憲法学習会「自民党改憲案を斬る」(6/15和歌山県田辺市)のご案内
今晩(2016年6月7日)配信した「メルマガ金原No.2480」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
憲法学習会「自民党改憲案を斬る」(6/15和歌山県田辺市)のご案内
はなはだローカルな憲法学習会ですし、会場のキャパもごく限られている上に、学習会自体1時間程度で終了予定ですから、仮に「それなら行ってみようか」という気になる人がいたとしても、開催地(和歌山県田辺市)在住の人くらいでしょう。
けれども、2016年6月15日というこの時期に、自民党・日本国憲法改正草案を学習しようという企画意図自体は、決してローカルにとどまるものではなく、全国的な広がりを持っていると思います。
まず、私が講師を務めることになっているその学習会の開催情報を、チラシから転記します。
はなはだローカルな憲法学習会ですし、会場のキャパもごく限られている上に、学習会自体1時間程度で終了予定ですから、仮に「それなら行ってみようか」という気になる人がいたとしても、開催地(和歌山県田辺市)在住の人くらいでしょう。
けれども、2016年6月15日というこの時期に、自民党・日本国憲法改正草案を学習しようという企画意図自体は、決してローカルにとどまるものではなく、全国的な広がりを持っていると思います。
まず、私が講師を務めることになっているその学習会の開催情報を、チラシから転記します。
(チラシ文字情報から引用開始)
憲法会議<学習会>
と き:2016年6月15日(水)午後7時00分~
ところ:西牟婁教育会館(2階会議室)
和歌山県田辺市朝日ヶ丘22-19
学習会:演題「自民党改憲案を斬る」~いま主権者がなすべきこと~
講師:金原 徹雄 弁護士
聞くところによると、当日午後6時30分から総会議事が行われ、その終了後に約1時間の学習会を行うということで、学習会の方は会員以外の参加も可能ということです。
演題は、主催者の希望によって決まったもので、私もそれに合わせてレジュメを書きました。
これまで、学習会の講師を依頼されて書いたレジュメを、メルマガ(ブログ)で配信したことが何度もありますが、おそらく今回も、講演終了後、レジュメ全文を公開すると思います。
というのも、レジュメにも書きましたが、私が、2012年4月27日に発表された自民党・日本国憲法改正草案の問題点を解説する学習会の講師を頼まれて県下を回っていたのは、だいたい3年前の参院選の直前までであり、それ以降は、もっぱら集団的自衛権や安保関連法制(戦争法)をテーマとしてお話してきましたので、主として自民党改憲案を批判することを内容とする学習会の依頼を受けたのは、ほぼ3年ぶりのことなのです。
ということで、やや気合いを入れて書いたレジュメ(A4版で14枚にもなってしまった!)を公表してみなさんに読んでいただきたいということの他に、夜の7時から8時まで田辺市で講演していたら、和歌山市の自宅に帰り着くのは相当に遅くなってしまい、その日のメルマガ(ブログ)を別に書いている時間はないからという現実的な理由もあります。
演題は、主催者の希望によって決まったもので、私もそれに合わせてレジュメを書きました。
これまで、学習会の講師を依頼されて書いたレジュメを、メルマガ(ブログ)で配信したことが何度もありますが、おそらく今回も、講演終了後、レジュメ全文を公開すると思います。
というのも、レジュメにも書きましたが、私が、2012年4月27日に発表された自民党・日本国憲法改正草案の問題点を解説する学習会の講師を頼まれて県下を回っていたのは、だいたい3年前の参院選の直前までであり、それ以降は、もっぱら集団的自衛権や安保関連法制(戦争法)をテーマとしてお話してきましたので、主として自民党改憲案を批判することを内容とする学習会の依頼を受けたのは、ほぼ3年ぶりのことなのです。
ということで、やや気合いを入れて書いたレジュメ(A4版で14枚にもなってしまった!)を公表してみなさんに読んでいただきたいということの他に、夜の7時から8時まで田辺市で講演していたら、和歌山市の自宅に帰り着くのは相当に遅くなってしまい、その日のメルマガ(ブログ)を別に書いている時間はないからという現実的な理由もあります。
そこで、今日は、15日の学習会に先立ち、そのイントロダクションとして、レジュメの目次及びその中の「3 明文改憲の危機と参議院選挙」をご紹介します。
主催者が今回の学習会のテーマに自民党改憲案を選んだ理由も、おそらく私の問題意識と同じだろうと思います。
田辺周辺にお住まいで、本論の「自民党改憲案を斬る」の部分を直接聞きたいという方は、是非会場までお越しください。
主催者が今回の学習会のテーマに自民党改憲案を選んだ理由も、おそらく私の問題意識と同じだろうと思います。
田辺周辺にお住まいで、本論の「自民党改憲案を斬る」の部分を直接聞きたいという方は、是非会場までお越しください。
(6月15日用レジュメから抜粋引用開始)
【目次(今日のお話の構成)】
1 はじめに
2 憲法をめぐる重要論点の推移
3 明文改憲の危機と参議院選挙
4 自民党改憲案を知るための“教材”
5 憲法は誰が守るべきものか(立憲主義とは何か)
6 「個人」が消えた自民党改憲案
7 復古主義の衣をまとった「新自由主義」至上憲法?
