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安保法制違憲訴訟(4/26東京地裁に提訴)の訴状を読んでみませんか?

 今晩(2016年4月27日)配信した「メルマガ金原No.2439」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安保法制違憲訴訟(4/26東京地裁に提訴)の訴状を読んでみませんか?

 去る4月20日に開催した決起集会で公表したとおり、昨日(4月26日)、「安保法制違憲訴訟の会」が準備を進めてきた2件の訴訟が、東京地方裁判所に提訴されました。 同会公式ホームページに、提
訴を伝える報道記事のいくつかにリンクがはられています。
 
 以下には、東京新聞の記事を引用しておきます。
 
東京新聞 2016年4月27日 朝刊
安保法 初の集団提訴 東京と福島「違憲」と賠償請求

(引用開始)
 安全保障関連法は憲法違反だとして、空襲・原爆の被害者や米軍基地周辺住民など全国の五百人余りが二十六日、安保法制に基づく自衛隊出動の差し止めや、憲法が保障する「平和的生存権」侵害への慰謝料として、国に一人当たり十万円の損害賠償を求める二つの訴訟を東京地裁に起こした。安保法制の違憲
を問う集団訴訟は初めて。
 弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」が呼び掛けた集団訴訟の第一弾で、同日は福島地裁いわき支部でも約二百人が国家賠償を求めて提訴した。会によると、他に約千五百人から訴訟原告になりたいと要望があり、夏ごろまでに名古屋、大阪、広島、長崎など全国の十以上の地裁で同様の提訴を予定してい
る。
 これまでも個人の原告が安保法廃止や違憲確認を求めて訴訟を起こしているが、いずれも具体的な審理
に入らず却下されている。
 訴状では、集団的自衛権の行使としての防衛出動や後方支援などは自衛隊による武力行使で、戦争放棄を定めた憲法九条違反とし、自衛隊の出動差し止めを請求。安保法制定で、日本が反撃を受けたりテロの
対象となる事態を覚悟しなければならず、平和的に生活する権利が既に侵害されたとも主張している。
 内閣官房国家安全保障局は「安保法制は憲法に合致しており、必要不可欠と考える」とコメントした。
(引用終わり)
 
 新聞記事には字数に制限がありますので、やや曖昧な表現になっていますが、ここで、2つの事件の事件名、原告(代理人)、被告、「請求の趣旨」(被告に何を求めるかを明らかにした部分)、「請求の原因」(「請求の趣旨」を根拠付ける事実及び主張)の目次をご紹介しておきます。
 なお、以下は、「安保法制違憲訴訟の会」ホームページに掲載された両事件の訴状(PDFファイル)から引用したものです。
原告ら 志田陽子,石川徳信ほか別紙原告目録のとおり(計52名)
原告ら訴訟代理人 別紙原告ら訴訟代理人目録のとおり(計621名)
被告 国
    代表者法務大臣 岩城光英
処分行政庁 
 内閣総理大臣 安倍晋三(請求の趣旨第1項につき)
 防衛大臣 中谷元(同第2項及び第3項につき)
請求の趣旨

1 内閣総理大臣は,自衛隊法76条1項2号に基づき自衛隊の全部又は一部を出動させてはならない。
2 防衛大臣は,重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の実施
に関し,
(1) 同法6条1項に基づき,自ら又は他に委任して,同法3条1項2号に規定する後方支援活動として,
自衛隊に属する物品の提供を実施してはならない。
(2) 同法6条2項に基づき,防衛省の機関又は自衛隊の部隊等(自衛隊法8条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)に命じて,同法3条1項2号に規定する後方支援活動として,自衛隊による役務の提供を実
施させてはならない。
3 防衛大臣は,国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動
等に関する法律の実施に関し,
(1) 同法7条1項に基づき,自ら又は他に委任して,同法3条1項2号に規定する協力支援活動として,
自衛隊に属する物品の提供を実施してはならない。
(2) 同法7条2項に基づき,自衛隊の部隊等に命じて,同法3条1項2号に規定する協力支援活動として
自衛隊による役務の提供を実施させてはならない。
4 被告は,原告らそれぞれに対し,各金10万円及びこれに対する平成27年9月19日から支払済み
まで年5分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は,被告の負担とする。
との判決並びに第4項につき仮執行の宣言を求める。
請求の原因
目次

