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「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明」が発表されました

 今晩(2015年8月14日)配信した「メルマガ金原No.2182」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明」が発表されました

 本日(8月14日)午後2時から、和歌山県庁内・県政記者室において、昨日結成されたばかりの「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」が記者会見を開き、「声明」を発表しました。
 間もなく「和歌山大学有志の会」公式サイトが立ち上げられると聞いていますが、とりあえず、よびかけ人の1人である江利川春雄教育学部教授のブログ「希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)」に掲載された「声明」を引用します。
 
(引用開始)
       安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明
 
 私たちは、現在国会で審議されている安全保障関連法案(安保関連法案)の廃案を求めます。その理由は以下の通りです。
・安保関連法案は、全世界の国民の平和的生存権を確認した日本国憲法前文、および武力行使と戦力の保持を禁じた同第9条に違反しています。日本国憲法の平和主義により、戦後の日本および日本国民は国際的にも多くの国および人々の信頼を得てきました。安保関連法案の成立は、こうした国際的信頼を大きく
損ないます。
・多くの専門家が憲法違反を指摘するなか、この法案を成立させることは、憲法が国家権力の暴走に歯止めをかける立憲主義の原則を破壊します。憲法違反の法案をひとたび許せば、民間人の動員や徴用、さら
には徴兵制に至る、より危険な法律の制定に道を開きかねません。
・多くの国民が反対し、安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」と認めている安保関連法案の可決
成立を強行することは、国民主権と民主主義に反します。
・安保関連法案は、歴代政権が、「専守防衛」を逸脱し憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認へと大転換させ、世界中の紛争・戦争への介入・参戦を可能にする「戦争法案」だと考えます。他国の民衆を殺傷するだけでなく、日本の若者も殺され、心身ともに深く重く傷つけられます。この法案は安全保障どころか日本を戦争に引きずり込む法案です。
 
 国立大学として1949年に発足した和歌山大学は、日本国憲法教育基本法を遵守することを誓い、平和と民主主義・学問研究の自由を原則に、有為な人物を社会に送り出してきました。こうした大学の研究・教育の成果が人々の幸福や公共の福祉に結実するための絶対条件は、その社会が平和であり、一切の暴力を否定し、個人の尊厳が大切にされる社会であることです。もし、安保関連法案が成立し、日本が戦争のできる国に作り変えられるならば、それは次のような意味で学問研究および大学の危機をも招きます。
 第一に、真理の探究を使命とする自由な研究・教育が否定され、国策遂行・戦争遂行のための研究・教
育が強制されかねません。
 第二に、卒業生を含む若者たちを戦場に送るという、耐えがたいことが起きる恐れが高まります。
 第三に、特に教育学部は、国策推進者として教え子を戦場に送りだす教師を育てる学部とされかねません。
 
 私たちは、こうした事態を避けるために発言し行動することを大学人としての使命と考えます。
 安保関連法案に反対するすべての人びとと連帯し、法案の廃案に向けて力を尽くします。
 この声明にご賛同いただけるすべての皆様に、連帯の署名をお願い致します。
 
            2015年8月
            安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会
 
よびかけ人(8月14日時点、五十音順):
内田みどり(教育学部教授・政治学)
江利川春雄(教育学部教授・英語教育)
柏原卓(教育学部名誉教授・国語学
久保富三夫(教育学部名誉教授・教育行政学
越野章史(教育学部准教授・教育思想史)
藤本清二郎(元副学長・日本史)
堀内秀雄(元副学長・生涯学習論)
山﨑由可里(教育学部教授・障害児教育学)
山名敏之(教育学部教授・音楽学)
(引用終わり)
 
