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維新の党の安保法制「独自案」について~元々こういう党なのだ

 今晩(2015年7月5日)配信した「メルマガ金原No.2142」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
維新の党の安保法制「独自案」について~元々こういう党なのだ

維新の党 公式WEBサイト
政策 平成26年9月26日
消費税・原発・自衛権に関する見解

(引用開始)
1.現状認識 
現在、世界をめぐる国際情勢・安全保障環境は複雑さを増している。国際社会のパワーバランスが0変化す
る中、アジア太平洋地域の重要性が急速に高まり、地域の平和・安全を確保する基軸としての日米同盟の意義は益々重くなっている。特に北東アジア地域では、大規模な軍事力を有する国などが存在する一方、国際社会が懸念する中で核開発を強行する国家も存在し、領域主権や権益等をめぐる対立も見られる。国家間の相互依存関係が拡大・深化する中、このような不安定な状況は、我が国の平和と無関係ではなく、
即時に国民の安全に重大な影響を及ぼし得るものとなっている。
2.「自衛権の再定義」が必要
維新の党は、我が国の領土・領海・領空、国民の生命・財産を守るため、平和主義を掲げる憲法の理念を
踏まえながらも、現実的に出来うる限りの対応をしていく。 とりわけ、より即応性が求められる昨今の核
・ミサイル技術の進展等を含む安全保障環境の変化に応じ、「自衛権の再定義」が必要だと考える。
従来からの日本政府見解では、自国に対する武力攻撃が発生したか否かで個別的および集団的自衛権を区
別し、憲法で認められるのはこの定義に沿った個別的自衛権のみとしてきた。
他方、憲法に定められた日本国民の平和的生存権や生命、自由及び幸福の追求権の趣旨を鑑みれば、仮に、我が国が直接的に武力攻撃を受けていない状況下であっても、密接な関係にある他国に対する攻撃の結果、我が国に戦火が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民がこうむることとなる犠牲も深刻なものになる場合には、それを阻止し我が国を防衛するために「自衛権」を行使することは憲法解釈として許容されるものと
考えられる。これを「自衛権の範囲の明確化」、すなわち「自衛権の再定義」と呼ぶ。
3.「自衛権」行使における歯止め 
ここで再定義された現行憲法が認める自衛権は、純粋な他国防衛のための自衛権の行使を認めるものでは
なく、国連決議もない他国の戦争に加わることに道を開くものでは断じてない。
本定義に基づく同盟協力の具体的見直しも必須であるが、まずは自らを守る体制の整備と、外交努力や信頼醸成による脅威の低減に率先して取り組むべきである。とりわけ島嶼防衛等における武力攻撃に至らない侵害への対応、いわゆるグレーゾーン事態への対処は、喫緊の領域警備の課題として取り組む必要があ
る。また、再定義された自衛の措置が、国連による集団安全保障に移ったとしても認められよう。
4.憲法保障と法制度の整備
維新の党は、再定義された自衛の措置に関しては範囲の拡大や濫用を防ぐべく歯止めを掛け、憲法の制約
と安全保障の要請を精緻に判断した上で包括的な法整備に取り組むこととする。
なお、三権分立の確立と憲法保障の観点から、憲法の解釈に際しては憲法裁判所もしくは最高裁判所憲法部等の抽象的な憲法判断を担う司法機関によることが本来必要であり、維新の党はその実現に邁進する

いずれにせよ、現行の枠組みにおいては、国権の最高機関である国会において、責任ある議論を行ってい
く。
(引用終わり)
 