8 平和主義の放棄
9 緊急事態条項は不要であるばかりか有害
10 終わりに~いま主権者がなすべきこと~
【目次(今日のお話の構成)】
1 はじめに
2 憲法をめぐる重要論点の推移
3 明文改憲の危機と参議院選挙
4 自民党改憲案を知るための“教材”
5 憲法は誰が守るべきものか(立憲主義とは何か)
6 「個人」が消えた自民党改憲案
7 復古主義の衣をまとった「新自由主義」至上憲法?
8 平和主義の放棄
9 緊急事態条項は不要であるばかりか有害
10 終わりに~いま主権者がなすべきこと~
3 明文改憲の危機と参議院選挙
今回、「憲法をまもりくらしに活かす田辺西牟婁会議」が学習会のテーマを自民党改憲案批判にしようとされた趣旨まではうかがっておりませんが、改憲を目指す諸政党(自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党)が、既に衆議院で2/3以上の勢力を持っている現在、7月の参議院選挙の結果、同院でも改憲政党が2/3以上の議席を確保するような事態となれば、いつでも改憲発議が可能となり、取り返しのつかない事態を招きかねないという危機感からではないかと推測しています。
ここで、現在の参議院における会派別議席状況をご紹介することで、憲法を取り巻く情勢分析に代えたいと思います。
参議院は任期6年の議員(定数242人)を3年ごとに半数(121人/選挙区73人・比例代表48人)ずつ改選します。
現在の会派別議席状況は以下のとおりです。なお、括弧内に、今回改選期を迎える議員数と選挙区・比例の内訳を記載します。
自由民主党 116(改選50/選挙区38+比例12)
公明党 20(改選9/選挙区3+比例6)
おおさか維新の会 7(改選2/比例2)
日本のこころを大切にする党 3(改選0)
改憲政党計 146(改選61/選挙区41+比例20)
民進党・新緑風会 64(改選46/選挙区27+比例19)
日本共産党 11(改選3/比例3)
日本を元気にする会・無所属会 4(改選2/選挙区1+比例1)
社会民主党・護憲連合 3(改選2/比例2)
生活の党と山本太郎となかまたち 3(改選2/選挙区1+比例1)
無所属クラブ 2(改選0)
新党改革・無所属の会 2(改選1/比例1)
無所属 7(改選4/選挙区3+比例1)
改憲4党以外計 96(改選60/選挙区32+比例28)
以上の議席状況によれば、改憲4党が参議院の2/3(162議席)以上を確保するためには、改選議席61を確保した上で、あと16議席上積みすれば良いということが分かります。
今回改選期を迎えるのは、2010年、民主党の菅直人政権時の選挙で当選した議員であり、各会派別の改選数を見れば分かるとおり、6年前の選挙では、比例では、自民12議席に対し、民主が16議席確保していたのです。今から見れば信じられないと思いますが(民進党で改選期を迎える比例議員数19となっているのは、6年前にみんなの党で当選した議員3人を含むという趣旨でしょう)。
従って、手をこまねいて選挙になだれ込めば、仮に他の政党の獲得議席が6年前と全く一緒であったとしても、自民党が50+16=66、民進党が46-16=30になっただけで、改憲4党が2/3確保です。
ちなみに、3年前の参議院選挙での獲得議席数は以下のとおりでした。
自由民主党 65(選挙区47+比例18)
民主党 17(選挙区10+比例7)
公明党 11(選挙区4+比例7)
日本維新の会 8(選挙区2+比例6)
日本共産党 8(選挙区3+比例5)
みんなの党 8(選挙区4+比例4)
社会民主党 1(比例1)
沖縄社会大衆党 1(選挙区1)
無所属 2(選挙区2)
これを一瞥するだけでも、民進党が(旧みんなの党系の議員の一部が合流したにせよ)30議席確保するということでさえ、非常にハードルが高いということが分かります。
選挙区のうち、32の1人区で「野党統一候補」擁立が目指されたのも、比例代表選挙でぎりぎりまで「統一名簿方式」が模索されるであろうことも、以上のような状況を踏まえた上でのことであり、事態はまことに危機的と言わざるを得ません。
逆に言うと、来月の参議院選挙で改憲派が2/3を超える議席を確保できなければ、3年後の参議院選挙で改憲派がこれ以上議席を増やすことは難しく(3年前に民主党があまりに負け過ぎている)、「改憲のチャンス」が当面遠のく可能性が高いとも言えるのです。
日本会議や神社本庁などが中心となって構成する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、有名神社の境内で初詣客に「1,000万人賛同署名」を呼びかけたり、全国各地で「憲法おしゃべりカフェ」なる改憲推進イベントを活発に開催しているのも、今年の参議院選挙後の国会による改憲発議を目指した動きであることは明らかです。
