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国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会)

 今晩(2016年2月5日)配信した「メルマガ金原No.2357」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会

 昨年5月15日、安保関連2法案が内閣から衆議院に提出され、安保法制特別委員会(衆議院は「平和安全特別委員会」と略称)で本格的審議が始まった当初、各野党は党首級が質疑に立ってその意気込みを示しましたが、とりわけ多くの人を感嘆させたのは、5月27日と翌28日の両日に行われた志位和夫日本共産党委員長による質疑でした。
 私は、志位委員長による質疑が素晴らしかったポイントは、その周到な事前調査と分析、及び限られた時間の中で最大の効果を発揮させるための徹底した論点の絞り込みであったと思っています。

 2日間で結局何が取り上げられたかというと、
(1)重要影響事態法案における後方支援が、軍事的、国際的には兵站そのもの、武力行使と不可分一体のものであること。
(2)重要影響事態での後方支援、国際平和共同事態での協力支援、国際平和協力法に基づく拡大された業務のいずれにあっても、従来とは比較にならない危険な現場に自衛隊を投入し、自衛隊員に「殺し、殺される」任務を押しつけることになること。
(3)存立危機事態について、米国からの出兵要請を日本政府が自立的な判断に基づいて拒否することなど到底想定できず、結果として、自衛隊員を“米国の戦争”の尖兵として差し出すことになることが予想されること。
という、3つの論点に絞り込んで政府を追及したのでした。

 あまりに感心した私は、「志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く」と題して、2日間の質疑と安倍首相ら政府側の答弁に注釈を加えるというシリーズを、メルマガ(ブログ)に6回にわたって連載したほどです。興味のある方は、私の第2ブログに、この連載の全てにリンクをはった「まとめ」記事をアップしてありますので、ご参照ください。
 
(あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ2)から)
2015年6月6日
志位和夫日本共産党委員長による安保法制特別委員会質疑(まとめ)
 
 さて、本年1月4日に召集された第190回常会でも、志位和夫日本共産党委員長は、代表質問(1月27日)だけではなく、昨日(2月4日)の予算委員会にも登場し、安倍首相らを厳しく追及しました。
 「続・志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く」を連載するだけの用意はまだ出来ていませんが、とりあえずその代表質問と予算委員会での質疑の動画を日本共産党の公式YouTubeチャンネルからご紹介するとともに、その内容を報じた「しんぶん赤旗」にリンクしておきます。
 
2016年1月27日 衆議院本会議 志位和夫日本共産党委員長による代表質問(44分)

 
しんぶん赤旗 2016年1月28日
志位委員長の代表質問 衆院本会議

小見出しを引用開始)
安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復を求める
スーダンPKOに派兵されている自衛隊の任務拡大の危険
過激武装組織ISに対する軍事作戦に自衛隊が参加する危険
立憲主義の破壊――沖縄に対する憲法無視の暴圧
暮らしと経済――「アベノミクス」の破綻と、日本共産党の提案
アベノミクス」の3年間の検証と真摯な反省を
「貧困大国」からの脱却を、しっかりと政策目標にすえる
貧困と格差をただし、暮らし最優先で日本経済再生をはかる四つの提案
「緊急事態条項」の問題点――あらゆる解釈・明文改憲に反対する
(引用終わり)
 
2016年2月4日 衆議院予算委員会 志位和夫日本共産党委員長による質疑(1時間38分)
 
 
 とりわけ注目されるのは、南スーダンにPKO要員として派遣されている自衛隊の置かれている現状認識を問い、その任務拡大による一層の危険について追及する質疑にあたり、伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授)の年来の主張を踏まえていることです。
 例えば、1月27日の代表質問における南スーダン関連の質問は以下のように展開されます。
 
(引用開始)
 安保法制=戦争法は、日本にきわめて重大な危険をつくりだしています。
 第一は、日本の自衛隊が、戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれているということです。私は、差し迫った重大な危険として、二つの問題について総理の見解を問うものです。
 一つは、アフリカの南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊の任務が拡大されようとしていることです。
 改定されたPKO法は、PKOに参加する自衛隊に「安全確保業務」「駆け付け警護」という二つの任務を新たにできるようにするとともに、任務遂行のための武器使用もできるようにしています。総理、南スーダンに派兵されている自衛隊に、こうした任務の追加を行うことを検討しているのですか。
 仮にこうした任務拡大となれば、きわめて危険な事態となることを強く警告しなければなりません。2013年12月以来、南スーダンでは、大統領派と副大統領派の武力衝突が起こり、住民を巻き込んでの激しい内戦状態に陥っているからです。数千人が殺害され、240万人が家を追われ、虐殺、レイプ、拷問などの残虐行為が行われ、多数の子どもが少年兵としてたたかうことを強制されています。複数回、停戦が合意されたものの、そのたびに戦闘が再開され、昨年8月下旬の和平合意後も、戦闘が続いています。
 こうした状況下で、南スーダンのPKOの主要な任務は、「住民保護」とされ、そのために「必要なあらゆる措置をとる権限」――武力行使の権限が与えられています。「住民保護」のために、PKO自らが交戦主体――戦争の主体となって武装勢力とたたかう。これが南スーダンのPKOの実態なのです。
 総理、南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますか。南スーダンでは、停戦合意をはじめとする「PKO参加5原則」が崩壊し、自衛隊の派兵の法的前提がなくなっているではありませんか。にもかかわらず自衛隊の派兵を続け、その任務を拡大するならば、自衛隊が武力を行使し、武装勢力とたたかうことになるではありませんか。武装勢力といっても軍隊と民間人の区別はつきません。自衛隊が一たび、少年兵や民間人を撃ってしまったら、取り返しがつきません。
 このような活動は、海外での武力行使を禁止した憲法9条のもとでは絶対に許されないと考えますが、いかがですか。日本の貢献は、憲法9条にたった非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきです。総理の答弁を求めます。
(引用終わり)
 
 そして、2月4日の予算委員会審議では、さらに詳細にわたって質疑がなされています。YouTubeで6分~56分の部分ですが、南スーダン情勢を中心とする国連PKO変質の問題にこれだけの時間が国会審議に割かれたのは、おそらく初めてのことでしょう。
 伊勢﨑賢治さんが、FB憲法九条の会に投稿(予算委員会質疑の前でしたが)された以下の言葉を最後に引用し、さらにこの問題に関する議論が深まることを期待しましょう。
 
衆院本会議の代表質問で、共産党の志位委員長に、自衛隊が南スーダンで既に「交戦主体」になっている現実を言及していただきました。ぜひ、これを機に、戦時国際法・国際人道法で定義される「交戦主体」が、安全保障と自衛隊政策で論議される語彙のコアになるように。」 
 

(付録)
『世界』 作詞・作曲:ヒポポ田 演奏:ヒポポフォークゲリラ