維新の党 公式WEBサイト 
ニュース 2015.05.14
安保法制の閣議決定についての代表談話

(抜粋抜粋引用開始)
1 「歯止めのない」安保法制
 政府は、本日の閣議で、自衛隊の海外における活動の内容や範囲をこれまでより一段と拡大する「平和
安全法制」を決定した。これに対し、国民の多くは、これまでの「平和国家日本」「専守防衛」の国是を
根本から変えるものではないかとの疑念、不安を強く抱くに至っている。
 その大きな要因の一つには、昨年、国会での国民的な議論がないまま、政府の閣議決定だけで憲法解釈が変更され、その後、与党内だけの密室の議論を経て、去る4月27日、日米外務・防衛担当閣僚会合におい
て、新ガイドラインが先行合意されたことがある。国会軽視、国民軽視も甚だしい。
 したがって、今後の国会審議においては、政府案の問題点を徹底的に洗い出し、維新の党の独自の対案をぶつけながら、国民の不安や疑念を払しょくするため、「平和憲法」の理念、「専守防衛」の観点から
自衛隊の海外派遣、海外活動に対し、しっかりと「歯止め」をかけていく必要があると考えている。
2 時代に即した対応と適切な歯止めの両立
 その意味で、維新の党は、昨年9月の結党時にまとめた「自衛権に関する統一見解」において、「わが国
が武力攻撃を受けていない状況下であっても、わが国に戦火が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民がこうむることとなる犠牲も深刻なものになる場合に、自国と密接な関係にある他国に対する攻撃をわが国の武力行使によって排撃することは、憲法解釈としても許容される。」とした。したがって、基本的には、この統
一見解に基づいて政府の安全保障法制の内容を精査していくことになる。
(略)
 維新の党は、先に述べたとおり、独自の対案を政府に提示しながら、「平和国家日本」「専守防衛」の
国是を守り、国民の不安や疑念を払しょくするために、全身全霊を捧げていく決意である。
平成27年5月14日
維新の党代表 江田憲司

(引用終わり)
 
時事ドットコム 2015年6月15日
安倍首相、橋下氏と会談=安保で維新に協力要請か

(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は14日夜、維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長と東京都内のホテルで約3時間、夕食を共にしながら会談した。首相は、最重要課題と位置付ける安全保障関連法案の今国会成立に向け、維新の協力を要請したとみられる。維新は既に労働者派遣法改正案で与党に協力姿勢を示しており、維新の今後
の対応次第では野党の足並みの乱れが拡大しそうだ。
(略)
 一方、菅長官は同日午前の記者会見で「いろんな話をした。住民投票も話題になった」と述べたが、国政に関する意見交換については「(公表を)控えたい」と詳しい説明を避けた。ただ、「必要なものに賛
成するという維新の是々非々の立場は変わっていない」と語り、安保法案への協力に強い期待を示した。
 維新は、安保法案が規定する自衛隊の海外活動への制約を厳しくする内容の対案を提出する方針で、自民党が前向きな修正協議に応じる可能性がある。維新は派遣法改正案への対応でも、廃案を目指す民主党とは距離を置いている。首相はこうした状況を踏まえ、維新との連携を深めて野党陣営の分断を図る構え
だ。
(略)
(引用終わり)
 
毎日新聞 2015年06月20日 12時44分
維新の党:安保政策の勉強会 橋下氏も出席

(抜粋引用開始)
 維新の党は20日、大阪市内で、最高顧問の橋下徹大阪市長も出席し、安全保障政策に関する勉強会を開いた。党安全保障調査会は19日に政府の安全保障関連法案への対案を了承しており、橋下氏との意見
交換を経た上で、正式決定し、自民党などとの修正協議に臨む。
(略)
 同調査会の対案では、集団的自衛権の行使を限定容認する前提として、政府案の「存立危機事態」に「日本への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している」ことを追加。また、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態で、自衛隊の治安出動や海上警備行動の発令の手続きを迅速化する「領域警備法案」も盛り込
んだ。
 橋下氏はツイッターで、維新案を「歯止めが不十分で国民の理解は得られない」などと指摘しており、
自らの案を松野代表に伝える考えを示している。【佐藤慶
(引用終わり)
 
維新の党 公式WEBサイト 
ニュース 2015.07.02
安全保障調査会全体会(安保独自案取りまとめ)が行なわれました

(引用開始)
平成27年7月1日(水)、安全保障調査会全体会が行なわれました。
■配布資料
安保法制 維新の党 独自案(PDF形式 約1.44MB)
※2015.07.03 資料が一部欠けていましたので、変更いたしました。
■終了後の記者会見ニュース 2015.07.03
【2015.07.01】安全保障調査会全体会終了後の記者会見

