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山尾三省氏の「遺言」に思う~李政美(い・ぢょんみ)さんが歌う『祈り』を聴きながら(3/11@福島市)

 今晩(2015年3月18日)配信した「メルマガ金原No.2033」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
山尾三省氏の「遺言」に思う~李政美(い・ぢょんみ)さんが歌う『祈り』を聴きながら(3/11@福島市)

 4年目の3月11日、福島県郡山市では「3.11反原発福島行動’15」が開かれ、他方、福島市では「原発いらない福島の女たち」と「スリー・ノンの女たち」が共催する「第4回 3.11 原発いらない! 地球(いのち)のつどい」が開かれました。
 両者の関係がどうなっているのかなどと気を回しても意味はなく、お互いに独自の目的をもって開催を続けているということでしょう。
 
 ここ2年、和歌山から西郷章さんや寺井拓也さんが「3.11反原発福島行動」に参加したり、椎名千恵子さんが2度にわたって和歌山に来られた際にお目にかかったりということがあり、郡山の集会の方は色々情報が入ってくるのですが、福島市の方は、私自身、情報収集に熱心でなかったせいもあり、状況がよく分かっていませんでした。
 幸い、今年の「3.11 原発いらない! 地球(いのち)のつどい」については、三輪祐児さん(ユープラン@UPLAN )が動画をアップしてくださっていますので、集会の全体とデモの様子を知ることができます。
 長時間にわたりますので、私自身、まだ【前半】での武藤類子さん(福島原発告訴団)のスピーチ(36分~)と李政美(い・いぢょんみ)さんのミニコンサート(49分~約1時間)を視聴しただけなのですが、李政美さんの素晴らしい歌に魅了され、是非皆さんにもその世界に浸っていただきたいと思った次第です。
 もちろん、【後半】では、「もう1つの内部被ばく~仮設焼却炉現場からの報告~」を始め、全国における再稼働阻止運動の紹介などが行われており、是非時間を作って視聴したいと思います。
 
20150311 UPLAN【前半】いのちのつどい・いぢょんみミニコンサート(第4回 311原発いらない!地球(いのち)のつどい)

20150311 UPLAN【後半】いのちのつどい・やいちゃんのたくさんのチラシ展・ 2014年 女たちのスライド
ショー(第4回 311原発いらない!地球(いのち)のつどい)

20150311 UPLAN 福島デモ行進(第4回 311原発いらない!地球(いのち)のつどい)


 李政美さんが歌った曲はいずれも心にしみる素晴らしいものですが、政美さんの代表曲の1つ、東京から屋久島の廃村に一家で移住し、田畑を耕し、詩の創作を中心とする執筆活動を送った詩人の山尾三省(やまお・さんせい)さ
んの詩に曲を付けた『祈り』は是非とも聴いて欲しいと思います(【前半】の1時間12分~曲の説明、1時間18分~演奏)。
 「李政美の世界」という公式サイトの中に、「歌詞コレクション」というコーナーがあり、「祈り」の歌詞も掲載されています(左側のインデックスから「祈り」を選んでクリックしてください)。
 ここに掲載された歌詞と実際に歌われた歌詞を比べてみると、全8パラフレーズの内、第2、第3、第6パラフレーズがカットされ、歌われた部分も、メロディーとの関係から省略された語句があります。
 ということで、詳しくは分からぬながら、もしかすると、ロングヴァージョンとショートヴァージョンがあるのかもしれません。
 
 ところで、政美さんも歌う前に紹介されていましたが、原詩を書いた山尾三省さんは、2001年8月28日に癌のために亡くなられたのですが、ご家族に「遺言」を残されました。
 葬儀に参列した方が書かれた文章によると、出棺の際に奥様は、「とても大きな遺言で、できれば皆さんにお伝えして遺志をわかっていただきたい」として、その遺言を披露されたとのことです。
 また、この「遺言」は、詩人の死の直前、「MORGEN」2001年7月7日号にも発表されたらしく、そこから引用しているサイトもあります。
 
 以下に、山尾三省さんの3つの「遺言」を引用します。
 3.11の10年前に残された「遺言」を今読み返すと、(神田川のことはよく分かりませんが)今や詩人の願いとはことごとく正反対の悲惨な状況に陥っていることにあらためて愕然とします。
 しかし、「もう手遅れかもしれない」という弱音などはいてはいられません。私たちには「あきらめる」などという選択肢はないのですから。
 
山尾三省氏の「遺言」より引用開始)
 まず第一の遺言は、ぼくの生まれ故郷の、東京・神田川の水を、もう一度飲める水に再生したい、ということです。神田川といえば、JRお茶の水駅下を流れるあのどぶ川ですが、あの川の水がもう一度飲める
川の水に再生された時には、却初に未来が戻り、文明が再生の希望をつかんだ時であると思います。
 これはむろんぼくの個人的な願いですが、やがて東京に出て行くやも知れぬ子供達には、父の遺言としてしっかり覚えていてほしいと思います。

 第二の遺言は、とても平凡なことですが、やはりこの世から原発および同様のエネルギー出力装置をすっかり取り外してほしいということです。自分達の手で作った手に負える発電装置で、すべての電力がまかなえることが、これからの現実的な幸福の第一条件であると、ぼくは考えるからです。

 遺言の第三は、この頃のぼくが、一種の呪文のようにして、心の中で唱えているものです。その呪文は
次のようなものです。
 南無浄瑠璃光・われら人の内なる薬師如来
 われらの日本国憲法第九条をして、世界のすべての国々の憲法第九条に組み込まさせ給え。武力と戦
争の永久放棄をして、すべての国々のすべての人々の暮らしの基礎となさしめ給え。
(引用終わり)
 

(付録)
『愛の讃歌』 作詞・エディット・ピアフ 作曲:マルグリット・モノー 日本語詞・演奏:李政美