wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」(5/17)からのメッセージ

 今晩(2015年5月18日)配信した「メルマガ金原No.2094」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」(5/17)からのメッセージ

 昨日(5月17日)は、いわゆる大阪都構想についての住民投票、正確に言えば、大都市地域における特別区の設置に関する法律・第7条に基づく特別区設置協定書(大阪市を廃止して5つの特別区を設置するという内容)についての選挙人の投票が行われ、1万票余りの差で反対票が賛成票を上回り、大阪市は廃止されないことになりました。
 

 ここ2か月というもの、大阪の同業者(弁護士)の皆さんの奮闘努力の様子を見聞きしていた私としては、まことに慶賀に堪えません。
 なお、反対の立場から、なぜ賛成との票差がこれほど僅少だったのかという背景を分析しつつ、この投票結果の意義を論じた考察が出始めていますが、今まで私が読んだものの中では、渡辺輝人弁護士(京都弁護士会)の論考のご一読ををお薦めしたいと思います。
 
 
 さて、昨日は、大阪以外でも、多くの心ある人々を勇気づける重要な大会が開かれましたので、記録にとどめておきたいと思います。
 言うまでもなく、沖縄県那覇市沖縄セルラースタジアム那覇で開かれた「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」です。
 この大会のチラシをネット検索してみると、色違いのものが何種類か見つかりますが、いずれにも「大会への万余の県民の結集を呼びかけます」とあり、スタジアムを埋め尽くした参加者の映像を見た後で振り返ると、「万余」とは控え目な呼びかけだったなと思います。
 
 この大会の模様については、沖縄の地元紙2紙が中継動画をYouTubeにアップしてくれていますので、どちらを視聴しても良いのですが、撮影アングルも違いますし、この際両方ご紹介しておきます。なお、観客席の音声は琉球新報の方がオン気味なので、スピーチの内容を明瞭に聴き取りたいという場合には沖縄タイムスを、その場の臨場感を味わいたいという方には琉球新報をお薦めします。
 
戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会(琉球新報

※翁長雄志知事のスピーチは1時間10分~23分。
 
辺野古新基地ノー」3万5千人訴え 沖縄県民大会(沖縄タイムス

※翁長知事のスピーチは同じく1時間10分~23分。 
 
 午後1時の開会に先立ち、早めに入場した参加者のために、音楽演奏などが行われたようですが、その一部が、沖縄タイムスのライブ配信動画でちらっと視聴できます。
 
「止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」ライブ配信(沖縄タイムス
 

 また、IWJによる中継動画(アーカイブ)の1本目でも、いくつかの演奏が視聴できます。
 
 
 最後に、大会での翁長雄志知事の挨拶と大会決議が地元紙に掲載されていますので、相当長くなりますが、全文引用してご紹介します。
 翁長知事の挨拶は一部抜粋にしようと考えて作業を始めたのですが、「どの部分も削れない」と思い直し、全文引用としました。
 私たち本土に住む者が、「沖縄県民大会」の動画を視聴し、翁長知事の挨拶と大会決議を読むということは、「日本に民主主義はあるのか?」という沖縄からの問いに、自らの答えを出さねばならないということだと思います。答えを出したら、その自分の考えに対して責任をとるしかないでしょう。
 そういう意味から、1人でも多くの方に視聴し、かつ読んでいただきたいと思います。
 
