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安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(4)~逐条的に読んでみた③(3項)

 今晩(2015年10月9日)配信した「メルマガ金原No.2238」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(4)~逐条的に読んでみた③(3項
 
 9月16日に自由民主党公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党間で締結された「平和安全法制に関する合意事項」を考えるシリーズ、第2回から逐条的に読み込むことを始め、今日は3項です。
 9月16日の「合意事項」も翌17日の参議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会での「附帯決議」も同内容ですが(前文は「附帯決議」でやや修文されています)、9月19日の閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」が「趣旨を尊重し、適切に対処するものとする。」としたのは、直接的には「5党合意」についてであって「附帯決議」ではありませんので、以下には9月16日の「平和安全法制に関する合意事項」を引用します(前文以外は、項目を示す数字がアラビア数字か漢数字かの違い程度ですが)。
 なお、引用した「合意事項」は茶色で、私が書いた補注は黒色で、私が引用した文章は紺色で表記してあります。

3 平和安全法制に基づく自衛隊の活動については、国会による民主的統制を確保するものとし、重要影
響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。
 また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。
 
 合意事項3項第1文では、重要影響事態と国会承認についての合意がなされました。
 周辺事態法(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律 平成十一年五月二十八日法律第六十号)の改正法である重要影響事態法(重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律)は、要するに自衛隊に何をさせるための法律なのかということをまず理解しておきましょう。
 今次の安保法制は1つとして発動を許さない運動が必要であることは言うまでもありませんが、それは
それとして、現実問題として実施される可能性が最も高いのが改正PKO協力法、それに次いで重要影響事態法(による後方支援活動)か国際平和支援法(による協力支援活動)だろうと思います(さすがに、存立危機事態はたやすく認定できないでしょう)。
 何に反対するのかを認識するためにも、成立してしまった法律の内容をあらためてしっかりと学ぶ必要があります(9.19以降、私のもとにどこからも学習会講師の要請が来ていないけれど、今からこそ学習が必要だと思っています)。
 そこで、やや回りくどいことは否めませんが、5党合意の解釈を行う前提として、重要影響事態法の重要条文を読んでみましょう。
 
(目的)
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
 
 1条では、重要影響事態についての定義規定が置かれています。重要影響事態とは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を言うとされていますが、この要件の中の「等」がくせものです。
 この1字があるばかりに、せっかくその前に書かれている「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃
に至るおそれのある事態」というのが単なる例示に過ぎなくなり、重要影響事態とは、要するに「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であるという、はなはだ抽象的な要件に収斂することになってしまいます。
 実は、5党合意における合意事項3項第1文で使われている「国民の生死に関わる極めて限定的な場合」というのは、少なくとも野党側としては、重要影響事態法1条で例示されている「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」を念頭に置いていた可能性が高いと思います。もしそうなら、法文をそのまま合意事項に盛り込めば良いものを、と思わないではありませんが。
 いずれにせよ、重要影響事態法は、周辺事態法1条で定められていた「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)」を削除して上記のように改定し、自衛隊を世界中いかなるところでも、米軍等の後方支援活動等のために派遣できるようにしたのですから、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」というまことにあいまいかつ融通無碍な要件に注意を怠ることはできません。
 
 次に、重要影響事態であると認定したら政府は何をするかを規定したのが2条以下です。
 
(重要影響事態への対応の基本原則)
第二条 政府は、重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律第二条に規定する船舶検査活動(重要影響事態に際して実施するものに限る。以下「船舶検査活動」という。)その他の重要影響事態に対応するため必要な措置(
以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 後方支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第七
条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。
4 外国の領域における対応措置については、当該対応措置が行われることについて当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該
機関)の同意がある場合に限り実施するものとする。
5 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代
表して行政各部を指揮監督する。
6 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、相互に協力するものとする。
 
 2条2項は、言うまでもなく憲法9条1項「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」を遵守するために置かれた規定ですが、その実態(後方支援活動)が明らかに9条1項違反だろうというのが、大半の憲法学者による安保法制違憲論の根拠の1つです。
 また、同条3項は、周辺事態法やテロ特措法、イラク特措法にあった「戦闘地域」では活動を行わないという制限を撤廃した非常に問題の大きな規定です。
 
