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公明党・濱地雅一議員の言動から思い出した1年前の同党へのメッセージ

 今晩(2015年6月20日)配信した「メルマガ金原No.2127」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
公明党・濱地雅一議員の言動から思い出した1年前の同党へのメッセージ

 昨日(6月19日)の衆議院安保法制特別委員会(衆議院は「平和安全特別委員会」と略称)で発生した1つの「悪質ヤジ」についてのニュースに目をとめた人がどれほどいたでしょうか?
 掲載した新聞でもベタ記事の扱いだったでしょう。
 
朝日新聞デジタル 2015年6月19日22時26分
公明・浜地氏、辻元氏に「バカか」とヤジ 安保特別委

(引用開始)
 安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で19日、公明党浜地雅一衆院議員(比例九州)が、質問中の民主党辻元清美衆院議員に「バカか」とヤジを飛ばしていたことが分かった。浜地氏は同日、事実関係を認め、辻元氏に直接会って陳謝した。
 公明幹部らによると、同日午前、辻元氏が徴兵制について質問していた際、民主議員が「バカか」というヤジを聞いた。公明の遠山清彦理事に確認を求めたところ、浜地氏がヤジを認めたという。辻元氏は朝日新聞の取材に「残念だ。徴兵制は国民の関心が高い。与党は触れてほしくないからヤジを飛ばすのか」と語った。
 5月28日の同特別委では、安倍晋三首相が辻元氏に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばし、審議がストップしたケースがある。
(引用終わり)
 
 
【安保】辻元清美(民主党) 平和安全特別委員会 2015年6月19日
 

 約1時間の辻元議員の質問のどの部分で飛ばされたヤジか、残念ながら動画の上では特定できていないのですが、既に不適切ヤジを飛ばした議員も特定され、謝罪もなされたということなので、衆議院内部のこととしてはこれで終わりでしょう。
 しかし、時々国会審議を衆議院TVで視聴する市民の1人である私としては、これはこのまま聞き捨てには出来ないニュースなのです。
 
 去る6月15日に外国特派員協会及び日本記者クラブで行われた長谷部恭男氏(早稲田大学教授)と小林節氏(慶應義塾大学名誉教授、弁護士)の記者会見をお伝えした翌16日のブログ(憲法学者の矜恃~長谷部恭男氏と小林節氏の記者会見を視聴して(6/15))において、私は、以下のように指摘しました(該当部分を再掲します)。
 
(引用開始)
 6月11日の憲法審査会における与党議員による長谷部教授に対する「謂われのない批判」がいかなるものであったか、私自身はまだ裏付けがとれていません。
(略)
 ただ、「しかも、そのうちでも公明党の議員は、私がそうした誤解をしたのは、私が安全保障について熟知していない、つまり素人だからだという指摘も加えております。」は少し気になりましたので、当日発言した公明党の議員が誰かと調べてみました。すると、北側一雄氏、國重徹氏、濱地雅一氏の3人が発言していました(ちなみに、全員弁護士です)。
 全ての発言を見る時間はなかったのですが、北側副代表以外の2人の若手議員の発言はチェックしました。その結果、どうも濱地雅一議員の発言が長谷部教授を激怒させた可能性が高いのではないかと思いますので、皆さんにも視聴していただきましょうか。全部で6分程度の短いものです。
 
【安保】濱地雅一(公明党) 憲法審査会 2015年6月11日
 

 濱地雅一議員(5分~) なぜこういうことが起きるかというと、やはり安保法制というのは非常に複雑に出来ておりまして、よく条文を読み込みながら、また現状のですね、安全保障の環境をやはり熟知しながら行わないと、やはり読み違うんだなというのを感じました。
 
 濱地議員は、2006年に司法試験に合格ということなので修習は61期ですかね。その程度の法曹経験でこういう発言が出来るというのは実に良い度胸と言うべきで、これが議員バッヂの威力というものでしょうか。
 同議員が長谷部教授の会見を見たら(いくら何でももう見たでしょう)どう思ったでしょうか。同教授の「曲解」だと、あくまで自己弁護を繰り返しているようなら、この議員にまともな未来はないと思いますけどね。
(引用終わり)
 
 長谷部恭男教授が日本記者クラブで会見したのが6月15日。濱地(浜地)議員が辻元清美議員に不適切ヤジを飛ばしたのが6月19日。結局、この議員は、6月11日の憲法審査会での自らの発言と真摯に向き合うということを全くしていない、言い換えれば「懲りない人間」であることが露わになったというのが、今回の不適切ヤジを訪じる短いニュースに接した私の感想でした。

 そして、どうしてこのような弁護士議員が誕生したのか知りたいと思い、公式サイトのプロフィールを調べてみました。
 
Profile(はまち雅一プロフィール)
(抜粋引用開始)
昭和45年5月8日 福岡県福岡市に4人兄弟の長男として生まれる。
福岡市立元岡小学校、私立創価中学校、創価高等学校に進学。
平成6年3月 早稲田大学法学部卒業。
平成6年4月 UBS証券入社。
平成9年4月 大手マンション開発販売会社入社。
平成14年11月 司法書士試験合格。
平成18年11月 司法試験合格。
平成20年9月 弁護士登録。
平成24年12月 第46回衆議院総選挙にて、比例九州・沖縄ブロックより初当選。
平成26年12月 第47回衆議院総選挙にて、比例九州・沖縄ブロックより再選。
(引用終わり)
 
