wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

“改憲”啓発講演会のご紹介~和歌山市での一事例(2016/5/29)

 今晩(2016年5月30日)配信した「メルマガ金原No.2472」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
改憲”啓発講演会のご紹介~和歌山市での一事例(2016/5/29)

 一昨日(5月28日)のメルマガ&ブログ「警戒!私の地元和歌山でも「憲法おしゃべりカフェ」が開かれる(講師:髙原朗子熊本大学教育学部教授)」でご紹介したような改憲派の集まりに出かける人は、私の周囲にはほとんどいないのですが、昨日開かれた髙原教授の講演会については、ニュース和歌山に掲載された行事案内に「改憲派の企画」とも何とも書かれておらず、「申し込み不要」と告知されていたからか、私の知人(仮にAさんとしておきます)が参加され、今日、詳しい「参加記」をメールで送ってくださった上に、当日受付で貰った資料をわざわざ私の事務所まで持参して見せてくださいました。
 おかげで、改憲派が推進する運動の一端を知ることができました。これは、私だけが読んでいては勿体ないと思い、Aさんに「参加記を公開したい」と申し入れ、快諾を得ました。
 ただし、この参加記は、あくまで講演の内容の要点(であるとAさんが考えたポイント)を独自の視点でまとめたもので、他の参加者の受け取り方はまた全然別のものであった可能性もありますので、その点は十分にお含み置き下さい。
  
 Aさんの参加記をご紹介する前に、当日、参加者が受付で主催者から受け取った資料をご紹介します。
 
1 式次第(以下、引用します)
日本の未来を語ろう!憲法講演会
 平成28年5月29日(日)10:30~
和歌山県JAビル1階 アグリテラス
 憲法おしゃべりカフェ実行委員会 主催
プログラム
一、国家斉唱
一、開会
一、挨拶
  主催者代表 西平都紀子 株式会社信濃
一、講演会
  高原 朗子(たかはら あきこ)先生
  熊本大学教授・臨床心理士
【講師ご略歴】
 昭和61年  九州大学経済学部 卒業
 卒業後  知的障害者入所厚生施設 勤務
 平成8年  北九州大学文学部 助教
 平成9年  長崎大学教育学部 助教
 平成14年  熊本大学教育学部 助教
 平成23年より  熊本大学教育学部 教授
 平成24年より  附属特別支援学校長を併任
 現在に至る
一、質問タイム
一、閉会
 
2 〈憲法チラシ No.1〉「世界は変わった。日本の憲法は・・・」
 美しい日本の憲法をつくる国民の会が製作したB3版カラー表裏印刷で、「9条」「GHQ押し付け論」「主要国で憲法改正していないのは日本くらい」「緊急事態条項」「家族保護規定」などを強調しています。
 同会ではこの動画版(DVD)も作っており、全国での上映推進を呼びかけています。
(抜粋引用開始)
「世界は変わった 日本の憲法は?」~憲法改正の国民的議論を~
総指揮:百田 尚樹
監修:櫻井よしこ、百地 章
語り:津川 雅彦
製作:美しい日本の憲法をつくる国民の会
■上映会を開催しましょう
上映運動は、お1人でも推進することができます。あなたの町やサークル、ご家庭などで上映会を開催し、職場、ご近所、ご家族、お知り合いの方々と憲法改正について語り合いましょう。
(引用終わり)
 ちなみに、
  
【世界は変わった】日本の憲法は? ~憲法改正の国民的論議を~
と入力して動画検索をかければ視聴できますが、著作権者の了解を得ていない可能性もありますので、引用は控えておきます。
 
3 チラシ「地震大国ニッポン!どう守る?国民の命と暮らし」
 発行日=平成28年5月3日、編集=美しい日本の憲法つくる会事務局というA3版カラー表裏印刷のもので、専ら自然災害の脅威を強調し、憲法に緊急事態条項が必要と訴えています。
 
4 定期購読勧誘チラシ「産経新聞で、日本を知ろう。学ぼう。愛そう。」
 別に説明する必要もないとは思いますが、主催者のお薦め新聞・産経の勧誘チラシが資料を入れた袋の中に入っており、当日(5月29日付)の産経新聞朝刊も自由に持ち帰れるように積んであったそうです。
 
