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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

東京大学と京都大学における注目すべき動き

 今晩(2015年7月11日)配信した「メルマガ金原No.2148」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
東京大学京都大学における注目すべき動き
 
 文部科学省が、国立大学に対し、人材育成につながらない人文社会系の学部廃止や転換を求める通知を出したり、入学式などでの「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱を要請するなど、一昔前なら「あり得ない」だろうというような事態が平然と私たちの目の前で進行しています。
 それは、誰が考えても憲法違反としか考えられない“戦争法案”がぬけぬけと国会に上程されているという事態と、おそらく根は一つのはずです。
 
 大学ということで言えば、私自身、はるか昔に大阪市立大学法学部を卒業し、長年和歌山大学のふもとに住みながら(住んでいるだけですが)、現在、放送大学教養学部の現役学生(全科履修生になって7年目)で、実は今日も和歌山学習センターで、藤本清二郎先生(元和歌山大学教育学部)の面接授業「日本近世史」を受講してきたばかりです。

 何十年ぶりかで現役学生に復帰したから言うのではありませんが、大学での「日の丸」「君が代」押しつけは最低です。ちなみに、充実した講師陣や講義内容、それに本当に学びたいという意欲を持ち、様々な経験を積んだ多くの社会人が集う放送大学は、自分が在籍しているから言うのではありませんが、非常に気に入っています。しかしながら、無事10年以内に所定の単位を取得して卒業式への出席資格を得ても、私が放送大学の卒業式に出席することはないだろうと思います。その最大の理由は「日の丸」「君が代」です。「日の丸」だけならまだしも、「君が代」は大学の卒業式にふさわしくありません。もっとも、「国歌斉唱を行います」ではなく、「国歌演奏を行います」「ご起立ください」ですが(平成25年度放送大学卒業式の録画で確認)。
 
 ところで、このような中、日本を代表する国立大学である東京大学京都大学で注目すべき新たな動きがありました。
 上記のとおり、私は東大とも京大とも何の関係もありませんが、今まさに、日本の全ての大学がその存在価値を問われていると言っても過言ではない状況の中での動きであり、是非多くの人に知っていただきたいと思いました。
 
 まず、昨日(7月10日)夜、東京大学駒場キャンパス5号館525教室において、「安保法案 東京大学人緊急抗議集会」が開かれました。
 その趣意書(6月29日付)の一部をご紹介します。
 
(抜粋引用開始)
 東京大学には、戦前、軍国主義の波に飲まれ、学問の自由を失い、多くの学徒を戦争に動員された痛苦の歴史がある。ふたたびその歴史を繰り返さぬために力を合わせ、平和と民主主義の破壊を止めることは、われらが先人への誓いであり、未来の世代への責任である。今こそ、自らの教育・研究を通じて「世界の平和と人類の福祉」に貢献するという決意(東京大学憲章・前文)を発揮し、全東大人の平和への意思を示すときではないだろうか。
 われわれは具体的な実施計画として次のことを提起する。一)「安全保障法制の今国会での成立に反対する」の一点で結集する集会に向け、集会への参加の呼びかけとともに、その主張にたいする賛同・メッセージを、東京大学の学生、職員、教員、OBOGの各方面に募る。二)集会において、各登壇者がスピーチをおこない、また募集したメッセージをもとに作成した集会アピールを 採択に付す。三)以上の結果を政府、国会議員、メディアに訴え、広範かつ有効な波及をねらう。 四)この度のたたかいは、今国会が9月下旬まで延長されることを考慮し、学生・研究者はその本分たる学業学問の両立も鑑みつつ、集会後も持続した行動をとることを確認する。
(引用終わり)
 
 なお、以上の呼びかけへの「賛同人は東京大学の学生・院生・教員・職員・OBOGその他関係者に限らせていただきます」ということですが、現在までに以下のような賛同メッセージが寄せられています。
 
 
 昨日(7月10日)、開かれた集会の動画をご紹介します。
 
20150710 UPLAN 安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール
 

 同集会の最後で採択されたアピールをネットで探したのですが、上記UPLANの動画冒頭に掲載されているものしか見当たりませんでした。普通の動画再生モードではあっという間に過ぎてしまいますので、一時停止ボタンを押してお読みください。その上で、実行委員のお2人の学生によるアピール朗読を視聴することをお勧めします(1時間25分~1時間31分)。
 