YouTube解説)
「平成27年7月1日(水)、安全保障調査会全体会終了後の今井雅人政調会長小野次郎安全保障調査会長
丸山穂高安全保障調査会事務局長、柿沢未途幹事長による記者会見の動画です。
※映像にブレがございます。ご了承ください。
※会見の途中からの映像となります。」
 
 
 とまあ、ここに至る維新の党「対案」(同党は「独自案」と呼称)が公表されるまでの一連の流れの一部をざっとコラージュしてみました。
 これについての感想を述べる前に、まず「維新の党 独自案」の概要を転記しておきましょうか。
 
安保法制 維新の党 独自案(概要)
(引用開始)
「日米同盟を基軸に、国民の生命・領土を徹底的に守る!」
維新の党・安保法制「独自案」の基本的考え方~
① 「自国防衛のための自衛権行使」、「専守防衛」を徹底
●日米連携を基礎とした「武力攻撃危機事態」を設け、抑止力と対処能力を充実
●「存立危機事態」に基づく集団的自衛権行使は認めない
●「領域警備法」を制定して、わが国の領土・領空・領海を徹底的に守る
日米安保を基軸に東アジアの平和と安全に責任を持つ
● 現行の周辺事態法を維持し、安保条約に基づく日米連携を強化、自衛隊を地球の裏側まで派遣させない
国連を中心とした国際的な人道復興支援を積極推進
● 国際平和協力支援活動を機動的に行うための一般法を制定、但し、従来のテロ特措法等の法理を遵守
④海外派兵は認めず、武力行使の一体化も回避
● 武器弾薬の提供、戦闘行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備は禁止
● 武器等防護は事実上の集団的自衛権行使の端緒となるので認められない
自衛隊の派遣承認手続きを実質化し「シビリアンコントロール」を強化
● 防衛出動の要件を審査する専門委員会を設置し、自衛隊の出動及び派遣後の撤退勧告手続きを創設
 
 
自衛権行使に係る維新案と政府案の要件の対比
武力攻撃危機事態(維新案)
第一要件 条約に基づき我が国周辺の地域において我が国の防衛のために活動している外国の軍隊に対す
る武力攻撃(我が国に対する外部からの武力攻撃を除く。)が発生し、 
第二要件 これにより我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至
った事態
存立危機事態(政府案)
第一要件 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、
第二要件 これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆され
る明白な危険が ある事態
(引用終わり)
 
 なお、個別法案についての概要説明も引用しておきます。
 
(引用開始)
国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等に関する法律案 【通称:国際平和協
力支援法案】の概要(33頁)
【目的】「国際平和共同対処事態」に際し、人道復興支援活動又は協力支援活動等を行うことにより、国
際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
【基本原則】人道復興支援活動・協力支援活動・捜索救助活動について、①適切かつ迅速な実施、②武力行使に当たらない活動をすること、③活動区域の限定、④内閣総理大臣の指揮監督、⑤関係行政機関の長
による協力を基本原則とする。
※「国際平和共同対処事態」…国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、国家の自主的な再建を図る国又はその国民を支援するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、又はその脅威を除去するために国際社会が同条約第七章に従い共同して対処する活動を行
い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれらに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの
4つの歯止め
国連の授権決議がある場合のみ派遣を容認
→ いわゆる「関連決議」に基づく派遣は容認せず。
② 「非戦闘地域」概念を維持
→ 戦闘現場以外なら活動できるような仕組みとはしない。
③ 「武力行使の一体化」による制約は現行法制どおり維持
→ 武器弾薬の提供、戦闘発進準備中の航空機への給油等は禁止。
④ 個別の活動でなく計画そのものを国会承認の対象に
→ シビリアン・コントロールを強化。  
イラク特措法の人道復興支援活動を一般法化
→ 旧イラク特措法のように、「非戦闘地域」における人道復興支援活動のために要員派遣を可能にする一般法を制定。
 