5 資料を入れた封筒
 以上の資料は、封筒に入れて参加者に手渡されたのですが、その封筒には、以下のように印刷されていました。
  憲法おしゃべりカフェ実行委員会
  事務局 〒641-0022 和歌山市和歌浦南3-4-10 和歌山県神社庁
       電話073-446-5611 FAX:073-446-5711 

 
 以上が、昨日の講演会参加者に配布された資料です。私はこれらの資料に目を通しながら、講師の話の内容がほぼ推測できるような気分になりました。はたして、Aさんから送ってもらった参加記を読んだところ、その推測は当たっていたようです。
 
 なお、昨日の講演会の写真及びチラシが以下のブログに掲載されています。ただし、このブログ、トップタイトルには「日本会議和歌山女性の会」とあるものの、「柳岡克子活動状況」という表示も出てくるので、実質は、同会副会長である柳岡克子(やなおか・よしこ)さんのブログなのかもしれません。
 ちなみに、写真には、主催者代表として開会挨拶を行う西平都紀子さん((株)信濃路社長/多分、日本会議和歌山女性の会会長だと思います)や閉会挨拶を行う柳岡さんの写真も掲載されています。
 またこのブログには、昨年の7月19日に田辺のシティプラザホテルで開催された「美しい日本の憲法をつくる和歌山県民の会」設立総会の写真も掲載されています。
 
 前置きが長くなり過ぎました。
 以下に、Aさんから送っていただいた「日本の未来を語ろう!憲法講演会」参加記をご紹介します。
 昨日の髙原朗子熊本大学教授を招いた講演会は、建前上は、改憲派内部での学習会というようなものではなく、一般市民向けの“改憲”啓発を目的とした講演会でした(チラシなどを読むとそう思われます)。
 私のメルマガやブログを読んでくださる方の中で、このような企画にわざわざ足を運ぶ方はめったにないでしょうから、改憲派が今何に力を入れているのか?どのような論点が「攻めどころ」だと考えているのかということを知るための貴重な一事例として、Aさんのご協力を得てご紹介しました。
 是非今後の参考にしてください。
 

Aさんから寄せられた「日本の未来を語ろう!憲法講演会」参加記
 
主催者代表挨拶が、(株)信濃路の西平都紀子さん。
来賓は、和歌山市議の遠藤富士雄さんと浦平美博さん(日本のこころを大切にする党)。
祝辞(メッセージ)は、衆議院議員の門博文さん。
 
正面に日の丸が掲揚され、熊本地震の犠牲者への黙祷、国歌斉唱。参加者ほぼ全員が歌唱。
高原朗子教授の「憲法カフェ」が2年前から始まって、今回で147回目。
 
高原教授の紹介、挨拶。
以下、モニター見ながら講演。
 
都道府県には、自然の素晴らしさと歴史・文化がある。
これらがあるのは、日本人が感謝の中で生きてきた心があるから。それが根付いているから神様仏様がある。
弱きもの、小さな者(高齢者・障がい者・子ども)を大切にする心、正義・倫理を重んじる心(きちっと教え諭す心・悪に対し厳しい目)がある。
 
日本人は助け合う心を持っていたが、最近は子どもへの虐待・お年寄りへの虐待・少子高齢化(地方の問題は全国の問題)・詐欺・いじめなど増えてきた。
また、日本を取り巻く環境が変わっている。→地震が増えている。テロの脅威。国内での外国人との関わり方。
 
地震後、外国が日本の領土を窺っていた。
尖閣北方領土の周りに飛行機や船が増えた。
外国は表面的には「国際平和」と言いながら、実際は領土を狙っているのではないか。
 
南沙諸島は日本から遠いが、シーレーン(原油を運ぶ道)がある。
ここで中国が基地を造り、日本のタンカーを通さないということが起こるかもしれない。
タンカー1隻3000万円の通行料、1日10隻通るから今よりも3億円余分にかかる。
その分、私たちが買う商品の値段が上がる。カップラーメンが100円から400円になるかもしれない。
 
憲法は法律の母、ではなぜ70年間も変わっていないのか。
2年前の秋、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」ができた。桜井よし子さんなど。
昨年11月10日、日本武道館で100万人集会を開いた。
 
