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熊野・新宮の大逆事件と映画『圧殺の海―沖縄・辺野古』~「澤藤統一郎の憲法日記」を読んで

 今晩(2015年2月20日)配信した「メルマガ金原No.2007」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
熊野・新宮の大逆事件と映画『圧殺の海―沖縄・辺野古』~「澤藤統一郎の憲法日記」を読んで

 現在、日本に何人の弁護士がいるかご存知でしょうか?
 私にしても、とっくに3万人を突破し、やたらに多くなっていることは知っていましたが、既に4万人
に達しているのかなど、それ以上の詳細は調べたこともありませんでした。
 それが、ふとしたきっかけで調べてみたところ、沖縄特別会員(9名)や外国特別会員(380名)を
除き、2015年2月1日現在、36,447名なのだそうです。
 もっとも、弁護士ならざる一般の人にとって、この人数が多いのやら少ないのやら、見当もつかないとは思いますが。
 
 さて、その36,447名の弁護士の中には、事務所のホームページを立ち上げて積極的に顧客誘引をしている人が多いようですし(私もやってみたいとは思いながら、時間と能力が不足しており、それを補うための経済力はもっと不足している)、個人的なブログを開設して情報発信を行っている弁護士も少なくありません。私自身、後者の1人であることは言うまでもありません。

 しかしながら、誰に頼まれた訳でもないのに「毎日更新」などしている弁護士ブロガーは、おそらく相
当に珍しい存在だろうと思います。
 私の知る限り、東京弁護士会の澤藤藤一郎さん(司法修習23期)くらいのものではないでしょうか(
あと、僭越ながら私自身がかろうじて「毎日更新」を続けていますが)。
 
 司法修習41期の私から見れば大先輩(と言っても直接お会いしたことはなく、何度かメールのやりとりをさせていただいただけですが)の澤藤さんを「ブログ毎日更新」に駆り立てている本当の原動力が何かについて伺ったことはないのですが、必ずや「核」となる確固としたエネルギー源があるに違いないとにらんでいます。
 そうでもなければ、「毎日更新に何の意味があるのか?」とか、「弁護士の仕事をやっているのか?」
などと言われながら、睡眠時間を削りつつ、毎日パソコンに向かい合うことなど出来るはずがないと、我
が身を振り返って、そう思います。
 
 澤藤さんのブログは、前身である日民協(日本民主法律家協会)ホームページに間借りしていた時代か
ら、一貫して「澤藤統一郎の憲法日記」でした。
 
 
 「澤藤さんの憲法に対する思い入れにはとてもかなわない」というのが、澤藤さん、岩上休身さん、梓澤和幸弁護士の鼎談集『前夜 日本国憲法自民党改憲案を読み解く』を読んだ上での私の実感でした。
 
 
 さて、ここまでが前ふりだと言ったら、「マクラが長すぎる」という野次が飛んできそうですが、実は、昨日(2月19日)の「澤藤統一郎の憲法日記」を読んで、「そうだ、私もこれを書かなければ」と思ったのです。
 
 
 昨日の記事は、澤藤さんの大学教養課程時代の中国語のクラスメートである小村滋さんとの交友から書かれたもので、前半は、小村さんが関わっている(和歌山県新宮市での大石誠之助をはじめとする大逆事件関係者顕彰運動について、そして後半では、小村さんが大阪の小さな映画館で『圧殺の海―沖縄・辺野古』という映画を観て熱く語った文章が紹介されていました。
 
 まず前半の熊野・新宮と大逆事件というテーマは、和歌山の人間にとっては、地元で起こった大事件と
して、県民なら誰でも知っている・・・べきなのですが、実際はその真逆であり、新宮から遠く離された和歌山市では、いまだに啓蒙のための映画上映会をやらねばならなかったりします。
 
 それから、澤藤さんのブログで小村滋さんというお名前を拝見して、「どこかで見たことがあるが?」と思ったのも当然、小村さんが発行人となっておられた「くまの文化通信」というミニコミ紙の第2号を、私が受任している裁判に書証として提出させてもらったのでした。
 私も呼びかけ人の1人となって上映した映画のタイトルは『大逆事件は生きている』でしたが、確かに
地元では、大逆事件は今でも(様々な意味で)生きていることは間違いありません。
 
