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安保法制(戦争法)廃止を目指す学習会で語りたいこと~2016年2月ヴァージョン

 今晩(2016年2月12日)配信した「メルマガ金原No.2364」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安保法制(戦争法)廃止を目指す学習会で語りたいこと~2016年2月ヴァージョン

 私は、1週間後の2月20日(土)、1954年生まれの私の親の世代にとっては新婚旅行のメッカの1つであったと聞く、温泉で名高い和歌山県西牟婁郡白浜町を訪れることになっています。
 ただし、今、白浜といえば、何と言っても「日本で一番たくさんパンダが生活している町」ということで有名です(もしかしたら、中国以外では「世界一」かもしれない)。
 何しろ、白浜のアドベンチャーワールド(中国成都ジャイアントパンダ繁育研究基地の日本支部という位置付け)では、次々とパンダの子どもが生まれ、元気に成長した子どもたちはやがて本籍地の中国へ引き取られて行く(アドベンチャーワールドでは「中国へ旅立つ」と言うようです)ものですから、和歌山の住民でも、父親の永明(えいめい)と白浜生まれの母親・良浜(らうひん)以外に、今何頭の子どもが白浜で生活しているのか、とっさに正確な数を答えられる人はそう多くないのではと思います(少なくとも、私は知りません)。
 興味のある方は白浜アドベンチャーワールド公式サイトの中の「パンダ紹介」コーナーに目を通して数えてみてください。
 また、白浜パンダの家系図(私などとても頭に入っていません)を作った人が何人かおり、「Fragrance For Seasons」というサイトに掲載された「和歌山アドベンチャーワールドのパンダ家系図がオモシロイと話題に!」というページが分かりやすくてお奨めです。
 
もっとも、私はパンダに会うために白浜に行くわけではなく、「戦争法を廃止するために今すべきことは・・・」と題した学習会でお話するために行くのですが。
 主催は「「戦争法」に反対する退職教職員の会」というところですが、事務局の方に確認したところ、退職教職員でなくてもどなたでも参加歓迎ということでしたので、メルマガ(ブログ)でご紹介することとしました。
 以下に、チラシ記載情報を転記します。
 
チラシから引用開始)
戦争法を廃止するために今すべきことは・・・
 
日時:2016年2月20日(土)13:30~15:00
場所:白浜町立児童館(2F大ホール)※白浜しらとり体育館隣
    和歌山県西牟婁郡白浜町十九渕237 電話:0739-45-2117
 
※駐車場は河川敷になります。
演題:「戦争法」を廃止するために、今すべきことは・・・
講師:金原徹雄氏(弁護士)
 
 まだ、退職教職員の会の賛同人になられていない方も、この機会にぜひなって頂くようご協力をお願いいたします。
 
 退職教職員の会でも、2,000万人署名に取り組んだり、19日の街頭宣伝に参加したりと「戦争法」廃止のために活動を進めています。
 
 「戦争法」のどこが問題なのか。これから、どのような活動を進めていったらいいのか、など具体的なお話を聞くことができます。また、日頃疑問に思っていることなどもお尋ねすることもできます。
 どなたでもご参加いただけます。お誘い合わせ、大勢のご参加をお待ちしています。
 
主催:「戦争法」に反対する退職教職員の会
お問い合わせ:教育会館内 電話:0739-24-1622 事務局代表:北條哲生(090-3710-3049)
(引用終わり)
 
 既に主催者にメールで送ったレジュメは、39字×43行×8頁という大部なものですが、そんな「大作」を短時間で書けるはずはなく、これまでの学習会で使用したレジュメやスピーチ用原稿、それに議案書などから抜き出してコラージュ(コピペ)し、必要な修正を加えたものに過ぎません。
 それでも、2016年2月時点の状況を踏まえ、学習会の講師を頼まれた私が何をお話しようと考えているのかということを、備忘録代わりに書き留めておこうと思います。
 以下にレジュメそのものを掲載しようかとも思ったのですが(それが一番楽なので)、まだ学習会をやっていないので、さすがにそれは遠慮し(終わったらアップするかもしれません)、各項目について、私が何をお話しようと考えているか(何を聴いて戴きたいと考えているか、と言い換えることも可能です)の要点を書いてみました。
 20日の学習会の「予告編」とも言えますが、これから学習会を企画しようとする方の参考に少しでもなればと思います。
 なお、以下に「説明します」とか「お話します」とか書いていること全部を話すだけの時間は多分ありません。ただし、学習会に参加された方に配布予定のレジュメ(全8ページ)には、「語りたいこと」の概略を書いていますので、是非お誘い合わせの上ご参加ください。
 