 安保関連法案に反対する「有志の会」が最初に結成された大学がどこであったかは私も知りませんが、続々と結成が続いていることは皆さんもご存知のことと思います。
 各大学「有志の会」の連絡会などないでしょうから、正確にいくつの「有志の会」が結成されたのか、
おそらく誰も知らないと思いますが、最も情報が集まりやすい立場にあるのが「安全保障関連法案に反対する学者の会」であることは間違いないでしょう(各地の「有志の会」を立ち上げた中心メンバーは大抵同会の賛同人になっていると思いますので)。
 そこで調べてみたところ、やはり「学者の会」公式サイトの中に「各大学の取り組み一覧」というコーナーがあり、地域別に整理して「有志の会」の公式サイトなどにリンクされていましたので、各大学の動きを概観するのに便利です。
 このコーナーを閲覧して、私の母校である大阪市立大学にも「有志の会」が結成され、賛同者を募っていることを初めて知りましたので、早速卒業生として賛同署名しました。
 
 
 皆さんも、自分の母校で「有志の会」が結成され、卒業生にも賛同が呼びかけられていたら、是非賛同署名をお願いします。
 
 さて、「和歌山大学有志の会」です。9人のよびかけ人の内、私が全く面識のない方は2人だけで、それ以外の7人の先生方には、多かれ少なかれ、色々とお世話になっています。藤本清二郎先生はつい先日、放送大学和歌山学習センターの面接授業(日本近世史)を受講させていただいたばかりですし、内田みどり先生も何年か前の放送大学面接授業(比較政治~中南米)でお世話になっています(内田先生は私のことは憶えていないでしょうが)。江利川先生や柏原先生については、このメルマガ(ブログ)でもたびたびそのお名前が登場していますしね・・・などと書き出せばきりがありません。
和歌山大学有志の会・貴記者会見1 実は、私が親しくさせていただいている和歌山大学教職員の皆さんは、一部の例外を除き、ほとんどが教育学部なのです。それは、私が和歌山大学教育学部附属中学校の卒業生だから・・・というようなことでは全然なく、憲法9条や平和などに関わって社会的活動をしなければと考える研究者が、経済学部、システム工学部、観光学部に比べ、教育学部に多かったから、ということなのだろうと理解しています。
 従って、今日発表された「和歌山大学有志の会」の9人のよびかけ人が、4人の元教員を含めて全員「教育学部」というのも、学外の人から見れば少し不自然かもしれませんが、(私も学外者ですが)私にとっては別に意外感はありませんでした(もちろん、せめて1人か2人でも他学部の教員が加わっていれば良かったのにとは思いますが)。
 各地の大学「有志の会」でも、結構よびかけ人が特定の学部に偏っているところもあるようですが、学内のバランスを考えてよびかけ人の人選をするような時間的余裕もなく走り出さざるを得なかったところが多いからでしょう。
 
 江利川先生のブログによれば、「今後、よびかけ人および賛同人を増やして参ります。」とのことなの
で、学内でもさらに「よびかけ人」を募るということのようです(出来れば教育学部以外の3学部や各種センターからも加わって欲しいですね)。
 また、賛同人については、大学関係者(在学生、卒業生等)だけではなく、一般市民からも広く募る予定ということですから(江利川先生から届いたメールによる)、是非多くの方の賛同の意思表明をお願いします。私も、和歌山大学栄谷キャンパスから徒歩15分圏内に住む地元住民として、賛同署名するつもりであることは言うまでもありません。

※ なお、記者会見の写真は、江利川先生のブログから拝借しました。
 
(公式サイト/賛同フォーム)
 公式サイトがアップされ次第ブログに追記しますが、今日のところは、江利川春雄先生のブログに賛同署名の方法が追加掲載されましたので、それをご紹介します。
(引用開始)
賛同署名をしていただける方は、以下のアドレスにメールにお送り下さい。
賛同の意思表示のためのメールフォームには、以下の項目を書いてください。
・お名前
和歌山大学との関わり:所属・職名(過去のものを含む)など。
  例:教育学部56期生・中学校教諭
 ない方は空欄でお願いします。 *全国のどなたでも賛同署名をしていただけます。
・お名前および関わりの公開の可否(匿名も可能です)
・メールアドレスなど連絡先(非公開です)
なお、個人情報管理に万全を期し、賛同署名以外の目的には使用しません。
(引用終わり)
 
