安保法制違憲訴訟を考える(3)~「5党合意」は違憲論にどんな影響があるのか?(検討用メモ)
今晩(2015年10月27日)配信した「メルマガ金原No.2256」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
久しぶりの「安保法制違憲訴訟を考える」ですが、実質的には、一昨日(10月25日)、総集編を書いて連載を終えた「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」シリーズの、終了わずか2日後の「補足」でもあります。
私は、一昨日の「5党合意」最終回の末尾に「最後に、この5党合意が安保法制違憲訴訟にどのような影響を及ぼすのか(あるいは及ぼさないのか)については、違憲訴訟を準備しているグループの中で既に十分に検討していることと思うが、私自身はその点についての検討はまだ手つかずであることをお断りしておく。」と書きましたが、2日前に「まだ手つかず」であった状態は少しも変わっていませんので、今後、手をつけていく(検討を進めていく)ための自分自身のための備忘録としたいという趣旨でもあります。
今般成立した安全保障関連法案については、圧倒的多数の憲法学者の他、元最高裁長官や元内閣法制局長官を含む多くの法律実務家が「憲法違反」であると主張してきたところであり、もちろん、私もそう思っています。
そして、著名な弁護士らが中心となり、自衛隊への出動差止め訴訟(行政訴訟の予防訴訟)や国家賠償請求訴訟のための準備を進めているという動きが伝えられたりしています。
私はそれらの訴訟を準備しているグループとは、今のところ関係はないので、具体的な理論構成の方針などは承知していませんが、これまでの違憲論の内容から考えて、
①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)
②重要影響事態における米軍等への後方支援活動
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
が、違憲主張を根拠付ける「3大事態」であることはまず間違いないでしょう。
今さらながらですが、安保関連法制がなぜ違憲であるのかを復習しておきましょう。
ここでは(省力化のために)、去る9月12日に和歌山県田辺市で行われた安保法案賛成派と反対派がそれぞれ意見を述べ合うイベント「安保法案だよ全員集合!」のために私が書いた発言用原稿の該当部分を引用します(「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと)。
そして、著名な弁護士らが中心となり、自衛隊への出動差止め訴訟(行政訴訟の予防訴訟)や国家賠償請求訴訟のための準備を進めているという動きが伝えられたりしています。
私はそれらの訴訟を準備しているグループとは、今のところ関係はないので、具体的な理論構成の方針などは承知していませんが、これまでの違憲論の内容から考えて、
①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)
②重要影響事態における米軍等への後方支援活動
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
が、違憲主張を根拠付ける「3大事態」であることはまず間違いないでしょう。
今さらながらですが、安保関連法制がなぜ違憲であるのかを復習しておきましょう。
ここでは(省力化のために)、去る9月12日に和歌山県田辺市で行われた安保法案賛成派と反対派がそれぞれ意見を述べ合うイベント「安保法案だよ全員集合!」のために私が書いた発言用原稿の該当部分を引用します(「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと)。
(引用開始)
(質問2)世間では、今回の安保法案が「憲法違反である」という意見が大半を占めており、多くの憲法学者も違憲だと声明を出している状況です。中には、憲法との整合性は取れている、といった意見もありますが、この「憲法との整合性」については、それぞれどのようにお考えですか?