 最後に、この集会を報じたニュースをご紹介しておきます。
 
時事ドットコム (2015/07/10-22:50)
安保法案「今国会成立に反対」=東大生、抗議集会でアピール採択

(抜粋引用開始)
 国会で審議中の安全保障関連法案に反対する集会が10日夜、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)で開かれた。300人以上の東大生やOBが参加し、「今国会での成立に反対する」とのアピールを拍手で採択した。
 憲法改正に反対する「九条の会」事務局長の小森陽一東大教授(日本近代小説)を呼び掛け人に加え、学生中心で発足した「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会」が主催した。会場となった教室は満員となり、学生らが廊下まであふれた。
(略)
 スピーチに立った理科1類1年の男子学生は「これまで関心がなかったが、このままではよく分からないまま強行採決されてしまう。一緒に考えて意見表明していこう」と呼び掛けた。
 司会を務めた法学部3年の佐藤大介さん(21)は「強行採決は許されることではない。私たち世代の責任で止めなければならない。東大から発信することで、全国に運動を広げたい」と話した。
(引用終わり)
 
 次に京都大学の動きです。
 正確に何日からかは分からないのですが、「自由と平和のための京大有志の会」が結成され、ホームページが立ち上げられています。
 以下、ホームページからいくつか引用してみます。
 
会について
(引用開始)
「自由と平和のための京大有志の会」は、2015年7月、「安保法制」、言論への威圧発言、大学への君が代、日の丸の強制、等、この間の安倍政権による平和の破壊、学問の愚弄、憲法の蹂躙を止めさせ、新時代の自由と平和を創造するためにを結成しました。
第一に、あらかじめ提出された原稿を読み上げ、用意された答弁を繰り返す「政治」ではなく、意見やアイディアを即興的に交流させ、新しい知の創造を生み出す自由を守り、作り上げていくこと。
第二に、これまで戦争が大人や子どもの生に刻んできた深い傷を直視しながら、若い世代を代理させて暴力を発動しようとする政治にブレーキをかける、しなやかな平和の力を育んでいくこと。
京都という地の特徴を活かしつつ、コツコツと謙虚に勉強と議論を積み重ねていきたいと思っています。
リーダシップの名のもとで私たちの生の領域が強引に方向づけられ、人々の討論や言論の自由を貶めて恥じない現政権はもちろん、そのなかで思考停止に陥り、自分だけしか決められないはずの自分の生き方を時勢に身を任せる社会全体の空気にも、強い危機感を覚えます。
学生、職員、教員たちで、勉強会や集会を通じて言葉を紡ぎ、京都から発信していきたいと思います。ぜひ、ご一緒に
(引用終わり) 
※第一段落にやや乱れがありますが、勝手に「校正」する訳にもいきませんので、そのままとしています。
 
発起人(「歴史と今を考える化」以外の方のメッセージは省略)
石井 美保(人文科学研究所教員)
岡 真理(総合人間学部教員)
岡田 直紀(地球環境学堂教員)
小関 隆(人文科学研究所教員)
駒込 武(教育学部教員)
小山 哲(文学研究科教員)
坂出 健(経済学研究科教員)
田所 大輔(西部講堂連絡協議会 / 人間・環境学研究科D1)
藤原 辰史(人文科学研究所教員)
松田 素二(文学研究科教員)
水野 直樹(人文科学研究所教員)
歴史と今を考える会(学生団体)
何かが変だ
何かが変だ
私たち学生も感じています
このままではいけない
このままではいけない
私たち学生にも分かります
今、私たちが当然のごとく享受している「自由」と「平和」は
実は脆いものなのです
私たちはそれを知りつつあります
そうしてそれらは貴重なものなのです
失って初めてその価値に気づく
そんな愚を私たちは犯したくない 犯してはならない
私たちは考え始めました
過去に何があったのだろう?
今、何が起こっているのだろう?
私たちには何が出来るのだろう?
「自由」と「平和」
私たちはその真価を求め続けていくのです
(以上、五十音順)
 
声明書
(引用開始)
戦争は、防衛を名目に始まる。
戦争は、兵器産業に富をもたらす。
戦争は、すぐに制御が効かなくなる。
 
戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。
戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。
 
精神は、操作の対象物ではない。
生命は、誰かの持ち駒ではない。
 
海は、基地に押しつぶされてはならない。
空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。
 
血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、
知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。
 
学問は、戦争の武器ではない。
学問は、商売の道具ではない。
学問は、権力の下僕ではない。
 
生きる場所と考える自由を守り、創るために、
私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。
 
自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)
 
 なお、「自由と平和のための京大有志の会」も賛同者を募っていますが、「京都大学以外の方もぜひ!」ということでしたので、私も賛同のメッセージを送りました。
 賛同メッセージは全て顕名で公表されます。それを了解した上で、あなたも賛同メッセージを送りませんか?
 ちなみに、私が送ったメッセージはつぎのとおりです。
 
「私自身、京大とは無縁ですが(大阪市大出身)、一字一句に心を込めて練り上げた声明書に敬意を表し賛同致します。この危機の時代だからこそ、教員、学生を含めた総体としての大学の存在価値が問われているのだと思います。貴会の今後の活動に大いに期待するとともに、私自身がなすべき行動を怠らずに実践しなければという決意を新たにしております。」
 
 これらの動きが、東京大学京都大学以外にも急速に広まることを祈りつつ、本稿を終えます。