沖縄県民大会:翁長雄志知事あいさつ全文(沖縄タイムスより)
(引用開始)
 ハイサーイ、ぐすーよーちゅーうがなびら。うちなー県知事ぬ翁長雄志やいびん、ゆたさるぐとぅうにげーさびら。新辺野古基地を造らせないということで、ご結集いただいた皆さん、外野席もいっぱいであります。3万人を超えて、4万、5万と多くの県民が集まっていると思っております。うんぐとぅあちさぬなか、うっさきなーあちまてぃくみそーち、いっぺーにへーでーびる。まじゅんさーに、ちばらなやー
さい。
 私は多くの県民の負託を受けた知事として、県の有するあらゆる手法を用いて辺野古に新基地は造らせ
ない。この公約実現に向けて全力で取り組んでいくことを、今皆様方に改めて決意をいたします。
 先月、私は安倍晋三首相、菅官房長官と会談させていただきました。お二人との会談内容を国民の皆さまが注目することになり、ほとんどの中央メディアの世論調査で、国民は平均して(反対が)10%ほど上回る意思を表示していただきました。本土と沖縄の理解が深まったことに、大変意を強くいたしております。さらに、辺野古基金においても本土からの支援が多く寄せられていると聞いており、心強い限りで
、ともどもにこの沖縄から日本を変えていきたい、こう決意をしているところであります。
 しかし私が、沖縄の民意を伝えたにもかかわらず、日米首脳会談の共同会見において、安倍首相が「普天間飛行場の危険性を辺野古建設によって一日も早く除去する」と発言されました。私は強い憤りを感じております。安倍首相は「日本を取り戻す」と言っておりますが、私からするとこの「日本を取り戻す」の中に、沖縄が入っているのかと強く申し上げたいと思います。「戦後レジームからの脱却」とよく言っておりますが、沖縄に関しては「戦後レジームの死守」をしていると、私はこう思っております。沖縄の
基地問題無くして、日本を取り戻すことはできません。
 日本の安全保障は、日本国民全体で負担する気構えがなければ、沖縄のほとんどの県民に負担をさせておいて、日本の国を守ると言っても、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされ、抑止力から言っても
、私は、どうだろうかなと思っているわけであります。
 特に沖縄から見ると、日本が独立し、沖縄が切り離されたサンフランシスコ講和条約の祝賀式典で万歳三唱する姿を見ると「また同じ歴史が同じ歴史が繰り返されることはないだろうか」あるいは「ミサイル数発で沖縄が沈むことはないだろうか」「将来の子や孫が捨て石として犠牲とならないか」。沖縄に責任
を持つべき責任世代としてしっかりと見極めていかなければなりません。
 そして、これは強調しておかなければなりません。政府は普天間基地の危険性の除去はこの問題の原点だと言っておりますが、沖縄から言わせると、さらなる原点は普天間基地が戦後米軍に強制接収されたこ
とにあります。
 何回も確認を致します。沖縄は自ら基地を提供したことは一度もございません。普天間飛行場もそれ以外の基地も、戦後、県民が収容所に収容されている間に接収され、また居住所等をはじめ、強制接収されて、基地建設がなされたのであります。自ら土地を奪っておきながら、「普天間飛行場が老朽化したから」「世界一危険だから」「辺野古が唯一の解決策だ」「沖縄を負担しろ、嫌なら沖縄が代替案を出せ」こ
ういう風に言っておりますが、こんなことが許されるでしょうか。
 私はこのことを日本の政治の堕落だと言っているわけであります。
 自国民に自由と人権、民主主義という価値観を保障できない国が、世界の国々とその価値観を共有できるでしょうか。日米安保体制、日米同盟というものは、私はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるもの
であってほしいと思っています。
 一方、(外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会の)2プラス2共同発表には、世界一危険だと指摘されている普天間飛行場の5年以内の運用停止が明示されていません。普天間飛行場の5年以内の運用停止について、前知事は県民に対し「一国の総理および官房長官を含め、しっかりと言っている。それ
が最高の担保」だと説明しています。
 5年以内運用停止は前知事が埋め立て承認に至った大きな柱であります。しかし、米国側からは日米首脳会談でも言及することはありませんでした。5年以内運用停止は辺野古埋め立て承認を得るための話のごちそう、話くゎっちー、空手形だったのではないかと私は危惧しております。今日までの70年間の歴史、いつも困難の壁があるときは、必ず、話のごちそう、「話くゎっちー」をウチナー県民にも、国民に
も聞かせて、それを乗り越えたら知らんぷりと。これが70年の沖縄基地問題の実態です。
 私は安倍首相にお聞きしました。ラムズフェルド元国防長官が13年前、普天間基地は世界一危険な基地だと発言し、菅官房長官もそのことを再三再四言うなかで、辺野古が唯一の解決策だといっている。辺野古基地ができない場合、本当に世界一危険な普天間基地は固定されるのか、首相に聞きましたら返事はありませんでした。しかし私は自由と人権と民主主義の価値観を、共有する国々との連帯を目指す日米同
盟がそんなことはできないと思っています。
 新辺野古基地の建設を阻止することが普天間飛行場を唯一解決する政策です。
 中谷防衛相との対談では、今日の中国の脅威を説明し、数字を挙げ、新辺野古基地が唯一の解決策だと話をした。「いかに現在が危機的な状況であるか」「自衛隊の増強も必要だ」「沖縄がいかに安全保障にとって重要か」と、得々と説明しております。しかし考えてみると沖縄のこの70年間、冷戦構造時代のときも大変でした。今も危機があるといっているが、私たちは積極的平和主義の名の下に、中東まで視野に入れながら、これから日米同盟が動くことを考えると、沖縄はいつまで世界の情勢に自らを投げ捨てな
ければいけないのか。私はこれについてしっかりと対処していきたい。
 安倍首相が、二つのことが前に進んでいると私に話しました。
 一つは嘉手納以南の(返還の)着実とした進展、もう一つはオスプレイは全国に配備し、少しずつよくなっていますよと話ました。こういう話を聞くと本土の方々はなかなかやるじゃないか、少し前に進んだ
んだなあと思っていると思います。
 しかし、私は首相に申し上げました。首相がおっしゃるように普天間飛行場が新辺野古基地に移り、そして嘉手納以南が返された場合、一体全体、何%基地が減るんですか。これは、73・8%が73・1%
。たったの0・7%しか減らないんですよ、みなさん。
 何でかというと、全部県内移設だからです。外に持って行く話ではまったくないんです。これが本土の
方々には分かっていない。嘉手納以南をみんな返すぞと、こういうことで分かっていない。
 それから、オスプレイ。あれは森本敏元防衛相の5年前の著書の中で沖縄にオスプレイが配備されるだろうと書いてあります。見事に的中しております。そして、その中に何が書いてあったかといいますと、あの新辺野古基地はオスプレイを100機以上もってくるために設計されて、これからすべて、オスプレ
イが向こうに置かれるんだということが、あの森本さんの著書の中に書いてあるんです。
 ですから、今本土で飛んでいるオスプレイは一定程度が過ぎたら、みんな沖縄に戻ってくるんです。こ
れを日本の政治の堕落だということを申し上げているんです。
 どうか日本の国が独立は神話だと言われないように、安倍首相、頑張ってください。
 ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄の人をないがしろにしていけない)。
(引用終わり)
 
戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会 決議全文
(引用開始)
 今年は戦後70年の節目の年である。私たち沖縄県民は悲惨な地上戦により住民の4人に1人が犠牲となった。戦後27年間は米軍占領統治下におかれ、日本国憲法は適用されなかった。本土復帰から43年目を迎える今も、米軍基地あるがゆえの事件や事故に苦しみ続けている。私たち沖縄県民は長年に渡り、自ら望んで持ってきたわけではない米軍基地を挟み、「容認派・反対派」と県民同士が対立し、分断され
続けてきた。
 こうしたなか、昨年の名護市長選挙、名護市議選挙、沖縄県知事選挙、衆議院選挙の沖縄4選挙区のすべてで、米軍普天間基地移設に伴う名護市辺野古への新基地建設反対の圧倒的民意が示された。ところが、安倍政権は、前知事が公約をひるがえし行った公有水面埋め立て承認を盾に、民意を無視して辺野古新基地建設を「粛々と」強行している。翁長雄志県知事による海上作業の停止指示を無視し、反対する市民に対しては、海上保安庁や沖縄防衛局による過剰警備によって弾圧を加えている。また、去る4月28日沖縄県民にとっての屈辱の日には、日米首脳会談において辺野古新基地建設推進を再確認している。こうした日米両政府の姿勢は、「自治は神話だ」と言い放った米軍占領統治下の圧政と何も変わらない、沖縄県民の意思を侮辱し、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊する暴挙である。もはや「辺野古」は沖縄
だけの問題ではない。わたしたちは今、この国の民主主義の在り方を問うている。
 私たち沖縄県民は自ら基地を提供したことは一度もない。普天間基地も住民が収容所に入れられている間に建設され、その後も銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収によって拡張されてきた。これは占領下においても私有財産の没収を禁じたハーグ陸戦法規に明白に違反するものである。国際法に違反しつく
られた米軍普天間基地は閉鎖・撤去こそが「唯一の解決策」である。
 辺野古新基地建設を巡るこの19年間において、今まさに正念場である。今新基地建設を止めなければいつ止めるのか。私たち沖縄県民は2013年1月に安倍首相に提出した建白書を総意として「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念」を強く求めている。保革を超えて私たち県民がつくりあげた、この沖縄の新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓(ひら)く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義はわたしたちにあり、辺野古に基地をつくることは不可能である。子どもたちや孫たち、これから生まれてくる次の世代のためにも、私たち沖縄県民は決して屈せず、新基地建設を断念させる
までたたかうことをここに宣言する。
 よって、日米両政府は県民の民意に従い、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設・県内移設
を断念するよう強く要求する。以上、決議する。
  2015年5月17日
    戦後70年 止めよう辺野古新基地建設! 沖縄県民大会 
(引用終わり)