自衛隊法等の一部を改正する法律案の概要(79頁)
【概要】安全保障法制に関し、下記の 10 本の法律を改正するとともに、国民保護法制の整備・防衛出動
の国会承認に係る審議充実策の検討について規定する。
(①自衛隊法、②PKO法、③周辺事態法、④周辺事態船舶検査法、⑤事態対処法、⑥米軍行動関連措置
法、⑦特定公共施設利用法、⑧海上輸送規制法、⑨捕虜取扱法、⑩NSC法)
第一 自衛隊法の改正
1.個別的自衛権同様の厳格な要件下の「武力攻撃危機事態」で防衛出動
※「武力攻撃危機事態」…条約に基づき我が国周辺の地域において我が国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃(我が国に対する外部からの武力攻撃を除く。)が発生し、
これにより我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態
2.邦人救出についての規定を設けるとともに、安全確保の明確化
3.武器等防護については現行法を維持
4.ACSAにおける内容は充実させるが、弾薬の提供を認めない
第二 PKO法の改正
1.「国連が統括しない活動」は、現行と同様、人道救援・選挙監視の枠内で協力
2.「駆け付け警護」を限定的に認める
第三 周辺事態法の改正
1.現行法制の基本的部分を維持
※ ①「周辺事態」概念(いわゆる地理的限定)、②「後方地域」概念、③「武力行使の一体化」による制
約、④支援対象はアメリカ合衆国軍隊のみとすることを維持
2.計画記載事項を充実し、自己保存型武器使用権限を他法制と同様に拡充
第四 その他
→ 第一の1の改正に伴い、事態対処法制全体において、武力攻撃事態等に適用される規定を武力攻撃危機
事態にも適用させる
→ その他上記の改正に合わせ、所要の規定の整理等
(引用終わり)
 
 この長々とした引用の数々を全て読んで下さってここまでたどり着いた方がどれ位いるか分かりませんが、まことにお疲れ様でした。
 あなたは、まさに私と同じ体験をされたことになります。
 つまり、私も今日のメルマガ(ブログ)で維新の党「対案」を取り上げようと決めるまでは、SNSで流れ行く断片的なニュースや意見を流し読みしていただけで、上に引用した(ニュースを除く)基本文献
は今日初めて読みました。
 この作業を行うことによって、自分自身のとんでもない「勘違い」に気がつくことができたのは幸いで
した。
 それは、6月14日に東京で行われた橋下徹維新の党最高顧問と安倍晋三首相による会談というか会食というか、それを契機として、維新の党が急遽対案を用意することになり、それが先週まとまったという
思い込みです。
 上に引用した「安保法制 維新の党 独自案」は、「領域警備法案」「国際平和協力支援法案」「平和安全整備法案」のそれぞれについて、概要、法律案要綱、新旧対照表がついており、PDFファイルにして
全部で227頁にも及ぶ膨大なもので、これがわずか2週間かそこらで出来るはずがありません。

 そこで、5月14日の法案閣議決定に際しての江田憲司代表(当時)の「談話」を読んでみたところ、
「今後の国会審議においては、政府案の問題点を徹底的に洗い出し、維新の党の独自の対案をぶつけながら」と明言していたことを確認し、さらにその「談話」で言及されていた「昨年9月の結党時にまとめた『自衛権に関する統一見解』」まで遡って読んでみたところ、その「現状認識」たるや、昨年7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」や、それに先立つ5月15日の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会 報告書」とほとんど異なるところがなく、「自衛権の再定義」なる概念を持ちだし、「我が国が直接的に武力攻撃を受けていない状況下であっても」武力を行使し得る場合があることを認めるものであって、率直に言って、政府の7.1閣議決定とは、量的相違はあっても質的相違はないというものであり、なるほど、これなら「独自の対案を政府に提示しながら」修正協議を行うだけの共通の基盤が元々あるわけですよね。
 と、感心している場合ではないのですが、いずれにせよ、6月14日の橋下・安倍会談は、「維新の党 独自案」発表を加速させるブースターの役割は果たしたかもしれませんが、対案公表・修正協議路線は、江田前代表時代からの既定路線であったことは確認しておいた方が良いでしょう。
 
