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佐藤優氏と柳澤協二氏のかみ合わない話が面白い~NDシンポの動画を視聴して

 今晩(2015年4月7日)配信した「メルマガ金原No.2053」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
佐藤優氏と柳澤協二氏のかみ合わない話が面白い~NDシンポの動画を視聴して

 今晩(4月7日)午後6時から、東京の弁護士会館で開かれた「日本はどこに向かうのか~集団的自衛権の行使容認に反対する全国キャラバン東京集会~」のテレビ中継を和歌山弁護士会の会議室で視聴してきました。
 後半の各地の弁護士会からの報告や、3人のゲストスピーカーによるリレートークもそれなりに意義あるお話であったとは思いますが、和歌山弁護士会館に集まった私を含めて4人の弁護士(たったこれだけ!)の目的は、東京大学法学部の石川健治教授(憲法学)の講演を聴くことにありました。
 何しろ約60分の石川教授の講演のあいだ、私は講演の要点をずっとメモし続けていたのですから、どれだけ熱心に聴いていたかが分かるかと思います。
 この「濫用される権力/濫用できない自由」と題された講演の動画が公開されれば、是非ご紹介したいと思うのですが、さすがに今晩は無理でしょう。
 
 ということで、先週の金曜日(4月3日)に開かれたND(新外交イニシアティブ)主催によるシンポジウム「安保関連法制を考える―集団的自衛権とこれからの外交・安全保障―」の動画がアップされているのに気がつきましたので、これをご紹介することにしました。
 実は、柳澤協二氏(ND理事/元内閣官房副長官補)と佐藤優氏(作家/元外務省主任分析官)という2人の元官僚が登壇し、ND事務局長の猿田佐世弁護士がコーディネーターを務めるというこのシンポには大きな関心を寄せていたのですが、動画が見られるのはだいぶ先だろうと思っていたところ、三輪祐児さんのUPLANに素早くアップされていたのでした。
 
 シンポジウムの案内に掲載されていた開催趣旨を引用します。
 
(引用開始)
 2014年7月1日の閣議決定を受け、本年2月13日から、安全保障関連法制についての政府・与党協議が始まりました。協議では、「後方支援」恒久法や「グレーゾーン」事態対応など、今後の外交・安全保障に大きな影響を及ぼす事項が議論されています。この度、外交・安全保障の専門家をお呼びして、安保関連法案の問題点や日米ガイドラインの改定を踏まえ、これからの日本の外交・安全保障はどうあるべきか、自衛隊の運用など実体論にも照らしながら議論します。
(引用終わり)
 
 動画と発言の目安時間は以下のとおりです。
 
20150403 UPLAN 佐藤優・柳澤協二「安保関連法制を考える―集団的自衛権とこれからの外交・安全保障―」

0分~ 猿田佐世氏
5分~ 柳澤協二氏
26分~ 佐藤優
44分~ パネルディスカッション
 
 パネルディスカッションの冒頭、昨年7月1日の閣議決定について独特の解釈(と言っても、首都大学東京の木村草太准教授の説と結論的には同じようなことなのですが)を示している佐藤優氏(「参考サイト」参照)に対し、猿田さんから質問がなされ、「当然これは尋ねるはずだ」と期待していた私は興味津々で耳をそばだてたのですが(音量レベルが上がらないこともあって)、どうも話がかみ合わないのですね。そう言えば、佐藤氏と柳澤氏の発言もかみ合っているようには全然思えませんでしたけど。
 実は、かみ合わないと言うよりも、佐藤優氏の話を聴き慣れていない私など、まず佐藤氏が何を言っているのか、半分も文脈を理解できないというのが正直なところです。
 もっとも、「だからつまらない」という訳ではなく、時間があればじっくり聴いてみたい気持ちにさせる何かがあるような気はします。

 ところで、私がこの動画を見ていて一番興味深かったのは、26分~44分の佐藤氏の冒頭発言を聴いている時の(隣に座った)柳澤さんの表情の変化ですね。
 どういう箇所で柳澤さんが憮然としており、どういう発言に頬をゆるめるか、そこに注目しながら見ていると、外務官僚と防衛官僚の発想の違いなども想像されて、興趣が尽きないかもしれませんよ。
 
(参考サイト)
公明新聞:2014年7月6日(日)付
“戦争への懸念”取り除く 虚心坦懐に全文を読めば明らか
作家・元外務省主任分析官 佐藤 優氏

(抜粋引用開始)
 今回の問題は、個別的自衛権と警察権の範囲で全部処理できる内容だったと、私は考える。だから、外務省と内閣法制局の頭のよい官僚に「これと全く同じ内容を個別的自衛権で処理しろ」と言えば、見事に処理した文章を作ってきただろう。
 その意味で、個別的自衛権の枠を超えることが一切ないという枠組みを、安倍首相の「集団的自衛権という言葉を入れたい」というメンツを維持しながら実現したわけで、公明党としては、獲得すべきものは全部獲得したと、私は考えている。だから「公明党が苦しい言い訳をしている」などという指摘は、なぜ、そんな認識が出てくるのか不思議でならない。
(引用終わり)