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安保法制違憲訴訟を地方から起こす~「安保法制違憲訴訟おかやま」の動き

 今晩(2016年6月4日)配信した「メルマガ金原No.2477」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
安保法制違憲訴訟を地方から起こす~「安保法制違憲訴訟おかやま」の動き

 去る4月26日、安保法制違憲訴訟の会が、東京地方裁判所に2件の訴訟を提起したことは、既に本メルマガ(ブログ)でご紹介したとおりです。
 
2016年4月27日
 
 同じ4月26日には福島地方裁判所いわき支部に、また、5月6日には高知地方裁判所に国家賠償請求訴訟が提起されており、今後も各地で提訴が準備されています。
 そのような状況を、安保法制違憲訴訟の会共同代表の1人である伊藤真弁護士が、マガジン9に寄稿されています。アップされてからしばらく経っていますが(5月18日)、状況はそう動いていないと思いますので、訴訟の意義、各地の状況等が説明された前半部分を引用します(出来ればリンク先で全文をお読みください)。
 
509人の市民が提訴しました!
伊藤真(安保法制違憲訴訟の会共同代表)

(引用開始)
 2016年4月26日午後2時、509人の原告が東京地方裁判所に2つの裁判を提訴しました。代理人は裁判官、検察官出身者を含む全国の有志弁護士630人です。昨年9月19日に採決の強行によって「成立」したとされる安保法制の違憲性を争う裁判で、今回は安保法制に基づく集団的自衛権行使などの
ための自衛隊の出動を差し止める行政訴訟と国家賠償を求める民事訴訟の2つの裁判を提訴しました。
 この安保法制は様々な問題点を含みます。歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認し、外国軍隊の武力行使との一体化に当たるとして禁じてきた範囲にまで後方支援を拡大してしまいました。また、国連平和維持活動(PKO)に従事している自衛隊に駆け付け警護等の新たな任務と任務遂行のための武器使用権限を付与し、米軍等の武器等防護のための武器使用をも認めてしまっています
。どれも憲法上許されないことです。
 今回はその中でも特に、集団的自衛権の行使と、戦争をしている他国軍隊の武力行使と一体化する弾薬補給や武器輸送などの違憲性を争うことにしました。今後も、PKOでの自衛隊の新たな任務などを問題
にした裁判が提起されることでしょう。
 全国から原告希望の意思表示をされている方は、私たちへの連絡をいただいた方だけでも2000人を遥かに超えています。時間の関係で委任状の作成準備が間に合わなかった方も多数いますので、東京では
、第2次、さらには第3次の提訴の準備にとりかかっています。
 また、全国各地で、訴訟が提起され、また準備されています。福島県では4月26日に福島地裁いわき支部に200人近い人が、高知では5月6日に32名が高知地裁に、それぞれ国家賠償訴訟を提訴しています。2016年5月16日現在で、埼玉県では約200人が、大阪では約500人が、岡山では約300人が、長崎でも約100人が、いずれも国家賠償の6月提訴を目指していますし、神奈川でも8月提訴を目指して準備しています。他にも札幌、仙台、長野、名古屋、京都、愛媛、広島、福岡など全国各地で準備が進んでいます。今後もそれぞれの地域の原告方の声を地元の弁護士が受け止めて、各地で工夫を凝
らした裁判が展開されていくことでしょう。
 地元の裁判であれば、傍聴もし易いですし、各地域の新聞にも取り上げてもらえることでしょう。裁判の勉強会などを通じて多くの人が、安保法制の問題を理解する機会が増えていくことと思います。訴訟を
軸に各地の安保法制廃止を求める運動の内容も豊かになるに違いありません。
(引用終わり)
 
 伊藤真弁護士の文章の中に「和歌山」が出てこないが?と思われる和歌山県在住の方もおられるかもしれませんが、とりあえず「参院選が終わるまでお待ちください」と言うしかありません。
 全国各地、とりわけ選挙区が1人区である地域においては、安保法制違憲訴訟を考えている弁護士の多くが、「野党共闘」実現のためにも動いており、そういうところでは、正直「選挙が終わるまで手が回ら
ない」でしょう。
 ましてや、和歌山の場合、日弁連憲法問題対策本部委員兼和歌山弁護士会憲法委員会委員長として、この問題に一番詳しい弁護士自身(ゆら登信弁護士)が、参院選和歌山県選挙区に無所属で立候補することを表明したのですから、「事情ご賢察ください」と言うしかありません。
 
 ところで、私が注目したのは6月の提訴を目指している3箇所のうちの岡山訴訟です。
 岡山といえば、去る5月7日に岡山弁護士会が主催した憲法記念県民集会「危機に立つ立憲主義―安保法廃止を目指して―」の内容に驚嘆し、思わずメルマガ(ブログ)を3本も書いてしまったことを憶えている方もおられるでしょう。
 
 
 そのまことに元気な岡山の皆さんは、早くも3月8日には、「安保法制違憲訴訟おかやま」発足記者会見を岡山弁護士会館で開いていました。IWJによるアーカイブ動画が視聴できます。
 
 
 また、4月23日には、安保法制違憲訴訟の会共同代表の伊藤真弁護士を招いた講演会を開催しています。
 事前告知の文章を、「安保法制違憲訴訟おかやま」のホームページから引用します。
 
(引用開始)
あなたも原告の一人に
 安倍政権は、昨年9月、違憲である安保法制を強行採決し、本年3月29日、これが施行されました。
今回の安保法制は、特定秘密保護法等と相まって、日本が平和大国への道を捨てて、戦争に加担する国となり、私たちが平和的に生存する権利を失う事態をもたらします。自衛隊員や、海外で活動する方たちの生命が危険にさらされ、国内においても国民全員がテロによる生命の危険にさらされることが現実化するおそれが目の前に生じています。また、近代国家として日本においても確立してきた立憲民主主義が破壊
されようとしています。
 私たちは、平和日本の未曾有の危機に対して、何かをしなければならないとの想いから、安保法制違憲
訴訟を提起することにしました。どなたでも、原告あるいはサポーターになっていただけます。
 そのかわきりとして、真の立憲民主主義の実現のために活動されている伊藤真さんのお話しを聞く会を
開催いたします。万障繰り合わせの上、是非ともご参加ください。
講演者:伊藤 真
●日 時:2016年4月23日(土)18:00~20:00
●場 所:岡山弁護士会館2F大会議室(岡山県岡山市北区南方1丁目8?29 岡山地方裁判所北隣)
●参加費:無 料
●主 催:安保法制違憲訴訟おかやま
当ホームページから原告の申し込みが可能です。
(引用開始)
 
 この講演会の模様もIWJ岡山チャンネル1によって中継され、アーカイブを視聴することができます。
 
 
 全国全ての地裁で国賠訴訟提起を目指すという安保法制違憲訴訟の会の目標を横目でにらみながら、現実的に対応が可能かどうかを(遅くとも参院選が終わったら)具体的に検討しなければならないと思いつつ、「都会と一緒にされてもなあ」という思いもぬぐえない身としては、岡山の動きはとても気になります。  
 岡山県の人口は約191万人で和歌山県の約2倍、岡山弁護士会の会員数380名で和歌山弁護士会
約2.5倍というところですが、東京や大阪よりはずっと身近に感じられますからね。
 今日は、和歌山も参考にさせてもらおうと思っている、岡山での安保法制違憲訴訟に向けた動きをご紹介しました。
 

(付録)
『ライセンス・トゥ・キル(の替歌)』 原曲:ボブ・ディラン 作詞・演奏:中川五郎