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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(7)~逐条的に読んでみた⑥(6項)

法律 政治
 今晩(2015年10月15日)配信した「メルマガ金原No.2244」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(7)~逐条的に読んでみた⑥(6項)

(これまでの連載)
2015年10月4日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(1)~とにかく読むだけは読まなければ(資料編)
2015年10月5日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(2)~逐条的に読んでみた①(前文・1項)
2015年10月7日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(3)~逐条的に読んでみた②(2項)

2015年10月9日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(4)~逐条的に読んでみた③(3項)
2015年10月11日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(5)~逐条的に読んでみた④(4項)

2015年10月13日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(6)~逐条的に読んでみた⑤(5項)
 
 参議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で、安全保障関連2法案が強行採決される前日の9月16日、自由民主党公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党間で締結された「平和安全法制に関する合意事項」については、締結直後の冷ややかな雰囲気も過ぎ去り、いまやほとんどの国民が忘れてしまっているのではないかと思える今日この頃です。実際、「5党合意」でGoogle検索をかけてみても、合意直後の当事者による発信や報道を除けば、私の連載「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」が上位でヒットするありさまですからね。
 私自身、神保哲生さんと宮台真司さんによるニュース・コメンタリーを視聴して、はじめて「これはしっかり読み込まねば」と気がついた始末ですから偉そうなことは言えません。しかし、逐条検討を始めてからもう一度、そのニュース・コメンタリーのリード文を読み直してみると、失礼ながら、合意事項の要約に正確性を欠く部分も目につきます。
 もちろん、5党合意と一口に言っても、様々な内容を含んでおり、各条項の解釈にしても、必ずしも断定しかねる曖昧さを残すものも少なくありません。それに、私自身、浅学非才の故に、思わぬ検討不足や勘違いをしている可能性も十分にあります。ですから、多くの人が「5党合意を自分はこう読んだ」という意見を次々と発表してくれることが一番良いと思っています。
 安保関連法制自体を廃止できる時がくれば、「5党合意」はその意味を失いますが、それまでにあとどれだけの期間を要するのか誰にも分かりません。それまでにも、生身の自衛官が危険な戦地に派遣される可能性は(法律の施行後は特に)常に存在するのです。そうである以上、自衛隊の戦地派遣を阻止する、あるいはせめて抑制するために使える手段はどんなものでも総動員しなければならない、そうは思いませんか?私が5党合意の注釈をしつこく続けているのはそのためなのです。
 
 さて、前置きが長くなり過ぎました。今日は、合意事項の6項です。
 いつも書いていることですが、9月16日の「合意事項」も翌17日の参議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会での「附帯決議」もほぼ同内容ですが、9月19日の閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」が「趣旨を尊重し、適切に対処するものとする。」としたのは、直接的には「5党合意」についてであって「附帯決議」ではありませんので、以下には9月16日の「平和安全法制に関する合意事項」を引用します。
 なお、引用した「合意事項」は茶色で、私が書いた補注は黒色で、私が引用した文章は紺色で表記してあります。
 
6 国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊が安全かつ円滑に活動できるよう、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定すること。
 
 この6項は、いわゆる「非戦闘地域」という概念と密接な関係がありますので、制定順に、以下の3つの法律におけるいわゆる「非戦闘地域」に関わる条項を引用します。
 ちなみに、最初の周辺事態法は今般の安保法制により重要影響事態法に「改正」され(来年3月末までに施行)、テロ特措法とイラク特措法は既に有効期間を経過して効力を失っています(それに代わる恒久法が国際平和支援法です)。
 
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年五月二十八日法律第六十号)
(定義等)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 後方地域支援 周辺事態に際して日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国の軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、後方地域において我が国が実施するものをいう。
二 後方地域捜索救助活動 周辺事態において行われた戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、後方地域において我が国が実施するものをいう。
三 後方地域 我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)及びその上空の範囲をいう。
四 略
2、3 略
 
平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年十一月二日法律第百十三号)
(基本原則)
第二条 政府は、この法律に基づく協力支援活動、捜索救助活動、被災民救援活動その他の必要な措置(以下「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に我が国として積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
一 公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。第六条第五項において同じ。)及びその上空
二 外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。)
4 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
5 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、相互に協力するものとする。
 