(金原)私が安保法案に反対する理由のうちの最大のものはこの「憲法適合性」の問題であり、私が学習会の講師を務める際には、可能であればこれだけで1時間は欲しいところです。それを3分程度で何を話したら良いというのか?と正直思いますが、手短に意見を述べます。
私が安保法案を憲法違反だと考えるポイントをとりあえず3点に絞って説明します。
まず第1に、集団的自衛権の行使は憲法9条(とりわけ2項)に違反します。
これを理解するためには、自衛隊はなぜ合憲と言えるのか?という問題についてのこれまでの政府の基本的見解を理解する必要があります。それはこういう論理です。
憲法13条が保障する「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が「国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされていることから考えれば、我が国が他国から武力攻撃を受けた場合にその急迫不正の侵害を排除し、国民の権利を守ることは、国の責務として憲法もこれを容認している。従って、上記の目的を達成するための必要最小限の実力は、憲法9条2項が保持を禁じた「陸海空軍その他の戦力」にはあたらない。自衛隊は、そのような必要最小限の実力にとどまっているので合憲である。
ご理解いただけたでしょうか?以上が、自衛隊発足以来、2014年7月1日午後の閣議決定に至るまで、日本国政府が維持し続けてきた論理です。
昨年7月1日の閣議決定がベースとしたいわゆる1972年(昭和47年)政府見解というのは、この自衛隊合憲の根拠を前提として、「そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」と明確に断じたものです。
大半の憲法学者が、昨年7月1日の閣議決定と現在審議中の安保法案が、従来の合憲性判断の枠組では説明できず、それを超えてしまったもので違憲であるとしているのは 以上のような理由によります。
これを別の面から評すれば、集団的自衛権の行使ができるとする解釈は、論者の主観がどうであろうと、結果として、自衛隊の存在を正当化する憲法上の根拠を失わせ、単なる私兵におとしめる解釈だと言わなければなりません。
6月4日の衆議院憲法審査会に出席して安保関連法案を違憲と断じた3人の参考人、長谷部恭男先生、小林節先生、笹田栄司先生は、いずれも自衛隊合憲論者です。合憲論者「であっても」違憲としたという理解は正確ではありません。自衛隊合憲論者「だからこそ」違憲と判断するしかなかったのだということを是非理解してください。
第2に、重要影響事態法に基づく米軍等に対する後方支援、国際平和協力法案に基づく協力支援は、憲法9条(とりわけ1項)が禁じた「武力の行使」にあたるか、あるいはその恐れが極めて大きいものであって違憲です。
私は、現在審議中の法案の中でも、米軍等への後方支援を定めた重要影響事態法案こそキーとなる法案だと考えています。
この法案は、現行の周辺事態法を改正しようとするものですが、「我が国周辺の地域」という地域的制限をなくし、非戦闘地域でなければ実施しないというしばりも撤廃して、現に戦闘行為が行われていなければ良いとし、武器の輸送、弾薬の提供、発進準備中の航空機への給油なども解禁するなど、軍事的には兵站(ロジスティック)そのものです。現に、4月27日にニューヨークで合意された新日米ガイドラインでは、日本による米軍への「後方支援活動」を、英語正文では「logistic support(ロジスティック・サポート)」と呼称しています。
このような活動が、米軍等による武力行使と一体となる可能性が非常に高い、あるいは一体化そのものであることは明らかであって、武力の行使を禁じた憲法9条1項に違反します。
なお、この点に関する判例としては、2008年4月27日、イラク特措法に基づいて米兵等の空輸を行っていた航空自衛隊の活動を憲法9条1項に違反すると判断した名古屋高裁判決があります。
第3に、海外での武力行使を容認する安保法案は、内閣の権限を定めた憲法73条に違反します。
日本国憲法は、近代立憲主義に基づく権力分立制をとっており、各国家機関にいかなる権限を付与するかの基本は憲法自身によって定められています。そして、行政権を担う内閣に与えられた権限を明記しているのが憲法73条ですが、この規定をどのように読んでも、日本が武力攻撃を受けた訳でもないのに海外で戦争する、武力を行使する権限を内閣に与えたと読める規定は存在しません。従って、内閣に自衛隊に海外での武力行使を、仮に限定的にであれ、認めることになる安保法案は憲法に違反します。
(引用終わり)
(質問2)世間では、今回の安保法案が「憲法違反である」という意見が大半を占めており、多くの憲法学者も違憲だと声明を出している状況です。中には、憲法との整合性は取れている、といった意見もありますが、この「憲法との整合性」については、それぞれどのようにお考えですか?
