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志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(1)~自衛隊は「戦闘地域」に派遣される

 今晩(2015年6月1日)配信した「メルマガ金原No.2108」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く(1)~自衛隊は「戦闘地域」に派遣される

 去る5月28日(木)23時35分、私のブログ(弁護士・金原徹雄のブログ)にアップした「国会論戦はこうありたい~志位和夫日本共産党委員長による安倍首相追及を多くの人に視聴して欲しい」という記事について、あいついでFacebookでシェアしていただいたおかげで、本日(6月1日)22時55分の時点で累計アクセス数が4,533に達しています。
 人気ブロガーならあっという間に達成する数字でしょうが、1つの記事についてのアクセス数が100に達したら上出来という普段の私のブログの状況から見れば驚異的な数字です。
 また、私のもう1つのブログ「wakaben6888のブログ」にも同内容でアップしていますので(これは記事ごとのアクセス数は分からない)、2つのブログを合わせた総アクセス数は優に5,000を超えていると思われます。
 これは、戦争法案(政府は「平和安全法制整備法」及び「国際平和支援法」と呼称)に大きな不安を抱いている国民にとって、法案の問題点を、具体的な事実を踏まえながら、あくまで論理的な筋道をはずさず、正攻法で政府を追及してくれる志位氏の姿に、真の「国民の代表」(代弁者と言ってもいいでしょう)を見出したという感動がもたらした結果ではないかと思います。
 

 実は、昨日(5月31日)、「九条の会・わかやま」連続講座「戦争しない国をいつまでも」で講師を務めてみてようやく分かってきたのですが、戦争法案の全貌を一気に理解しようとするのはかえって効率が悪く、理解も進まない、それよりも、鍵となる法案の問題点をまずじっくりと理解することに努め、その後で他の法案にとりかかれば、共通する問題点も多く、戦争法案全体の構造についての理解がはかどると思います。
 そして、私が戦争法案のキーだと考えたのは、周辺事態法(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律)です。
 ただ、私がここで周辺事態法と、それを「改正」しようとしている重要影響事態法案(重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案)の拙い解説を書くよりは、志位和夫委員長と日本共産党タスクフォースによる、国民共有の成果である5月27日・28日の衆議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(平和安全特別委員会)における質疑を活用させてもらう方が、はるかに分かりやすくて有益だろうと考えました。
 両日の公式会議録はまだ公表されていませんが、幸い、しんぶん赤旗WEBサイトで文字起こしを読むことができます(想田和弘監督のFacebookで教えていただきました)。
 正式な会議録が公表される前段階で、速記録の未定稿が関係者の元に届けられるようなので、それが基になっているのかもしれませんが、いずれにしても大変便利です。
 
 
 
 以上の質疑(文字起こし)をテキストとして引用しつつ、必要な補注を私が書き足すということを考えています。
 以前、東京新聞の半田滋さんの「私説・論説室から」に掲載された文章に補注を施して公表したことが3度ばかりありましたが、それと同じ要領で、ただし分量がはるかに多いので、とても1回や2回ではおさまりません。何回かかるか分かりませんが、自分自身の勉強のつもりで書いていきたいと思います。何とか最後までたどり着ければ良いのですが。
 
 なお、引用する志位和夫氏の発言は紺色、安倍晋三首相や中谷元防衛相ら政府側の発言は赤色、私が書いた補注は黒色、私が引用した条文等は茶色で表記しました。
 

2015年5月27日 衆議院 平和安全特別委員会
 

志位和夫委員長 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。今日と明日、2日続けて、
安倍政権が、「平和安全法制」の名で国会に提出した一連の法案についてただしていきたいと思います。
 安倍政権は、この法案を「平和安全」と銘打っておりますが、わが党は、日本を「海外で戦争する国」
につくり変える戦争法案が正体だと考えております。
 多くの問題点がありますが、憲法9条を破壊する三つの大問題について質問します。
 第一は、武力行使をしている米軍等への補給、輸送などの軍事支援――いわゆる「後方支援」の問題です

 政府提出法案には、武力行使をしている米軍等への「後方支援」を定めた二つの法案があります。「重
要影響事態法案」と「国際平和支援法案」であります。
 二つの法案に共通する最大の問題は、これまで政府が「戦闘地域」としていた場所にまで自衛隊が行っ
て軍事支援を行うことになることにあります。これまでの自衛隊の「海外派遣法」と、どこがどう変わる
のか。まずパネルをごらんください。(パネル1)
 (パネルに書いた)上がこれまでの活動ですが、2001年のアフガニスタン戦争に際してのテロ特措
法、2003年のイラク戦争に際してのイラク特措法には、自衛隊が活動できる場所を次のように規定しておりました。
 
