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「安保法制違憲訴訟の会」による記者会見(12/21)と原告募集のご紹介

 今晩(2015年12月23日)配信した「メルマガ金原No.2313」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「安保法制違憲訴訟の会」による記者会見(12/21)と原告募集のご紹介

 今日は、明後日25日に頼まれている学習会用のレジュメを書いていたので(それにしても、クリスマスに学習会をやろうというのですから、見上げたもの?)、メルマガ(ブログ)を書いている時間がなくなってきて(いつものことですが)、取り上げる必要があると思っていた「安保法制違憲訴訟の会」記者会見(12/21)の模様をとりあえずご紹介しようと思って探しました。
 その結果、探し方がうまくなかったのか、見つかったのはIWJによる中継録画だけでした。
 
 
 ただし、アーカイブ動画は会員限定なので、ダイジェスト版の動画(YouTube)もご紹介しておきます。
 
 
 会見の模様を伝えた報道はかなりありますが、比較的詳しいのは、東京新聞と弁護士ドットコムニュースでしょうか。
 
弁護士ドットコムニュース 2015年12月21日 15時38分
「違憲の安保法制を発動させない」弁護士グループが差し止め求め、国を提訴へ

(引用開始)
 
弁護士で構成される「安保法制違憲訴訟の会」は12月21日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で記者会見を開き、9月に国会で成立した安全保障法制が違憲・無効だとして、集団的自衛権行使の差し止めや、国家賠償を求める裁判を起こすことを発表した。
 同会は、高等裁判所がある8つの都市の地方裁判所に差し止め訴訟と国家賠償請求訴訟を起こすほか、その他の各地裁にも国賠請求訴訟を起こす予定。各地の訴訟を担当する代理人として、約300人の弁護士が名乗りをあげているという。
 「違憲訴訟の会」の共同代表は、伊藤真、内田雅敏、黒岩哲彦、杉浦ひとみ、田村洋三、角田由紀子、寺井一弘、福田護、堀野紀の各弁護士。今後、安保法制に反対する国民が原告となる形で、訴訟の準備を進めていく。
●「訴訟のゴールは、立憲主義国民主権の回復」
 訴訟では、安保法制の中で、特に違憲性が顕著な活動として、
(1)集団的自衛権の行使(存立危機事態における防衛出動)
(2)重要影響事態における後方支援活動
(3)国際平和共同対処事態における協力支援活動
の3点を中心に、差し止めを求める。
 このほか、国家賠償請求として、安保法制の制定によって平和的生存権や人格権などが侵害されたとして、精神的損害に対する慰謝料を求める。
 共同代表の伊藤真弁護士は「この訴訟のゴールは、立憲主義国民主権の回復だと考えている。そのためには、この違憲の安保法制を発動させず、廃止することが必要だ」と意義を強調。「憲法を守ることが、国会議員の最大のコンプライアンス法令遵守)だ。その当たり前のことを、この国に根付かせなければならない」と訴えた。
 「安保法制違憲訴訟の会」によると、今回の裁判の原告としては、戦争被害者や体験者、基地や原発の周辺住民などをはじめ、広く国民に参加してもらうことを想定しているという。申し立て費用や弁護士費用の負担を無償として、気軽に参加できるようにする予定だ。
 元裁判官の田村洋三弁護士は会見で、「戦前も、誰もが民主主義を目指していたはずだ。ただそれが、どこかで曲がり角があって、軍部独裁になっていった。そのとき、当時の国民が、マスコミが、議員が声をあげていれば、歴史は違った流れになっていたかもしれない。いま、日本がその曲がり角にいるのではないかという危機感がある」として、裁判への参加を呼びかけた。
(引用終わり)
 
東京新聞 2015年12月22日 朝刊
安保法「違憲」集団提訴へ 人格権侵害などを主張 弁護士ら来春に

(抜粋引用開始)
 違憲訴訟の会は九月に結成され、提訴の準備を進めてきた。現在のメンバーは約三百人で、裁判官出身の弁護士もいる。この日、共同代表の伊藤真弁護士らが東京都内で会見し、今後、原告の募集や、安保関連法に反対する憲法学者との連携も進める方針を示した。
 訴訟では、安保関連法の制定により憲法で保障された平和的生存権を侵害されたと訴えるほか、他国からの攻撃やテロの危険性が高まるため人格権を侵害されると主張する。各地で弁護団を結成し、東京、大阪、名古屋など高裁のある全国八地裁には、差し止め訴訟と賠償請求訴訟を起こすという。
(略)
 安保関連法が今年九月に成立して以降、東京地裁では少なくとも五件の無効確認などを求める訴訟が起こされたが、「具体的な権利侵害がない」などと、原告の訴えを却下する門前払いの判決が相次いでいる。
 共同代表で元名古屋高裁裁判長の田村洋三弁護士は「私たちが起こす裁判は、権利が侵害されたことを前提に差し止めなどを求めるもので、これまでの裁判とは訴える内容が違う。司法が判断できるし、すべき事項だ」と強調した。
(引用終わり)
 
