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3.11以後の世界を共に生きるために~フクシマ以後を描くTV特番と映画『friends after 3.11』のご紹介

 今晩(2015年2月28日)配信した「メルマガ金原No.2015」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
3.11以後の世界を共に生きるために~フクシマ以後を描くTV特番と映画『friends after 3.11』のご紹介

 3.11から間もなく4年。毎年この時期になると、震災関連・原発関連の報道や特別番組が数多く放映されてきました。
 8月15日前後に戦争関連番組が放映され、新聞で特集が組まれたりすることをとらえて、「夏の風物詩」とある種「揶揄」したりすることがありますが、8.15からは「70年」であり、70年前の記憶を直接持つ者がいよいよ少なくなる中で、どのようにその「記憶」を世代間で伝えていくかが切実な課題となっているのに対し、3.11はまだ「4年」です。多くの人々が3.11以後の世界を現在進行形で生きざるを得ない状況が続いており、しかも、その「多くの人々」の中には、この日本列島に居住する全ての人々が当事者として含まれているはずなのです。少なくとも、3.11直後には、多くの人々が(濃淡の差はあれ)実際にそのような「当事者意識」を持っていたと思います(西日本においてもです)。それからまだ「4年」、「記憶の風化」どころではないはずです。
 しかし、今周囲を見渡して、「そういう人々はどこへ行ったんだろう?」と思うことはありませんか。
 
 さて、できればメルマガ(ブログ)でご紹介したいと思い、3.11関連番組についての情報をインターネットを使って調べてみたのですが、津波、防災関連の番組をとりあえず除外し、福島、原発関連の番組をピックアップしようと思っても、なかなか見つからないのです。
 3.11当日までまだ10日以上あるので、番組告知が本格化していない可能性もありますし、私の探し方がまずいだけかもしれませんが、2012年~2014年の3.11に比べ、「少なくなったなあ」という印象です。
 例えば、ネット検索していて、NHK広報部が2月18日に発表した以下のようなリリースを見つけました。
 
 
 この「主な番組」では、のべ14番組が紹介されているのですが、この内、原発事故に関連する番組は、3月7日に放映されるNHKスペシャル「"帰還"の村 4年目の記録 ~福島県 川内村はいま・・・~(仮)」1本だけです。同じ日のETV特集南相馬市を取り上げていますが、原発関連番組とは言いにくいところです(「若い人々が急減した」のはもちろん原発事故が主要因でしょうが)。
 
 以上の2本のNHKの番組以外のドキュメンタリーで私が気がついたのは、福島放送大熊町を取り上げた「分断の町」(テレビ朝日系列「テレメンタリー2015」の枠での放送/放送日は各局により異なる)だけでした。
 もちろん、レギュラーの報道番組の中ではそれなりに充実した特集を行うものもあるはずですから、「報道ステーション」(テレビ朝日)や「報道特集」(TBS)にも注目したいとは思います。
 それから、時間の都合で今日のところは調べがついていませんが、BSで案外充実した番組が放映されるのかもしれません(権力による抑圧もここまではまだ及んでいない可能性が高い?)。
 
 以下に、上記3本の番組に加え、有料チャンネルなので視聴できる人は限られますが、岩井俊二監督の2011年作品「friends after 3.11(劇場版)」を併せてご紹介することとしました(日本映画専門チャンネル)。
 私は、公開当時、スカパー!用ヴァージョン(?)をケーブルテレビで、その後、劇場版をDVDで視聴したのですが、深い感銘を受けました。ただ、何を期待して見るかによって、この作品に対して毀誉褒貶さまざまであることにも納得はいきます。
 日本映画専門チャンネルを視聴できる環境にある方には、是非視聴していただきたいと思います。私がそのようにお勧めするのは、みんなが3.11以後の世界を生きる当事者同士なのだと考えていた「時代」の一断面を切り取った作品だと思うからです。
 
映画『friends after 3.11【劇場版】』予告編
 

 この映画の全22のチャプターをご紹介しておきます。
 
1 オープニング
2 脱原発アイドル 藤波 心
3 元原子力プラント設計技術者 後藤政志
4 映画監督 鎌仲ひとみ
5 環境活動家 田中 優
6 俳優 山本太郎(前編)
7 ジャーナリスト 上杉 隆
8 中部大学総合工学研究所教授 武田邦彦
9 環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也
10 音楽プロデューサー 小林武史
11 脚本家 北川悦吏子
12 ジャーナリスト 岩上安身
13 城南信用金庫理事長 吉原 毅
14 医師 中嶋義童
15 自然対策支援センターライフリンク 清水康之
16 俳優 山本太郎(後編)
17 映画監督 タン・チュイムイ
18 ロックンロールバンド FRYINGDUTCHMAN
19 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
21 岩井俊二×藤波 心
22 エンドロール
 
 久しぶりにDVDのはじめの方を視聴してみたら、藤波心さんが、以下のようにインタビューに答えていました。おそらく3.11からまだ半年も経っていない時期の発言だと思うのですが、その時点で「国民の関心が薄れ始めている」ことを心配していたのですからね。
 