第1 本件訴訟の概要と意義
1 新安保法制法の制定とその憲法違反,立憲主義違反
2 原告らの権利の侵害と本件訴訟の意義
第2 集団的自衛権の行使,後方支援活動の実施及び協力支援活動の実施の違憲
1 新安保法制法の制定
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
3 後方支援活動等の実施が違憲であること
第3 集団的自衛権の行使等による原告らの権利の侵害
1 集団的自衛権の行使等によってもたらされる状況
2 各事態においてとられる措置と国民の権利制限・義務等
3 平和的生存権,人格権及び憲法改正・決定権
4 集団的自衛権の行使等による平和的生存権等の侵害
第4 差止めの訴えによる差止請求
1 本件処分
2 集団的自衛権の行使等の処分性
3 原告適格について
4 重大な損害を生ずるおそれについて
5 補充性について
6 処分が行われる蓋然性について
7 違法性
第5 原告らの損害と国家賠償責任
1 加害行為
2 原告らの損害
3 公務員の故意・過失
4 加害行為と損害との因果関係
5 結論
第6 おわりに
別紙 原告らの権利侵害の具体的内容
第1 戦争体験者
 1 空襲被害者
 2 広島・長崎の原爆被爆者
 3 その他の戦争体験者
第2 基地周辺住民
 1 厚木基地周辺住民
 2 横須賀基地周辺住民
第3 公共機関の労働者
 1 航空労働者
 2 船員
 3 鉄道労働者
 4 医療従事者
第4 その他の特徴的な被害者
 1 学者・教育者
 2 宗教者
 3 ジャーナリスト
 4 母親等
 5 障がい者
 6 在日外国人
 7 自衛隊関係者
 8 原発関係者
 
原告ら 堀尾輝久、辻仁美及び菱山南帆子ほか別紙原告目録記載のとおり(計457名)
原告ら訴訟代理人 別紙原告ら訴訟代理人目録記載のとおり(計621名)
被告 国
    代表者法務大臣 岩城光英
請求の趣旨
1 被告は、原告らそれぞれに対し、各金10万円及びこれに対する平成27年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに第1項につき仮執行の宣言を求める。
請求の原因
目次
第1 国の公権力の行使に当たる公務員による、その職務を行うについての加害行為と原告らの権利侵害
の概要
1 新安保法制法の制定
2 新安保法制法案に向けての閣議決定・国会提出
3 新安保法制法の中心的内容
4 新安保法制法の制定行為の違憲
5 新安保法制法の制定過程の反民主主義性
6 原告らの権利侵害
7 まとめ
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為
は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲
(5) 立憲主義の否定
3 後方支援活動等の実施はいずれも違憲であること
(1) 後方支援活動等の軍事色強化
(2) 後方支援活動等の武力行使
(3) 後方支援活動等の他国軍隊の武力の行使と一体化
(4) 後方支援活動等の違憲
4 砂川事件判決について
5 新安保法制法の違憲性とその制定に係る内閣及び国会の行為の違法性
第3 新安保法制法の制定に係る行為による原告らの権利侵害
1 集団的自衛権の行使等によってもたらされる状況
2 各事態においてとられる措置と国民の権利制限・義務等
3 集団的自衛権の行使等による自衛隊の海外出動と戦争参加による国民・市民の権利侵害の危険性・切
迫性
4 原告らの権利、利益の侵害(概論)
(1) 平和的生存権の侵害
(2) 人格権侵害
(3) 憲法改正・決定権侵害
5 原告らの権利、利益の侵害(詳論)
(1) 多様な原告らの権利侵害
(2) 平和を望む国民・市民
(3) 先の太平洋戦争で被害を受けた者とその家族
ア 原爆を投下された広島・長崎で被爆した者とその家族
唯一の地上戦により被害を受けた沖縄県
ウ 空襲被害者
エ シベリア抑留者その他戦争により被害を受けた者とその家族
(4) 原子力発電所関係者
(5) ジャーナリスト
(6) 地方公共団体・指定公共機関の労働者、医療従事者、交通・運輸労働者
(7) 憲法研究者
(8) 宗教者
(9) 教育関係者
(10) 女性や子供を持つ親たち
(11) 若者
(12) その他の被害者
第4 原告らの損害
第5 公務員の故意・過失及び因果関係
1 公務員の故意・過失
2 加害行為と損害との因果関係
第6 結論
第7 さいごに
 