 そもそも、「安保法制違憲訴訟の会」の公式ホームページすら、まだ出来ていないのか、あるいは出来たばかりで検索しても上位にこないのか、いずれにしても見当たりませんでした。
 唯一、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」のホームページに、「安保法制違憲訴訟の原告に加わりませんか?」という、当然公式サイトに載っているべき記事が、間借りして(?)掲載されていました。
 
安保法制違憲訴訟の原告に加わりませんか?
(引用開始)
安保法制の強行成立に心を痛めておられる市民の皆様に
安保法制違憲訴訟の原告に加わりませんか
 
 2015年9月19日は、多くの市民にとって決して忘れることのできない日となりました。安保法制のこの上ない強引な国会採決を目の当たりにして驚きと怒りを覚えました。今でも怒りがふつふつとわいてきます。
 
 わたしたちは、立憲主義をしっかりと守り、憲法をまもりぬくという強い思いから、安保法制による自衛隊の出動などに対する「差止訴訟」と平和的生存権と人格権侵害などに対して「国家賠償請求訴訟」を提起しようと、「安保法制違憲訴訟の会」を立ち上げました。わたしたちは、これまでいろいろ異なった生き方や活動をしてきました。弁護士会の内外で、立憲主義憲法をまもる活動を理論的に追求し、実際の運動をしてきた者、行政訴訟を専門に扱ってきた者、戦争被害者を支援する弁護団活動をしてきた者や、この違憲訴訟構想に賛同した複数の元裁判官などが集まっています。
 わたしたちは採決の強行(そもそも「採決」自体が存在したのかという問題点もあります)が行われる前後から、内閣や国会の行動が憲法上許されるべきではない、もしこれを司法が黙って見過ごすようなことがあっては、司法はその役割を放棄することになってしまうと心配していました。三権分立の原則の下で、司法は立法・行政に対する監視、抑制機能をなっているからです。
 今こそ、立憲主義をまもり、平和主義、国民主権、人権尊重という憲法がうたう価値を擁護するという一点で共同して違憲訴訟を提起することが求められているとの思いを強くしています。多くの市民の皆さんからの訴訟を超すことへの強い期待と希望が日々寄せられていることを実感しております。私たちは、法律家としてこの期待と希望にしっかりと答える義務を負っていると考えております。さらに、この訴訟は、戦争体験者、戦争被害者、国際NGO活動に取り組んでいる人々、基地被害に苦しんでいる人々、これからの社会を憂える市井の人々、二度と戦争加害者にならないことを願っている人々、これからも声を上げ続けようとの決意を行動で表している若者たちに勇気を与えるとわたしたちは考えています。
 
 「差止訴訟」と「国家賠償請求訴訟」には裁判上のさまざまな課題があるところですが、全国各地の有志の方々と共に訴訟提起に向けて全力を尽くしていきたいと考えております。
 
☆原告になるご負担は日本国憲法を守る以外にはありません。
☆申し立て費用、弁護士費用は無償弁護活動や賛同者のカンパ等によりまかないますので不要です。若干の手続のための費用と手数だけです。お送りくださった方にはこちらから詳細をご連絡します。
☆原告になるご回答をいただいた方にはこちらから詳細をご連絡します。
 
2015年12月21日
 
[安保法制違憲訴訟の会・共同代表(50音順)]
伊藤真(法学館憲法研究所所長)
内田雅敏(戦争をさせない1000人委員会事務局長)
黒岩哲彦(東京弁護士会元副会長)
杉浦ひとみ(コスタリカに学ぶ会事務局長)
田村洋三(名古屋高等裁判所元裁判官)
角田由紀子(一票で変える女たちの会呼びかけ人(
寺井一弘(日本弁護士連合会元事務総長)
福田 護(厚木基地訴訟副弁護団長)
堀野紀(日本弁護士連合会元副会長)

【事務局】 安保法制違憲訴訟の会
東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル2階
電話 03-3780-1260 FAX 03-3780-1287
 
原告になってもいいとお考えの方
下記に記入し、FAXしてください。(メール、郵送でも結構です)
 
 申し立て費用、弁護士費用は無償弁護活動や賛同者のカンパ等によりまかないますので不要です。
 若干の手続のための費用だけです。
 お送りくださった方にはこちらから詳細をご連絡します。
 
FAX 03-3780-1287
メールアドレス
 
iken.soshou@gmail.com
郵送 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル2階 安保法制違憲訴訟の会
 
丸をつけてください
(  )原告になります
ご住所
お名前
連絡先
 電話
 FAX
 メールアドレス
原告になるあなたの声を!
 