(金原)私が安保法案に反対する理由のうちの最大のものはこの「憲法適合性」の問題であり、私が学習会の講師を務める際には、可能であればこれだけで1時間は欲しいところです。それを3分程度で何を話したら良いというのか?と正直思いますが、手短に意見を述べます。
私が安保法案を憲法違反だと考えるポイントをとりあえず3点に絞って説明します。
まず第1に、集団的自衛権の行使は憲法9条(とりわけ2項)に違反します。
これを理解するためには、自衛隊はなぜ合憲と言えるのか?という問題についてのこれまでの政府の基本的見解を理解する必要があります。それはこういう論理です。
憲法13条が保障する「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が「国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされていることから考えれば、我が国が他国から武力攻撃を受けた場合にその急迫不正の侵害を排除し、国民の権利を守ることは、国の責務として憲法もこれを容認している。従って、上記の目的を達成するための必要最小限の実力は、憲法9条2項が保持を禁じた「陸海空軍その他の戦力」にはあたらない。自衛隊は、そのような必要最小限の実力にとどまっているので合憲である。
ご理解いただけたでしょうか?以上が、自衛隊発足以来、2014年7月1日午後の閣議決定に至るまで、日本国政府が維持し続けてきた論理です。
昨年7月1日の閣議決定がベースとしたいわゆる1972年(昭和47年)政府見解というのは、この自衛隊合憲の根拠を前提として、「そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」と明確に断じたものです。
大半の憲法学者が、昨年7月1日の閣議決定と現在審議中の安保法案が、従来の合憲性判断の枠組では説明できず、それを超えてしまったもので違憲であるとしているのは 以上のような理由によります。
これを別の面から評すれば、集団的自衛権の行使ができるとする解釈は、論者の主観がどうであろうと、結果として、自衛隊の存在を正当化する憲法上の根拠を失わせ、単なる私兵におとしめる解釈だと言わなければなりません。
6月4日の衆議院憲法審査会に出席して安保関連法案を違憲と断じた3人の参考人、長谷部恭男先生、小林節先生、笹田栄司先生は、いずれも自衛隊合憲論者です。合憲論者「であっても」違憲としたという理解は正確ではありません。自衛隊合憲論者「だからこそ」違憲と判断するしかなかったのだということを是非理解してください。
第2に、重要影響事態法に基づく米軍等に対する後方支援、国際平和協力法案に基づく協力支援は、憲法9条(とりわけ1項)が禁じた「武力の行使」にあたるか、あるいはその恐れが極めて大きいものであって違憲です。
私は、現在審議中の法案の中でも、米軍等への後方支援を定めた重要影響事態法案こそキーとなる法案だと考えています。
この法案は、現行の周辺事態法を改正しようとするものですが、「我が国周辺の地域」という地域的制限をなくし、非戦闘地域でなければ実施しないというしばりも撤廃して、現に戦闘行為が行われていなければ良いとし、武器の輸送、弾薬の提供、発進準備中の航空機への給油なども解禁するなど、軍事的には兵站(ロジスティック)そのものです。現に、4月27日にニューヨークで合意された新日米ガイドラインでは、日本による米軍への「後方支援活動」を、英語正文では「logistic support(ロジスティック・サポート)」と呼称しています。
このような活動が、米軍等による武力行使と一体となる可能性が非常に高い、あるいは一体化そのものであることは明らかであって、武力の行使を禁じた憲法9条1項に違反します。
なお、この点に関する判例としては、2008年4月27日、イラク特措法に基づいて米兵等の空輸を行っていた航空自衛隊の活動を憲法9条1項に違反すると判断した名古屋高裁判決があります。
第3に、海外での武力行使を容認する安保法案は、内閣の権限を定めた憲法73条に違反します。
日本国憲法は、近代立憲主義に基づく権力分立制をとっており、各国家機関にいかなる権限を付与するかの基本は憲法自身によって定められています。そして、行政権を担う内閣に与えられた権限を明記しているのが憲法73条ですが、この規定をどのように読んでも、日本が武力攻撃を受けた訳でもないのに海外で戦争する、武力を行使する権限を内閣に与えたと読める規定は存在しません。従って、内閣に自衛隊に海外での武力行使を、仮に限定的にであれ、認めることになる安保法案は憲法に違反します。
(引用終わり)
さて、以上を前提として、
①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)
②重要影響事態における米軍等への後方支援活動
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
と「5党合意」の関係を考えておく必要があるだろうと思います。
