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NHK「戦後史証言PROJECT 日本人は何をめざしてきたのか」最終4作品放映予定とアーカイブスのご紹介

 今晩(2016年1月12日)配信した「メルマガ金原No.2333」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
NHK「戦後史証言PROJECT 日本人は何をめざしてきたのか」最終4作品放映予定とアーカイブスのご紹介

 NHKに対して言いたいことは山のようにあるものの、いまだに受信料を払い続けている人も少なくな
いことと思います。かくいう私もその1人なのですが。
 受信料を自動引落としやクレジット払い契約にしていたり、ケーブルテレビ契約とセットで払うことにしているので、支払いを止めるための手続きが面倒だという人もいるでしょうが、NHKが提供する番組の中には、視聴料を払うだけの価値があるものもあるので、受信契約解除に踏み切れないということもあ
るかと思います。
 私の場合、事務手続の面倒さが主なのか、番組に対する評価が主なのか、自分でもにわかに判断をつけかねますが、いまだにNHKとの契約を続けながら、ETV特集やNHKスペシャルを(いつもという訳ではありませんが)見ています。もっとも、ニュースやドラマは全く見ませんけどね。
 
 ところで、今日ご紹介しようというのは、ETV特集でもNHKスペシャルでもありません。2013年から3年がかりで放映してきた戦後史証言PROJECT「日本人は何をめざしてきたのか」の2015年度「未来への選択」の後半4本が、通常はETV特集を放送する枠で今月放送されているのです。そのうち、「第5回 教育 “知識”か“考える力”か」は既に本放送は終了しましたが、まだ再放送が視聴できますので、プロジェクトの概要と併せ、これから視聴できる4本全部の放送予定をご紹介しておきます。
 
戦後史証言PROJECT 日本人は何をめざしてきたのか プロジェクト概要
(引用開始)
 2015年、日本は戦後70年を迎える。「戦後日本」は、今大きな試練の中にある。震災・原発事故からの復興、低迷が続く経済、領土問題などで混迷する外交…。私たちは、戦後何をめざしてきたのだろうか―

 政財界から一般市民まで、新たな証言を記録し、廃墟から立ち上がった日本人の姿を描く大型プロジェ
クト「戦後史証言プロジェクト」が2013年7月にスタート。
 Eテレの大型シリーズ「日本人は何をめざしてきたのか」を3年にわたって放送するほか、取材で得た貴
重な証言を「戦後史証言アーカイブス」としてウェブでも公開、未来への遺産としていく。
貴重な証言をネット上に公開「戦後史証言アーカイブス」
 インターネット上での「戦後史証言アーカイブス」を今年度後半以降に開設予定。番組取材にご協力い
ただいた政治家、財界人、一般市民にいたる証言を、未放送の部分も含めて、ネット上で誰もがいつでも視聴できるようにする。戦後日本を築いてきた方々の高齢化が進むなか、その貴重な体験を未来に伝える
ための取り組み。2009年からNHKが公開している「戦争証言アーカイブス」の方法を継承していく。
(引用終わり)
 
【2015年度「未来への選択」】
(引用開始)
第5回 教育 “知識”か“考える力”か
Eテレ2016年1月9日(土)午後11時~翌0時30分
Eテレ【再放送】2016年1月16日(土)午前0時~午前1時30分(金曜深夜)
 GHQの下スタートした戦後日本の民主主義教育。中学が新たに義務教育になった。三重県尾鷲の中
学教師、内山太門さん(95)は、「それまで中学に行く人は微々たるものだったから活気づいた」と語る。全国で地方独自のカリキュラムが模索され、山形の「山びこ学校」で生活綴り方を進めた無着成恭さん(87)は語る。「子どもたちが作文を通して、自分たちの身近な問題を真剣に考えるようになった」

 国民の教育水準を飛躍的に向上させ、高度成長をひた走った日本。尾鷲中でも、「金の卵」を育てようと、職業教育に注力する。その一方、“落ちこぼれ”や“無気力”など問題が発生し、“詰め込み教育
が自ら考える力をつぶしているとの批判が生じ、尾鷲中学では、校内暴力事件がおこった。
 1980年代以降、国も“詰め込み教育”からの脱却を模索。中曽根政権下の臨教審提言を受けた文部省は、“ゆとり教育”へと転換。「総合的な学習の時間」を創設し、教える内容は3割削減する方針を打ち出す。しかし、学力や国際競争力の低下を危惧する声が高まった。2002年、文科省は「確かな学力」を向上させる「学びのすすめ」を発表。文部科学事務次官だった小野元之さんは語る。「このままでは日本が危な
い。文科省は学力を軽視しません」。2011年から、再び学習内容拡大へと舵を切り直した。
 その間、日本の公教育予算の対GDP比はさがり、現在OECD参加国の中で最低レベルに。また、子供をとりまく経済環境も深刻化している。問題に取り組むNPO代表の青砥恭は調査を行った結果、「親の経済的な差
がそのまま学力の差につながっている」という。
 あまねく平等な教育を、と始まった戦後教育。その変遷を、文部官僚、教師などの証言をもとにたどって
いく。
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第6回 障害者福祉 共に暮らせる社会を求めて
Eテレ2016年1月16日(土)午後11時~翌0時30分
Eテレ【再放送】2016年1月23日(土)午前0時~午前1時30分(金曜深夜)
 
