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ビデオニュース・ドットコムの無料配信動画で「日米合同委員会」を考える

 今晩(2015年12月9日)配信した「メルマガ金原No.2299」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
ビデオニュース・ドットコムの無料配信動画で「日米合同委員会」を考える

 3日前に、なぜ「まだ、読んでいない本・論文、観ていない映画、視聴していない動画のご紹介を続けている」のかについて言い訳したばかりですが(日本地震学会モノグラフ「日本の原子力発電と地球科学」(2015年3月)のご紹介/2015年12月6日)、今日もまた「まだ視聴していない動画」を、それも
3本まとめてのご紹介となります(いずれもビデオニュース・ドットコムから)。
 正直、私自身がいつになったら全編見られるのか、年末年始休暇を待たねばならないかもしれないなどと思っているにもかかわらずのご紹介なので、内心忸怩たるものがあることは否めませんが、非常に重要な問題だという直感は多分はずれていないはずなので、私自身の備忘録を兼ねつつ、関心を持たれる方に
ご紹介しようとするものです。
 また、一昨日(福岡高裁那覇支部・代執行訴訟における「沖縄県知事 翁長雄志」の主張/2015年1
2月7日)に引き続き、ほぼ全て引用によって構成されたコラージュでもあります。
 今日のテーマは「日米合同委員会」です。
 
(旧日米安保条約に基づく)
日米行政協定(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定)
1952年2月28日署名、1952年4月28日発効
第二十六条
1 この協定の実施に関して相互の協議を必要とするすべての事項に関する日本国と合衆国との間の協議
機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に当つて使用するため必要とされる日本国内の施設又は区域を決定する協議機関として、任務を行う

2 合同委員会は、日本国の代表者一人及び合衆国の代表者一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。合同委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。合同委員会は、日本国又は合衆国のいずれか一方の代表者の要請があるときはいつ
でも直ちに会合することができるように組織する。
3 合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府に更に考慮されるように移すものとする。
 
(新日米安保条約に基づく)
日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)
1960年1月19日署名、1960年6月23日発効
第二十五条
1 この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府と
の間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当つて使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、
任務を行なう。
2 合同委員会は、日本国政府の代表者一人及び合衆国政府の代表者一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。合同委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。合同委員会は、日本国政府又は合衆国政府のいずれか一方の代表者の要請
があるときはいつでも直ちに会合することができるように組織する。
3 合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府にさらに考慮されるように移すものとする。
 
特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウス 2015/12/02 22:41
日米合同委員会議事録情報公開訴訟を提起しました

(抜粋引用開始)
 日米地位協定の下に設置されている日米合同委員会は、日米双方の合意がない限り議事録等を公表しないと取り決められているとされています。また、公表される議事録は公表用に作成されたものであるとも
されています。
 そのため、これまで情報公開請求に対して、公表が合意されていない議事録等が不開示とされているだけでなく、公表されている案件も議事録そのものは不開示、日米合同委員会に係る議事録や資料等をまとめたインデックス、開催実績に関する情報などもすべて不開示となっています。そして、これらの不開示決定に対して、これまでも様々な請求者が不服申立てを行っているが、情報公開・個人情報保護審査会は
一貫して、不開示妥当と答申しています。
 情報公開クリアリングハウスで情報公開したのは、1960年の日米地位協定発効後の日米合同委員会の議事録の一部と、1952年の日米行政協定時代の日米合同委員会の議事録の一部で、いずれも、議事録等を日米双方の合意がない限り公表しないことを確認した部分です。1960年の該当する議事録は、過去に情報公開・個人情報保護審査会で不開示妥当と答申されています。1952年の該当する議事録は、審査会の答申で
過去に言及されているものがありその存在が確認できますが、今回不存在となりました。
(略)
 全部不開示となった1960年議事録のうち、双方の合意がない限り公表しないという趣旨のわかる部分は、正確な文言は確認できないものの、どのような内容が書いてあるのかはすでに公の文書で明らかなものです。しかも日米双方が合意しないと公表しないという合意は、安全保障や外交上の政策そのものとは関係のないことです。このような情報が、外交・安全保障上の支障を理由に全部不開示となることは、明らかに広すぎる非公開範囲です。日米双方で公表に合意していないことを理由に、このような情報を不開示
とするのは、明らかにおかしいと考えています。
 また、1952年の該当議事録は不存在とされていますが、過去の審査会答申でその存在が確認できるもので、ないこと自体が本来はあってはならないものです。外務省に口頭で確認したところでは、廃棄や歴史文書としての移管が行われているわけではないとの説明を受けていますが、公文書管理のあり方として疑
問があります。
 以上のことから、本訴訟の提起に至りました。なお、この訴訟は5名の弁護団が担当しています。

(引用終わり)
 