 ちなみに、公式サイトでは省略されていますが、Wikipediaによると、「2009年(平成21年) 第45回衆議院議員総選挙比例九州ブロック公明党から名簿順位5位で立候補し落選。」だそうです。
 
 弁護士としてどういう実績を積んでいるのかは全く知りませんが、証券会社、大手マンション販売会社等で社会人としての経験を積んでいるということを、公式サイトでは【鍛え抜かれた「抜群の経営感覚」】とアピールしています。
 一体どういう社会経験を積んできたのでしょうかね。創価中学、創価高校の出身でもあり、少年時代から創価学会による宗教教育も受けてきたのでしょうが、その成果がこれですか。
 
 私は、昨年の6月10日、賛同してくれる多くの仲間との連名で、公明党に対し、以下のようなメッセージを送りました。私自身、公明党の「裏切り」の可能性は非常に高いと予想しつつも、最後の瞬間まで努力を重ねるのが正しい態度だと信じ、メッセージへの賛同者を募って公明党本部などにメッセージを送ったのでしたし、そのこと自体は、7月1日の閣議決定後も、別に後悔などしていません。
 していませんが・・・濱地雅一氏のような議員の言動を見るにつけ、政治家の劣化は、何も自民党だけの宿痾ではないという現実を否応なく突き付けられ、暗澹たる気持ちになることもまた事実です。
 もう2度とこの政党にこのようなメッセージを送ることはないだろうという苦い思いを噛みしめながら1年前を振り返っておくことも、これからを見すえて新たな力を奮い立たせるためには決して無駄ではないでしょう。
 
【1年前の市民有志から公明党へのメッセージ】
                                  2014年(平成26年)6月10日
 
公 明 党 代表 山 口 那津男 様
 
                  平和を願う市民有志(賛同者22名の氏名は末尾に記載)
                    (送信者代表)
                    〒640-8142
                    和歌山市三番丁6番地 関西電電ビル4階
                     TEL:073-427-0852 FAX:073-427-0853
                      金原徹雄法律事務所
                        弁護士 金 原 徹 雄
 
 拝啓 梅雨の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 貴党におかれましては、日々重要な国政の課題に対処すべく、全力を尽くされていることと拝察します。
 
 さて、私たちは、我が国が戦後69年間、一度も直接戦争に参加することなく、国民が平和のうちに生存してこられたことを何よりも大切に思い、この国のあり方を子々孫々に伝えていく責任があると考えている市民有志です。
 
 私たちは、去る5月15日、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」からの報告書提出を受け、安倍晋三首相が記者会見を開き、従来、憲法9条の下では行使できないと一貫して解釈されてきた集団的自衛権について、限定的とはいえ、行使を容認する「基本的方向性」を明らかにしたことに大きな衝撃と憤りを感じざるを得ませんでした。
 
 つとに、歴代の内閣法制局長官をはじめとする多くの識者が指摘されているとおり、我が国が攻撃を受けていないにもかかわらず、他国で武力を行使する集団的自衛権を容認するような憲法解釈など論理的に不可能であり、一内閣の判断で、憲法規範を無効化するにも等しい安倍首相の企てが、立憲主義の根底を覆すものであることは、山口代表をはじめとして多くの有能な法曹資格者を有する貴党には、いまさらあらためて申し上げるまでもないことと思います。
 
 しかしながら、報道機関各社の報じるところによれば、集団的自衛権の行使を限定的に容認する「閣議決定」が今月20日にも行われるのではないかとされています。
 これまでの与党協議の過程においても、政府側から示される「事例」の非現実性につき、貴党から厳しい指摘がなされているということを漏れ聞き、頼もしく思っておりましたが、もはや連立与党である貴党の意向がどうあれ、強引に「集団的自衛権行使容認」を認めさせようという安倍首相の意向が全面的に押し出されてきたものと判断せざるを得ません。
 
 私たちは、日本が敗戦の廃墟から立ち直るために、先人が営々と努力し築き上げてきた辛苦の成果を我々の世代で無にし、私たちの子孫に、再び「戦争の惨禍」をもたらすかどうかという決定的な岐路に立っていると思います。
 このような重大な時にあたり、貴党の果たす役割はまことに重要と言わざるを得ません。
 1964年(昭和39年)の結党から今年で50年を迎える節目の年に、貴党がかくも重大な立場に置かれたのも、歴史が貴党に与えた試練ではないかと思います。
 
 「そして今日においては、平和にしても開発にしても、すべては究極目的である人権の実現――人間が人間らしく平和に幸せに生きることの保障である、との位置付けがなされるに至っています」という貴党「綱領」を高く評価する私たちは、貴党が結党の精神をよりどころとし、立憲主義、民主主義、平和主義、そして究極的には、平和的生存権をはじめとする人権を守り抜くことを信じ、心より応援のメッセージを送ります。
                                               敬 具
 
平和を願う市民有志(賛同者一覧)
 掲載省略