詳細に論じる余裕はとてもないので、以下には、関連する「5党合意」と簡単なコメントを付すにとどめます。
①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)
②重要影響事態における米軍等への後方支援活動
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
と「5党合意」の関係を考えておく必要があるだろうと思います。
詳細に論じる余裕はとてもないので、以下には、関連する「5党合意」と簡単なコメントを付すにとどめます。
①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)について
存立危機事態については、合意事項1項と2項が定めています。
2項は、「存立危機事態であるが武力攻撃事態等(武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態)ではない場合」に国会の事前承認を要することとした点に意義はありますが、国会が承認したからといって、集団的自衛権行使の違憲性が阻却されるものではありません。
違憲論との関係で重要なのは、1項第2文「さらに存立危機事態の認定は、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があることを前提とすること。」です。
この合意により、政府が従来繰り返してきた、存立危機事態における防衛出動が、いわゆるフルスペックの集団的自衛権を認めるものではなく、あくまで自国防衛のためのものであるという答弁の論理が完全に破綻したことが重要です。もしも、本当に自国防衛のためであるというのなら、そのような必要があるにもかかわらず、他国(武力攻撃を受けた国)の要請又は同意がない限り、自衛隊を出動させることができないというのでは論理矛盾だからです。
従って、5党にそのような意図があったか否かは別論として、結果的に、今回の「5党合意」によって、「存立危機事態における防衛出動」の違憲性がより明確になったのだと思います。
存立危機事態については、合意事項1項と2項が定めています。
2項は、「存立危機事態であるが武力攻撃事態等(武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態)ではない場合」に国会の事前承認を要することとした点に意義はありますが、国会が承認したからといって、集団的自衛権行使の違憲性が阻却されるものではありません。
違憲論との関係で重要なのは、1項第2文「さらに存立危機事態の認定は、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があることを前提とすること。」です。
この合意により、政府が従来繰り返してきた、存立危機事態における防衛出動が、いわゆるフルスペックの集団的自衛権を認めるものではなく、あくまで自国防衛のためのものであるという答弁の論理が完全に破綻したことが重要です。もしも、本当に自国防衛のためであるというのなら、そのような必要があるにもかかわらず、他国(武力攻撃を受けた国)の要請又は同意がない限り、自衛隊を出動させることができないというのでは論理矛盾だからです。
従って、5党にそのような意図があったか否かは別論として、結果的に、今回の「5党合意」によって、「存立危機事態における防衛出動」の違憲性がより明確になったのだと思います。
②重要影響事態における米軍等への後方支援活動
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
後方支援と協力支援は、実際の活動としては基本的に同じ内容です。
「5党合意」は、各所で重要影響事態(や国際平和共同対処事態)に触れていますので、違憲論との関連をざっと見ておきます。
③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動
後方支援と協力支援は、実際の活動としては基本的に同じ内容です。
「5党合意」は、各所で重要影響事態(や国際平和共同対処事態)に触れていますので、違憲論との関連をざっと見ておきます。
合意事項1項第3文
「重要影響事態において他国を支援する場合には、当該他国の要請を前提とすること。」とありますが、米軍等の要請なしに後方支援を行うとは考えられず、単なる確認事項だと思いますし、違憲論への影響はないでしょう。
「重要影響事態において他国を支援する場合には、当該他国の要請を前提とすること。」とありますが、米軍等の要請なしに後方支援を行うとは考えられず、単なる確認事項だと思いますし、違憲論への影響はないでしょう。
合意事項3項第1文
「重要影響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。」とありますが、この場合の違憲論の本質は、「武力の行使」あるいは「外国軍の武力行使との一体化」にあるのであり、国会の事前承認があっても、違憲なものは違憲です。