(定義等)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 合衆国軍隊等 重要影響事態に対処し、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行うアメリカ合衆国の軍隊及びその他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊その他これに類する
組織をいう。
二 後方支援活動 合衆国軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、
我が国が実施するものをいう。
三 捜索救助活動 重要影響事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その
捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいう。
四 関係行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。
イ 内閣府並びに内閣府設置法第四十九条第一項及び第二項に規定する機関並びに国家行政組織法第三条
第二項に規定する機関
ロ 内閣府設置法第四十条及び第五十六条並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関
2 後方支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供(次項後段に規定するものを除く。)は、別表第一に掲げるものとする。
3 捜索救助活動は、自衛隊の部隊等(自衛隊法第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)が実施するものとする。この場合において、捜索救助活動を行う自衛隊の部隊等において、その実施に伴い、当該活動に相当する活動を行う合衆国軍隊等の部隊に対して後方支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供は、別表第二に掲げるものとする。
 
 ここでは、重要影響事態に際して実施する対応措置(2条1項)についての定義規定が置かれています(3条1項)。
 周辺事態法では「後方地域支援」の対象国は米国だけでしたが、重要影響事態法では、「合衆国軍隊等」(ここでも「等」が付いた)として、およそ日本の友好国ならどこでもと言ってもよいほど無限定に拡大されています。
 
(基本計画)
第四条 内閣総理大臣は、重要影響事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)
の案につき閣議の決定を求めなければならない。
一 前条第二項の後方支援活動
二 前号に掲げるもののほか、関係行政機関が後方支援活動として実施する措置であって特に内閣が関与
することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの
三 捜索救助活動
四 船舶検査活動
2~4 略
 
(国会の承認)
第五条 基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならない。ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方支
援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動を実施することができる。
2 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動を実施した場合には、内閣総理大臣は、速やかに、これらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければ
ならない。
3 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動を終了させなければならない。
 
 内閣総理大臣は、重要影響事態を認定し、後方支援活動等の対応措置が必要であると判断した場合には、基本計画案について閣議決定を経た上で(4条)、具体的な後方支援活動等についての承認を「対応措置の実施前に」国会に求めなければならないとされています(5条1項)。
 しかし、同項ただし書において、「緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動を実施することができる。」との規定があるため、政府が緊急性を広くとらえれば、国会による事前承認の原則など有名無実化すると考えられていました。
 今回の5党合意の第1文「重要影響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。」は、重要影響事態法5条1項ただし書の規定の適用を事実上限定する合意と読むことができます。つまり、法文上「緊急の必要がある場合」とあるのを、「国民の生死に関わる場合」として運用する旨の合意、あるいは、そのように解釈する旨の合意と言ったらよいでしょうか。
 これは、もともと第1条における重要影響事態の定義自体が抽象的でいくらでも拡大解釈が可能である上に、さらに国会の事前承認を不要とする要件(緊急の必要)がいくら何でも広過ぎるという問題に、少しでもしばりをかけようということで、その趣旨は了としたいと思います。
 ただし、「国民の生死に関わる場合」が、法1条の「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」にまで限定できなかったことは残念です(政府与党が抵抗したのかもしれませんが)。
 せめて、従来の「我が国周辺の地域」以外で後方支援活動等を行う場合には、例外なく国会の事前承認が必要ということにしたいというのが5党合意を締結した野党の意図だったのではないかと推測できるような気がするのですが、(仮にそうだとすれば)それならそうと書いて欲しかったなと思います。
 
 なお、重要影響事態法であと押さえておかねばならないのは、3条2項「後方支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供(次項後段に規定するものを除く。)は、別表第一に掲げるものとする。」にいう別表第一です。
 とりわけ重要なのは以下の諸点、すなわち、
 従来の周辺事態法では、別表第一(第二も)の「備考」において「一 物品の提供には武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。」と定められていたものが、重要影響事態法の別表では「(弾薬を含む。)」の部分が削除された結果、米軍等に対する「弾薬」の提供が可能となったこと
 また、周辺事態法の別表第一(第二も)の「備考」では、「二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」と定められていたところも削除されており、戦闘作戦行動の為に発進準備中の航空機に対する給油及び整備も、重要影響事態における後方支援活動では可能とされたこと
などです。
 
 重要影響事態法についてはこの程度とし、5党合意の合意事項3項第2文「また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。」を検討しましょう。
 とはいえ、PKO協力法国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)についての概略をおさらいするだけの余力はありませんので、とりあえずは、いわゆる駆け付け警護を含む新たな業務を定めた規定を見ておきましょう。
 