 法律家ならざる方々にとっては、なぜ安保法制違憲訴訟を2つに分け、自衛隊出動差止め訴訟の原告を国家賠償請求訴訟に比べて絞り込んだのか?前者の請求の趣旨をよく読んでみると、4項で国賠訴訟と同じ請求をしているがこれは何故か?とか、よく分からない点が多いと思います。
 ましてや、「請求の原因」の目次を眺めても、どうしてこういう構成になるのかということを理解する
のは難しいだろうと思います。いや、正直に言って、弁護士にとっても難しいですよ。
 けれども、法的構成は弁護団が考えることであるにせよ、それを支えているのは原告お1人お1人の「思い」ですからね。その「思い」を法廷で通用する言語に翻訳するのが代理人の重要な任務というもので
しょう。
 そういう観点から、1人でも多くの方に、2通の訴状を読んでいただきたいと願っています。提訴日当
日、ただちにホームページに2つの訴状をアップしたのも、「安保法制違憲訴訟の会」がそのように希望しているからに違いありません。
 
 とはいえ、いきなりそれぞれの訴状の1頁目から読み始めるのも大変だと思うので、2つ、お奨めの文章をご紹介しておきますので、まず、これらの文章から読み始めてはいかがでしょうか。
 
 1つめは、自衛隊出動差止め等請求事件の原告のお1人として、名前を出すことに同意していただいただけではなく、ホームページに掲載するための「原告の声(提訴に向けた思い)」を寄稿された志田陽子さん(私立大学教授・専門:憲法学および言論法)の文章です。
 
(抜粋引用開始)
 
このように、2014年7月以来、教育現場や自治体の集会所管理責任者が困惑と精神的委縮状態に陥った結果、その影響下にある多数の研究者・教員が、職責遂行上の不利益と、人格的損害を被っています。
 2015年6月の衆議院憲法審査会では、著名な憲法学者が、閣議決定による解釈変更の内容は「法的安定性を損なう」と発言しました。大学研究者がその教育場面や社会活動において被っている困惑状況と実害は、まさにその「法的安定性」が損なわれた現実場面なのだ、ということを、司法に重く受け止めてほしいと願っています。
 とくに憲法教育者は、学生たちに「自国の憲法規範を教えるとともに、世界的普遍的な共通事項としての立憲規範を教える」という職責と、上記のような現状とを整合させることができず、重大な困難に直面しています。
 それでも多くの研究者・教育者が自己の学問的良心に従って業務を続けていますが、ここには、従来にはなかった重大な精神的負荷が生じています。
 たとえば、政府から精神的独立性を保った学問機関という意味での「大学の自治」の知識・理解を欠く文部科学大臣の発言(特定の政府要請を受け入れない自主判断をした大学の名を挙げて「恥ずかしい」と批判するなどの発言)を報道で知るにつけ、私たち大学教員は、「次はわが身が指弾の対象になるのでは」との深刻な不安感を感じながら、この心理的負荷を押して、通常の職責内容を引き受けているのです。
 通常ならば、そのような混乱は民主過程の中で起きる一時的動揺ととらえられるでしょう。しかし今回の安全保障法制をめぐる混乱については、この困惑状況が民主過程で治癒される見込みがないため、裁判所に救済を求めるべきだと考えています。
 「これは国民自身の決断による制度選択だ」という前提が成り立っておらず、関連法の施行・実施によって、国民の不安感や、憲法理解をめぐる学識者と政府の間の乖離がさらに進行拡大しつつあるからです。
 平和教育、主権者教育、そしてそれらの根拠であり規範的集約点である憲法の教育を職務とする者は、人類の反省と叡智の結晶である憲法の規範内容を責任をもって教え、次世代に手渡していく責任があると考えています。上に述べた現状は、この職責を果たそうとする者を深刻に圧迫しています。この状況の原因は、2015年9月に議決されたとされている安全保障法制の一方的な進行によって、教育現場と市民社会に重大な矛盾・萎縮が生じたことにあると考えています。
 多くの教員が通常の職責に現実的支障を被っている現状、あるいは通常の職責を果たすにあたって通常ならざる心理的負荷を被っている現状があります。そこから解放されるためには、裁判所に、自国の憲法の根幹と矛盾する国政内容を「違憲」と判断するよう求める以外にはないと考え、厳正なる判断を求める次第です。
(引用終わり)

