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日本記者クラブの会見詳録で考える「戦後70年」「安保法制」そして「沖縄」

 今晩(2015年6月22日)配信した「メルマガ金原No.2129」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本記者クラブの会見詳録で考える「戦後70年」「安保法制」そして「沖縄」

 日本記者クラブで行われた会見の内、どういう基準で選択されているのかは分かりませんが、文字起こしを基にした会見詳録が作成・公表されるものがあります。
 これまで、本メルマガ(ブログ)でも何度か会見詳録をご紹介したことがありました。
 会見の動画は基本的にその日のうちに公開されますので、関心のある会見についてはもちろんYouTubeで視聴するのですが、全編視聴するだけの時間的余裕がないこともあり、また、文字化されることによって、あらためて発言の真意が明瞭に理解できることもありますので、会見詳録は非常に貴重だと思います。
 
 今日は、ここ1月ほどの間に行われた貴重な会見の詳録を3つご紹介します。会見が行われた順番に並べれば、
  5月20日 「沖縄」(翁長雄志沖縄県知事)
  5月21日 「安保法制(日米安保)」(山崎拓自民党幹事長)
6月 9日 「戦後70年」(村山富市元首相、河野洋平官房長官
となるのですが、ここでは順序を逆にして、翁長知事会見を一番最後にご紹介しようと思います。おそらく、このような順序で会見詳録を読み進めることにより、翁長知事の主張されることの意味が、よりよく私たちの胸に迫るのではないかと思いますので。
 
2015年6月9日 対談「戦後70年を語る」
なぜ、どういう気持ちで、我々は2つの談話を出したのか?
村山富市元首相、河野洋平官房長官
「これはもう 20 年前の話ですから、私はもう、こんなことでいま「村山談話」をまた蒸し返して議論されるとは全然想定もしていなかったです。安倍さんの内閣になって、「村山談話」が脚光を浴びて問題になっているわけですけれども、ある意味では「村山談話」というのは国民の皆さんはあまりよく知らないんです。
 だから、いまごろになって、「『村山談話』とは何ですか」という質問が僕にありますしね、それから、「何で日本だけがそんなに謝らなければいかんのですか」という批判もあったりするんです。
 ですから、私は、ある意味では、過去の歴史をもう一遍考え直すという意味では、いい機会を与えられたのではないかというふうにも思っていますけれども、そんな意味では、「村山談話」というのはそれなりの意味があったというふうに私は自分で思っています。 それから、この「村山談話」というのは、何も謝ることが目的で出したわけではないんです。これから日本が進むのも、平和憲法を持っている日本の国が、戦争はしないんだ、平和で生きるんだということを国で宣言する、そのためには、過去の歴史というものをしっかり反省をしたうえで、再び過ちは繰り返さないという決意でもってこれからこう生きるんですということを証明する必要がある、という意味で、歴史認識というものを出したのであって、何もそれだけが目的で出したわけではないんです。そのことは、皆さん方によくご理解を賜っていただきたいと思います。」
河野洋平官房長官
「それから、談話の中にはいろいろな議論がありますが、まず、包括的に申しあげておかなければならないのは、あのいわゆる従軍慰安婦についての談話は、調査をしてまとめたものは、いわゆる従軍慰安婦全体について調査をしたものでございます。韓国の慰安婦と言われる人についてだけ書き込んであるわけではありません。そこのお手元にある談話をお読みいただきますと、その中に、数行にわたって、日韓の関係、韓国についてはこういうことがあったということが書かれておりますが、そこは特に韓国との関係について書いてあるわけでございますが、全般的には、いわゆる従軍慰安婦全体
についての調査についての報告というふうにお読みいただきたいと思っております。
 村山総理からも話がありましたように、二十数年たって、この問題がこういう形になるというのはまことに残念なことでございます。談話を出してから十数年間、日韓関係は非常にスムーズに両国の理解と協力が進みました。サッカーのワールドカップなどは共催で行うという大変難しい仕事も、両国のご理解と協力によって行うことができたり、それ以外にも、韓国における日本文化の開放でございますとか、日本側においてもハングルで国立の学校の試験が受けられるようになるとか、さまざまな問題が進んできたわけで、その間、両国関係は、私はこのままいけば非常にいいものになるのではないかというふうに思っておりましたところ、ここ数年間、まことに残念な状況になって、こういう議論が高まってきて、メディアの調査などをみても、両国国民の、相手国に対する信頼度がまことに低下してしまう、信頼できないとうい数字があれだけ高くなってしまったということはまことに残念。
 とにかく近隣諸国といっても、日本に一番近い韓国との関係がこういうことでいいわけがない。何としても日韓はお互いに協力し合っていかなければいけない、そういうふうに私は思っております。世論調査の中でも、両国は協力していくことがいいというふうには、国民の皆さんも相当思っておられるようですが、ぜひこの問題については、お互いの理解が進んでいってほしいというふうに思っております。」
 