       学習会「戦争法を廃止するために今すべきことは・・・」(2016年2月)
                             で 語 り た い こ と
 
                                 弁護士 金 原 徹 雄
 
第1 「安全保障関連法制」(戦争法)とは何か?
1 成立した法律は2つだけ
 いわゆる「安全保障関連法制」(戦争法)が、1つの新法(国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律)と、10個(細かな改正を含めれば20個)の法律を「改正」する一括法(「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律)の2本であることを明らかにした上で、「改正」された法律にどのようなものがあるかを知っていただきます(自衛隊法、武力攻撃事態法周辺事態法、PKO協力法等)。
2 大ざっぱに言って何が変わったのか?
(1)従来の(9.19前の)安保法制
 2015年9月19日に成立した「安保法制」(戦争法)を理解するためには、成立前の旧「安保法制」についての大まかなイメージを持っていただくことが絶対に必要です。「武力攻撃事態」(自衛隊が防衛出動できるのはこの場合だけだった)、「周辺事態」(ここで「周辺地域」や「非戦闘地域」についての説明を行います)を中心に説明します。この点についての理解があって、初めて「安保法制」の真の狙いが得心できるはずです。
(2)新「安保法制」で何が出来ることになったのか?
 「武力攻撃事態」だけではなく「存立危機事態」でも防衛出動が可能になったこと、周辺事態法が重要影響事態法に「改正」され、支援対象国が米国以外にも広げられたこと、「周辺地域」という限定や、「非戦闘地域」という制限がなくなり、具体的な後方支援としての「物品及び役務の提供」が拡大されたことなどをお話します。
 また、国連平和維持活動(PKO)において、新たに「住民保護・治安維持活動」、「駆け付け警護」などの業務が可能となり、それらに従事する自衛官は、任務遂行のための武器使用が認められたことなどにつき、憲法9条2項の交戦権の否認との関わりで、その違憲性や危険性について説明します。
3 新「安保法制」はいつから施行されるのか?
 9月30日に公布された2つの法律は、遅くとも今年の3月31日までに施行されます。
 
第2 「安保法制」(戦争法)のどこが憲法に違反するのか?
1 集団的自衛権の行使は憲法9条(とりわけ2項)に違反する 

 2014年7月1日の閣議決定に至るまで、歴代内閣が「集団的自衛権の行使は憲法9条に違反する」との解釈をとり続けてきた理由を、自衛隊を合憲とする論理との関係から説明します。これにより、集団的自衛権の行使が合憲であるとする主張が、自衛隊を合憲とする論拠を瓦解させるものであることに注意を促します。
2 後方支援、協力支援は武力の行使を禁じた憲法9条(特に1項)に違反する
 米軍等への後方支援(重要影響事態法)、協力支援(国際平和協力法)が、国際的には兵站(ロジスティック)そのものであり、米軍等による武力行使と一体となる可能性が非常に高い、あるいは一体化した武力の行使そのものであることを説明します。
3 憲法73条(内閣の権限)に違反する
 日本国憲法において、行政府(内閣)にどのような権限が付与するかを規定した73条をどのように解釈しても、海外で戦争する(武力を行使する)権限を内閣に与えたと読める規定は存在しないことを、大日本帝国憲法から日本国憲法への移行に際し、戦争大権はどの国家機関にも継承されなかったことと関連させてお話します。
 