 「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる……地域」
 
テロ特措法(平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年十一月二日法律第百十三号))
 
(基本原則)
第二条
3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺
傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
 
イラク特措法(イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年八月一日法律第百三十七号)
※2条3項を参照してください(非戦闘地域)。
  
 ここで規定されている地域は「非戦闘地域」といわれました。「非戦闘地域」は、第一に、現に戦闘行為が行われていない地域、第二に、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域、という二つの条件を満たした地域とされていました。「非戦闘地域」という「歯止め」があったために、自衛隊の活動は、インド洋での給油活動、イラクサマワでの給水活動、バグダッド
への空輸活動等に限られました。
 それが「重要影響事態法案」と「国際平和支援法案」ではどう変わっているか。(パネルに書いた)下であります。
 
 「現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとする。ただし、……捜索・救助活動についてはこの限りではない」
 
我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案 新旧対照
※重要影響事態法案(57頁~)の2条3項が新たな活動地域を定めています。
 (重要影響事態への対応の基本原則)
第二条
3 後方支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷
し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第七条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。
 
国際平和支援法案(国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律)
(基本原則)
第二条
3 協力支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第八条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。
 
 以上のとおり、一言一句同じです。しかも、この規定は、2条3項に置くというのが習わしになっているようです。
 
 これはきわめて重大な変更です。これまでの「海外派遣法」にあった第2の条件――「そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」という規定が削除されております。
 「戦闘現場」――その瞬間に戦闘行為が行われている場所でなければ、自衛隊の活動期間中に戦闘行為が行われる可能性がある場所――これまで政府が「戦闘地域」としてきた場所であっても、自衛隊の軍事
支援ができるとしています。
 活動内容の点でも、政府の法案では、これまで実施できなかった米軍への弾薬の提供、武器の輸送、戦
闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備も実施できるものとなっております。
 まず確認です。総理、こうした変更を行おうとしていることは、間違いありませんね。確認です。
 
 具体的にどのような活動を行えるかについては、法案の別表に定められています。重要影響事態法案における後方支援の具体的内容は別表第一(新旧対照表66頁~)です。
 その別表の「備考」には、「物品の提供には、武器の提供を含まないものとする。」と書いてあります。
 それでは、この「武器」に「弾薬」は含まれず、志位委員長の指摘するように「弾薬」は提供して良いというのはどこに書いてあるのでしょうか?重要事態対処法案の別表をいくら読んでも「弾薬」という言葉は出てきません(多分そうだと思います)。
 それでは、なぜ「米軍への弾薬の提供、武器の輸送、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備も実施できる」ことになるのかというと、そもそも重要影響事態法案は、周辺事態法の改正案なのですが、上記に対応する別表第一の備考欄には以下のように記載されているのです(両特措法にもほぼ同様の規定がありました)。
 
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年五月二十八日法律第六十号)
別表第一 備考
一 物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。
二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まな
いものとする。
三 物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送(傷病者の輸送中に行われる医療を含む。)を除き、我が国領域において行われるものとする。
 
 ちなみに、上記三は、「周辺」事態法ならではの規定ですが、たとえば、テロ特措法では、一、二は全く同文、三は「物品の輸送には、外国の領域における武器(弾薬を含む。)の陸上輸送を含まないものとする。」とありました。
 そして、重要影響事態法案の別表第一の備考は単に「物品の提供には、武器の提供を含まないものとする。」だけになってしまっています。
 これを法律解釈の常識にあてはめれば、「弾薬を提供しても良い」「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備をしても良い」と読むしかありません。
 
 なお、国際平和支援法案の別表第一の備考にも、全く同じ「物品の提供には、武器の提供を含まないものとする。」という規定が置かれています。この規定も、解釈の常道からすれば、重要影響事態法案の別表第一備考と同じく、「弾薬は提供して良い」と解するしかありません。ちなみに、同法では後方支援という用語は使われず、協力支援活動と称されていますが、中身は後方支援とほとんど変わりません。
 