(番組案内から引用開始)
 NPO情報公開クリアリングハウスは12月2日、日米合同委員会議事録の情報公開訴訟を東京地裁に提起し
た。
 「もともと、1960年の合意部分だけなら、中身もはっきりしているし、安全保障上の支障もないので公開されるだろうと考えて請求したら、全部非公開という扱いになった。そもそも非公開の考え方自体が範囲が広いだけではなくて過剰に安全保障上の支障を主張している可能性がある。」提訴後に記者会見した
NPO三木由紀子理事長はこのように語り、提訴の意義を強調した。
 日米地位協定に基づき設置されている日米合同委員会は、アメリカ側からは在日米軍の副司令官、参謀長クラスが、日本側は外務省の北米局長を筆頭に、財務、法務、防衛、農水などの幹部が一堂に会する会議で、アメリカ軍側の要望を日本政府に伝える場と見られている。特に日本に駐留する米軍関係者に対して刑法、航空法、税法上の特例措置を認める内容を協議する場と考えられてきたが、議事録が一切非公開
とされてきたために、その実態は伏せられてきた。
 会議の内容を非公開とする理由について日本政府はこれまで、日米双方の合意がない限り議事録等を公
表しないと両国間で取り決められていることをあげてきた。
 今回情報公開クリアリングハウスが開示を求めて提訴したものは、これまで1000回を超える会合を繰り返してきたとされる日米合同委員会の議事録のうち、1960年の日米地位協定発効後の日米合同委員会の議事録の一部と、1952年の日米行政協定時代の日米合同委員会の議事録の一部で、いずれも両国政府の合意
がない限り公表しないことを確認したとされる部分。
 三木氏は行政情報の中でも、安全保障や外交に関わる文書は、安全保障上の懸念などを理由に非開示が認められるものが多い。しかし、この会議の議事録を非開示とすることを取り決めた部分を開示しても、
安全保障上の懸念は生じないはずとしている。
 ビデオニュース・ドットコムではこの記者会見の模様をノーカットで放送している。
(引用終わり)
 

(番組案内から引用開始)
 NPO情報公開クリアリングハウスが今週、東京地裁に議事録の情報公開訴訟を起こしたことで、これまで
実態が伏せられてきた日米合同委員会の存在に、あらためて注目が集まっている。
 日本人にも大きな影響を与える米軍の法的地位などを協議する場でありながら、議事録が一切公開され
ないなど裏の存在だった日米合同委員会について、元外務省国際情報局長の孫崎享氏に聞いた。
 孫崎氏は日米合同委員会について、在日米軍に日本の法律をそのまま適用できないために生じる諸問題
を、在日米軍と日本政府の間で「調整」する場だと指摘する。
 「多くの人が、日本を守ってもらうから米軍経費は出さなきゃいけないと誤解しているが、発足当時か
らみると、在日米軍は日本の防衛要請からではなく、どちらかといえばアメリカの世界戦略のために米軍を日本に置いている。(日米合同委員会は)米軍が活動する際に、日本の法律で不都合がないように整合性を調整するのが一番大きな目的だったと思う」と孫崎氏は語る。
 アメリカが世界戦略の一貫として日本に軍隊を駐留させているにもかかわらず、日本ではアメリカ軍は
あくまで日本を守るために来てくれている存在だと見られている。そのため日本における米軍は刑法、航空法、環境法など日本の法律をそのまま適用できない、超法規的な存在となっていると孫崎氏は言う。外交特権を持つわけもない在日米軍の軍人や軍属に対して、日本の施政権の下でいかにしてそのような特権を認め、これを正当化するかについては、あれこれ官僚の知恵を絞る必要がある。そのために日本側の主要な省庁の次官候補となるエリート官僚が米軍と一堂に会する場が日米合同委員会だというのだ。
 孫崎氏によると、かつて日米合同委員会は米軍側からの要求を日本にぶつける場だった。しかし、今日、日米間の関係はより緊密になり、将来の次官候補と目される幹部クラスのエリート官僚がわざわざ出てくるまでもなく、現場レベルの課長などでも日米合同委員会の意図は貫徹されるようになった。そのため今日に至っては日米合同委員会の位置づけは、かつてほど大きなものではなくなっていると孫崎氏は言う

 今日、日本政府の隅々まで日米合同委員会図式が内包されるようになったため、あらたまって日米合同委員会を開催し、その場でエリート官僚たちが米軍側の要望を聞く必要がなくなったと孫崎氏は指摘する

 ジャーナリストの神保哲生が、日米合同委員会の機能と、それが日本の政治、経済、社会にどのような
影響を与えてきたかについて、孫崎氏に聞いた。
孫崎享まごさき うける(元外務省国際情報局長)
1943年満州・鞍山生まれ。1966年東京大学法学部中退。同年外務省入省。駐ウズベキスタン大使、国際情
報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任の後、09年定年退官。著書に『戦後史の正体』、『アメリカに潰された政治家たち』『日米同盟の正体』など。
(引用終わり)
 

