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7/26放送予告「よみがえる最前線~神戸と核と日米同盟(仮)」(毎日放送「映像’15」)

 今晩(2015年7月12日)配信した「メルマガ金原No.2149」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
7/26放送予告「よみがえる最前線~神戸と核と日米同盟(仮)」(毎日放送「映像’15」)
 
 大阪キー局である毎日放送MBS)TVが月1回のペースで放送するドキュメンタリー枠「映像」(今年は「映像’15」)は、過去多くのすぐれた作品を送り出してきました。
 私がMBSの「映像」を意識するようになったのは、東京電力福島第一原発事故から間もない頃、その2年半前の2008年10月に「映像’08」として放映された「なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・"異端"の研究者たち」の存在を知ってからでした。
 この番組を放送したばっかりに、毎日放送関西電力から強硬な抗議が申し入れられたということは、3.11後、多くの人の知るところとなりました。
 ちなみに、2011年10月には、「映像’11」として、その続編というべき「放射能汚染の時代を生きる~京大原子炉実験所・"異端"の研究者たち~」が放映されています。
 また、昨年3月にも、「映像’14」として、原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子さんらを追った「“自主避難”~原発事故3年・家族の苦悩」が放映されるなど、意欲的な番組が作られています。
 今日は、次回7月26日(日)に放送されることが予告されている番組に注目しました。
 
毎日放送TV 2015年7月26日(日)深夜1時35分~
※「26日(日)深夜1時35分~」と書かれていますが、もしかすると「日曜深夜で日付も変わった27日(月)1時35分~かもしれませんので、1週間前になったら番組表でご確認ください。
映像’15「よみがえる最前線~神戸と核と日米同盟(仮)」
(公式サイトの紹介文・引用開始)
神戸はかつて日米同盟の最前線だった。戦後すぐに米軍基地が作られ、朝鮮戦争ベトナム戦争では核を搭載した空母が寄港した。
だが、40年前に神戸市会が平和な港への願いを込めて議決した非核神戸方式により、その後は米艦船は入港していない。しかし戦後70年を迎える今、神戸は岐路を迎えた。
日米両政府が軍事的な結びつきを強める中、潜水艦の製造拠点や掃海活動を担う自衛隊基地がある神戸が、後方支援拠点になる可能性は否定できない。
今後日本はどこへ向かうのか、核に翻弄される神戸から検証する。
(引用終わり)
 
 先にご紹介した「京大原子炉実験所・"異端"の研究者たち」も、続編が作られたと書きましたが、「神戸と日米同盟」については、昨年9月に放送された「知られざる最前線~神戸が担ってきた“日米同盟”」が、実質的には今度の作品の前編にあたるのではないかと思います。
 
毎日放送TV 2014年9月21日(日)
映像’14「知られざる最前線~神戸が担ってきた“日米同盟”」
(公式サイトの紹介文・引用開始)
かつて神戸は集団的自衛権の最前線だった。朝鮮戦争でアメリカ軍の出撃拠点となり、戦車や2万人を超える海兵隊が戦地に向かい、8000人近い日本の民間人が巻き込まれた。アメリカに極秘で要請された海上輸送や掃海活動で多くの死傷者もでた。ベトナム戦争でも神戸はアメリカの軍事戦略に翻弄され続ける。核兵器を搭載した艦船が入港していた。集団的自衛権の行使容認が閣議決定された今、神戸は再びアメリカの軍事拠点となるのか。知られざる神戸の過去から考える。
取材ディレクターより
「紹介しきれない。もう1時間放送できれば・・・」編集を終えた今、番組で伝えきれなかった“知られざる”事実の多さを前に悔しさを感じている。
戦後日本の安全保障政策が転換点を迎える中、慣れ親しんだ街から集団的自衛権を見つめたいと思ったのが取材のきっかけだった。
そして3か月間、機密解除されたアメリカの外交資料をひたすら読み込む日々が始まった。―神戸と米軍の関係は意外に古い。
戦後、アメリカの日本の占領政策方針は非軍事化と民主化だった。
しかし朝鮮戦争がその後の日本のあり方を決定づけた。人知れず日本の民間人が8千人以上参加させられていた。
そのとき出撃拠点の一つとなったのが神戸だ。掃海活動や海上輸送で多くの日本人死傷者が出たが、戦争放棄を謳った憲法違反となるため犠牲者の存在は闇に葬られた。
1952年に日本が独立を果たした後も神戸は米軍の拠点だった。核を搭載した空母が寄港し、京都と奈良の県境の弾薬貯蔵施設で核兵器を組み立てる部隊も駐留していた。
アメリカは共産主義からの防波堤として明確に日本を軍事戦略に組み込んだ。自衛隊が発足した後、日米安保条約が結ばれ、米軍基地が固定化された。
実はこの頃からアメリカは集団的自衛権の行使を水面下で日本に要請していた。
取材をすすめる中でいつも感じていたことがある。
安倍首相が提唱する“戦後”レジームからの脱却が、すなわち日米同盟の強化にかたよってはいないだろうか。日本を取り巻く安全保障環境が変化する中、一定の自衛力は必要だと考えるし、アメリカの軍事的な後ろ盾による抑止力も個人的には否定しない。
だが、何故、安倍首相のいう“押しつけられた”憲法の解釈を変更してまで集団的自衛権行使を容認し、日米の軍事的一体性の強化ばかりを優先するのか。
何故、日米地位協定在日米軍基地といった不平等の是正に真正面から向き合わないのだろうか。この議論を避けたままで日米同盟が継続するのだろうか。
“知られざる不平等”をかいまみた今、進んでいるのは「戦後からの脱却」ではなく、「戦後の延長強化」なのではないか。そんな懸念を深めている。
(引用終わり)
 
 実は、最初に「よみがえる最前線~神戸と核と日米同盟(仮)」の番組予告を読んだ時、「40年前に神戸市会が平和な港への願いを込めて議決した非核神戸方式により、その後は米艦船は入港していない。」とはいえ、その40年間の平和は沖縄の犠牲の上にもたらされたものではないだろうか?という疑問が頭をよぎりました。
 しかし、その後、昨年の「知られざる最前線~神戸が担ってきた“日米同盟”」の存在を知り、「取材ディレクターより」の文章を読んだ後は、このディレクターが今度の番組も手がけているのなら、それは余計な心配だろうと納得しました。
 そこで、皆さまにもご案内することとしたものです。
 ただし、番組案内を読んだ上で、「おそらく視る価値があるはず」という直感に基づいて書いているので、実際に視聴して「期待はずれ」であっても、「ごめんなさい」と言うしかありません。
 
(補注)
非核神戸方式 
 1975年の神戸市会核兵器搭載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」に基づき、入港を希望する艦船は神戸港管理者たる神戸市長に「非核証明書」の提出を義務づけるという方式。
 
核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議
 神戸港は、その入港船舶数及び取扱い貨物量からみても、世界の代表的な国際商業貿易港である。
 利用するものにとっては使いやすい港、働く人にとっては働きやすい港として発展しつつある神戸港は、同時に市民に親しまれる平和な港でなければならない。
 この港に核兵器が持ちこまれることがあるとすれば、港湾機能の阻害はもとより、市民の不安と混乱は想像に難くないものがある。
 よって神戸市会核兵器を積載した艦艇の神戸港の入港を一切拒否するものである。
 以上、決議する。
    1975年3月18日
                      神戸市会