改憲派と護憲派の決戦の場が7月10日の参議院選挙であるということをあらためて強調しておきたいと思います。
今回、「憲法をまもりくらしに活かす田辺西牟婁会議」が学習会のテーマを自民党改憲案批判にしようとされた趣旨まではうかがっておりませんが、改憲を目指す諸政党(自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党)が、既に衆議院で2/3以上の勢力を持っている現在、7月の参議院選挙の結果、同院でも改憲政党が2/3以上の議席を確保するような事態となれば、いつでも改憲発議が可能となり、取り返しのつかない事態を招きかねないという危機感からではないかと推測しています。
ここで、現在の参議院における会派別議席状況をご紹介することで、憲法を取り巻く情勢分析に代えたいと思います。
参議院は任期6年の議員(定数242人)を3年ごとに半数(121人/選挙区73人・比例代表48人)ずつ改選します。
現在の会派別議席状況は以下のとおりです。なお、括弧内に、今回改選期を迎える議員数と選挙区・比例の内訳を記載します。
自由民主党 116(改選50/選挙区38+比例12)
公明党 20(改選9/選挙区3+比例6)
おおさか維新の会 7(改選2/比例2)
日本のこころを大切にする党 3(改選0)
改憲政党計 146(改選61/選挙区41+比例20)
民進党・新緑風会 64(改選46/選挙区27+比例19)
日本共産党 11(改選3/比例3)
日本を元気にする会・無所属会 4(改選2/選挙区1+比例1)
社会民主党・護憲連合 3(改選2/比例2)
生活の党と山本太郎となかまたち 3(改選2/選挙区1+比例1)
無所属クラブ 2(改選0)
新党改革・無所属の会 2(改選1/比例1)
無所属 7(改選4/選挙区3+比例1)
改憲4党以外計 96(改選60/選挙区32+比例28)
以上の議席状況によれば、改憲4党が参議院の2/3(162議席)以上を確保するためには、改選議席61を確保した上で、あと16議席上積みすれば良いということが分かります。
今回改選期を迎えるのは、2010年、民主党の菅直人政権時の選挙で当選した議員であり、各会派別の改選数を見れば分かるとおり、6年前の選挙では、比例では、自民12議席に対し、民主が16議席確保していたのです。今から見れば信じられないと思いますが(民進党で改選期を迎える比例議員数19となっているのは、6年前にみんなの党で当選した議員3人を含むという趣旨でしょう)。
従って、手をこまねいて選挙になだれ込めば、仮に他の政党の獲得議席が6年前と全く一緒であったとしても、自民党が50+16=66、民進党が46-16=30になっただけで、改憲4党が2/3確保です。
ちなみに、3年前の参議院選挙での獲得議席数は以下のとおりでした。
自由民主党 65(選挙区47+比例18)
民主党 17(選挙区10+比例7)
公明党 11(選挙区4+比例7)
日本維新の会 8(選挙区2+比例6)
日本共産党 8(選挙区3+比例5)
みんなの党 8(選挙区4+比例4)
社会民主党 1(比例1)
沖縄社会大衆党 1(選挙区1)
無所属 2(選挙区2)
これを一瞥するだけでも、民進党が(旧みんなの党系の議員の一部が合流したにせよ)30議席確保するということでさえ、非常にハードルが高いということが分かります。
選挙区のうち、32の1人区で「野党統一候補」擁立が目指されたのも、比例代表選挙でぎりぎりまで「統一名簿方式」が模索されるであろうことも、以上のような状況を踏まえた上でのことであり、事態はまことに危機的と言わざるを得ません。
逆に言うと、来月の参議院選挙で改憲派が2/3を超える議席を確保できなければ、3年後の参議院選挙で改憲派がこれ以上議席を増やすことは難しく(3年前に民主党があまりに負け過ぎている)、「改憲のチャンス」が当面遠のく可能性が高いとも言えるのです。
日本会議や神社本庁などが中心となって構成する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、有名神社の境内で初詣客に「1,000万人賛同署名」を呼びかけたり、全国各地で「憲法おしゃべりカフェ」なる改憲推進イベントを活発に開催しているのも、今年の参議院選挙後の国会による改憲発議を目指した動きであることは明らかです。
改憲派と護憲派の決戦の場が7月10日の参議院選挙であるということをあらためて強調しておきたいと思います。