 
 志田さんは、去る4月20日の決起集会においても、原告のお1人として発言されています(34分~が志田教授の発言部分です)。
 
2016年4月20日「4.20安保法制違憲訴訟決起集会」(森薫)(1時間57分)
 

 また、本年3月14日に行われた「国立大学の入学式・卒業式等での国旗掲揚・国歌斉唱に関する文部科学大臣の発言の撤回を求める憲法研究者声明」の記者発表に際し、賛同者の1人として記者会見で発言もされています。この声明と会見については私のブログ(「日章旗」「君が代」強制と国立大学~17年前の国会審議と馳浩文部科学大臣に対する憲法研究者の抗議声明/2016年3月15日)をご参照くだ
さい。
 
 2つめは、国家賠償請求訴訟の訴状において、【請求の趣旨】の前にあえて置かれた【原告たちの思い】です。
 これは全文引用します。
 まずこの「思い」を読んでいただいた上で、少しずつでも訴状を読み進めていただければと思います。
 
【原告たちの思い】
1 平成27年は戦後70年でした。私たちが生きる日本は、その70年間どの国とも戦争をせず、平和を愛する国として世界中から信頼を得てきました。それは、平和主義を大原則として掲げた憲法を、国会も政府も裁判所も守り、国民・市民も大切にしてきたからです。政府は、長年にわたって、憲法上、日本が攻撃されたときに発動できる個別的自衛権は認められるが、他国が攻撃されたときに行使する集団的自衛権は認められないと解釈し、集団的自衛権は認められないとの点は、憲法解釈として国家機関はもちろん、学者や多くの国民・市民の間に定着しており、そして、この考え方により国の方針が決められてきた
ことが、日本が長期にわたって戦争に関わらないで来られた理由の一つでもありました。
2 今回、政府は、集団的自衛権の行使も憲法上認められると勝手に解釈を変更し、多くの国民・市民の反対や、多数の憲法学者の反対意見を無視して、憲法改正手続を経ず、法律の改正・制定により、憲法を事実上変更するために、平成27年5月14日新安保法制法案を閣議決定した上、翌15日これを国会に
提出して、国会は、同年9月19日、新安保法制法を成立させました。
3 私たち原告は、多種多様な国民・市民からなっております。(1)平和を望む国民・市民、(2)先の太平洋戦争で被害を受けた者とその家族、例えば、①原爆を投下された広島・長崎で被爆した者とその家族、②唯一の地上戦により被害を受けた沖縄県民、③東京・大阪など各地で空襲を受けて被害を受けた者及びその家族、④シベリア抑留者、その他戦争により被害を受けた者とその家族、(3)沖縄県を始め日本全国に散在する米軍及び自衛隊の基地周辺の住民、(4)原子力発電所関係者、(5)ジャーナリスト、(6)戦争体制(有事体制)において、危険な業務に従事させられる地方公共団体・指定公共機関の労働者、医療従事者、交通・運輸労働者など、(7)憲法研究者、(8)宗教者、(9)教育関係者、(10)女性や子供を持つ親たち、(11)
若者、(12)その他の被害者などです。
4 詳しくは請求原因で述べますが、私たち原告は、今回の新安保法制法案の閣議決定、国会提出と国会による決議によって、私たちの有する平和的生存権を侵害され、憲法改正手続に関与する地位を侵害され
、心に深い傷を負わされ、精神的苦痛を受けるなど、その人格権を侵害されました。
 具体的には、3(1)の平和を望む国民・市民(もちろん、(2)以下の原告を含めて)は、政府・与党による立憲主義無視・憲法破壊行為ともいえる新安保法制法の制定等により、その平和的生存権を侵害され、憲法改正手続に関与する地位を侵害されることにより心に深い傷を負わされて精神的苦痛を受け、そして、電車に乗車中や映画鑑賞等の日常的生活においても、集団的自衛権行使の結果により間違いなく予想されるテロ行為等による被害の恐怖を抱かせられるなどの状態に至っております。