安倍晋三首相 法律もですね、いままでの法案…法律からですね、今度私どもが出している重要影響事態法や、あるいは国際平和支援法においてはですね、後方支援の考え方については、いま志位委員が説明した…説明したというか、そのパネルに書いてあるのはそのとおりであります。
 
志位 お認めになりました。そこで総理にうかがいます。戦闘行為が行われる可能性がある場所まで自衛隊が行くということは、自衛隊自身が相手方から攻撃される可能性があるということになります。それをお認めになりますね。昨日(5月26日)の本会議で、この質問を私はいたしましたが、総理から定かな答弁はありませんでした。はっきりお答えいただきたい。自衛隊が攻撃される可能性です。
 
中谷元・防衛相 後方支援に限りますが、今度、あの、重要影響事態法、また国際平和支援法、これにもとづいて実施する補給、輸送などの支援活動は、まずその性質上、そもそも戦闘の前線のような場所で行うものではなくて、危険を回避して、活動の安全を確保した上で実施するものでございます。これまで戦闘地域とされてきた場所まで行って活動するとの趣旨が、定かではございませんが、いずれにせよ、わが国が行う支援活動は、現に戦闘行為が行われている現場では実施しないことを明確に規定をいたしております。
 また法律上、部隊等が活動を円滑かつ安全に実施することができるように、活動の実施区域を指定することとなっておりまして、いま現在戦闘行為が行われていないということだけではなくて、自衛隊が現実
に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定することになります。
 万が一、状況の変化により自衛隊が活動している場所が、現に戦闘行為が行われている現場等となりう
る場合には、活動の中止…休止、中断を行うこととなります。
 もう一点。自衛隊が武器を使用できるのは、不測の事態に際して、自分や現に…現場に存在する自衛隊員などの生命、身体防護のためやむをえない必要がある場合のみでありまして、そのさいの武器使用も厳格な比例原則にもとづいて、必要な限度に限られており、人に危害を加えるもの、正当防衛、また緊急避
難に該当する場合です。したがって、武器を使って反撃しながら支援を継続することにはなりません。
 いずれにしても、自衛隊が戦闘行為を行う、また自衛隊の活動が戦闘行為になるということはないということです。
 
志位 武器の使用のことまで聞いていないんでね(笑い)、聞いていないことまで答える必要はないんです。
 いまのご答弁でも、それから昨日の総理の本会議でのご答弁でも、自衛隊の活動の実施区域を指定するさいに、「自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所」を指定するといっております。いまもおっしゃいました。昨日、総理もおっしゃいました。しかし、そんなことは、法案には書いていないんですよ。法案にはひと言も書いていない。法案に書いてあるのは、「円滑かつ安全に実施できるように」(「重要影響事態法案」では第6条の3、「国際平和支援法案」では第7条の3)としか書いていない。
 
重要影響事態法案(新旧対照表62頁)
 
自衛隊による後方支援活動としての物品及び役務の提供の実施)
第六条
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、防
衛省の機関又は自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該後方支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
 
国際平和支援法案
 (協力支援活動の実施)
第七条 
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該協力支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
 
 なお、「第6条の3」は「第6条3項」の、「第7条の3」は「第7条3項」の言い間違いです。
 
 今度は総理にうかがいます。総理は、昨日の本会議での答弁で、いまの大臣の答弁でもありましたが、「自衛隊が活動している場所が、戦闘現場になる場合」があると認めました。法案でも、自衛隊が活動している場所で「戦闘行為が行われるに至った場合」を想定して、あれこれの対応方針を明記しております。自衛隊が活動している場所が戦闘現場になることを想定しているということは、自衛隊自身が相手方から攻撃される可能性を想定しているということになるじゃありませんか。
 自衛隊が行う弾薬の補給、武器の輸送等の「後方支援」――兵たんが、格好の軍事目標になるということは、軍事の常識であります。自衛隊は攻撃されないという保障でもあるんでしょうか。総理、はっきりお答えください。私が、聞いているのは、自衛隊自身が攻撃される可能性を聞いているんです。それを否定できますか。
 
首相 その可能性がですね、100%ないと私、申し上げたことはございません。そこで、先ほど、昨日もお話をさせていただいたわけでありますが、新たな仕組みのもとでもですね、部隊の安全等を考慮して、いま現在、戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所をですね、実施区域に指定することとなります。もちろん、しかしだからといってですね、絶対にないわけではありませんから、そのときには、部隊の責任者が判断して、一時休止する、あるいはその後ですね、退避するという、そういう判断は当然行わなければならないわけでございます。という意味において申し上げているわけでございます。
 