「重要影響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。」とありますが、この場合の違憲論の本質は、「武力の行使」あるいは「外国軍の武力行使との一体化」にあるのであり、国会の事前承認があっても、違憲なものは違憲です。
合意事項4項第1文
「平和安全法制に基づく自衛隊の活動について、国会がその承認をするにあたって国会がその期間を限定した場合において、当該期間を超えて引き続き活動を行おうとするとき
は、改めて国会の承認を求めること。」という規定は、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態のいずれにも適用され得るものですが、これも直接的には違憲論に影響を与えるものではなさそうです。
「平和安全法制に基づく自衛隊の活動について、国会がその承認をするにあたって国会がその期間を限定した場合において、当該期間を超えて引き続き活動を行おうとするとき
は、改めて国会の承認を求めること。」という規定は、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態のいずれにも適用され得るものですが、これも直接的には違憲論に影響を与えるものではなさそうです。
合意事項5項
「国会が自衛隊の活動の終了を決議したときには、法律に規定がある場合と同様、政府はこれを尊重し、速やかにその終了措置をとること。」という規定は、主に重要影響事態の場合に意味を持つ合意ですが、これもまた、違憲論に直接の影響はないでしょう。
「国会が自衛隊の活動の終了を決議したときには、法律に規定がある場合と同様、政府はこれを尊重し、速やかにその終了措置をとること。」という規定は、主に重要影響事態の場合に意味を持つ合意ですが、これもまた、違憲論に直接の影響はないでしょう。
合意事項6項
「国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊が安全かつ円滑に活動できるよう、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定すること。」という合意事項こそ、違憲論との関連で最も検討を要する部分でしょう。
従来の非戦闘地域というしばりを放棄し、単に「現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとする」とだけしたことが、後方支援活動や協力支援活動の違憲性(9条1項違反)を根拠付ける重要な要素の一部となっていた以上、この合意事項6項自体をどう解釈するのか(実質的に非戦闘地域でなければ実施しないということなのか?)、閣議決定での「趣旨を尊重し、適切に対処する」ということの意義をどう解するかなど、検討すべき課題は色々ありそうです。
「国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊が安全かつ円滑に活動できるよう、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定すること。」という合意事項こそ、違憲論との関連で最も検討を要する部分でしょう。
従来の非戦闘地域というしばりを放棄し、単に「現に戦闘行為が行われている現場では実施しないものとする」とだけしたことが、後方支援活動や協力支援活動の違憲性(9条1項違反)を根拠付ける重要な要素の一部となっていた以上、この合意事項6項自体をどう解釈するのか(実質的に非戦闘地域でなければ実施しないということなのか?)、閣議決定での「趣旨を尊重し、適切に対処する」ということの意義をどう解するかなど、検討すべき課題は色々ありそうです。
合意事項7項
合意事項8項
後方支援活動及び協力支援活動における「弾薬の提供」(7項)と「武器の輸送」(8項)を限定する合意です。違憲論と全く無関係という訳ではなく、それなりの検討を必要とするでしょうが、6項ほどではありません。
合意事項8項
後方支援活動及び協力支援活動における「弾薬の提供」(7項)と「武器の輸送」(8項)を限定する合意です。違憲論と全く無関係という訳ではなく、それなりの検討を必要とするでしょうが、6項ほどではありません。
以上に概観したとおり、「①存立危機事態における防衛出動(集団的自衛権の行使)」については合意事項1項第2文、「②重要影響事態における米軍等への後方支援活動】及び「③国際平和共同対処事態における多国籍軍への協力支援活動」については合意事項6項を、特に違憲論との関係では注意し、十分な検討を加える必要があると思います。
・・・というのが、私自身に課した宿題の中身です。
・・・というのが、私自身に課した宿題の中身です。
(忘れないために)
「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
(引用開始)
あしたのための声明書
あしたのための声明書
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)
(引用終わり)
(付録)
『大阪のおばちゃん』 作詞・作曲:ヒポポ大王 演奏:ヒポポフォークゲリラ婦人部