そして、3(2)の先の太平洋戦争で被害を受けた者とその家族は、戦争で受け、なお癒やされていない深い心の傷を今回の行為により、傷口に塩を塗られるかのごとき痛みを味わわされ、3(3)の基地周辺の住民及び3(4)の原子力発電所関係者は、新安保法制法制定の結果、自衛隊が出動する事態になった場合に、相手国から反撃やテロ行為を受け、生命や身体に被害が及ぶことへの恐怖と不安にさいなまれる日々を送らされるようになり、3(5)のジャーナリストは、仲間のジャーナリストが人道支援や取材活動のために紛争地域へ出向いた場合に攻撃されたり、テロに遭って、生命を失うのではないかとの恐怖を抱かせられ、3(6)の地方公共団体・指定公共機関の労働者、医療従事者、交通・運輸労働者などは、戦争体制(有事体制)においては、国民保護体制のための措置を実施することを含めて、地方自治体や民間企業を含む指定公共機関等に協力体制が義務付けられ、危険な業務に従事させられたりすることになることから、これらの業務に従事した場合、自らが攻撃されたり、テロに遭って、生命を失うのではないかとの恐怖を抱かせられ、3(7)の憲法研究者は、立憲主義が破棄されることにより、自らが研究し社会のために理論構築してきた憲法解釈が独断的に変更されたことにより、深い憤りと苦しみを味わわされ、3(8)の宗教者は、平和を強く希求して宗教活動をしてきたもので、戦争に道を開く新安保法制法により、宗教者としての心を痛く傷つけられ、深い苦しみを味わわされ、3(9)の教育関係者は、教育現場で平和の大切さを教えてきたもので、新安保法制法により日本が戦争をする国になり、教え子が戦争に行くかもしれないことに言い表せぬほど傷つけられ、苦しみを味わわされ、3(10)の女性や子供を持つ親たちは、日本が再び戦争に巻き込まれて女性が虐げられ、子供が戦場に送られる恐怖を味わわされ、3(11)の若者は、憲法が破壊されることへの怒りと、自らが戦争に送り込まれることになるのではないかとの恐怖と不安を抱かせられており、
3(12)のその他の被害者はそれぞれ、固有の被害を受けております。
5 安倍内閣総理大臣は、新安保法制法案が違憲ではないかとの追求に対して、「安保法案が違憲かどうかは、最高裁が判断する」との趣旨を述べて、新安保法制法案が違憲であるとの多数の国民・市民の意見や憲法学者の見解を一顧だにしませんでした。裁判所には違憲立法審査権があり、裁判官には憲法を尊重し、擁護する義務があります。今回の新安保法制法に基づく自衛隊の出動等により具体的被害が出てからでは遅いのです。そして、外国の軍隊と共同作戦をとるなどの集団的自衛権行使の既成事実ができてしまえば、裁判所において違憲と判断をした場合の政治的影響が極めて大きくなり、その判断も難しくなります。裁判所におかれては、違憲であることが明白な新安保法制法を黙認することなく、既成事実の作り上げに手を貸すことをせず、憲法と平和を守りたいとの国民・市民の願いに応えるともに、内閣総理大臣の求める裁判所としての判断を行い、新安保法制法が違憲であることの判断をされることを強く願っております。
 
(参考動画)
 昨日、提訴後に弁護士会館で行われた記者会見については、IWJによって中継され、アーカイブが視聴できます(ただし、会員限定ですが)。

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年9月27日
安保法制違憲訴訟を考える(1)~小林節タスクフォースへの期待と2008年名古屋高裁判決

2015年9月30日
安保法制違憲訴訟を考える(番外編)~法律の公布ということ
2015年10月3日
安保法制違憲訴訟を考える(2)~『今、改めて「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」判決文を読む』を弁護士にこそ推奨したい
2015年10月27日
安保法制違憲訴訟を考える(3)~「5党合意」は違憲論にどんな影響があるのか?(検討用メモ)
2015年12月2日
安保法制違憲訴訟を考える(4)~伊藤真弁護士(安保法制違憲訴訟の会)による決意表
明(11/19@国会前)と小林節氏の現時点(11/21@和歌山県田辺市)での見解

2015年12月23日
「安保法制違憲訴訟の会」による記者会見(12/21)と原告募集のご紹介
2016年3月29日
安保法制施行の日に「安保法制違憲訴訟」を思う
2016年4月21日
いよいよ4月26日「安保法制違憲訴訟」を東京地裁に提起~4/20決起集会から