(番組案内から引用開始)
 NPO情報公開クリアリングハウスが今週東京地裁に提起した日米合同委員会議事録の情報公開訴訟は、日
本の戦後の政治体制の根幹を問う画期的なものと見るべきだろう。
 日米地位協定の下に設置されている日米合同委員会という、在日米軍の幹部と日本政府の中枢を担う官僚たちの間で定期的に行われている会議の議事録の公開請求はこれまでも何度となく行われてきた。しかし、日本政府は日米双方の合意がない限り議事録等を公表しないと決められていると主張し、ことごとく
これを拒んできた。
 情報公開クリアリングハウスが12月2日に提訴した情報公開訴訟は、議事録全体の公開を求めるのではなく、これまで政府が非開示の根拠としてきた「日米双方の合意がない限り公表しない」ことの根拠となっ
ている議事録部分のみの公開を求めた点に特徴がある。
 具体的には、同NPOが1960年の日米地位協定発効後の日米合同委員会の議事録の一部と、1952年の日米行政協定時代の日米合同委員会の議事録の一部の公開請求を行ったところ、いずれも「日米双方の合意がない限り公表しない」ことが合意されているため、公開が拒否された。そこで、この2つの文書を非開示とした根拠となる、「双方の合意がなければ公開しない」ことを合意した部分の議事録の開示を求めるとい
うもの。
 提訴後に記者会見した同NPOの三木由紀子理事長は、「もともと、1960年の合意部分だけなら、中身もはっきりしているし、安全保障上の支障もないので公開されるだろうと考えて請求したら、全部非公開という扱いになった。そもそも非公開の考え方自体が範囲が広いだけではなくて過剰に安全保障上の支障を主
張している可能性がある。」と語った。
 日米合同委員会とは在日米軍の日本国内における身分を定めた日米地位協定の運用を話し合う在日米軍と日本政府の間の調整機関で、都内の米軍関係者の拠点となっている天現寺のニュー山王ホテル霞が関の外務省で、これまで1000回を超える会合が持たれてきたとされる。アメリカ側は在日米軍司令官が、日本側は外務省北米局長が代表を務め、その下に、在日米軍の陸海空軍および海兵隊の参謀長クラスと、
外務、財務、防衛、法務、農水各省の将来の次官候補と目されるエリート官僚が名を連ねる。
 そこでは在日米軍という世界でも特殊な法的地位を持つ軍人と軍属の法的な身分の調整が話し合われてきたとされる。財務や法務官僚も参加していることから、米軍関係者が事件を起こした場合の刑法の適用の在り方や税金の免除なども話し合われてきたと見られるが、議事録が一切公開されていないため、その
実態は謎に包まれてきた。
 外務省国際情報局長やイラン大使などを歴任しした元外務官僚で「戦後史の正体」「アメリカに潰され
た政治家たち」などの著書のある孫崎享氏は、日米合同委員会についてこう解説する。
 「多くの人が、日本を守ってもらうから米軍経費は出さなきゃいけないと誤解しているが、発足当時か
らみると、在日米軍は日本の防衛要請からではなく、どちらかといえばアメリカの世界戦略のために米軍を日本に置いている。(日米合同委員会は)米軍が活動する際に、日本の法律で不都合がないように整合性を調整するのが一番大きな目的だったと思う。」
 孫崎氏が指摘するように、アメリカが世界戦略の一貫として日本に軍隊を駐留させていることは、ベト
ナム戦争や湾岸戦争イラク戦争に日本から多くの部隊が派遣されていることを見ても明らかだ。しかし、戦後の日本では、アメリカが日本を守ってくれているという一種の神話の上に乗っかり、アメリカの威光を後ろ盾として権力を得ようとする輩が後を絶たない。アメリカの機嫌を損なえば権力の座から転落するなどということが、まことしやかに囁かれるのも、GHQの占領下ならいざ知らず、実際にはアメリカ政府が裏でそのような工作をしているというよりも、日本側にそのような理屈を利用して利権や権力を貪ろうと画策する勢力が政、官、財の中枢に巣くっているところに問題がある。
 しかし、今回の提訴では裁判所としても、単に非公開の根拠となる議事録の部分の公開請求を、従来の「安全保障」や「統治行為論」などを理由に却下することは難しいはずだ。砂川事件判決に代表される、いわゆる「統治行為論」で、法律面から戦後レジームを支えてきた裁判所にとっても、この提訴はアリの
一穴ならぬハチの一刺しとなる可能性を持っていると言えるだろう。
 今回の情報公開訴訟で長らく「一行たりとも公表しない」とされてきた日米合同委員会の議事録が、一部でもその姿を現すかどうかが、日本の戦後レジームの根幹に関わる問題であるかについて、ジャーナリ
ストの神保哲生社会学者の宮台真司が議論した。
(引用終わり)
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)