第3 中国・北朝鮮脅威論と「安保法制」(戦争法
1 前提として(法制の合理性を判定するために)
 ①立法事実は存在するか?
 ②立法目的は正当か?
 ③法制の内容は立法目的達成の手段として合理的か?
2 中国・北朝鮮脅威論に立法事実はあるか?
3 「安保法制」(戦争法)は中国・北朝鮮に対する抑止力を高めるか?
 「第1「安全保障関連法制」(戦争法)とは何か?」で説明したとおり、日本が中国や北朝鮮から攻撃を受けた場合に対処するための法整備は既になされていることを説明します。
 また、新「安保法制」によって新たに出来るようになったことが、「存立危機事態」における他国防衛のための自衛隊の「防衛出動」、「周辺事態」や「非戦闘地域」という制限を取り払って、世界中どこへでも自衛隊を派遣して、米軍等の兵站(後方支援または協力支援)に従事させることなどであり、これによって抑止力が高まるなどということはあり得ないということをお話します。
 
第4 明文改憲に向けた動向
1 現在の国会議席状況
 現在の国会の議席状況を数字を挙げて説明します。とりわけ、参議院において改憲政党(一部「野党」を含む)が既に60%以上の議席を保有していること、今夏の参院選で改選期を迎える議員は非改憲政党に多く(民主党は59人の内42人が改選される)、明文改憲を目指す勢力にとって、今年の参院選改憲のための「絶好の機会」となっていることの数字的裏付けを理解していただこうと思います。
2 今夏の参院選の死活的重要性(改憲派護憲派の双方にとって)
 以上の国会議席状況に加え、日本会議神社本庁によって推進されている「美しい日本の憲法をつくる1,000万人賛同署名」が非常に活発化している状況なども踏まえ、今年の参議院選挙の死活的重要性を認識していただきたいと思います。
 
第5 「安保法制」(戦争法)を廃止するために今すべきこと
1 安保法案成立阻止の闘いを振り返る
 様々な「共同」(「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」など)の成立、SEALDs(自由との民主主義のための学生緊急行動)、「安保関連法(案)に反対するママの会」、「安全保障関連法(案)に反対する学者の会」などの積極的な活動、全国すべての弁護士会の一致した反対行動などを、全国レベルで、そして地元和歌山について振り返ります。
2 「安保法制」(戦争法)の施行を見据えた活動を
(1)自衛隊員の命と大義を守るために(広汎な世論の醸成を)
 いかに「安保法制」(戦争法)廃止を訴えても、一朝一夕で実現できるものではなく、その間にも自衛隊違憲かつ危険な任務が命じられる恐れがあります。南スーダンにおけるPKO活動に「安全確保業務」「駆け付け警護業務」の追加が検討されており、このような具体的な新「安保法制」の発動を阻止するためには、広範な世論の醸成が必要であることをお話します。
(2)安保法制違憲訴訟の提起
 弁護士らが中心となって結成され、訴訟提起を準備中の「安保法制違憲訴訟の会」による法廷闘争の見通しや意義について解説します。
(3)「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」の取組
 主催団体(「戦争法」に反対する退職教職員の会)も取り組んでいる「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」(集約日は本年4月25日)への一層の努力を呼びかけます。
(4)学習、日常活動、そして共同のさらなる強化を
 学習会をもっと広い範囲で、頻度を上げて実施すること、スタンディングアピール、地域デモ、集会など、日常的な活動を継続すること、全県的(全国的)に広がった「共同」をすみずみまで強化する必要性などを訴えるつもりです。
3 参院選勝利に向けて
 「第4 明文改憲に向けた動向」で述べたとおり、今年7月の参院選の結果次第では、明文改憲が具体的政治日程に上る可能性が高く、そのような事態を阻止するため、野党共闘によって与党に対抗できる選挙態勢を早急に作り上げようという市民を主体とした動きが全国各地で湧き起こっていること(「市民連合」や「ミナセン」など)、和歌山でも、「安保法制の廃止を求める和歌山の会」が設立され、
 ① 先の国会で成立した安全保障関連法の廃止 
 ② 集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回               
 ③ 日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すこと
を確約しその実行を期待できる統一候補の擁立を目指して活動中であることなどを報告する予定です。
                                               以上