戦後、日本は、障害のある人たちとどう向き合ってきたのか。
 戦時中「米食い虫」「非国民」と呼ばれ抑圧されていた障害者。戦後、困窮する傷痍軍人への対策をき
っかけに初めて公的な障害者福祉の制度が生まれた。1960年代、重度の障害がある子どもの親たちの訴えがきっかけで、国や自治体は「コロニー」と呼ばれる大規模な施設の建設を推進。障害者施設を充実させ
ていった。
 ところが1970年代、障害者たちは、閉鎖的で自由のない施設での生活に不満を訴え始めた。都立施設に入所していた三井絹子さんは「施設は社会のゴミ捨て場だ」と、都庁前にテントを貼り座り込んで抗議。
 そうした動きを後押ししたのが1981年、国連の「国際障害者年」。障害者も他の人と同じように地域で暮らすべきだという「ノーマライゼーション」の思想が流入、国の政策も施設から地域へと移り変わっていく。元厚生省障害福祉課長の浅野史郎さんは、「これからは地域福祉だ」と制度作りに邁進。宮城県知事に転身後は、知的障害者施設の“解体宣言”を公表した。
 今年4月、「障害者差別解消法」が施行される。障害による差別をなくすため自治体や企業、一人一人の意識改革が求められる。高齢化が進み、誰もが病気や障害と無縁でなくなりつつある今、戦後の障害者政策を当事者や政策立案に関わった人たちの証言をもとにたどり、障害のある人もない人も共に暮らせる社
会へのヒントを探る。
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第7回 難民・外国人労働者 異国の民をどう受け入れてきたのか
Eテレ2016年1月23日(土)午後11時~翌0時30分
Eテレ【再放送】2016年1月30日(土)午前0時~午前1時30分(金曜深夜)
 難民問題に世界が揺れる今、日本にはおよそ200万人の外国人が暮らしている。私たち日本人は“外国人
”とどのように向き合ってきたのか。
 戦後、外国人政策は、朝鮮半島や台湾など旧植民地出身者への対応から始まった。1970年代、“第二の黒船”と呼ばれたインドシナ難民を受け入れ、90年代には、自動車産業を下支えした日系ブラジル・ペルー人へ門戸が開放される。そして、いま、外国人の技能実習制度やシリア難民など多くの課題を抱えている。国際的な要請、経済界の動向…時代の波に翻弄されながら、日本は、外国人との“共生”の道をどのように模索したのか。入管行政一筋の元法務省官僚・黒木忠正さん、坂中英徳さん、在日コリアン指紋押捺を拒否した李相鎬(イ・サンホ)さん、日系ブラジル・ペルー人が集住する保見団地(愛知県)など
多角的な証言で外国人政策の戦後を見つめる。
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第8回 エネルギー消費社会 新たなエネルギーを求めて
Eテレ2016年1月30日(土)午後11時~翌0時30分
Eテレ【再放送】2016年2月6日(土)午前0時~午前1時30分(金曜深夜)
 石炭から石油へ、化石燃料の確保に力を入れ、エネルギー消費社会となった戦後日本。1973年の石油危
機は、大きな見直しを迫った。エネルギーの多元化を目指し、原発の誘致を進め、再生可能エネルギーの開発「サンシャイン計画」に着手。計画を進めた通産省堺屋太一さん、太陽熱発電の実験プラントを誘致した香川県仁尾町の人々、太陽光発電の技術開発に取り組んだ京セラの稲盛和夫さんの証言をもとに追
う。
 90年代になると、新エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る制度が始まる。岩手県葛巻町や北海道の生協では、風力発電を始める。また、地球温暖化が進む中で、大量消費のライフスタイルを見直す
消費者も現れた。
 その頃、ドイツでは電気を全量買い取ることを電力会社に義務づけ、新エネルギーが一気に拡大。日本では元環境庁長官の愛知和男さんらがドイツ方式を日本に導入しようと立法するが、買い取り義務は一定
枠と制限された。次第に日本企業は太陽光発電市場から後退し、風力発電も伸び悩んでいく。
 そして、2011年の東日本大震災福島県では2040年までに再生可能エネルギー100%を掲げ、会津電力など地域密着型の発電事業が進んでいる。政府は全量買い取り制度に大きく舵を切り、2030年までに総発電
量に占める再生可能エネルギーの割合を、原子力発電より多い20%強にする目標を掲げた。
 私たちは新たなエネルギーを求め、どう歩んできたのか、戦後史の中で見つめる。
(引用終わり)
 