 そして、映画『圧殺の海―沖縄・辺野古』です。
 藤本幸久さんと影山あさ子さんが共同で制作・監督した映画『圧殺の海―沖縄・辺野古』は、沖縄で日
本政府がいかに暴虐をほしいままにして国家権力を行使しているのかということを我々に伝えてくれる実に貴重なドキュメンタリー映画として、もっと早くにご紹介すべきであったのに、他の案件に気を取られ
、ついご紹介が遅くなってしまいました。
 澤藤さんのブログを読み、驚いて調べてみたところ、大阪市十三のシアターセブンでの上映は(好評に
つき続映となったものの)2月27日(金)までであり、しかも21日(土)・22日(日)の上映はな
いというスケジュールのため、和歌山市から観に行くということは非常に困難となっています。
 しかしながら、各地で自主上映も活発に行われており、和歌山でも是非上映の実現に向けて多くの人と
相談をしなければと思います。
 
 この映画の基本的な情報は、「森の映画社★札幌編集室」の「最新作 「圧殺の海-沖縄・辺野古」」のページを参照してください。
 
 以下には、共同監督の藤本さんと景山さんが書かれた「辺野古を撮り続けて」という文章を引用します
  
(引用開始)
私たちが辺野古を撮り続けて、10年になる。この間、「Marines Go Home」と「ラブ沖縄」という2本のド
キュメンタリーを世に送り出した。
2014年7月1日、辺野古の新基地建設が着工された。沖縄県民は、何度、NOの声をあげたことだろう。あら
ゆるデモクラシーの手段を尽くして。しかし、ついにその声を日米政府がかえりみることはなかった。
警察・機動隊、海上保安庁を前面に立てて、反対する人たちを力ずくで抑え込みながら、工事をすすめる
日本政府。巡視船やゴムボート、特殊警備艇、警戒船など、最大80隻にもなる船が、辺野古の海を埋め尽
くす。おじぃやおばぁたちは、「まるで、沖縄戦当時のよう」と言う。
海底の調査を地上の作業で代替するというインチキなボーリング調査。海に勝手な制限ラインを設定し、
報道機関の船も遠ざけ、連日、幾人ものカヌー隊員を拘束し、排除を続ける「海猿海上保安官たち。ゲ
ート前でも、機動隊は報道機関も排除し、怪我人を出すほどに猛り狂う。
しかし、たたかいは続いている。炎天下の日中も、台風前の雨の中も、ゲート前に座り続ける人びと。両
手を広げて工事用のトラックの前に立つおじぃやおばぁたち。カヌーに乗り、体一つで海へこぎ出す人び
と。屈しない人たちがいる。
8月23日には3600人、9月20日には5500人。辺野古に集まる県民も日増しに増えている。
ブイがおかれ、立入禁止と書かれたフロート(浮具)で仕切られ、真黒なゴムボートが浮かぶ物々しいシ
ュワブ沿岸。彼らのゴムボートが走り回る真下に、ジュゴンが海草を食む藻場がある。日本人同士の衝突をよそに、シュワブの浜では水陸両用戦車が走り回り、フロートの近くで、海兵隊員たちはシュノーケリ
ングに興じている。
2014年11月16日、沖縄の人たちは、新基地建設NOを掲げる翁長雄志氏を県知事に選んだ。
日本政府は、またしても、沖縄の民意を圧殺しようとするのか。
あるいはそうさせないのか。
ここに造られようとしているのは、普天間基地の代替施設、ではない。
耐用年数200年、オスプレイ100機、揚陸強襲艦が運用可能な最新鋭の基地だ。
この海は、誰のものなのか。
安倍政権が目指す「戦争する国」づくりの最前線・辺野古
私たちは、今日も、そのど真ん中で、カメラを回し続けている。
中央メディアが取材に来ない沖縄、地元メディアも排除される辺野古
周到に準備された「無関心の壁」に一穴を穿ちたい。
私たちの未来の行方が、封じられ、圧殺される前に。
(引用終わり)
 
 和歌山では、以前、藤本幸久監督を迎えて映画『アメリカばんざい crazy as usual』の上映会を行い(9条ネットわかやま主催/和歌山市民会館小ホール)、DVD『Marines Go Home 辺野古・梅香里・矢臼別』も、こちらは規模は小さかったものの、和歌山弁護士会館を借りて上映しました。
 『圧殺の海―沖縄・辺野古』も何とか上映したい。
 そして、この後には、三上智恵さんが監督した新作も控えています。
 「沖縄の闘い」を我がことと思う人々をいかに増やしていくか、それも早急に、という課題に応えるべ
く、これらの映画が作られているのだと思います。
 これらの作品に上映の機会を用意することは(映画館での上映の望みが非常にうすい地方都市では特に
)私たちの責任でしょう。
 
 
ポレポレ東中野での初日舞台挨拶など 2015年2月14日
藤本幸久監督×佐々木弘文さん(カヌー隊・辺野古ぶるーのリーダー)、the yetis(ミニライブ)