志位 総理は、自衛隊の部隊が攻撃される可能性を否定しませんでした。また繰り返して、「自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所」を(実施区域に)指定するとおっしゃるんですが、法律にないんですよ、法律に。そういう場所を指定するというんだが、法律に書いてあればいいけど、法律にはない。それははっきり言っておきたいと思います。
 
 志位委員長が指摘するとおり、従来法律上の制限であった「非戦闘地域」でなければならないという要件をわざわざ外しておきながら、あたかも従来通りの非戦闘地域を「実施区域」に指定するなどというのはペテン以外のなにものでもありません。
 
志位 それでは、次に、自衛隊自身が攻撃されたらどうするんですか。必要な場合には、武器の使用をすることになりますね。総理は、昨日の本会議で、私の質問に対する答弁で、「自分やともに現場に所在する自衛隊員などの生命や身体の防護のためのやむを得ない必要がある場合」には、「武器を使用できる」と答弁しました。間違いありませんね、確認です。
 
重要影響事態法案(新旧対照表64頁~)
 第十一条に詳細な規定があります。
 
首相 これは、自己保存型のですね、武器の使用になるわけでありまして、危害要件については、当然ですね、これは正当防衛と緊急避難に限られるわけでございます。
 
志位 自己保存型に限られるとおっしゃいましたけれども、武器の使用はするというご答弁でした。
 さらに総理にうかがいます。自衛隊が、いったん武器の使用をすれば、相手方はさらに反撃をする。そうなれば、自衛隊は応戦することになります。撃ち合いが始まります。自衛隊は、相手方が、攻撃を中止する、あるいは逃走するまで、武器の使用を続けることになります。自衛隊がまさに戦闘をすることにな
るではありませんか。
 昨年5月の(衆院予算委員会の私の質問に対して、総理は、「イラク戦争アフガニスタン戦争のような場合に、武力行使を目的にして戦闘に参加することは決してない」と繰り返しました。いまでも繰り返しておられます。しかし、たとえ武力行使を「目的」にしていなくても、補給や輸送などの「後方支援」が目的であったとしても、これまで政府が「戦闘地域」としてきた場所にまで行って活動すれば、結果としてまさに戦闘を行うことになるではありませんか。そのことを否定できますか、総理。
 
防衛相 この法律に基づいて行う活動におきましては、補給、輸送などの支援活動でございますが、そもそも前線のような場所で行うものではなくて、危険を回避して活動の安全を確保した上で実施をするものでございます。自衛官が武器を使用できるのは、不測の事態に際して、自己保存の権限による場合であるのみでありまして、武器を使って反撃しながら支援を継続するようなことはございません。いずれも、自衛隊が戦闘行為を行う、また自衛隊の活動が戦闘行為になるということは、ないわけでございまして、支援活動の成果、実施が結果として武力行使となるということはないということでございます。
 
首相 いま大臣から答弁させていただいたようにですね、先ほども答弁いたしましたが、いわば自己保存型の武器の使用しかできないわけでございまして、そのなかにおいては、もし攻撃を受けた場合にはですね、そこで応戦するということではなくて、直ちに退避に…応戦しながら業務を継続するということではなくですね、直ちに退避に移るわけでございます。
 
志位 いろんなことをお答えになっていますが、自己保存型だったら「武器の使用」をするというのがご答弁なんですね。
 
 なお、再々引用している重要影響事態法案は、周辺事態法の改正案ですが、その後のテロ特措法やイラク特措法で問題となった「戦闘地域」「非戦闘地域」の区別というのは、1999年(平成11年)に成立した周辺事態法で使用された概念を流用したものであり、主に朝鮮有事を想定して作られたとされる周辺事態法においては、自衛隊が米軍に対して後方支援(正確には後方地域支援)が行えるのは後方地域(我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲/同法第3条1項3号)に限られていました。
 しかるに、重要影響事態法案は、この後方地域という概念を完全に抹消し、世界中いかなる場所であろうと、政府が「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」(第1条)と認定しさえずれば、米軍に対する(この法案では米軍の友軍にも)後方支援という名目の危険な兵站を(非戦闘地域という制限も取り払って)自衛隊に担わせることができるという法案です。
 そのようなものであることを前提として、もう一度上記のやりとりを読めば、志位委員長の指摘する事実がなお一層切実にご理解いただけるのではないかと思います。