藤波心さん 
「私が今すごく問題だなと思っているのは、国民の関心が薄れ始めているように思うのと、無関心な人が中にはやっぱりいるので、街中をデモで歩いている時に、少しでもすれちがった通行人の人とかが、私たちのデモを見て、何か考えるきっかけになってくれたらいいなと思って歩いてます。」
「この問題はすぐ解決する問題じゃないと思うので、私が一つテーマをあげるなら、原発がなくなって、自然エネルギーにどんどん代わっていって欲しいという思いがあるので、それが成功するというか、しっかり出来るまでは、声を出し続けていかなくちゃいけないと思います。」 
 

テレメンタリー2015
朝日放送 2015年3月1日(日)午前5時20分~5時50分
テレビ朝日 3月3日(火)午前2時21分~2時51分(2日深夜)
「“3、11”を忘れない54 分断の町」
福島県内で発生した除染廃棄物を最長30年間保管する、中間貯蔵施設。施設の受け入れを巡り、建設予定地の大熊町は大きく揺れ動いている。国と予定地の地権者は土地の買い取り額などで交渉が難航。しかし、予定地の地権者は全町民の約2割。地権者と非地権者間での補償内容で差が出る恐れがあり、両者の間に見えない溝が生まれている。原発事故から4年。大熊町はいま、目には見えない様々な分断が進んでいる・・・。
制作:福島放送
 
NHK総合TV 
本放送 2015年3月7日(土)午後9時00分~9時49分
再放送 2015年3月11日(水)午前1時25分~2時14分(10日深夜)
NHKスペシャル「"帰還"の村 4年目の記録 ~福島県 川内村はいま・・・~(仮)」
東京電力福島第一原発から南西30キロ圏にほぼ収まるところに位置する川内村。事故直後、自治体ごと村外に避難したが、翌年、避難自治体の中で最も早く「帰村」を宣言した。そして去年の秋には避難指示が続いていた「20キロ圏内」のほとんどの地域も、インフラの復旧が進み、かつ除染がほぼ完了したとして避難指示が解除された。
原発事故で避難を強いられた自治体の中で川内村は、国から「帰還のトップランナー」、「原発事故の収束」を象徴する村とされてきた。
しかし、帰村後の再生の道は険しい。除染で出た廃棄物は、中間貯蔵施設の建設が遅れていることから、いまだ村内の至る所に野積みにされたまま。放射線への不安を抱く若年層の多くは、帰村していない。
番組では「帰還」の先頭を走ってきた川内村のいまを見つめ、原発事故から4年目の現実を活写する。
 
NHK・Eテレ 
本放送 2015年3月7日(土)午後11時00分~11時59分
再放送 2015年3月14日(土)午前0時00分~0時59分(13日深夜)
 
「頑張るよりしょうがねえ~福島・南相馬 ある老夫婦の日々~」
東日本大震災から4年。若い世代を中心に人口が減り続ける被災地では、一気に高齢化が進み、近い将来にやってくる日本の超高齢社会を先取りした状況が生まれている。
そんななか、大きな問題となり始めているのが介護する側の人材不足だ。福島県南相馬市では、去年2月に大規模高齢者施設が開所したが、原発事故の影響で若い人々が急減したため、介護スタッフが集まらず、新規の入所希望者を受け入れられない非常事態が続いている。長引く避難生活で要介護となる高齢者が急増しているが、施設はどこも満床で、常に200人、300人待ちの状態。町は、行き場のない高齢者であふれている。
追い詰められた老人が、みずからに言い聞かせるように、つぶやく。
「頑張るより、しょうがねえ」。
はいかいを繰り返す認知症の夫を、仮設住宅で介護し続ける妻。
歩けなくなった妻のために、津波で流された自宅の再建に奔走する夫。
番組では、日に日に追い詰められてゆく介護現場の実態を伝えるとともに、震災後の福島で始まった介護予防の新たな取り組みを紹介しながら、逆境の中、なんとか希望を失わずに前を向いて生きようとする人々の姿を描く。
語り:國村隼(内容59分)
 
日本映画専門チャンネル 2015年3月11日(水)午後11時30分~
映画「friends after 3.11(劇場版)」(2011年/岩井俊二監督作品)
岩井俊二が、震災を機に関係を深めた人々と、未来を見つめるドキュメンタリー。仙台市出身で、独自の世界観をもつ岩井監督ならではの視線で、震災直後の混沌と距離を置き、被災地を静謐な空気で包む異色作。東日本大震災後の福島第一原発事故を受け、原発問題への関心を強めた松田美由紀をナビゲーター役に、原発反対の立場をとる原子力学者やジャーナリスト、映画監督やアイドルたちが、日本の現在と未来について、様々な思いをめぐらせていく。[上映時間135分]
 

(付録)
humanERROR』 FRYING DUTCHMAN