(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~四 略 
五 国際平和協力業務 国際連合平和維持活動のために実施される業務で次に掲げるもの、国際連携平和安全活動のために実施される業務で次に掲げるもの、人道的な国際救援活動のために実施される業務で次のワからツまで、ナ及びラに掲げるもの並びに国際的な選挙監視活動のために実施される業務で次のチ及びナに掲げるもの(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。以下同じ。)であって、海外で行われ
るものをいう。
イ・口 略
ハ 車両その他の運搬手段又は通行人による武器(武器の部品及び弾薬を含む。二において同じ。)の搬
入又は搬出の有無の検査又は確認
二~へ 略
卜 防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他
特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護
チ・リ 略
ヌ 矯正行政事務に関する助言若しくは指導又は矯正行政事務の監視
ル リ及びヌに掲げるもののほか、立法、行政(フに規定する組織に係るものを除く。)又は司法に関す
る事務に関する助言又は指導
ヲ 国の防衛に関する組織その他のイから卜まで又はフからネまでに掲げるものと同種の業務を行う組織
の設立又は再建を援助するための次に掲げる業務
(1)イから卜まで又はワからネまでに掲げるものと同種の業務に関する助言又は指導
(2)(1)に規定する業務の実施に必要な基礎的な知識及び技能を修得させるための教育訓練
ワ~ソ 略
ツ イからソまでに掲げるもののほか、輸送、保管(備蓄を含む。)、通信、建設、機械器具の据付け、
検査若しくは修理又は補給(武器の提供を行う補給を除く。)
ネ 国際連合平和維持活動又は国際連携平和安全活動を統括し、又は調整する組織において行うイからツ
までに掲げる業務の実施に必要な企画及び立案並びに調整又は情報の収集整理
ナ イからネまでに掲げる業務に類するものとして政令で定める業務
ラ ヲからネまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとしてナの政令で定める業務を行う場合で
あって、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者(以下このラ及び第二十六条第2項において「活動関係者」という。)の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う該活動関係者の生命及び身体の保護
 
 上記3条5号ラに定められた業務がいわゆる「駆け付け警護」です。ちなみに、同号トによる治安維持のための「監視、駐留、巡回、検問及び警護」は、実は「駆け付け警護」よりもはるかに危険性が高いのではないかと言われている業務です。

 これらの危険性の高い新業務については、武器使用基準も大幅に緩和されています。
 
(武器の使用)
第二十六条 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号卜に掲げるもの又はこれに類するものとして同号ナの政令で定めるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己若しくは他人の生命、身体若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用するこ
とができる。
2 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号ラに掲げるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己又はその保護しようとする活動関係者の生命又は身体を防護するため、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第4項の規定により実施計画に定める装備である武
器を使用することができる。
3 前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法第三十六条又は第三十七条の規定に該当する場合を
除いては、人に危害を与えてはならない。
4 (略)
 
 26条1項が治安維持活動における、同条2項が駆け付け警護における、それぞれ武器使用基準を定めた規定であり、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で」武器を使用することができるとされています。
 
 ところで、PKO協力法において、実施計画や国際平和協力業務についての国会への報告義務について定めた規定は7条であり、これは改正されておらず、従来のままです。
 
(国会に対する報告)
第七条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する事項を、遅滞なく、
国会に報告しなければならない。
一 実施計画の決定又は変更があったとき 当該決定又は変更に係る実施計画の内容
二 実施計画に定める国際平和協力業務が終了したとき 当該国際平和協力業務の実施の結果
三 実施計画に定める国際平和協力業務を行う期間に係る変更があったとき 当該変更前の期間における当該国際平和協力業務の実施の状況  
 
 5党合意の3項第2文「駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告する」とあるのは、7条に追加して(横出しして)別途報告義務を課した合意と解することができます。
 私は、個人的には、「駆け付け警護」(3条5号ラ)よりも、「治安維持活動」(3条5号ト)の方がはるかに危険な業務だと思っており、どうせなら、そちらを抑制するような合意はできなかったのか、などと思ったりもします。
 結局は、国会の事前承認でしっかりチェックできるかどうかなのですが。 
                                           (続く)
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり) 
 

(付録)
『Hard Times Come Again No More』 
日本語詞:長野たかし 演奏:長野たかし&森川あやこ