2015年5月21日 シリーズ企画「日米安保を考える」②
自衛隊よ、汝警察犬となるなかれ
山崎 拓 元自民党幹事長

会見詳録
「それで、今度、自衛隊が海外にどんどん出ていくということになれば、世界の警察官であるアメリカの軍事力も、軍事費の予算も減らしているし、簡単に言えば、人間に例えれば老兵になってきているということなので、足元がとぼとぼしてきたから、ちょっと警察犬を連れていこうかということになって、それが自衛隊に該当して、自衛隊が警察犬みたいになっちゃうよ、老兵といえどもピストルを持っているが、警察犬はピストルを持たないんだから、これはまことに言い得て妙な比喩だというふうに思って言ってみたんですが、それに対してすぐ電話がかかってきまして、「言い過ぎだ」と。僕が防衛庁長官をしていたときの海上自衛隊の大幹部ですが、「あなたの言うことは非常によくわかるけれども、あそこはいかぬ。われわれは米軍の犬扱いされた日には、これだけは我慢できない、あれは訂正してくれ」ということを言われたので、それから言わないことにして、またいま言いましたが、(笑)これは訂正、削除いたしますが、犬扱いだけはしないでくれという、
これだけは本当に申しわけないと思って、いまから言いませんし、いまのあれも一応撤回しますけれどもね。(笑)」

2015年5月20日
翁長雄志 沖縄県知事 記者会見

会見詳録
「日本政府は、普天間基地の危険性除去が原点である、その唯一の解決策は新辺野古基地建設であると言っております。
 しかし、沖縄から言わせてもらいますと、普天間基地の原点は、戦後、住民が収容所に入れられている間に米軍に強制接収をさせられたことであると私たちは思っております。
 皆さん、何回か、この私の言葉を聞いたこともあると思いますけれども、確認をしたいと思います。沖縄は、今日までみずから基地を提供したことは一度もございません。普天間基地も、それ以外の取り沙汰される飛行場や基地も、戦後、沖縄県民が収容所に入れられて、住民がいない中でとられたり、あるいは住民がいるところでは銃剣とブルドーザーで基地に変わっていったわけでございます。
 土地を奪っておいて、県民に大きな苦しみを今日まで与えておいて、普天間基地が老朽化したから、世界一危険になったから、おまえたちが負担しろ、辺野古が唯一の解決策だ、嫌なら代替案を出せ、日本の安全保障をどう考えているのか、と言う。こういう話をすること自体が、私は日本の国の政治の堕落ではないか、このように申しあげているわけであります。
 新辺野古建設の工事の現状も、まさしくいま、海上での「銃剣とブルドーザー」での基地建設の様相を呈してまいりました。
 私は自国民の自由、平等人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるだろうかと、大変疑問に思っております。
 日米安保体制、日米同盟というものは、もっと品格のある、誇りの持てるようなものでなければならないと思っております。それこそが日本がアジアのリーダーとなり、世界のリーダーとなって、確固とした価値観を持った日本の存在を示すことになると思いますし、日米安保体制も、そのことで一番安定をするのではないか、と思っております」

(参考動画) 
 同じく5月20日に日本外国特派員協会で行われた翁長雄志沖縄県知事による会見動画をご紹介しておきます。
ビデオニュース・ドットコム
「私たちにも生きる権利と尊厳がある」翁長沖縄県知事が外国特派員協会で沖縄独立論に言及