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年八月一日法律第百三十七号)
(基本原則)
第二条 政府は、この法律に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動(以下「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより、前条に規定する国際社会の取組に我が国として主体的かつ積極的に寄与し、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
一 外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。ただし、イラクにあっては、国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号その他の政令で定める国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる。)
二 公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。第八条第五項及び第十四条第一項において同じ。)及びその上空
4 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
5 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、内閣総理大臣及び防衛大臣に協力するものとする。
 
 平成11年(1999年)に作られた周辺事態法は、何とかぎりぎり日米安保条約の枠組みに収まる範囲内での米軍への協力を、「後方地域支援」として行うことを主な内容とする法律でした。周辺事態というのが、主には朝鮮有事を想定していたことは、「後方地域支援」の対象を「周辺事態に際して日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国の軍隊」と定義していることからも明らかでした(日米安保条約の極東条項を想起してください)。その上、「後方地域支援」を行う地域は、「我が国領域並びに(略)我が国周辺の公海及びその上空の範囲」に限定されており、自衛隊は日本海で米軍に対する「後方地域支援」は行うが、朝鮮半島には派遣しないことになっていました。さらに、活動範囲である「我が国周辺の公海及びその上空」であっても、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」ことを要する、すなわり、その要件(非戦闘地域であること)を満たさない地域では後方地域支援は行わないとしていたのです。
 
 平成13年(2001年)のテロ特措法、平成15年(2003年)のイラク特措法では、周辺事態法とは異なり、陸上での活動も予定していたこともあり、定義等(3条)の中ではなく、基本原則(2条)の中で、対応措置(協力支援活動等)は、「現に戦闘行為(略)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる(略)地域において実施する」ことが定められ、「戦闘地域」では自衛隊は活動しないという原則は維持されました。
 もっとも、「戦闘地域」であるにも関わらず、「非戦闘地域」であるとして、米軍兵士等をバグダッドまで空輸していた航空自衛隊の活動を、イラク特措法2条2項及び3項並びに憲法9条1項に違反するとした2008年4月17日名古屋高裁判決があることを忘れてはなりません。
 
 ところが、今般の安保法制により、上記の原則は完全に放棄されました。
 まず、周辺事態法あらため重要影響事態法がどうなったかを見ておきましょう。
 
重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律
(重要影響事態への対応の基本原則)
第二条 政府は、重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律第二条に規定する船舶検査活動(重要影響事態に際して実施するものに限る。以下「船舶検査活動」という。)その他の重要影響事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 後方支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第七条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。
4 外国の領域における対応措置については、当該対応措置が行われることについて当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関)の同意がある場合に限り実施するものとする。
5 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
6 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、相互に協力するものとする。 
 
自衛隊による後方支援活動としての物品及び役務の提供の実施)
第六条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の後方支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。
2 防衛大臣は、基本計画に従い、第三条第二項の後方支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該後方支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の後方支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該後方支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
5 第三条第二項の後方支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該後方支援活動を実施している場所又はその近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該後方支援活動の実施を一時休止するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。
6 第二項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。
 
 重要影響事態法2条3項において、「現に戦闘行為(略)が行われている現場では実施しないものとする。」とはされながら、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法が維持してきた「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域(いわゆる「非戦闘地域」)でなければ自衛隊は活動しないという原則は削除されました。
 もともと、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」というとぼけた答弁を繰り返した総理大臣がいたことからも分かるとおり、「非戦闘地域」というしばりがどれだけ有効であったかは検証する必要がありますが(上掲の名古屋高裁判決を参照されたい)、それでも、戦闘地域と一定の距離を確保することにより、他国の武力行使との一体化を回避することについてのそれなりの意義はあったろうと思います。
 ここで、いわゆる「大森4原則」(1997年2月13日の衆議院予算委員会における大森政輔内閣法制局長官答弁)を回想しておくことも無意味ではないでしょう。
 「このような、いわゆる一体化の理論と申しますのは、仮に、みずからは直接武力の行使をしていないとしても、他の者が行う武力の行使への関与の密接性等から、我が国も武力の行使をしているとの評価を受ける場合を対象とするものでありまして、いわば法的評価に伴う当然の事理を述べるものでございます。
 そして問題は、他国による武力の行使と一体となす行為であるかどうか、その判断につきましては大体四つぐらいの考慮事情を述べてきているわけでございまして、委員重々御承知と思いますが、要するに、戦闘活動が行われている、または行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係、当該行動等の具体的内容、他国の武力の行使の任に当たる者との関係の密接性、協力しようとする相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して、個々的に判断さるべきものである、そういう見解をとっております。」
 
