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続「戦争立法」はどうなるのか?~若い弁護士のための勉学の勧めⅡ

 今晩(2015年3月13日)配信した「メルマガ金原No.2028」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
続「戦争立法」はどうなるのか?~若い弁護士のための勉学の勧めⅡ

 昨年(2014年)7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を具体化するための法案を今国会に提出するための政府・与党協議が進んでおり、
5月の連休明けにも一括上程されることが予想されています。
 そして、日程的なことを考えれば、6月22日の会期末までに衆参両院を通過させることはほとんど不可能と思われるため、会期延長は必至であり、与党による強行採決も十分にあり得ると考えねばなりませ
ん。
 しかし、国会上程前に法案が正式に公表されるとは考えがたく、それまで待った上で検討・批判しても「手遅れ」であり、今この段階で入手できた情報を基に、「戦争立法」(戦争法制)がどのようなものに
なるのかを想定し、理論的な批判を加えることがどうしても必要となります。
 そのような問題意識から、このメルマガ(ブログ)でも、井上正信弁護士(広島弁護士会)による「7・1閣議決定、ガイドライン改訂、安全保障法制改正はこの国と私たちをどこへ導くのか」及び飯島滋明名古屋学院大学准教授(戦争をさせない1000人委員会事務局次長)による「想定される「戦争関連法案」とその問題」をご紹介しました。
 
 
 今日はその続編として、自由法曹団が3月10日に発表したばかりの緊急意見書「戦争法制が生み出す国」をご紹介します。
 表紙裏の注記によると、「本意見書は、自衛隊海外派兵や有事法制に反対する自由法曹団の活動と、自由法曹団改憲阻止対策本部などでの論議を踏まえて作成した。取りまとめは田中隆が担当している。」とあります。
 私自身、自由法曹団の団員ではないため、田中隆弁護士(東京弁護士会)が公職選挙法の問題点を厳しく指摘されている方だという知識はあったのですが(岩上休身さんのインタビューに応じている動画を見た記憶がある)、安保法制についても造詣が深いということは、たまたま今日の会議で同席した由良登信自由法曹団和歌山支部長に教えてもらって初めて知りました。

 実は、この緊急意見書の存在も由良支部長に教えてもらったので(コピーも貰った)、是非多
くの人に知ってもらおうと思い、ご紹介することとしたものです。
 以下に、意見書で取り上げられている主要項目を目次から引用します。
 
自由法曹団 緊急意見書(2015年3月10日)
戦争法制が生み出す国
7.1閣議決定の撤回と法制化の中止を求める

はじめに ――― 政府・与党協議と戦争法
集団的自衛権行使容認による有事法制の拡張と再起動
(Ⅰ-1)有事法制とその体系
(Ⅰ-2)閣議決定と中間報告
(Ⅰ-3)戦争法制による有事法制の拡張
Ⅱ 3つの自衛隊海外派兵法制
(Ⅱ-1)海外派兵法制と閣議決定・中間報告
(Ⅱ-2)周辺事態法の再生と「重要影響事態法」への変身
(Ⅱ-3)海外派兵恒久化法(一般法)の創出
(Ⅱ-4)PKO法とPKOの変質
Ⅲ グレーゾーン事態への自衛隊の投入
(Ⅲ-1)現行法制と閣議決定・中間報告
(Ⅲ-2)治安・警察の領域への自衛隊の投入
おわりに ――― 戦争法制がもたらすもの
 
 自由法曹団の団員でない者にとっても、本意見書の内容に全面的には同意できない者にとっても、今私たちが直面している危機的状況に対処するための貴重な論考であることは疑いありません。
 是非、多くの方が活用されますように。
 
(防衛関連現行法)
自衛隊法
(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
(平成四年六月十九日法律第七十九号)
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律
(平成十一年五月二十八日法律第六十号)
武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律
(平成十五年六月十三日法律第七十九号)
 
 以上の4つの法律は、「模範六法(平成27年版)」(三省堂)【警察・防衛法の部】に収録されたものであり、最も基本的な防衛関連法です。
 以下には、上記4法以外で、「緊急意見書 戦争法制が生み出す国」(自由法曹団)で言及された法令を掲げておきます。
 
武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律
(平成十六年六月十八日法律第百十四号)

武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律
(平成十六年六月十八日法律第百十三号)
武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律
(平成十六年六月十八日法律第百十六号)
武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律
(平成十六年六月十八日法律第百十七号)
国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律
(平成十六年六月十八日法律第百十五号)
武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 抄
(平成十六年六月十八日法律第百十二号)
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律
(平成二十一年六月二十四日法律第五十五号)