 1月中に放送される上記4本で、とりあえずこのプロジェクトは完結ということのようです。
 毎年8本ずつの計24本の内、以下に、これまで放送された20作品のタイトルのみご紹介しておきます。なお、タイトル名の下に番組アーカイブという表記のある番組は、公式サイトで番組自体が公開されており、誰でも無料で視聴できます。
 
 
【2013年度「地方から見た戦後」】
 
2013年7月6日(土)午後11時~翌0時30分
第1回 沖縄 ~“焦土の島”から“基地の島”へ~
番組アーカイブ
 
2013年7月13日(土)午後11時~翌0時30分
第2回 水俣 ~戦後復興から公害へ~
番組アーカイブ
 
2013年7月20日(土)午後11時~翌0時
第3回 釧路湿原・鶴居村 ~開拓の村から国立公園へ~
番組アーカイブ
 
2013年7月27日(土)午後11時~翌0時30分
第4回 猪飼野 ~在日コリアンの軌跡~
番組アーカイブ
 
2014年1月4日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年1月11日(土)午前0時45分~午前2時15分(金曜深夜)
第5回「福島・浜通り 原発と生きた町」
番組アーカイブ
 
2014年1月11日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年1月18日(土)午前0時45分~午前2時15分(金曜深夜)
第6回「三陸・田老 大津波と“万里の長城”」
番組アーカイブ
 
2014年1月18日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年1月25日(土)午前0時45分~午前2時15分(金曜深夜)
第7回「下北半島 浜は核燃に揺れた」
番組アーカイブ
 
2014年1月25日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年2月1日(土)午前0時45分~午前2時15分(金曜深夜)
第8回「山形・高畠 日本一の米作りをめざして」
番組アーカイブ
 
【2014年度「知の巨人たち」】
 
2014年7月5日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年7月12日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第1回 原子力 科学者は発言する~湯川秀樹武谷三男
番組アーカイブ
 
2014年7月12日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年7月19日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第2回 ひとびとの哲学を見つめて~鶴見俊輔と「思想の科学」~
番組アーカイブ
 
2014年7月19日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年7月26日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第3回 民主主義を求めて~政治学者 丸山眞男
番組アーカイブ
 
2014年7月26日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2014年8月2日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第4回 二十二歳の自分への手紙~司馬遼太郎
 
2015年1月10日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年1月17日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第5回 吉本隆明
番組アーカイブ
 
2015年1月17日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年1月24日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第6回 石牟礼道子
 
2015年1月24日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年1月31日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第7回 三島由紀夫
 
2015年1月31日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年2月7日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第8回 手塚治虫
番組アーカイブ
 
【2015年度「未来への選択」】

2015年7月4日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年7月11日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第1回 高齢化社会 医療はどう向き合ってきたのか
番組アーカイブ
 
2015年7月11日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年7月18日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第2回 男女共同参画社会 女たちは平等をめざす
 
2015年7月18日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年7月25日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第3回 公害先進国から環境保護へ
 
2015年7月25日(土)午後11時~翌0時30分
【再放送】2015年8月1日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜)
第4回 格差と貧困 豊かさを求めた果てに
番組アーカイブ
 
 冒頭で引用した「プロジェクトの概要」でも書かれていましたが、「戦後史証言アーカイブス」が開設
され、「日本人は何をめざしてきたのか」で放映された番組の他、番組取材の過程で収録されたインタビュー、それに関連ニュース映像などが無料で公開されています。
 
 
 個々の番組やインタビューなどの価値については、それぞれ評価が別れるのは当然ですが、このようなコンテンツが、誰でも視聴できるように公開されていること自体は評価すべきだろうと思います。
 そして、このような活動を支えているのも私たちが支払う受信料なのですが、これらの番組と受信料を支払うか
どうかとはまた別の問題であることは言うまでもありません。
 ・・・それは重々認識しながら、悪しざまにNHKを罵る言説に違和感を覚えることもまた事実であるというのが、とりあえずの私の思いである訳です。