 なお、今月中旬にも衆議院での審議を打ち切り採決か?と言われる中で公表された維新の党の「独自案」が、政府案を少しでもスムースに採決に持ち込むための潤滑剤としての役割を果たすことになるだろうという主張に特に異論はありません。
 ただし、そもそも論として、維新の党ってそういう政党でしょう?彼らの立場からすれば、結党時に公表した基本政策に忠実な独自案を提案したまでだということになるのでしょうし、たしかにそうに違いあ
りませんからね。
 身もふたもない言い方をすれば、維新の党が対案を出すのは、昨年7月1日閣議決定を行った安倍政権
を支える連立与党(自民党公明党)が、あくまで政府提出法案の成立を目指すのと同じことですから。
 現行法制で十分という「対案」を提示済みの者は、この程度の「対案」の登場に今さらあたふたしても
仕方がありません。
 本気で維新の党「独自案」を取り上げるのは、政府が維新案を丸呑みすると言い出してからでいいでしょう(そんなことはあり得ないでしょうが)。
 
 維新の党の「独自案」本体についての評価を自信をもって書けるほど読み込む時間は持てていませんので、ここでは、集団的自衛権問題研究会が公表した2つの声明をご紹介するにとどめます。
 
 
集団的自衛権問題研究会 2015年7月2日
法案の修正ではなく、閣議決定の見直しを

(抜粋引用開始)
 総じて、維新の党の提案は、昨年7月の閣議決定の核心部分を否定しているか、あるいは、政府の法案の主要部分を否定するものだ。法案の修正という形で実のある議論を進められる余地があるとは思われない。維新の党が自らの主張に真摯であるならば、呼びかけるべきは法案の修正ではなく、閣議決定の凍結
と見直しであり、安保論議の一からのやり直しということになろう。
 軽率な「修正」協議は、与党によって「単独の強行採決」という汚点を残すことを回避するためだけの
政治戦術として利用されかねない。与党の側も、この維新の党の提案をもとに法案を修正する余地があるというなら、昨年の閣議決定はそもそも何だったのかという批判を免れないことを自覚すべきである。
(引用終わり)
 
 あとは、若干の感想めいたことを2つばかり。
 
維新の党が「独自案」の権威付けのために小林節氏(慶應義塾大学教授、弁護士)を駆り出したことにショックを受けている人もいるでしょうが、私は「大したことではない」と思っていますし、まあ、聞き流す程度で良いでしょう。

 そもそも、全227頁の「独自案」をじっくり検討してのコメントとも思われませんし、もともとホルムズ海峡の機雷掃海も個別的自衛権の行使として説明できるという立場の小林さんですから、維新の党の
「独自案」に「合憲」のスタンプを押しても別に不思議ということはありません。
 私が1年半ほど前に書いたブログを読み返していただければ、小林節氏による今度の維新の党「独自案」合憲判定くらいで驚いたりしない理由は分かっていただけると思うのですが(
小林節さんの“集団的自衛権についての意見”が知りたい/2013年12月20日)。
 
〇明日(7月6日)午後2時から、日本記者クラブにおいて、維新の党が独自の安保法案についての会見を開きます。
 出席予定者は、柿沢未途幹事長、今井雅人政調会長小野次郎同安全保障調査会長(幹事長代理)と予
告されています。
 上でご紹介した動画「【2015.07.01】安全保障調査会全体会終了後の記者会見」に出席した4人のうち
の3人が日本記者クラブでの会見にも出席するようです。
 1人だけ(おそらく)外されたのは丸山穂高安全保障調査会事務局長ですが、維新の党にとって、これは賢明な人選でしょうね。上記動画の冒頭からてきぱきと質問をさばいているのが丸山議員です。維新の党の中の大阪系で、しかも松下政経塾出身というのはあとから調べて分かったことで、7月1日の記者会見の動画を視聴した中で、1人だけ浮き上がって見えたのは、別に先入観によるものではないと思うのですが。私はこの動画を視聴しながら、公明党の濱地雅一議員を思い出していました(公明党・濱地雅一議員の言動から思い出した1年前の同党へのメッセージ/2015年6月20日)

 若くして国会議員のバッジを付けると、みんなこうなるのでしょうかね?