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『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』(日本再建イニシアティブ)の刊行について

 今晩(2015年11月24日)配信した「メルマガ金原No.2284」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』(日本再建イニシアティブ)の刊行について

 日本記者クラブでは、話題の新刊の執筆者を招き、著書の内容についてプレゼンテーションしてもらい、その後に質疑応答を行うというシリーズを継続して行っていますが、去る11月13日には、シンクタ
ンク「日本再建イニシアティブ」船橋洋一理事長)が角川新書から刊行した『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』が取り上げられ、企画のとりまとめ役を担った中野晃一上智大学教授(政治学
)を始めとする分担執筆者が招かれて会見が行われました。



 私は、この会見動画がアップされていることに昨日気がつき、今日、事務所の近くの書店で同書を購入してきたところですから、当然まだ読めてはおらず、会見動画も中野教授の最初のプレゼン以外はつまみ
食い的にあちこち視聴しただけです。
 本来であれば、本を通読し、動画も全編視聴した上でご紹介すべきだとは思うのですが、それを待っていてはいつのことになるか分からず、タイミングを逸してしまいかねないという懸念があり、とりあえず、興味深い書籍が刊行されたという情報を、執筆者の会見動画とともにご紹介することとしました。
 
『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』日本再建イニシアティブ 2015.11.13(1時間41分)
 

記者による会見リポート

(引用開始)
自民党政治の変質を検証
 シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(船橋洋一理事長)が自民党政治を検証し『「戦後保守」は
終わったのか 自民党政治の危機』(角川新書)を出版、執筆陣が会見した。2年前の『民主党政権 失敗の検証』に続く。昨年秋から政治学者ら8人が福田康夫元首相ら政治家や官僚20人を招いて研究会を重
ね、まとめた。
 前回に続いて座長の中野晃一氏は「戦後保守は中道保守の政治手法をとってきたが近ごろの自民党政治
の中身は随分、違う」との基本認識から90年代以降に照準を合わせて考えた経緯を説明した。
 これを受けて中北浩爾氏が第2次安倍政権までの派閥政治の盛衰に考察を加え、杉之原真子氏は女性政策や少子化問題に保守政治が無力だった理由を解析した。壇上の3人のほかに経済・財政、外交・安保、
メディアの各パート担当者も会場から出席者との質疑に加わった。
 「中道保守」の概念規定には異論もあろうが自民党結党60年の今年、時宜を得た試みといえる。
朝日新聞出身 村野 坦
(引用終わり)
 
 私自身、憲法学習会の講師を頼まれた際などに、「今の自民党が昔の自民党と同じ政党だと思ったら大間違いである」ということはしばしば述べるのですが、では、何が変わったのか、なぜ変わったのか、もう元には戻らないのかなどという肝心な点になると、不勉強のために口ごもらざるを得ないというのが実情です。
 従って、シンクタンク「日本再建イニシアティブ」が2014年10月から今年9月までの1年間、「検証 日本の中道保守」プロジェクト(座長:中野晃一氏)において、自民党関係者など全部で20人からヒアリングを実施した上で、項目ごとに分担執筆して成った本書により、自民党の変質についてしっ
かりと学べるのではないかと期待しているのです。
 まだ中身をほとんど読んでいない分担執筆の書籍について、そこまで期待を表明するのは、プロジェク
トの座長を務めた中野晃一教授への信頼感のなせるわざなのですが。
 
 以下に、本書の構成及び分担執筆者をご紹介するとともに、このプロジェクトによるヒアリングに協力した20人の方々のお名前を列記します(誰でも分かる著名な方が大半なので、肩書きは省略しました)。
 
【分担執筆者】
まえがき 船橋洋一一般社団法人日本再建イニシアティブ理事長)
序章 戦後政治の「中道保守」 中野晃一(上智大学国際教養学部教授)
第1章 「戦後保守」の軌跡 村井哲也(明治大学法学部非常勤講師)
第2章 衰退する「中道保守」―派閥政治の変容と終焉 中北浩爾(一橋大学大学院社会学研究科教授)
第3章 経済財政政策―高度成長から負の分配へ 内山融(東京大学大学院総合文化研究科教授)
第4章 「村山コンセンサス」の形成と課題 ジェニファー・リンド(米ダートマス・カレッジ准教授)
第5章 メディア環境・世論と政治の座標軸 逢坂巖(立教大学兼任講師)
第6章 「中道保守」と外交安全保障 宮城大蔵(上智大学総合グローバル学部教授)
第7章 少子化・女性・家族と「戦後保守の限界」 杉之原真子(フェリス女学院大学国際交流学部准教
授)
総括 「中道保守」は再生できるか 中野晃一 
エディター 大軒由敬(元朝日新聞社論説主幹)
 
 
 私に、座長である中野晃一先生への信頼感が生まれたのは、言うまでもなく、立憲デモクラシーの会や安全保障関連法(案)に反対する学者の会で大活躍される様子を動画で拝見し、問題の本質に鋭く切り込む分析力の確かさと、大胆とも思える積極的な発言に深く感銘を受ける機会が多かったからです。
 何しろ、感銘のあまり、中野教授の発言を、動画を視聴しながら文字起こししたことがあったほ
どです。例えば、以下のような。
 
 
 もっとも、本来の政治学者としての中野教授の本領は、今回のプロジェクトの取りまとめのような仕事においてこそ発揮されるのだろうと思い、是非その成果を読みたいものだと思い、購入してきたという次第です。以上のご紹介で「読んでみよう」という意欲がわいてきた方がおられれば良いのですが。
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)