 なお、国際平和支援法でも、テロ特措法やイラク特措法にはあった「非戦闘地域」というしばりがなくなっていますので、該当条文を引用しておきます。
 
国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律
(基本原則)
第二条 政府は、国際平和共同対処事態に際し、この法律に基づく協力支援活動若しくは捜索救助活動又は重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)第二条に規定する船舶検査活動(国際平和共同対処事態に際して実施するものに限る。第四条第二項第五号において単に「船舶検査活動」という。)(以下、「対応措置」という。)を適切かつ迅速に実施することにより、国際社会の平和及び安全の確保に資するものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
3 協力支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第八条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りではない。
4~6 略
 
(協力支援活動の実施)
第七条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。
2 防衛大臣は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該協力支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の協力支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該協力支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
5 第三条第二項の協力支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該協力支援活動を実施している場所若しくはその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合又は当該部隊等の安全を確保するため必要と認める場合には、当該協力支援活動の実施を一時休止し又は避難するなどして危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。
6 前二項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。
 
 以上、長々と引用してきましたが、重要影響事態法に基づく後方支援活動についても、国際平和支援法に基づく協力支援活動についても、その実態は軍事用語を使えばlogistic(兵站)です。現に、今年の4月27日に合意された新たな日米ガイドラインにおいて、日本語で「後方支援活動」と表記されている部分の英語正文は全て“logistic support”です。
 従来は、周辺事態法に基づく後方地域支援活動にしても、2つの特措法に基づく協力支援活動にしても、実質的には兵站でありつつも、大森4原則を踏まえ、外国の武力行使と一体化しない範囲で協力するという建前を、ほころびを見せつつも何とか維持してきたにもかかわらず、それをかなぐり捨てることになたのが、今般の「非戦闘地域」という要件の削除でした。
 そこで、5党合意の6項です。もう一度全文引用します。
 
6 国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊が安全かつ円滑に活動できるよう、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定すること。
 
 この合意が直接的に何について定めているのかというと、防衛大臣が、国際平和共同対処事態において協力支援活動を実施する区域(実施区域)を指定するに際し、また、重要影響事態において後方支援活動を実施する区域(実施区域)を指定するに際し、「自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定する」ことを(閣議決定を通じて)約束したということになります。
 これは、テロ特措法やイラク特措法(あるいは周辺事態法)で定められていた「そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」と実質的に同じだと、普通ならそう読みますよね。
 
自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間についてそこで実施される活動の期間を通じて
戦闘行為が発生しないと見込まれる場所戦闘行為が行われることがないと認められる地域
 
 どうせならこの6項は、紛れのないように、「国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊が安全かつ円滑に活動できるよう、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域を指定すること。」として欲しかったですけどね。もしかすると、政府与党の抵抗があったのかしれませんが。
 
 ただし、この合意においては、閣議決定される基本計画を実施に移すにあたって防衛大臣が行う実施区域の指定に際しての要件ですから、どこが実施区域になるのかに責任を負うのは、第一義的には防衛大臣なのです。
 そもそも、本来であれば法律の基本原則に規定すべき要件を、防衛大臣の実施区域の指定に際しての要件に格下げし、おまけに法文の修正ではなく、5党合意、附帯決議、閣議決定という便法を用いたのですから、おかしいと言えばおかしいのですが、そんなことは承知の上で、私たちがなすべきことは、合意事項6項により、重要影響事態法に基づく後方支援活動も、国際平和支援法に基づく協力支援活動も、従来の周辺事態法や2つの特措法で維持されてきた「戦闘地域では実施しない」という原則を、結局、実質的には継続することに与党が合意し、政府も閣議決定によってそれを追認したと、声緒を大にして主張することでしょう。                           
                                               (続く)
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)