なのではないか」という意見を述べました。
 ただ、さらに具体的なスキームについてまで考えが及んでいた訳ではなく、今後さらに考えなければと思っていたのですが、今日、飯田哲也さんのtwitterにより、以下の番組のことを知りました。
 5月5日、テレビ朝日の「モーニング・バード」という朝8時からの番組に、経済産業省・大臣官房付(つまり具体的な仕事はないということですね)の古賀茂明氏が出演し、現在、政府・東電・財界(金融界)が画策している補償スキームを反国民的として徹底的に批判し、あるべき補償スキームを提言しているのですが、それが、昨日までの大曽根ゼミの中で私が考えていた問題についての一つの解決案になり得るということで感心しました。
 是非視聴していただきたいと思います。
 
現役官僚が提言2 東電のために国民に原発事故のツケはおかしい!                                 
弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年8月17日
2015年1月23日