※御提供いただいた個人情報は厳重に管理し,安保法制違憲訴訟の活動以外には使用いたしません。
(引用終わり)
 
 なお、原告募集のリーフレットも同ページからリンクされていました。
 上記の呼びかけ文を引用するにあたり、共同代表の肩書きをリーフレットから補充するとともに、原告応募の方法を記載した部分は、リーフレットの記載を基本にしたハイブリッド版にしました。
 
 また、リーフレットにしか記載されていない部分を以下に引用します。大急ぎで作ったのか、もう少し推敲の余地はありそうですが、記者会見までに間に合わす方が優先ですからね。
 
(引用開始)
あらためて安保法制って何ですか?
 安保法制は、新法+既存の法律の変更が併せて11の法律にかかわる立法です。この中に、憲法9条に違反するといわれる集団的自衛権行使を認める法律や「武力と一体になる行動」だから憲法9条に反するとされてきたような後方支援活動(政府は法律上、劣化ウラン弾も、核ミサイルも運べると答弁)を認めた法律などが入っています。
 
どう憲法に違反しているんですか?
 集団的自衛権憲法9条に違反しています。
 集団的自衛権行使は日本が攻撃されていないのに、他国を攻撃することができるものです。これは交戦権を持たないという9条2項に違反しますし、集団的自衛権の行使が憲法に違反することは歴代内閣の一貫した見解でした。衆議院憲法審査会で3人の憲法学者が「集団的自衛権の行使が許されるとした点は憲法違反」としたとおりです。
 
この違憲訴訟ってどんな裁判ですか?
 裁判所は、憲法81条の違憲立法審査権を使えるのだから、「安保法制は憲法違反だ」と判断してもらえばいいんじゃない、と思いますよね。
 でも、日本の従来の裁判ではこのような法律自体の憲法判断はできず具体的な権利の侵害が起こること(「事件性」)が必要とされています。
 たとえば、安保法制によって自衛隊の出動命令が出されたが、その命令に従わない自衛隊員がうけた減給の処分を「その処分は違法だ」と争うような場合がわかりやすい例です。
 でも、今回も権利の侵害が起きているということが明らかですので、私たちは二つの形の裁判を起こすことにしました。
① 安保法制にもとづく自衛隊の出動を許さないとする差し止めを求める訴訟(差し止め訴訟といいます)
② 安保法制によって平和的生存権が侵害されることによって、精神的に傷ついたのでその損害を賠償してほしいと請求する国家賠償訴訟(「国倍訴訟」と略します)
の二つです。
 
違憲訴訟の原告になりませんか
 市民の方々は当然に違憲訴訟の原告になつことができます。
 安保法制が成立して、私たちは自分の権利が侵害されました。侵害された権利はそれぞれが違うかもしれません。
 たとえば平和的生存権が侵害されます。
 平和な中で心穏やかに生活していたことが侵害されます。自分や家族が戦争に行くのではと不安です。戦争の被害を受けることも、他国の人たちを傷つけることも耐えられません。
 戦争で被害を受けた方たちの苦しみが、戦後70年たっても癒されていないことを知るとき、絶対に引き起こしてはいけないことだと心から思っております。
 また、安保法制の下では必ず表現や報道の統制が行われ、自由な考え方や意見交換さえ侵害されます。その危険は既に感じられていることと思います。
 あなたは、どんな権利がどんなふうに侵害されましたか?
 ご一緒に声を上げ、ともに立ち上がりませんか

(引用終わり)
 
 ところで、「安保法制違憲訴訟の会」では、
① 全国8箇所の高裁所在地の地方裁判所に差し止め訴訟を提起する(法律施行後)。
② 全国の地方裁判所に、準備できたところから順次国賠償を提起する。
という方針だということですが、「あなたも原告に加わりませんか」という呼びかけに応えて申し出てくれた方は、どの訴訟の原告になるのでしょうかね?個別に弁護団事務局と相談することになるのでしょうか?
 いずれにせよ、安保法制違憲訴訟につては、当面、「続く」(不定期連載)になることは間違いありません。
 

(忘れないために)
 「自由と平和のための京大有志の会」による「あしたのための声明書」(2015年9月19日)を、「忘れないために」しばらくメルマガ(ブログ)の末尾に掲載することにしました。
 
(引用開始)
  あしたのための声明書
 
わたしたちは、忘れない。
人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。
戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。
強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。
 
わたしたちは、忘れない。
マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。
権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。
居眠りに耽る議員たちの弛緩を。
 
わたしたちは、忘れない。
声を上げた若者たちの美しさを。
街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。
内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。
 
わたしたちは、忘れない。
戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。
路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。
聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。
 
きょうは、はじまりの日。
憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。
賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。
人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。
自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。
 
わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。
 
     自由と平和のための京大有志の会
(引用終わり)