(「和歌山大学有志の会の声明」を伝えた報道)
テレビ和歌山ニュース 2015-08-14(金)17:45
安保関連法案廃案へ 和大有志の会

(引用開始)
 国会で審議中の安全保障関連法案は違憲であり、戦争法案だとして、和歌山大学の教員や元教員らが法案の廃案を求める有志の会を結成しました。今後、署名活動などを行いながら、法案に反対する人たちと
連帯していくとしています。
 発足したのは、「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」で、今日、事務局長を務める教育学部の越野章史准教授らよびかけ人が和歌山市で会見を開きました。よびかけ人の中心は教育学部の教員や元教員で、会では、「安保関連法案は違憲で、民間人の徴用や徴兵制に至るより危険な法律の制定
に道を開くもの。紛争や戦争への介入、参戦を可能にする戦争法案だ」としています。
 また会では、「法案が成立すれば大学の自由な研究や教育が否定され、若者を戦場に送る恐れが高まる」などとしていて、今後、署名活動や学習会の開催などを通じて、大学職員や学生、卒業生をはじめ、一
般市民の賛同も得ていきたいとしています。
(引用終わり)
 
和歌山放送ニュース 2015年08月14日18時43分
安保関連法案の廃案求める和歌山大学有志の会発足(写真付)

(引用開始)
 今の国会で審議されている安保関連法案の廃案を求めて、和歌山大学の教授らが有志の会を発足させ、
きょう(14日)和歌山県庁で記者会見を開いて、声明を発表しました。
 有志の会は、和歌山大学教育学部の教授や名誉教授を中心とする9人の呼びかけ人が集まって、きのう
(13日)発足しました。
 きょう午後、県庁で事務局長を務める越野章史(こしのしょうじ)准教授ら7人の呼びかけ人が記者会見し「安保関連法案は武力行使と戦力保持を禁じた日本国憲法9条に違反し、歴代政権が許さなかった集団的自衛権の行使容認へと転換させることで、日本が世界中の戦争や紛争に参戦を可能にする戦争法案と考
える」とする声明を発表しました。
 そして越野准教授らは「和歌山大学の卒業生を含む若者たちを戦場に送るという耐えがたい事態になる恐れがあり、特に教育学部は国策を推進する立場として、教え子を戦争に送り出す教師を育てる学部にされかねない」と強く懸念を表明し、今後は、安全保障関連法案の廃案に向けて、学内を中心に、教職員や学生、卒業生、退職した教員らに賛同を求める署名活動や、現役の学生に向けた勉強会の開催などを行う
意向を示しました。
 その上て、越野准教授らは「まともな国会答弁が行われず、ネットなどでは玉石混交の情報が入り混じり、学生がどの情報を信じて自分の意見を持てばよいか迷っている」とも指摘し、有志の会の活動が学生
の指針のひとつになればという考えも示しました。
(引用終わり)

(参考サイト)
FNN(フジテレビ)「あしたのニュース」 2015年8月12日
シリーズ特集「みんなで考える ニッポンはなぜ戦争をしたのか」
「戦後70年 英語教育の歴史から、「戦争」に迫りました。」

※江利川春雄先生のインタビューがほんの少ししか使われていないのは残念ですが、物足りないと思った方は、江利川先生の以下の著書をお読みください。
『英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか』(研究社)

 この新著について江利川先生はご自身のブログの中で「資料集めには約30年もの歳月が必要でしたが、執筆は文字通り「一気」でした。戦争への道を突き進もうとしている安倍政権への怒りが、強烈に背中を押したからです。」(新著『英語教科書は<戦争>をどう教えてきたか』発売のご挨拶)と書かれていました。