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PM2.5の基礎知識を学ぶ(2/17和歌山弁護士会主催のシンポに参加して)

 今晩(2015年2月17日)配信した「メルマガ金原No.2004」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
PM2.5の基礎知識を学ぶ(2/17和歌山弁護士会主催のシンポに参加して)

 シンポジウムに参加するという場合、かねてからそこで取り上げられているテーマについて関心を持ち、それなりに調べたり考えたりしている場合と、それまで興味を持ったこともなかった分野について、基礎的な知見を得たいと思って参加する場合とがあるのではないかと思います。
 今晩、和歌山ビッグ愛で開催されたシンポジウム「PM2.5と大気汚染について~PM2.5とどうつきあうか~」(和歌山弁護士会主催)に参加した私の場合、完全に後者にあたります。

 いかに私が無知であったかと言えば、PM2.5(微小粒子状物質)とは、「大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のこと」で、「物の燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質が、主として環境大気中での化学反応により粒子化したものとがあります。発生源としては、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機等、人為起源のもの、さらには、土壌、海洋、火山等の自然起源のものもあります」(環境省ホームページより)という基礎知識すら、今日のシンポで初めて知ったというくらいなのですから。

 つまり、今でこそよく聞くようになったPM2.5も、最近になって出現したものでも何でもなく、技術の進歩によって近時ようやく観測が可能となったに過ぎず、物質そのものは大気汚染が問題になっていた頃からたくさん存在していたはずであり、自然由来のものに至っては、はるか昔からあったのだということなのですね。知ってました?
 
 ここで,先にお知らせしたシンポの内容を再掲しておきます。
 
基調講演「大気汚染の基礎知識」
 講師 饒村 曜(にょうむら・よう)氏
  気象予報士、減災コンサルタント、元和歌山地方気象台
パネルディスカッション「PM2.5の健康影響」
 パネラー
  饒村 曜氏
  重栖 隆氏(NPOわかやま環境ネットワーク代表)
  澤田泰雄氏(和歌山県環境生活部環境政策局環境管理課 環境保全班長)
 コーディネーター
  岡 正人(和歌山弁護士会 公害対策・環境保全委員会委員長)
 
 私は、前述のとおり、今日のテーマ「PM2.5」については全くの無知でしたから、各登壇者の発言を誤りなく要約する能力の持ち合わせはありません。
 そこで、饒村曜さんについてはその著書を、澤田泰雄さんについては、シンポの中で教えていただいた和歌山県環境省のホームページをご紹介するにとどめたいと思います。  
 まず、饒村曜さんの著書について。
 
『最新図解 PM2.5と大気汚染がわかる本』(オーム社

オーム社ホームページより抜粋引用開始)
PM2.5や黄砂、酸性雨など、国を越えて広がる大気汚染についての基礎知識を網羅した書籍です。
繞村氏・どのような物質で、どのように発生するのか
・健康にどのような被害をもたらすのか
・対策法はあるのか
・どのように観測されているのか
・国を越えた観測・発生予報の体制は整備されているか
・国家間でどのような取り決めがなされてきたのか
など、知っておきたい知識を図を交えて平易に解説しています。
また、大気汚染は気象のしくみと深く関わっているため、関係する気象現象の基礎知識についてもやさしく解説しています。
主要目次
第1章 PM2.5とは?
第2章 大気汚染の基礎知識
第3章 大気汚染の世界史、日本史
第4章 大気汚染の観測技術
第5章 国境を超えた大気汚染への対策
第6章 PM2.5などの大気汚染から身を守る
(引用終わり)
 
 次に環境省のホームページですが、PM2.5についての情報をまとめたページがあります。
 
 
 先ほどご紹介した「微小粒子状物質PM2.5)とは」も、このページの中にありますし、以下、「環境基準について」、「注意喚起のための暫定的な指針」、「.現在の状況」、「中国在留邦人及び中国進出企業関係者の方々へ」などが説明されています。
 PM2.5についての行政対応の基本を調べようと思えば、まずはこのページに目を通すべきなのでしょうね。
 
 なお、日本中のPM2.5の状況を知るために環境省が開設したページが「環境省大気汚染物質広域監視システム そらまめ君」です。
 
澤田氏、岡弁護士 そして、国の基準、方針をうけて、和歌山県でどのような観測体制や県民に対する情報提供、注意喚起の体制がとられているかが分かるサイトをご紹介しておきます。
 
 
大気常時監視メール
※大気常時監視メールでは、PM2.5オキシダントの速報値を受信することができます。
 
 
 以下に、「PM2.5に係る注意喚起」を引用します。なお、これは和歌山県の場合ですが、他府県においても同じような体制がとられていることと思います。
 
PM2.5の監視と注意喚起
(抜粋引用開始)
PM2.5の濃度が高くなりそうになったら
1 : 微小粒子状物質PM2.5)に係る注意喚起について
和歌山県では、環境省の「PM2.5に関する専門家会合」報告を参考に、PM2.5濃度が、暫定指針値である「1日あたりの平均値が70μg/m3を超える」と予測される場合には、注意喚起を実施します。
※暫定指針値(ざんていししんち)=仮に定めた目安となる数値の事です。
※注意喚起(ちゅういかんき)=注意して下さいとよびかける事です。
2 : 注意喚起が実施された時の行動について
注意喚起時には以下を目安にして行動して下さい。
屋外での長時間の激しい運動や、外出をできるだけ減らす。
外出時にはマスクをきちんと着ける。
空気の入れ替えや、窓の開閉を必要最小限にして、室内への外気の侵入をできるだけ少なくする。
(高感受性者(呼吸器系や循環器系疾患のある方、小児、高齢者等)においては体調に応じて、より慎重に行動することが望まれます。
3 : 注意喚起の方法
(1)対象地域
注意喚起については、県内全域を対象として実施します。
(2)注意喚起の判定
以下の判断基準に該当した場合、PM2.5濃度が暫定指針値(1日あたりの平均値が70μg/㎥超えると予測し、注意喚起を行います。
注意喚起の判定①午前中の早めの時間帯での判断基準
午前5時~7時までの測定結果の平均値が85μg/㎥を超過した場合
【午前8時30分を目安に注意喚起を実施します。】
②午後からの活動に備えた判断基準
午前5時~12時までの測定結果の平均値が80μg/㎥を超過した場合
【午後1時30分を目安に注意喚起を実施します。】
※「①午前中の判断基準」で注意喚起を行った場合、「②午後からの判断基準」を下回ったとしても、注意喚起の解除は行いません。
(3)注意喚起の配信方法
市町村、関係機関等への通知
報道機関(テレビ、ラジオ)を通じて、県民への注意喚起を実施
県庁ホームページに注意喚起情報を掲載
防災わかやまメールによる注意喚起情報の配信
(引用終わり)
 
重栖氏、繞村氏 なお、パネリストとして登壇された重栖隆さんは、自らが「高感受性者」であることを踏まえた経験談を交えながら、環境問題についての基本的対応の内、「緩和」(元から断つ)について個人がなし得ることは限られており、「適応」について十分な理解を深める必要があると述べられたことが印象的でした。
 そこで、「緩和」については国としての取組がどうしても必要となるのですが、PM2.5については、自国だけではどうにもならない部分があり、中国・韓国・日本の間における国家間協議が進んでいたものの、中国、韓国との関係悪化により、PM2.5をめぐる大臣級の協議がストップしてしまったとの饒村さんの説明を聞いて、安倍首相の歴史認識問題がここまで影を落としているのかと(饒村さんはそこまで言いませんでしたが)、会場の多くの人はため息をついたのではないでしょうか。