【現行の日本国憲法には様々な問題がある】
成立過程の問題
 日本人がつくった案ではない。
 マッカーサーの命により、GHQに押し付けられたもの。
 専門家のいないまま、こっそりと、26人の民政局員がわずか1週間で草案を完成させた。
 それをこっそりと通した。
 これは歴史上の事実。安倍さんも言っている。
 憲法はその国の国民がつくらなくてはならない、それをマッカーサーは知っていたから、こっそりとやった。
 
ノーベル賞受賞した大江健三郎は、憲法が良いものであれば残せば良いと言っている。しかし問題点多い。
 英語が原文でおかしいところやミスが多い。
 国語として文章がおかしい。
 一つの文の中で、同じ意味なのに違う言葉で言っている箇所がある。
 日本に対する誇りや思いやりが書かれていない。憲法前文にはそれが抜けている。
 日本国憲法はコピペ憲法。小保方さん問題でコピペが大問題になった。
 日本国憲法は海外の憲法の寄せ集め。コピペの元も明らかにしていない。
 アメリカの憲法の「人民のための…」というのも使われている。
 
自然災害・テロなど緊急事態に関する不備
 オバマ「アメリカは世界の警察ではない」、トランプ「日本人を守るためにアメリカ人は使わない」
 緊急事態とは、震災等自然災害、内乱、テロ、新型インフルエンザなど(人権があるから入院したくないと言われれば、感染が広がる)
 
環境権等新しい問題に対する不備
 ネットの情報は瞬時に世界を回り、今の憲法では守られる状況ではない。
 
家族条項の不備
 憲法には縦のつながりが書かれていない。せいぜい親子まで。家族に関する条文は、24条、25条、26条くらい。
 海外では家族は国を形作る基本だと憲法に書かれてあるものも。
  ハンガリー:胎児の権利。
  イタリア:未婚の母が多いので、子どもが父親を探す権利。 
 お国柄によって、憲法が違う。
 日本人は子どもを大切にする国なのに、憲法に書かれていない。
 
憲法は変えて良いものである。
 アメリカ:18回、スイス:132回、オーストラリア:8回、日本:無改正、イタリア:15回、韓国:9回、ドイツ:60回・・・
 
【さあ、憲法9条を学習しよう】
9条1項:国際平和は大切、侵略戦争はしない。
 ここに書かれていることは、国連憲章にも書かれている当たり前のこと。ノーベル平和賞にするような特別なものではない。
 
9条2項:現在の自衛隊は警察の一部。
 この自衛隊の存在を誤魔化してるのが2項。時代に合わない。自衛隊の存在が憲法で認められていないから、人の命も自分の命も守れない。これが日本の現状。
         
竹島北方領土など、他の国が日本にやって来るかもしれない。
自衛権があるが、交戦権は認めないと憲法にある。
それから、2項の解釈が学者により様々なので混乱を招いている。
 
9条について知っていましたか?
「1項は守るべきものとして、ただし2項が1項の足枷になっているので2項を変えなければいけない。」
「9条は本当は1項と2項が仲良くしないといけない。今は2項が1項のすることを邪魔している。」
 
9条を変えたら日本は戦争をする国になるのでは?
「2項を改正して自衛隊国防軍としてきちんと位置づけることにより抑止力を高め、自分の身は自分で守れるようにならないといけない。」
※抑止力=「ドラえもん理論」
 ジャイアンのび太を虐めるが、ドラえもんが側にいるときは虐めない。いつもニコニコ優しいが、いざというとき力を発揮してくれる。これが抑止力、つまりアメリカ。
 トランプ氏がアメリカ軍を撤退させるといっているが、そうなれば自国の守りは自国だけになる。
 そのために、憲法改正が必要。
 抑止力とは、よその国と仲良くするために必要。
 抑止力があっても、よその国とケンカすることにはならない。なぜなら、「日本の心」があるから。
 
和歌山県有権者
男性:40.5万人、女性:46.1万人。
女性の理解を広めて行きたい。
女性に今日の話を理解してもらうことが、子ども家族を守ることになる。
 
閉会の挨拶は、柳岡克子(やなおかよしこ)さん
 憲法憲法と、騒いでいる人がいるが、勉強しないとわからない。
 今日の話を、関心を持つきっかけ作りにしてください。
 
和歌山見張り番の小早川正和氏がいたからか、急遽、質疑応答は無しになった模様。